出来たてジャイアントコーンうま

出荷して10日以内のジャイアントコーンが売られるという情報を聞きつけて、初めて食べてみたけど本当にコーンがサックサクで美味しかった🥺

私ソフトクリームとかアイスはカップ派でコーンはそこまでなんだけど、ジャイアントコーンだけは大好き笑

色んな種類あるけど私は赤のノーマルしか食べない。色々食べたけどジャイアントコーンに関してはやっぱり赤が一番うめーなぁ🤔ってなるからもう赤しか買わないって決めてる笑

あ、あとwith musicギリギリ配信観れた!面白かったし可愛い三人観れて嬉しいんだけど、やっぱりライブ行って生の三人が見たいです…😂

追記は下の続き!

 

疑われちゅう三人

 

大学出てから店を決めてる途中、坂崎から「お前桜音さんにビンタされたん?」と聞かれちまったので「された」とだけ簡単に答える。

「アホかお前は…」

「ちょっとしたスキンシップじゃんっ。ま、むしろ今日桜音からビンタ食らったお陰で俺の仲間たちもちょっと引いてたし暫くは大丈夫だろ」

「あ、そう…。だからお前の左側の頬っぺた微妙に赤いんか」

「そーそー、桜音ちゃんヒドイもん」

「桜音さんは悪くないっ、お前のせい!」

「へーへー、すんませんっしたー」

わざと大学から離れた飲み屋を探してそこへ行き、二人だけだったしカウンターでもいいかってなってカウンターに並んで座ってから俺は酒を注文するが、坂崎は相変わらずソフドリしか頼まない。まーいいけどさぁ。

何品か注文してからすぐに酒はやってきたので、別に乾杯するほどのアレでもないから先にグビグビと飲み始める。突き出しもうめぇな意外と。暫くするとさっき頼んだツマミや料理が運ばれてくるもんで、俺たちはちびちび食べながらなんとなく二人で喋る。

 

「…さっき棚瀬と二人きりだった時、アイツが高見沢のことを悪く言ってきた気がして…でも反論すると変に思われそうで何も言えなかった…。ごめん…」

「あ?ンなもん気にすんな。棚瀬たちはアレが通常運転だから今に始まったことじゃねーよ。どーせ俺のこと人の女も寝取れない怖気付いたタマなし野郎って言ってたんだろ」

「う、うん…。ほんと怖かった……」

「相変わらずヘタレだな〜〜!俺と暫く連んでるんだからそろそろ慣れろや!」

「でも…っ、この前お前が言ってた通りでお前以外の奴らは本当にみんなヤバい奴らばっかで…ちょっとアレは流石にビビるってば」

「…まーねぇ〜。俺もアイツらとちっと相容れない部分があるせいで桜音にもし何かあったらどーしようとか考えてるけど…もう俺が傍にいてもいなくても結局は狙われる対象になっちまってるんだし、俺が今ここでお前らと離れてもなー…ってのはあるけど…どう思う?」

「離れないでくれ…!高見沢という後ろ盾がなくなったら俺一人なんかじゃ桜音さん守りきれないから…!お前がいればお前の仲間たちに釘差しは出来るし、他にも桜音さんを狙う男たちなんか出てきたら、お前が周りウロチョロしてるだけで虫除けにはなるはずだから絶対いて欲しい!お願いだから…」

「…坂崎がそう言うんならいてやるけどよ。でも俺も万能じゃねーし正直味方が誰もいないってのがねぇ…痛いよなぁ。棚瀬たちがこっち側についてくれれば全く違うんだろーけど、アイツらはアイツらで自分たちに利益がないとそう簡単には協力なんてしてくれんだろーし、第一俺と桜音との関係知られる羽目になるからムリだわな…」

「ですよねぇ…」

「もう一つ手はあるにはあるけど、時間かかりそうだからなぁ〜。そこがネックなんよ」

「な、なに?」

「坂崎自身が強くなること」

「…えっ?」

「俺なんかいなくても桜音を守り通せるぐらいの強さと精神力さえお前にあればなぁ〜ってのは前々から考えてはいるんだぜ?今更その性格変えるのも中々難しいかもしれんけど、桜音が俺たちみてーな奴らに狙われやすい原因ってのはお前自身にもあるワケ。だって寝取りやすそーじゃんお前から」

「棚瀬にも似たようなこと言われた…」

「だろぉ?ホントはそれが一番手っ取り早い解決方法なんだけど、まーあと半年だし…って考えるとわざわざお前を無理やり変えさせるのも…ってなっちまうワケよ。だったら俺がお前らのこと見張ってた方のが効率がいいというかまだ守り切れるというか…うーん、どう思う?」

「それは…んー…。難しいなぁ…」

「そもそも俺が桜音に手を出さなければアイツらだって卒業までそのままスルーしてた存在だったんだろーけど、俺が桜音に手ぇ出しちまったせいでこうなってるからな〜…。俺が悪いのは百も承知だもんでお前らのことをわざわざ守ってるワケで、かと言って桜音を抱いてなけりゃこんなにも相性いい奴と出会わなかったって思うと抱いておいて良かったーとも思うしで…んあーーー考えるのが面倒くせぇぇええ」

