大妖怪タカミーの子育て日記

子育てしてるうちの子って妖のとこの三人くらいだよな〜と思い、なんとなく今まで経験してきたことを振り返ってみながら大妖怪タカミーも不器用ながらに子育て頑張っていたのかなぁと思うと書きたくなって…笑

うちのタカミーキャラの中では美に対して一番固執してるだろうし、プライドもかなり高くていつもクールだから今回はそれとは真逆の大妖怪タカミーが書けて新鮮で楽しかった‪‪☺︎‬

いや…だって、ねぇ。大変だもんねぇ…

あ、いちごタルト作ったよ ̖́-‬

私の友人の後輩の子がオーダーしてくれて、渡す時初めて会ったし初めて喋ったけど喜んでくれたし、またオーダーしたいって言ってくれて嬉しかった✧︎*。

 

大妖怪タカミーの育児記録

 

泣き止まない赤子を腕に抱き、しどろもどろしながら私は必死にあやしたり、眠いのかお腹が減っていないかと何度も確認したりするがどうやらそれは違うらしい。

全くもってなにゆえ泣いておるのかが分からぬ……

終いには泣き叫んでいるこの子をどうしていいかも分からず眉を下げてはハァ…とため息をつくしかなくなっていた。赤子は何を考えておるのかさっぱり分からん。難しすぎる。私にどうしろと言うのだ?何が不満か?何を要求しておるのか?やれる事は全てやったつもりだが、万策尽きたぞ…サカザキよ。

 

小屋の中にフタリきりで居ても仕方ないので、外に出てみて新鮮な空気でも吸わせてみよう。そう思い立てば、私はサカザキを抱きかかえたまま小屋の扉を開けて朝露が光る眩しい日差しに包まれに行くとなんだかサカザキの泣き声も少しずつ落ち着いていくようだ。

ふにゃふにゃしたとても弱々しくて、それでもって力強いその声。生きたいと強く思うその意思。まだ本当に何も出来ぬ赤子だが、必死に生きようとする魂は私たち妖怪からしてみれば計り知れぬほどの執念なのかもしれぬ。

 

柔らかい陽の光に包まれていると、サカザキはようやく泣くのをやめてそのままうつらうつらと目を重くして、やがてはそのまま眠ってしまった。

…やはり眠かったのではないか。

 

「…眠いなら寝ればよいものを」

そう私がポツっと呟くと、横からやって来た姑獲鳥(うぶめ)が「まだ眠り方を知らないのですよ」と訳の分からぬことを言う。

 

「どういう意味だ」

「眠るのが恐ろしいと感じるのですよ、赤子は。目の前にいる父や母と離れるのが恐いのです」

「それが…眠れぬ理由か」

「はい」

「…分からぬ」

小さなサカザキの顔を見下ろしながら考えてみるも、何をそんなに恐れているのかが分からん。

私自身もふわぁ…とあくびが自然と出てしまい、ようやく一息ついたからなのか急激に眠気に襲われてしまったではないか。くそ…これから見回りに行かねばならぬと言うのに…

眠そうにしていた私の傍に、もう一匹の妖怪が近付いてきては「目の下の隈が増えてますよ、タカミザワ様?」と言われたくない事実を突きつけられる。流石にここまで来ると見て見ぬふりは出来ぬか。容姿には気遣っているが、サカザキを拾ってからは自分への気遣いを少し怠っているような気もする。

 

「子育て幽霊か…。嫌なことを指摘してくるではないか、まったく」

「あら、気にしていらしたのですか?それは失礼致しましたわ」

「…うむ」

「それにしてもタカミザワ様、少し睡眠を取られたらどうです?いくらタカミザワ様でもあまりに寝なさすぎると体力が持ちませんわよ?それに、ここや他の場所も守れなくなりますよ?」

「そうですよ、タカミザワ様はお休みになって下さい。私と子育て幽霊でサカザキの面倒は見ますので」

「しかし…」

「大丈夫ですわ。私の手元には飴もありますし、化け狐に頼んで人間の振りをしてまた人間から乳を貰い受けにも行かせますし」

「そうか…。それなら少しの間任せよう」

 

サカザキを任せ、私はひとまず木の上の方までひとっ飛びしてからいつもの枝でふわりと座ればものの数秒で眠りに落ちてしまっていた。もう眠りに入る時の記憶がないくらいには睡眠が不足しておったのだろう。

 

。゜⋆。゜⋆

またある時はサカザキを沐浴する為に池の水を桶に汲み、火の精霊が丁度よい具合にまで湯を沸かしてくれたので早速サカザキを湯の中へと沈ませ、体を洗う準備に取り掛かる。

濡れないようにする為私が着ている衣の上半身はほとんど脱ぎ捨て、サカザキを湯の中に入れやすいよう袖も捲りあげこの子を湯船へと浸らせてみせる。サカザキは風呂が好きなようで、湯の中ではいつも気持ちが良さそうにぽやーっとしておる。

