がメインの小話が書きたくて書いた
というのも私の今やってる仕事の会長秘書の人が元警察官でしかも麻薬取締官とかそういう人だったみたいで、毎週zoomしてるんだけどたま〜に警官時代の話しをしてくれるから、ちょっと楽しいというかw
まぁでも元警官なだけあって言い方結構強めだし、凄く熱い人なのは分かるんだけどね!さっきもzoomしてたけど、「みんなこんないい環境があるのになんでまだ販売社長にならないのか説教したいくらい」とか言われて、顔出しはしてなかったけど「こっちだって今すぐにでもなりてーわ!」って感じですよw
愚痴ではないよ?w 営業さんや秘書さんから色んな為になる話しや面白い話しを聞けるから楽しい仕事なんだけどねw
現会長秘書にして元麻薬取締官とかいうバリバリな警察官とかいう私の中で情報過多というか設定盛り込みすぎじゃね?なんて思わせるような人のせいでお話書きたくなりました🤣
24
ジャワジャワと忙しなく必死に泣き続けている夏の風物詩であるセミたち。今の俺にとっちゃうるさいと思わせる対象でしかない。
とある企業の代表取締役さんに先程会っており、嘘と出任せ、それとほんの半分の事実を織り交ぜながら相手の不安を取り除き俺に対する警戒心を解いていき、そして信頼を獲得している最中だ。
アイツ結構持ってそうだなぁ〜と。数千万くらいは掠め取れそうだなと読んでいる。俺自身で動いてもいいが、仲間の女の誰かに派遣させて一時だけでも愛人にさせてしまえばもうほぼあの裏金はこっちのもんだ。訴えたくても訴えられなくしちまえばこっちのもんさ。
「あっぢ〜…。夏にスーツはやっぱ着たくねーなぁ…」
ダラダラ流れ出る汗と持参していたお茶を鞄の中から取り出しそれを一気に飲み干してみせるが、ぬるいから美味しくねーなぁ。サッサと帰るかそれともコンビニ寄って何か飲み物でも買おうか迷うところだ。
詐欺師だからといって身なりを怠ったりなんかしない。寧ろこの一流のものたちに着せられてる感が出ていたらあからさまに怪しまれるので、こういうスーツや時計にネクタイからタイピン、靴まで全てを着こなす必要がある。自分は出来る男だという演出と演技を醸し出せなければこの仕事は上手くいかない。特に俺らは一般人相手に金は騙し取ってないので、身なりはビシッといつもキメてるのさ。
「……。」
ふと目に入った喫茶店の看板。
もうとっくに昼飯時は過ぎているので店内はビジネスマンや若い奴らは比較的少ない気がする。ここでいいか。
中に足を踏み入れると喫茶店の割には店内は明るめ。オーナーやスタッフが「いらっしゃいませ」と穏やかで優しい声で俺を出迎えてくれて、席へと案内される。うん、雰囲気も良さげだし気に入った。また今度子供たち数人を連れて来ようと思えた。あんまり大人数でこんな場所に子供を引き連れてきても迷惑だし、それなりに歳がいった子たちだけを連れて来たい。
メニュー表を開き、目に止まった気になるものをすぐに頼むと冷たい水が提供される。これを待ってた。
氷が入ったキンキンに冷えた水をゴクゴク喉を鳴らして飲んでいると、少し離れた場所で何やらビジネスマンっぽい男たちが談笑なのか商談なのか分からないが、そんなような会話が聞こえてくる。カウンターの方では老人がぽつぽつ座っており、奥の席の方では本を読みながらゆったりとした時間を過ごしている女性や、窓側の席では若い女二人組がスイーツを並べて写真を撮りながら楽しそうにしていた。うん、平均的な喫茶店の雰囲気だ。
…だがしかし、店内出入口付近に座っている男女ペアと真向かいに座っている年金暮らしをしてそうな老婆の存在が引っかかる。俺もソイツらの席の二つ隣に座っているので、会話が割と丸聞こえ。
「……。」
会話を盗み聞きしていると、投資がなんたら。このやり方なら絶対儲かる、老人でも簡単だし貴方でも出来ますよ、と。あーー……案の定詐欺だ。
俺には関係がないから運ばれてきたメシを気にせずに食べ進めるが、婆さんは色んな情報と聞き慣れない単語がバンバン飛び交うせいで慌てふためいており正常な判断が出来ないでいる様子。まぁそんなんだから騙されるんだろうけどな。にしてもこのカツレツうめぇ。
もくもく食べ続けていると、詐欺師側の女が婆さんが今抱えてる不安を聞き出しては弱音を吐いている婆さんの手を優しく取って「大丈夫ですよ」なんていうとんでもない嘘をつく。おいおい、老人に対してそれ以上付け込んでやんなよな。目の前で俺らの仕事をしている奴らに出会うとウケるというか共感性羞恥にも似た感情も沸き起こるというか…。ハァ…