「ははは…」

 

力なく笑う坂崎もまた俺と似たような感情ではあるんだろう。俺だってこんなことになるなんて予想もつかなかったから知らねーよ〜〜って投げ出したい気持ちでいっぱいはいっぱいだけど、桜音のことを考えると逃げ出すなんていう情けない選択肢は俺の中にはないので引き続き桜音の奴を守りたいとは思う。ついでに坂崎もだが。

面倒くさいことが一番嫌いなのに、俺自身が今一番面倒くさいことに巻き込まれちまっているのは気のせいじゃねーよなぁ?この大学生活、かなり自由に遊んで好きなように過ごして面倒くさいゴタゴタに巻き込まれるのだけは徹底的にスルー決め込んでいたのに、卒業まであと半年というところまできて今コレか…。そりゃ女遊び激しかったから多少のいざこざには巻き込まれたりもしたけどさ、とは言え自分に大ダメージ喰らうほどのもんじゃなかったから自分の中では割と平穏に過ごせていたのになー…。なーーー。

…俺が桜音の奴をアイツらに差し出していれば良かったんか?

……。

いや、やっぱりそれだけはどう足掻いてもイヤだ。ちょっと想像しただけで胸が握り潰されそうなくらい苦しい。…てか坂崎の奴って、先に桜音を俺に取られてた時ってどういう気持ちだったんだろ。いやさ、めちゃくちゃ嫌われていたのも分かってるしいつだって目で「死ね」って言ってきてることなんて気づいてはいたよ?あの時も桜音に告白しようとしていた坂崎の邪魔しちまった時、コイツはどう考えていたんだろうって。俺もコイツに謝った方がいいんかね…

グビっと一口だけレモンサワーを飲み込み隣にいる坂崎に対して「お前は今俺に対してどう接してるんだ?」と眉間に皺を寄せながら聞いてみることにする。坂崎には散々嫌いだとかどっか行けだの言われてきてっから、もうそれ以上のことは言われないはずだもんであんま気にしちゃいねーけどさ。

 

「どゆ意味?」

「お前はまだ俺のこと嫌いかって聞いてんの」

「……。分かんないや」

「嫌われてはなさそーだな。ちょっと前よりかはマシになったってことか」

「だって…こんなにも俺たちに協力してくれるんだもん。お前のこと、好きではないけど今は嫌いでもないって感じ。だってお前がいなきゃ俺、自分の性癖満たされないもん…」

すっかりド変態になっちまって。可哀想に。

「あのよぉ、お前なんかより先に桜音のこと抱きまくってたし、あん時坂崎の告白もストップさせこととかってどう思ってたん?やっぱ死んで欲しいって思ってた?」

「ったりめーだろ、あの時俺鬱になる一歩手前だったんだからな」

わぁお、そこまで追い詰めちまってたのは知らんかったわ。ギロッと前髪の隙間から睨みつけてくる坂崎のその目付きを久々に受け取った気がした。別にいらんけど。

「なんか悪ぃなぁ、桜音先に取っちまって」

「……桜音さん、なんでこんな奴なんかに引っかかっるんだよって…ずっと心の中で叫んでた。悔しすぎて泣きそうになるぐらいお前のこと恨んだし呪いたかったよ。でも俺たちのこと引っつけさせたのは紛れもなく高見沢だったからさ…、俺どういう感情で過ごしていいか正直よく分からなかったよマジで。お前が何考えてっか分からなさすぎて不気味で……だからあの時お前のこと疑ってかかっちまったんだろうが」

あー、あったなそういやぁそんなコトが。すっかり忘れてたわ。

坂崎は目の前に置いてあった料理に箸をつけるのをやめ、ゆっくりとテーブルに箸を置いてから真面目に話し出す。

 

「俺と桜音さんはお前に頭が上がらないんだよ。確かにお前から散々嫌な思いさせられて死にたくなるぐらいキツかったけど…。でもお前は絶対に俺たちの邪魔はしてこないし、利用されるのも厭わないなんてよっぽどのアホなんだろーなって思うよ俺は。だって壊そうと思えば俺と桜音さんの関係も壊せるし、俺らのことを簡単に引き剥せる位置にいるじゃん高見沢って。なのにそれを一切しないわむしろ別れた俺たちを復縁させてくれるわ、なんなら俺の嫌な噂も全部消してくれるわで……今まで繋がりなんて一切なかった相手によくここまで出来るなホント。バカだよお前」

「……まぁ、自分でもそれは分かってるぜ」

「陽キャと陰キャの違いをこんなにも間近で見せつけられて、俺に一体何が出来るっていうんだ?って感じだったよ。だから比べちまったんだろ、俺とお前の差を…。桜音さんがお前に抱かれてるのを初めて見た時、全ての感情がぐっちゃぐちゃでむしろ全部真っ黒に塗り潰されちまうような勢いで最早無になるしかなくて…だけど味わったことのない高揚感だけはずっと残ってる状態で…俺本当にあの時点でぶっ壊れちまったから、もう普通には絶対戻れない自信があるね」