手ぬぐいで体や顔を優しく拭き、その小さな手の平もしっかりと洗い流す。あぁ、あと首も…。なんとなく手順は覚えたが、いつも何かを忘れているような気もするがな。傍で見ておる水と火の精霊が何度も指摘してくれるが中々上手くいかない私を見て何を思うのやら…

 

「タカミザワ様、もっと優しく擦るのですよ」

「そうでないとこの赤子の皮膚が赤く腫れてしまいますよ?」

「や、優しくやってるつもりだが…」

「もっと力を抜いて下さい」

「こう、か?」

「そうです!」

なんとか様になるくらいにはなってきたが、やはりまだまだ人間を育てるというのは難しいものだな。言葉も通じぬ相手と心を通わせるには何が必要なのだろうか?

私がこの子を育てると決め、拾ったのだから見捨てるつもりはないが中々にしんどいものがある。

 

.・・.・・.・・.・・.

まずいまずいまずい…

見回りに時間がかかり過ぎてしまった。

面倒くさい妖怪に絡まれてしまい、割と大きな戦闘になってしまったせいでいつの間にか逢魔が時(夕刻)になっておる。慌てて犬神に跨りながら「急いで戻るぞ!」と命令すると、犬神も私が焦っているのを察知してか駆け足に私の森へと戻ってくれた。

 

風を切るように空を駆け回ってくれた犬神が森へと辿り着くと、私はお礼を言いつつバッと犬神から飛び降りて地面へ着地してみせるとそこには女性の妖怪たちがズラリと並んでは橋姫が泣いているサカザキを抱きかかえては私の方を白けるような目つきで睨んでくる。お、恐ろしいな。

女郎蜘蛛に人形神と飛縁魔、そして母性溢れる姑獲鳥と子育て幽霊が鋭すぎる目でこちらを見やってくるが……私はどうすればいい。

流石の私もこの状況はまずいと思い、いつもは誰も私に逆らってくる者は居ないが今は彼女たちには下でに出た方が良さげか。チラッと森の影からこちらを除く他の男の妖怪共は、皆恐れおののいて腰が引けている状態だしで話しにならん。まぁ…目の前に居るこの女妖怪たちには逆らえるはずもないのは分かってるが…

 

「す、すまなかった…!こんなに遅くなるつもりはなかったのだ…!誠だぞっ?」

「タカミザワ様、まだサカザキは産まれて三月(みつき)しか経ってないのですよ?」

「一日中どこをほっつき歩いていたのですか?」

「私たちが見てるとは言いましたが余りにも遅すぎるのでは?」

「違うぞ…!本来ならもっと早く帰って来るつもりだったが厄介な妖怪に絡まれてだな…!その、だから…遅くなった訳で…」

「サカザキがこんなにも貴方を求めて泣いていたというのに、この可愛らしい泣き声が聞こえてこなかったのですか?」

「す、すまぬ…」

「余りにもサカザキを放っておくとこの子はタカミザワ様への信頼を失っていきますよ?サカザキの信頼を失えば育てる意味などないのでは?」

「はい…ごもっともです…」

 

見事な説教を食らってしまった。

いつの世も妖怪であろうが人間であろうが女を怒らせると怖いのには変わらぬか。私もこれからは今以上に気をつけねばな…

反論の余地もない小言を食らい続け、心が折れかけていた所にようやく橋姫がサカザキを私の手の中へと移し、それまでずっとぐずぐずとしていたサカザキは私に抱かれた途端に今までのが嘘のように落ち着きを取り戻し泣き止む。そうか…お前は私でなければならないというのか。

そう悟った瞬間、なんとも言えない感情が心を駆け巡っていく。こんなに小さくても…お前は私がいいと思ってくれて…選んでくれておるのだな。

 

「ほら、やはりタカミザワ様でなければならないのですよ」

「落ち着いたみたいね。やっと眠ってくれましたわ」

「そう、だな」

サカザキの寝顔を見て穏やかな表情を取り戻してくれた女たちは、ようやく私から離れてどこかへと行ってしまった。

…凄く長い時を使ってしまったような気もする。

はぁ…とため息をついてみせると、後ろからは空木返しと辻神、青坊主にそしてぬらりひょんが私の居る方へと女たちとは入れ替わりでやって来る。

 

「女は恐ろしや…」

「無事でござりますか、タカミザワ様?」

「なんとか…な。しかし橋姫たちの言う通りだから返す言葉もない」

「タカミザワ様は我々や人間たちをお守りする為に日々努力されておるのは分かっておる。頑張りすぎるゆえサカザキとの時間を大切にせよ、とのことであろう」

「そういう意味で言ってくれてるのなら心は救われるのだがな…どうであろう」

ぬらりひょんが私を肯定してくれているのは嬉しいが、やはり女たちの言葉が結構胸に突き刺さるのでそう簡単には立ち直れん。私は一体どうすれば…

もう一度はぁ…とため息をついてしまったが、後戻りは出来ぬと分かっていてもそう考えてしまう。

 

お師匠様は…お師匠様は私をどのようにして育ててくれたのであろう?