チラ、と目線をそちらへ流すと婆さんが今にも契約書にサインをしてしまいそうな場面。
「本当にたったこれだけのことをしていれば勝手にお金が増えていくんですよね…?」
「やめときな、婆さん」
「えっ?」
「は?なんだお前は」
気づいたら俺はソイツらのテーブルの隣に立っていた。
「コイツら詐欺師だ」
「さ、詐欺…?本当なのかい?」
「何を言ってるの!そんな訳ないでしょッ?突然出て来てなんなんですか貴方は」
「投資詐欺か情報商材詐欺かなんなのか知らねぇが明らかに典型的な詐欺師じゃねーかよ婆さん、いい加減おかしいことに気づけ。こんなデタラメな仕組みで本当に稼げると思ってんのか?」
「そんな…」
「ち、違いますよ!安心して下さい、こんな見知らぬ男の言うことなんか聞かなくてもいいですよ!」
「でもぉ…」
「あのなぁ、儲け話に“絶対”なんて言葉使う奴なんか信用すんなよ。それにそんな上手い話があるとしてなぜコイツらが婆さんにわざわざ教える?もし仮に自分がめちゃくちゃ稼げる方法を知ってたとしたらそれを全く知らん相手に教えたいと思うか?それにコイツらの格好、スーツなんて着てるが気慣れてなさすぎだ。男の方はスーツと靴が全く合っていない。言っとくが損失が出たらコイツらは負担するなんてほざいていたが、それは違法だ」
「っ…」
「場所変えてもう一度話しましょうか」
「だけど…この人の言うことが本当だとしたら貴方たちは私を騙そうとしていたのよねぇ…?」
「そんな訳ありませんよ!大丈夫ですからね?」
「……。」
「信じるも信じないも婆さんの心に従えよ。俺はもう行くからな。じゃ、せいぜい大金騙し取られないように頑張れよ」
そう言って俺は退店する為お会計だけを済まし、コソッとスタッフに向かって「あそこの席の男女二人組は怪しいので念の為警察に通報しておいて下さい」なんて言い残してから俺はこの店から出て行った。
店内にいた他の奴らも俺たちのやり取りを見ていたのが多かったので、あまり言い逃れも出来ないしあとは店員たちがなんとかしてくれるだろう。俺は警察なんて真っ平ごめんなので、足早にこの喫茶店から立ち去るほうを選ぶしかない。
俺はああいう弱者を騙す同業者はどうも好かん。やるんならとことん強い奴とやり合えよなと俺は思うが、弱者騙した方がそりゃー手っ取り早いもんな。この世の中に詐欺がなくならん訳だ。
「…そろそろ向かうか」
左腕の時計で時間を確認すると、俺はここから少し離れた駅の方へと歩いて行く。
そして目的の場所までやって来れば、顔馴染みの男が「あーいたいた〜今日もありがとさーん」なんて軽い挨拶を交わしてくる。
「はい、これ野菜。あと昨日仕入れた新しい虹もあるけど買わないかー?」
「あー…今回は野菜だけでいいや。すまん」
「ぜーんぜん。それとこれ頼まれてたポンプね。そんじゃまたご贔屓に〜」
「おう、いつもありがとな」
お互いこんな感じでフラットな会話とやり取りをして用事が済んだらすぐ立ち去る。密売人とのやり取りなんてこんなもんだ。
基本俺らの仲間の中でこんな事をするのは俺と他の数人くらいで、もちろん子供たちなんかにはクスリのことなんか一切知らせてはいない。俺自身子供の頃にこんなもんを使っちまったせいで人生破滅しかけていたのだから、子供たちに同じ目には遭わせたくなんかないと言い切る。絶対に嫌だね。
そんなことは置いといて…さて、用事も終わったのでそろそろ帰りましょうか。
子供たちが待っている俺たちの家へ。
。゜⋆。゜⋆
「おい、二十四番っ。聞こえてるのかッ?」
「…えっ?あ、おぉ…聞こえてるぜ」
「ホントかー?俺が二回も呼びかけたのにボーッとしてたじゃねーか。考え事でもしてたのか?それとも体調悪い?」
「ちょっと昔のこと思い出してただけだよ」
「ふーん…。罪人たちの刑もさっき全員終えたからお前ら二人はもう帰っていいぞ」
「分かった。高見沢は?」
「向こうで他の奴らと窯の点検してる」
「それが終わったら帰るか…うん」
「…なんかあったのか?いつもと雰囲気全然違うんですけど」
「なんもねぇよ。ただ、ヘロインは二度とやりたくねーなーって考えてただけだよ」
「あそう…。ホントにそれだけか?」
「…船頭はさ、俺ら詐欺師の印象ってどうよ?」
そんな質問を急にされた船頭は「えっ」といった表情になっては、どう答えていいのか若干悩んでる風に見えた。