「てかなんであの時桜音を俺に抱かせたいと思った?そもそもどっちが提案したんだ?」

「俺に決まってんだろ、桜音さんが自分からそんなこと言うはずねーの分かってんだろーが。結果的に俺の欲は満たされてるけど、桜音さんを危険な目に晒したくなんかないから少し今考え中ってところかな…」

「そう…か。俺はお前に従うし、お前の決めたことに口出しはしないから」

「本当は続けたいんだけどね…」

そう呟きながらもう一度箸を手に取り黙々と食べ進める坂崎。

俺もちまちま枝豆口に放り込みながら酒を煽っていると、チラッとこっち見てくる坂崎の視線に気づき「なんだよ」と返す。

 

「今お前は苦しいか?」

「……嫌な質問」

「言っとくけど俺の方が比じゃなかったからな。お前の中では今はまだ桜音さんは他の奴らに狙われてる段階だけど、俺の場合既にお前に取られちまったあとだったからなぁ。桜音さんが他の男に抱かれるの想像するだけで苦しいんだろ?嫉妬ばかりするんだろ?俺はもうそんなのとっくに経験済みだからもうこれ以上コワイことなんて正直ないんだよ。お前が桜音さんに対して独占欲出しまくって嫉妬に狂っていく姿をこんなにも間近で俺は見られているんだ。そりゃ俺からしたらこんなにも楽しいこと他にはないに決まってるでしょ?どうだ、あの頃の俺の気持ち分かったか?」

「……。すまねぇ、坂崎…」

「素直に謝ってくんな気持ち悪ぃ。いいんだよ俺はこれで。もうとっくに性癖ねじ曲がってるうえに高見沢がいないと俺もつまらんって思っちまってるからさ。けどまぁお前はせいぜいこれからも俺の気持ちをよーく味わうといいよ」

「……。」

言い返す言葉も見つかんねーや。

珍しく黙ってしまっている俺に少し不気味さを感じたのかなんなのかは知らんが、坂崎は慌てながら「ま、俺が先に桜音さんに声かけなかったのが全部悪いんだけどね」と付け足してくれる。んまぁ、それはもうホントその通りだっつーの。だって俺あの時の桜音がフリーだったから手を出しただけで、もしあの時点で桜音が坂崎の女だったら俺はコイツらに一切近づくようなことはしなかっただろうしな。

……つーかやっぱ俺そんな悪くなくね?

持ち前のポジティブさを発揮出来たのでそれでヨシとしよう。

 

「…でも、もしお前が桜音さんに惚れていたら、きっと俺なんかじゃ敵わなかったはずだしただ遠くから見てるだけで終わってたよ」

「そんなことねーだろ。坂崎だって十年間諦めずに桜音追っかけ続けてたんだから今付き合えてるんじゃねーの?すげーわ、俺そんなに一途に誰かを愛せねーもんでキモいけど尊敬するわ」

「そりゃどーも〜。俺はただのストーカー野郎だからさ〜〜」

「桜音の奴…なんて言うかな」

「なにが?」

「俺らのこの関係やめるかどうかを聞いたらアイツはどう答えると思う?」

「……さぁ。俺は桜音さんじゃないから分かんないよ。こんな状況になっちまってるから一回リセットした方がいいのかどうかだしな」

「こんな状況だけど抱きに行ってもいいかー?」

「ほんっっとお前って自由人すぎて羨ましいわ…。そのメンタル俺にもくれや」

「分けてやってもいーけど坂崎が坂崎じゃなくなりそうで面白そうだな。んで、いいの?」

「まぁ…今日はまだ…うん、いいよ。もちろん桜音さんに聞いてからね」

「分かってるっつーの。…けど、なんか今日で終わりなんかなって気がしてきたわ」

「嫌か?」

「うん…、イヤだ。もっとお前らと一緒にいたい。最近サークルにいるよりも、お前らと一緒にいた方が楽しいなって思っちまうわ」

「へぇ。意外だねそれは」

「桜音を守る為とはいえ俺が自分で居づらくしてるだけってのもあるけどな。同じ女遊びしてる仲だけど考え方が違うとこもあるからさぁ」

「高見沢がまだマシに見えるって恐ろしいよな」

「だろ?」

そんなにこの店に留まっているつもりなかったけれど、なんか昼過ぎからダラダラ飲んでたせいでいつの間にか夕方になっており、会社終わりの奴らがボチボチと飲み屋に入ってくるような時間にまでなっていたのにはちょっとビビった。

俺坂崎ともうかなり話し込めるんだな〜って妙に感動しちまったよ。少し前まではマトモに会話なんてしてくれなかった奴なのに、今じゃ喋り方も普通だし長々と言葉を並べられるくらいの仲にはなってきてるって意味だよなぁコレ。コイツは相手に慣れさえすれば普通に喋ってくれるし、どーってことない影の薄い男だ。たった数ヶ月で俺よく坂崎と飲み屋で何時間も話し込める相手になれたと思うわ〜。コミュ力はある方だから誰とでも喋れるけど、コイツは中々手強かったもんで始めの頃はほぼ一方的に俺が喋ってるだけだったというのに今じゃ当然のようにでキャッチボール出来ている。いつからこんなんになったんだっけ俺ら?覚えてねーや。