二日に一回ぐらいこんな考えが頭によぎる。お師匠様がおられる時になぜ子育てのことを聞いておかなかったんだと、この三月ほどずっとそればかり考えては後悔している。別にサカザキの存在が鬱陶しいとは思わんが…やはりまだまだ自分は親になり切れていないのが自覚出来るほどに甘いのだなと今日改めて再確認出来た。

誰かに説教されなければ私は誰かに頼り切ったままだったのだろう。いや、私の立場上誰かを頼らざるを得ないのは分かってはいるが女たちを怒らせない程度に私もなんとか今を上手く乗り越えていくしかないな。

 

「自分では頑張っているつもりではおるが…まだまだ私はちっぽけだな」

「そんなことは…」

「この子と私は血の繋がりがない。捨てるのなら早い今のうちが懸命だとは思っているが…今の私にはそれはもう出来ない段階におる。私はこの子を愛している。とてつもなく愛おしいぞ。お師匠様が私にそうしてくれたように私もこの子には多くのことを教えてあげたい。この子の笑顔が見たい。そして私をも超えるほどに強くたくましくなって欲しいと願っている。…だが気持ちだけではやはりダメか?」

「タカミザワ様…」

「そんなことはありませんよ。誰しもすぐに親になれる訳ではありませんもの。それに妖怪と人間、相容れぬ存在同士ですよ?それを成し遂げようとしているタカミザワ様は誰よりも立派なのです」

「…ありがとう」

 

サカザキ…

私はお前と同じで本当の親に見捨てられた存在だ。

だがしかし、今はこうして長い年月を生き抜いて多くの妖怪たちに慕われるようになった。

お前の気持ちを理解してやれるのは私だけだろう。

いつか本当の両親に会いたいと願ってしまうかもしれない。もしかしたら妖怪になんかなりたくないと言われてしまうかもしれない。

だけど…

だけれど、私はお前を誇りに思うだろう。

人間共と違って私はお前を見捨てたりなんかしない。例え人間として生きていきたいと言われてしまっても私はお前をこの手で育て上げる。

この世でたった一人しかいない小さな存在なのだから。

 

「あぁ、サカザキよ…。お前は私たちの大切な醜くて可愛い子供だよ。私はお前を必ず守り抜いてみせる」

 

┈┈┈┈┈┈✾┈┈┈┈┈┈

今日は天気も良く、陽も暖かく風は爽やかに通りすぎていくくらいに気候がいい。

こんな日はサカザキを外に連れ出し、小屋の周りを好きなように動き回らせるのが日課だ。つい先日から地べたを這うようにしながらずりずりと前へ進むことを覚えたので、これがまた目が離せなくなってくる要因でもある。しかし、日に日に成長が垣間見えるとやはり嬉しく思うしすくすくと育っている証拠なのだと実感する。

ほんの少し前までは、やっとお座りを覚えたかと思うと今じゃ自力で移動出来てしまう。子供の成長とは目まぐるしいくらいに早いものだな。

きっとそのうちすぐその両脚で立ち、そしてこの森を走り回っているのだろう。

…楽しみだ。

 

サカザキが外で遊んでいることに気づいたこの森に棲む妖怪たちは、サカザキの為に先程もぎ取ってきたであろう果実を渡してくれる。また後で絞って果汁をあげてやろうではないか。

またある者は木で出来た遊び道具をサカザキに手渡していたり、またある者はてんてん太鼓を渡していたりと…サカザキは皆から愛されているのだなとこの目でしかと見届けていた。そんな当の本人も人間ならざる者たちにも関わらず、優しく接してくれる彼らを友のように思っているのか怯えたりすることもなく楽しそうに遊んでいる。

 

妖怪と人間。

この事実は決して変えることは出来ないが、サカザキは妖怪になることを選べる選ばれし人間。とは言っても私はこの子を妖怪にする為に拾ったのだから、そのつもりで育てはするがな。

お師匠様からしてもらったように、私もこの子に多くのことを教えられるような親になりたい。

 

「愛おしい我が子よ…。どうか強くたくましく…そして優しい子に育っておくれ」

 

⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆

今なら大妖怪タカミーの気持ちが分かるな、と思って懐かしみながら書いていました笑

というか妖の三人って全員子育てしてるかなり特殊な三人じゃんね、と今更ながら気づいた!笑

きっと法師様も大妖怪サカザキも苦労して大変な思いして子育てしてたんだよな、と二人のことも思い浮かべながら書いてました

子育て大変…(´⌓` ;)

 

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