なんだか全然土日って感じがしないんだが
また暫く化物幸華周りのお話投下していくと思うんでよろしくお願いします〜
未来の義兄と夫?
テラスまで化物さんを呼び寄せてみるも、さっき飲んだはずなのに彼の手元にはチューハイの缶が二本。あ、はい、また飲み直すって感じっすね。
シークワーサーとレモンだったので、シークワーサーを選びプルタブをパキッと開けては再び飲む。ちょっと寝てスッキリしたのになぁ。まぁいいんだけどさ、酒は嫌いじゃないし。あ、乾杯し忘れてた。ま、いっか。
「それで、話しは何でしょうか?」
「さっき飲んでた時に話してくれてたじゃん?化物さんは幸華だけじゃなくて俺や桜井、高見沢も自分から離れて欲しくないって」
「えぇ、話しましたね」
そう。俺が寝る前に飲んでいた時、化物さんと二人で会話する時間があったからこの話しは一応聞かされていた。
「幸華と俺は家族だからこれからも化物さんとの関わり合いが続くと思うけど、桜井高見沢はこれから先社会人になった時にこんな頻繁に会えるかは分からないッスよ?学生と社会人じゃ時間の余裕が全然違うって言うし…」
「しかし御三方はバンドを組んでるはずでは?社会人バンドとしてやっていかないのですか?」
「うーん…そりゃやれるならやりたいけど、その時にならないと分からないしね…。なんか必死だね、化物さん。さっきからどうしちゃったの?俺が居ない間にもなんか二人に話してたっぽいし…そんなに俺らから離れたくない?」
少しからかうつもりで言ったこの発言だけど、化物さんはほんの一瞬フッと顔を少し暗くさせては視線の先を俺から持っていたチューハイの缶をぽやっと見つめ始めてしまった。あ、あれ?俺聞いちゃいけないこと聞いちゃった感じ?
あんまりこんな雰囲気の化物さんを見たことがなかったので慌てて「ジョーダンですから…!」と手をブンブン振っては否定したけれど、当の本人は真剣な眼差しで再び俺を捉えてくる。ガッチリ掴んで離さないような結構ガチめな感じで。な、なんだろ…?
「私がなぜ貴方たちを手離したくないと言ってるか理由は分かりますか?」
「え…?」
「私と出会ってしまったからには貴方たち四人はこの世界に人間だけではなく、化物がどこかに潜んでいるという事実を知ってしまわれましたね」
「うん…」
「それが不安の要素なんですよ。私と交流することで今まで気にもしていなかったことが敏感になってしまったり、そして化物と共に居る人間には他の化物も引き寄せられやすいのですよ。今までの私たちを知らなかった時よりも、どこかで出会ってしまう確率が高くなるんです」
「でも化物さんたちって人間が好きなんじゃないっすか?」
「えぇ、私たち好人種は基本人を傷つけたりなんかしません。これは幸華さんには話してありますが、化物は私たち以外の種族も存在します。その中には人間を喰い物にしている危険な奴らもいるんです。ですから私は幸華さんを含め、お兄様たちも守りたいのです。だから出来るだけ傍にいて欲しいのです」
「人間を喰い物に…って、もしかして」
「はい。ソイツらは人間を殺します。私は昔一度人間を守れなかったことがあるんですよ。なのでもうこれ以上は犠牲を出したくないんです」
「それって……」
聞いちゃダメなやつか?この言い方だと、多分好きだった相手ってことじゃ…?