 

ようやく席を立ち、会計をしてから外へ出る。なんだかんだ結構飲んでた俺とあれから酒を注文して、少ししか飲んでいないのに酔っ払ってる坂崎の二人で桜音に電話をかけてみるも、気づいてくれなかったようで電話には出てくれなかった。一応そっちの家行く前に言っとこーと思ってたけど、出ないならしゃーない。坂崎は合鍵持ってるしで行き先はもちろん桜音の家へと決定した。

桜音から折り返しこね〜なーとか言ってブチブチ文句垂れてる間に桜音の家にまで着いちまった。あれ、でも部屋ん中電気ついてなさそーだしどっか行ってんのかぁ?まぁいいやとなり坂崎が桜音の部屋を開けてくれたけど、中は真っ暗でしーんとしているから桜音今いねーのか。なんだぁ、つまらん。

二人して遠慮なく中へ入って行くも、やっぱり桜音はいなかった。いないもんはしょーがねぇ、ちょっとゆっくりするか〜〜。俺はそのままベッドへダイブして、坂崎はいつも通り床へと座り込むがなんかコイツ酔ってるからずーっとポヤポヤしてやがるわ。大丈夫なんかねぇ?

「大丈夫か坂崎?」

「うん…多分…」

「眠いんか?」

「眠い…。でも桜音さん帰ってくるまで待ってる…」

「んなら早く桜音が帰ってくるといーな」

「そうだねぇ〜…」

それから一時間後によーやくこの部屋の主がお帰りになる音が玄関先から聞こえてきた。おせーよ。

 

「ただいま〜。あれ、幸二だけじゃなくて高見沢くんもいたんだ?」

「おせーぞ桜音!どこ行ってたんだよ!」

「バイトだってば〜。さっき履歴で高見沢くんから電話かかってきてたから折り返したけど出なかったのそっちでしょー」

「あれ?…あ、ホントだ。電話かかってきてたの気づかんかったわ」

「ていうか飲んでたよねぇ二人とも?幸二だいぶ酔っ払ってない?大丈夫かーい幸二ぃ?」

「う、うん…大丈夫なはず…」

「ほんとか〜〜??」

坂崎の隣まで来てしゃがみ込んだ桜音が坂崎の額をコンコンとノックするような仕草でジト目をしながら軽く叩く。だけど坂崎は変わらずポヤーっとして桜音を見つめているだけだ。

そんでもって桜音はベッドで座っていた俺にキッと鋭い視線を移して睨んでくるけど、なんだよいきなり…。あ、もしかしてあのコトか?

「今日はよくも大学でお尻触ってくれたなぁ??」

「減るもんじゃねーし別にいいだろ」

「しかもみんなに変なことまで言って〜…!迷惑かけないでよもうっ」

「桜音ちゃん俺があの子たちにナンパしてたの見て妬いちゃったー?」

「妬くワケあるかっ!逆にこっちがあの後から質問攻めされて大変だったし色々聞かれまくって恥ずかしかったよバカ」

「俺ずーっと頬っぺ痛かったんですけど?」

「自業自得です!でも初ビンタめっちゃ気持ち良かったけどね〜!」

「桜音の初めてもーらいっ」

「そんな初めてもらっても嬉しくないでしょ…」

呆れながら冷静にツッコんでくる桜音がなんかおかしかった。ウケる。

すると桜音が「今日はお風呂のつもりだったのにな〜。二人が来てるならシャワーでいいや」とかなんとか呟きながら着替え持ってすぐに風呂場の方まで行っちまった。

 

「…どうする坂崎?桜音に言うか?」

「……うん。やっぱり桜音さんの話しも聞いてみなくちゃ。俺ら三人の問題だしな」

「だよな…」

そして十分後くらいにはよーやく浴室から出てくる音がしたから俺はのそのそと立ち上がっては脱衣所の方まで行ってみせると、開いたドアの音にビックリした桜音が「わっ!?な、なにっ??」とまだショーツしか履いてない姿のせいか、頭拭いていたバスタオルで上半身を咄嗟に隠しやがった。んなもん隠すな。

ほっそい手首を掴み、無言で桜音を脱衣所から連れ出してみると桜音は慌てて片手で持ってきていたパジャマとかを持ってからそのまま俺に連れられて行くのを許してくれたようだ。

部屋に戻ってみると、坂崎もベッドにちょこんと座りながら俺らを待っていたようで少しだけソワソワしているのが見て取れる。まだ何も分かっていない桜音はというと「どうしたの?」と尋ねられたが俺は桜音をベッドの上へと座らせてから俺も桜音の目の前に座ってみせた。俺と坂崎が隣同士になり、桜音とは対面になるような感じの位置に俺らは着く。

 

「…?」

髪乾かそうとしたらいきなり高見沢くんに連れて来られてベッドに座らされてるけど…まだ着替えてもいないので取り敢えずバスタオルで体を包み込んで一応隠す。またいきなりするの?って思ってたけどなんか雰囲気的に違うっぽい。

対面に座る幸二は正座を崩したような座り方をしていて、高見沢くんはあぐら状態で座っている。そんな二人はお酒飲んで酔っ払っては見えるけど、いつものふざけた感じではないのだけは見て取れる。な、なんだろう…?