「別に俺に対してじゃねぇ。世間一般に言われてる詐欺師たちのことを聞いてるんだよ」
「んー…。なんつーか、やっぱり年寄りを狙うイメージが強い…かな?あとは胡散臭い投資とかビジネスとか…あーあと結婚詐欺とか?相手の弱みに付け込んで金を毟りとるのって胸くそ悪い、よな」
「実際俺もそう思う」
「説得力ねぇ〜…」
「言っとくが俺は今まで一回も弱者は狙ったことねーからな?その人が必死になって貯めてきたであろう金を奪い取るなんてこと俺には…出来るっちゃ出来るが、やりたくはないね。逆に俺がカモにしてた相手は裏金だったり表には出せないような大金だから狙ったとしても罪悪感はないし、寧ろざまぁとさえ思う」
「お前がそういうタイプの詐欺師だからこそ本物の悪人って言い難いんだよなぁ…ハァ…」
「でも…多分今の俺が本土に戻ったとしても、昔とやり口とかが変わってるだろうからもう上手く騙せないんだろうなぁ…とは思う時あるけどよ」
「そーか?頭いいから最新の手口もソッコーで自分のモノにしてバリバリに詐欺やってる姿しか想像つかん」
「そりゃどーも。でも確かにちょっと勉強すりゃあやれるわなぁ〜。あー…この島来てからほんっと騙す相手いなくてつまんねーわぁ。ぜってー鈍ってる気がするわ」
「…そんな奴ら、いない方がいいじゃん」
「まぁ、な」
一理あるけど俺の心はもう高揚もしなければあの大金が転がり込んでくる興奮を抑えきれない感覚も味わえないということだ。やはりそれがつまらない。目の前にいる船頭を含め、ここにいる全員を騙したりなんかしたら信用信頼がどーのこーの言えるレベルじゃなくなっちまうのは自明の理だしな。
それこそ俺は船頭に何も言えなくなる。
だから俺はこの島で十年近く人を騙すことなく生きている。ちょっとしたイタズラ程度の嘘や相手を信じ込ませる言葉巧みな技を披露してみせるが、本当にそれはただの遊びだから咎められることもないし寧ろ感心される時も稀にある。大抵は騙した相手にムカつかれたりするレベルだから問題ないけどよ。
「なぁ船頭。俺はこの詐欺の仕事に一応は誇りを持ってやっていた。胸なんて張れないのは分かっちゃいるが、悪人相手に金を騙し取ってガキ共の幸せの手助けになれていたなら俺はそれで良かった。素人騙してコソコソと汚いやり口する同業者と俺は違う、そう思って驕ってはいたが結局捕まれば同じ罪。強欲の罪の舟に乗せられたが、俺は自分自身本当に傲慢なんだろうな…って最近よく思う。前に悪魔から言われたせいもあるかもしれねぇけどよ」
「舟に乗せられる時割り当て間違えられてたのかもな」
「いい加減だな…」
「そりゃあ罪人相手にマトモに取り合ってくれる奴らなんて少ないしな。俺も舟で罪人を迎えに行く時向こうの管理者たちは罪人をいつも物以下としか見てないし扱っていない。だから適当だったりするのかもな。だってほら、お前らの罪状だって全然違うものも混じってただろ?ああいうのもきっとわざとだろうし」
「俺らは物以下…か」
「それがお前たちの犯してきた罪だからしょーがねーよ。向こうの人たちは罪人をこっちに送り届けるのが仕事だから俺ら船頭みたいに罪人を理解しようなんて思考一ミリもないと思うよ」
「…だよな」
「ヤケに真面目だな、二十四番」
「さっき見送った中に…詐欺師の罪人がいたからな。だから昔のこと思い出しちまっただけだ、あんま気にすんな」
「…分かった」
船頭とこんな会話をしても妙に心は落ち着いているのは、きっと俺にあんなことがあった一件以来コイツに対する気持ちに変化があったからなのは間違いないはずだ。こんな俺を必死になって助けてくれたからな、この男は。
そして今しがた点検を終えた高見沢が俺たちのいる方へ向かって来ているのを目にすれば、アイツに「帰っていいみたいだぜ」と伝える。
高見沢も…あれ以来罪人たちと積極的に話すことが少し減った気がする。仕方のないことだけど、高見沢も高見沢でまだ気持ちの整理がつかないはずだから俺も船頭たちも誰も何も言わないでいる。つーか言えない。
ここに来て俺たちの考え方や気持ちがこうも変化するとは誰が予想出来たかっつーの…
でも俺はきっと罪人たちの心を少しでも救う方を選ぶ。
それが例え俺の嘘だとしても、罪人たちの心を救わせたい。
だってこの仕事が俺に出来る最大の償いと罰なんだから…
※コメントは最大1000文字、10回まで送信できます