流石にビックリして戸惑っていると、化物さんは俺の態度ですぐさま察してくれたようで苦笑しながら「もうかなり昔のことですよ」なんてフォローしているが…いや、正直こういうの自分から話すってキツいだろ普通。なんかめちゃくちゃ申し訳なくなってくる…うん。
「だから俺たちを手離したくない、か。うーん、化物が人間に化けていたとしてもそれを見破る術もなければ分からないと自衛すら出来ないしなぁ…。でも化物さんに頼ってばっかだと幸華との時間が減っちゃうから迷惑になりそうというか…」
「お優しいですね、お兄様は。幸華さんとの時間はお兄様が思っている以上に取れているので大丈夫ですよ❤︎ それに、もし仮にお兄様たちに他の化物が近づいていたとしても私は鼻がいいのできっと見破ることが出来ると思います。その人物がいいか悪いかは私の目で見て判断しなくてはなりませんが、お兄様たちに近づく虫ケラは私が排除致します」
「あり、がと。けどそこまでしなくても……えっ??」
そう軽く否定しようとした時。化物さんの顔のパーツが消えて……ウソやん?
すると化物さんが俺の左頬に軽く手を置いた直後、みるみるうちに身長が伸びるというか体全体が膨らんでいくように大きくなっていき、今まで人間と同じ肌の色をしていたものが黒く変色していく様を目の当たりにしてしまった。化物さんと初めて出会った時もかなり驚かされたが、今目の前で起きている出来事に頭の処理が追いついていないというか…。どこかしらの進撃してくる巨人みたいな雰囲気だよコレ。
改めてこの人は本物の化物なんだなと思わされる瞬間でもあった。
そして口以外のパーツがないその顔がググッと俺の顔へ近づいてきた時の威圧感と圧倒的な存在感を放つ化物さんは、黒い肌の中で目立つ真っ赤な口元がニヤ…と怪しく笑ってみせると、こう言い放ってきた。
「いいえ。もう二度と私の気に入った人間を殺されて溜まるかってことですよ」
「……、」
ビックリしすぎて声が出ねぇ…。幸華の奴は当然化物さんのこの姿は知ってるってことだよなぁ?アイツ俺らに隠し事しすぎじゃね?
まじまじ化物さんを見つめ、グッと作った握り拳が若干震えてるような気もしたけどそんな震えもいつか消えていくだろう。見た目はかなりアレだが、中身は化物さんってのには変わりないから普段通りに接しようと密かに思う。
「て、ていうか俺が寝ている間に高見沢と桜井に何かしてましたか?なんかギャーギャー言う声が聞こえてはきたけど何してるかまでは分からんかったから…」
「えぇ、しておりましたとも。お二人が私から離れない為の儀式といいますか❤︎」
「儀式…?まぁいいや、それであの二人には自分から離れて欲しくないってことはもう話したの?」
「先程お伝えしましたよ。私は強欲なので、誰にも渡したくないと。お兄様たちが思っている以上に私は厄介で面倒くさい化物ですよ、と❤︎」
「そうッスか…はは」
「あ、お兄様には決して変な真似は致しませんので安心してください❤︎ 将来の義兄になるお方ですので、逃げられては悲しいですからねぇ❤︎」
「は、はい」
まぁ、俺も色々覚悟しておこう。
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「幸華ちゃん大丈夫?」
「化物さんにかなり苛められてたね…」
「…あんなの軽い方だってば」
坂崎と化物さんが外へ行ってしまったので、俺ら三人はソファーにいそいそと座りつつ若干気まずくなりながらも桜井と一緒になって幸華ちゃんのケアというかなんというか…
あんな恥ずかしい姿を見られていた本人だけど、なんだか今は羞恥の欠片もなくなったみたいだし。やっぱ化物さんといると色んな感情がぶっ壊れるのかなぁ。こえーなぁ。つーかアレで軽い方の攻められ方ってどーいうことよ?幸華ちゃんの発言で思わず桜井と二人で目を合わせるしかなかった。