なので恐る恐る「どうかしたの…?」と尋ねてみせた。

 

「桜音に聞きたいことがある」

「聞きたいこと?」

キョトンとして首を少しだけ傾げてみせると、今度は幸二が話し出す。

「桜音さんは俺たちの今の関係をやめたい?やめたくない?」

「えっ…!?」

そんな質問されるなんて思いもしなかったから、急に恥ずかしくなってタオルで顔の下半分を隠しちゃったけど…なんで急にそんなこと聞いてくるのさ?

あんまり答えたくなくて、むぅ〜…っとしている私とは対象的に二人は私の返事をジッと待ってくれている様子。いつもの展開なら大体すぐに高見沢くんが襲ってくるパターンなのに…。え、何これ、真剣に話した方がいい感じですか?恥ずかしいんですけど…

「答えないとダメ…?」

「桜音さんはどう思っているのかを知りたい」

「うーん…、私は二人がいいなら…」

「違う、俺らがどうこうじゃねぇ。桜音の意見を言え。話しを逸らすな」

「ぇー…」

あー、これは絶対に自分の意見を言わなくちゃならないやつですね。

「言いにくい?」

「……。私はずっと二人に流されていただけだから正直自分がどうしたいかがよく分かってない。本当はこんなことしてちゃダメだよな、って思う反面なんだかんだこの関係楽しんでいる自分がいるのも本当で…幸二が許してくれる限りはこのまんまでもいいかな…って思ってたりもしてた。高見沢くんとのエッチは…気持ちいいよ?それで幸二が興奮してるのも分かってるし…私たち何やってんだろって我に返る時はあるけど、やめたいとは今のところ考えてないかも。私も高見沢くんもお互い好きになることはないの分かってるから言えることだけどね、もちろん」

「そっか。桜音さん的にはやめたくないってことね?」

「だ、ダメだった…?」

「うぅん。そう言ってくれてありがとう。正直俺もまだまだこの関係続けたい。俺はコイツのせいで脳破壊されちまって頭おかしくなったから、その代償というかこんな風にさせたんならとことん見せつけてくれって思ってるワケで、高見沢に抱かれてる桜音さんを見るのが…めちゃくちゃ可愛くて好きだから」

「っ〜〜…!」

「そうやって反抗的な態度も凄く可愛くて大好きなんだけど…、もしこの関係は今日これでお終いって言ったら桜音さんはそれでもいい?」

「えっ?そりゃ…まぁ、幸二が言うのなら…」

「さっきも言ったけど俺と高見沢の感情は抜きで話してね。桜音さんの気持ちを知りたい」

「それは……」

なんて答えればいいんだろう?

「それはもう高見沢くんとは絶対に関わらないって意味で聞いてるのかな?彼と一緒に三人で過ごすのは楽しい時間だったから、ちょっとそれは嫌だなぁ…って思っちゃう部分はあるよ?それとも体の関係だけをやめにするってことだけならまぁそれはそれでしょうがないかなって感じ。だって本当はこんなの良くないのは分かってるもん」

「良い悪いは当人で決めることだから、外野の意見や世間の反応なんて気にしなくていいよ。そうだなぁ…さっき高見沢と話してたんだけど、俺はこの関係一回リセットした方がいいのかなとは思ってる。もちろん本音はやめたくないんだけど…。高見沢は自分の意見はないに等しいからって俺たちの判断に委ねるってさ。本当はよくないってことは、桜音さん的にはやめた方がいいって意見でいいのかな?」

「えっとぉ…」

そう聞かれちゃうとなんか違うなって心のどこかで呟いている。

うん、だって…こんなにも楽しいのにそれを今日いきなりやめようってなると流石にちょっと寂しいや。

「違う…気がする。やめたくはないよ、私も。でもこんな質問してくるってことは、もしかしたら私の知らないところで何かあったって意味なのかな?高見沢くんがこの前言ってくれた、その…本気で私を心配していることと関係がある?」

「……うん。あるよ」

「そっか。…うん、どうしよ。…ごめん。…なんかちょっと泣きそう…」

どうして自然と泣けてくるんだろう。

じわっと目元が潤んでいき、包んでいたバスタオルで両目をゴシゴシ拭いていると幸二が「ムリしないでね」と優しい声で気にかけてくれている。幸二は本当にずっと私に優しいなぁ。嫌なことなんて一回もされたことないし、本当に私のことを一番に思いやってくれているのも十分すぎるくらいに伝わってくる。

もし他の人に私たちのこんな関係を知られたら、みんなは幸二とは絶対別れなとか言う未来は見えているし、高見沢くんなんかと二度と関わらない方がいいって批判してくるだろう。傍から見れば私たちが異常だなんてそんなのとっくに分かりきっている。だけど私はこの関係が嫌だなってのは思わないからやっぱり私がおかしいのかな…?うん、そうだよね。私たち三人は頭のネジが何本も外れてるくらいおかしいもんね。