「変なとこ見ちゃってごめんね…」と桜井が両手を合わせながら謝ってはいるが、彼女は一つだけため息をついて「もう色々と諦めてるからヘーキ」とぶっきらぼうながらも一応は許してくれてるみたい。
「アルフのことだからいつかするとは思ってたし、桜井さんと高見沢さんもほら…被害者みたいなもんでしょ?ていうか二人が私のあんなの見て興奮する訳ないのにね」
うーん、それは違うかな。いくら坂崎の妹だからって興奮はしますとも、男ですから。つーか友人の妹だからこそ余計に興奮するものがあるにはある。多分それは桜井も同じだと思う。すると桜井が俺の思っていたことを口にして幸華ちゃんと言っていたセリフを否定する。
「ごめんけど俺らも男だからあんなの見せられて興奮しない男は逆に少ないかもよ?あ、化物さんが何者か知らない人からしてみればいきなり影使ったりだとドン引きするかもしれんけど、俺らは知ってるしね。だから…正直心の整理がまだ必要」
「うそっ…!?ごめん二人とも!!」
「つーか俺なんか幸華ちゃんの姿した化物さんに攻められかけてたんだから興奮しないのはムリよ。はぁーあ、あのまま続けられてたら今頃俺どーなってたんだか…」
「やめた方がいい!戻れなくなるから絶対やめた方がいい!」
「だろーねぇ。あん時は興味と恐怖が入り交じってて変な汗かいてたくらいだもん。幸華ちゃんよく化物さんの攻めに耐えられるね」
「いや…別に…耐えられてるとは思ってないし…」
「なんだか俺らだけものすんげー化物さんに弄ばれすぎじゃね…?」
「うん…。いずれ家族になるであろう坂崎だけには絶対手だししないとこも計算してるっつーか…」
「てか未だに坂崎だけなーんも知らんもんなぁ。逆に羨ましーわ」
「あぅう…!ほんっとうに二人ともごめん!私なんかと関わっちゃったばっかりに変な目にばっか遭わさせちゃって…。すみません…」
「えっ…!?別にそんな本気で謝らなくてもいいよ…!」
それでも幸華ちゃんは俺たちに対して物凄く申し訳なさそうにしては顔を俯けては大きな溜め息をついしてまっている。い、いや…そこまで思い詰めなくてもいいのに…
そりゃ確かに化物さんに魅入られてしまって逃げ出せない感はハンパないけど、俺らだってあの人にお世話になってたりするしいい思いも沢山させてもらってるしねぇ。だから逃げるとかは考えてないし…うーん。
考え事している俺の横で桜井がそんな幸華ちゃんを「気にしてないから、マジで」と慰めながら背中をさすって落ち着かせている最中。
「でもぉ…」
「…ま、結局は化物さんが俺たちの姿借りてる以上無関係ではいられないのは分かってるからさ」
「そうそう、だから幸華ちゃんのせいだけじゃないよ。なんなら俺ら全員のせいってことにしとけばいいんじゃない?そしたら幸華ちゃんも多少は楽になれるでしょ?」
「…うん。そうだね、そう思うことにする。二人ともいっつも色々話し聞いてくれたり慰めてくれてありがとう…。感謝してます…」
「幸華はお二人に対してはとっても素直なんですねぇ!それに本当に仲良しですねぇ❤︎」
ヒェッと俺と桜井の怯えた声の後ろから唐突に聞こえてくる悪魔…もとい化物の声。
三人で振り返ってみると、化物さんがとびっきりのニコニコ顔で俺たちを見下げているその後ろでは坂崎が「何やってんだお前ら」と、訝しんだような顔してこちらを見ている。さ、坂崎が傍にいるから今は変なことされない…はず…!
名前を呼ばれた当の本人は「そ、そういうんじゃないからっ!」と思い切り否定してるけど、化物さんは聞く耳持たずに「へぇ〜〜〜」とものすんごい圧力を俺らにかけてくる。ま、また巻き込まれるぅう〜…!!
桜井と目が合い、ソッコーで化物さんに「誤解ですッ!!」と必死に俺らも否定するけれど…このヒトに伝わっているとはあんまり思えない。
諦めるしかねぇ。
ᐕ)ノ
化物からは逃げられないね
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