幸二と高見沢くんがお互いを利用し合っているのも理解しているし、それに巻き込まれているって言い方もおかしいのかもしれないけど、私は二人がそれでいいなら自分もいいやって感じで特に何か意見することもなかった。だって両者がWinWinの関係だから私から何か言いたい事とかこれといって何もないもんな…。言い方が悪いと私は流されているって感じに見えるだろうけど、私はこの関係が心地良かったりするもんだからデメリットなんてないと思っているほどだし。大好きで私を一途すぎるくらいに想ってくれている幸二と、体の関係があるとはいえ本気で私を心配して守ってくれている高見沢くんの二人が傍にいてくれて毎日が凄く楽しい。

だけど…やっぱりこんな関係、長くは続かないのかな…

嫌だなぁ……

そう思えば思うほどまた涙腺が緩んでいく。うー…泣きたいわけじゃないのにぃー…

未だバスタオルから顔を離せないでいると、高見沢くんが「桜音」と私の名前をいつもとは違う彼なりの優しさを含んだ声で呼ばれる。

 

「泣くほどツラいか…?」

「うぅん…違うの。分からないけど泣けてきちゃうだけなの…。大丈夫、気にしないで」

「そうか。あのよ、桜音は俺とセフレっつー関係だけどそれを嫌だと思ったことがあるか?」

「……ないよ」

「ホントか?」

「うん、ないよ。高見沢くんのやり方が激しいのは疲れる時もあるけど、私を脅したり泣かせたりとか…それにハメ撮りさせてとか一回も言ったことないじゃん?実はそういうの密かに嬉しかったりするんだ。今思い返せば高見沢くん、本当に私のこと想ってくれてるんだー…ってこの前喧嘩したあとにふとそう思ったんだよね。セフレから始まった私たちなのに、今じゃよく分からない関係にまでなっちゃって…でもそれが嫌だなんて思ったことないよ。幸二が許してくれてるから私は二人に甘えちゃってただけだし」

「……ありがとう桜音。そんなこと言われちまうと余計にお前から離れたくなくなるじゃん」

「私たちから離れちゃうの…?」

「坂崎が一回リセットするって言うんなら俺はそれに従うだけだ。けど心配すんな、離れたとこから引き続きお前のことをしっかり守ってやるからそこは安心しろ。誰にも…誰にもお前の体なんて触らせねぇ。お前を狙う奴は必ず叩き潰す。例えそれが俺の仲間だろうとお前を泣かす奴が現れたら俺は許さねぇし桜音を絶対助けに行く。だから…坂崎以外の男とは寝るな…。俺が苦しくて苦しくて仕方なくなるからよ…」

「高見沢くん…」

ようやく顔をあげた私の右の頬にそっと彼の手が置かれると、高見沢くんは見たこともないような悲しそうで寂しそうな表情で私を痛いほど見つめてくる。なんでそんな顔をしているの?君らしくなさすぎるってば。

置かれた右手に少し寄りかかるように頬を擦り寄せると、彼の大きな手が私の顔の片方だけを包み込んでくれる。とても温かい手だ。いつも裸になって体温を感じているはずなのに、なぜだか今日はとても熱く感じてしまう。この間彼が熱を出した時みたいな、そんな感じ。

 

「桜音さん、もう一度聞くよ。これでお終いでいいんだね?」

「……。」

「もしこれでお終いなら、俺たちの関係は一旦ここで終わりにしよう。大丈夫、大学卒業したらまた戻れるからさ」

でも…卒業しちゃったら二人にもっと会えなくなるじゃん…

そう言って幸二が珍しく自分からピンを取り出して前髪を留めるその仕草は初めて見るせいか思わずドキッとしてしまった。いつもは私が幸二の前髪を留めているので、自分から積極的に顔を晒け出すようなことなんてしない人だからそこにトキメキを感じてしまった。前髪があがると幸二の可愛らしい顔が出てきて、そしてその穏やかで優しい眼差しではあるけど一応酔ってはいるらしいので少し眠たそうで、ぽやんとしたその顔が更に一段と可愛く見える。

そしてそのまま私の目の前までやって来る幸二と、高見沢くんはすかさず私の背中側に回り後ろから私の両手首を軽く握ってくるせいで今からは抵抗するのが難しいのだろう。持っていたバスタオルもはらりと体から滑り落ち、ショーツ以外何も着ていない体をほぼそのまま晒すことになる。慣れてはいても、恥ずかしい気持ちはまだあるよそりゃあ。

目の前まで顔を近づけてきた幸二が何も言わずにチューッと割と激しいキスをしてくるからまたドキッとしてしまう。なんか…積極的な幸二珍しい。あぁ、酔っているのも大きいのかも。後ろにいた高見沢くんはというと、大人しく私のうなじや首筋に唇を這わせながらチュウッとリップ音を立ててくるからキスマークでもつけているのかな…?彼に赤い痕をつけられるのは初めてかもしれない。そのキスマークに何か意味でもあるんですか?多分、理由なんてなければつけたりはしないよね高見沢くんなら。

前からも後ろからもキスをされ続け、次第に火照っていく体から湧き出る欲情は私たち三人を止めることが出来なくなるもので、私はこの二人の支配下にいるにも関わらずそれが嫌で逃げ出そうなんてことは一度もないくらい貴方たちにハマっているただの奴隷なのだから。だけど私は自ら喜んで奴隷になっている愚か者。誰にも言えない秘密を作ってこの関係を楽しんで、抜け出せないようにわざと深みに嵌っている醜い女ということを。

 

こんな関係、いつまでも続くだなんて思ってなんていないよそりゃ。期間限定の旬が過ぎれば自然と終わっていくものだと勝手にそう思っていた。ついこの間高見沢くんからあんなこと言われたばっかりだったから、てっきりまだまだ続くんだろうな〜って呑気に捉えていただけだったのに余りにも突然すぎるよ。バイトから帰ってきて二人が私の部屋にいて、また今日も高見沢くんがヤらせろっていつものあの感じでくると思っていたのに…私と高見沢くんが絡んでいるところを隣で楽しそうに見ている幸二がいると思っていたけど…違うんだよね、今日は。

もうこれで暫くお終いかー…

さっき幸二は大学卒業したらまた戻れるって言っていたけど、そんな保証なんてどこにもない。大学生と社会人の違いなんて一目瞭然だし、三人とも就職先はバラバラなんだからこうして集まることももうなくなるのかな。仕方ないけどさ…私を守ってくれるって言うんだから、ワガママなんて言ってられないしね。

幸二の唇がどんどんと下へと移動していき首筋辺りにキスを落とし、高見沢くんが背中の方までいったかと思えばチロチロと熱い舌で背中の真ん中を何度も舐めあげていく。幸二からは純粋な愛を、高見沢くんからは歪んだ情を貰い受ける私は二人の柔らかな唇の感覚にハァッ…と大きく吐息を漏らしては天を仰ぎ、ゾクゾクさせられる全身に抗うかのようにギュッと手を握りしめた。

これで本当に終わりなのかもしれない。

 

「……嫌だっ…」

「えっ?」

「桜音さん…?」

二人の動きがピタッと止まった。だけど私は言葉を続けるのを止めたりなんかしなかった。

「嫌だよぅ…っ。このまま三人でいたいよぉッ…」

「……。」

「桜音…」

「私も気をつけるからっ…。二人に迷惑かけないようにするからっ…!だから…このままがいいよぉ…。三人がいいよぉ…!」

「……。」

またいつの間にか流れていく涙。

それを目の前で見ていた幸二が全てを察し、顔を見られたくないのかは分からないけれど俯いてから一度深く息を吸ってから吐いたあと、再び私の方に目を向けると幸二の視線は私ではなく私の後ろにいた高見沢くんの方へと注がれた。

「おい、高見沢」

「…んだよ」

「お前は桜音さんの傍にいる代わりに桜音さんを絶対に守りきれ。それがお前の仕事だ」

「……。本当にいいのか?」

「例え俺たちの関係がバレてもお前は桜音さんを守る義務がある。お前の仲間から、他の野郎共から桜音さんを助けられるのは高見沢だけだ。悔しいけど俺にそれを出来るほどの力量も知恵も体力もない。だけどお前なら出来るはずだ。桜音さんが大切ならやってのけてみせろ。俺はとことんお前を利用してやると言ったはずだ。だったらそれを全て発揮してみせろ。桜音さんを狙う嫌な奴らなんかといるより俺らの傍にいろよ。お前が悪にならなくったっていい、桜音さんを傷つけない限りお前は桜音さんといて欲しい。だって俺たちといたいんだろお前も?」

「……あぁ、そうだよ。なら…いさせて貰う代わりに必ず桜音を守ってみせる。ついでに坂崎も守ってやんよ、しゃーねーから」

「えっ?あ、ありがとう…。桜音さんごめん、俺が弱くて不甲斐ないばっかりに…貴方を本気で泣かせてしまうなんて…」

「うぅん…っ。私の方こそごめんね。二人は私のことを考えて言ってくれてたのに、全部それをムダにしちゃって…本当にごめんなさい…っ」

「気にしないで桜音さん。泣いてもいいよ。貴方の心からの言葉を聞けて良かった」

いつの間にか高見沢くんの手が離れていたので、そんなこと気にすることもなくまたタオルで目元を拭っている私に対して幸二は優しく微笑みながら頭を撫でてくれる。幸二にいつもさり気なく頭撫でられるの、好きなんだよなぁ。彼の優しさが手の平に現れているから私が彼にとても愛されている証拠だってすぐに分かる。

そして幸二の手が離れたのを見計らっていたかのように今度は高見沢くんが「ありがとう、桜音」と囁きながら後ろからギュッと私を抱きしめてくれた。一瞬ちょっとだけ「えっ?」となったけど、彼からのこんな優しい抱擁は初めてかもしれない。いやらしい意味もなく、ただ純粋に私を抱きしめたいから抱きしめているだけのやり方だってことは言われなくてもすぐに気づく。

 

「本来なら俺なんていらない存在だ。だけど桜音がそう言ってくれたなら俺はお前を誰からも傷つけるなんて事はさせねぇ。もしかしたらこれからは厄介事に巻き込まれる可能性もあるだろうけど、そん時は俺が必ず助けに行く。だからお前は気にせず全力で俺を使ってくれ。遠慮なく呼び出してくれ。必ず…必ず駆けつけに行くから」

「うんっ…。その言葉に甘えるね。ありがと、高見沢くん…」

「こっちこそありがとな、桜音」

私たちはセフレだけどお互いに情がありすぎてしまうが故に離れたくなくなってしまっている。後腐れない関係ってなんだっけ?って言いたくなるほど私たちは後腐れありまくりでちょっとおかしいよね。

だけど三人でまだいられると思うと自然と涙は止まり、まだ弱々しくしか笑えないけれど一応フフっと笑ってみせた。するとそれを見ていた幸二もニコッと可愛らしい笑顔を見せてくれて、またふんわりと優しい手つきで頭を撫でてくれたのがとても嬉しく感じ得た。

この先私は身の回りのことに対して少し覚悟しなくてはならないかもだけど、もちろん自衛はしっかりするつもりでいる。極力二人に迷惑なんてかけたくないから。だから自分の身は自分でしっかりと守れるくらいの強さを持たなければならないなと改めてそう思う。

 


「……。」

桜音さんの隣で高見沢がちゃっかり寝ちまったから俺がまた床で寝る羽目になっちまっているが、まぁあのあとは特に何かしたとかではなくてただ三人でのんびり喋ってただけって感じだった。なんというか、桜音さんも泣いていたしあの流れでヤるのは流石になんか違うなって俺も高見沢も目で合図し合いながら確認が取れたので、桜音さんにパジャマ着てもらって温かいお茶と桜音さんが買ってきてたコンビニスイーツをみんなで食べてのんびり過ごしていただけだ。

俺と高見沢もシャワーを貸してもらい、この部屋に置いてある着替え用の服はなぜか高見沢の分まであるので、今日はもう寝るかーとなったから桜音さんと高見沢は先に寝てしまった。俺はなぜか寝れなくてさっきから天井をボーッと見つめているけれど、それにも飽きてきたから体を起こして窓の方へ行き少しだけ扉を開けてから夜風に当たっている最中。

正直これでいいのかは分からないけど、桜音さんが嫌だというのなら無理やりやめさせるのもまた違うのでこの関係は続行する予定だ。でもまさか泣かれるとは思ってなかったのでどうすればいいか、なんて言えばいいか正解が分からなかったけど取り敢えずはこれでいっか…。高見沢も傍にいてくれるみたいだしね。

桜音さんが狙われてるって言っても、そんな盛大にやらかすような連中じゃないとは思うし、アイツらの中で時々紛れ込んで過ごしてきた時もあるから分かるけど、暴力とかそういう酷いことしてきそうな奴はいなさそうだもんでそこら辺は弁えてはいるだろう。だってもうみんな今が一番大事な時期だから問題行動なんて起こすはずがない。ま、俺がこれ以上他の男たちに桜音さん寝取られないようにすればいいだけだしな。…がんばろ。

 

にしても不思議だよねぇ。高見沢の奴も桜音さんのこと愛していないのによくあそこまで言い切ってくれるよなと。桜音さんを抱きたいが為に必死になっているとかじゃなくて、ただ単に友達として桜音さんの傍にいたいだけって感じだもんなぁ。陽キャの考えてることは陰キャの俺には着いてけん。だって知らない人が見たらどう見ても高見沢は桜音さんのこと大好きに見えるし、桜音さんも離れたくないって言うからアイツのこと本当は愛してるって言ってるように見えるじゃん?でも二人の間にはその感情が一切ないから、ここまでくると逆に呆れも入ってくるなぁ…。面白いからいいんだけども。それと二人にそんな感情芽生えたら俺もう自分から身を引くわ。

二人がそうならないのかって言い切れるとはそりゃ言えないけどさ、でももし恋愛感情が芽吹いてきたとしても高見沢はもう既に桜音さんを俺以外の男に触られたくないという独占欲を持っていて、逆に俺は彼氏なんだから桜音さん抱いて当然って言い張る奴だからなんかもうそれって半分彼氏みたいなもんじゃね?って勝手に思ってるだけだけどね俺は。

例え恋愛感情が混じってきても、俺たちもうここまで来ちゃってるからあんまり関係変わらなくね?あ、いやまぁ桜音さんが俺のこと見放したら話しは別だけど…。不安はないわけではないけれど、このままの関係楽しみたいっちゃ楽しみたいんだよ俺だって。自分が桜音さん抱くだけじゃ心が満たされないような脳破壊されちまった残念な男ですからねぇ。別れられても仕方ないようなことしている俺なんかと付き合っててもいいのかなぁ桜音さん…って、たまに疑問は浮かぶが三人で納得しているんならこれでいいじゃないかと開き直る。誰にも文句は言わせない。

寝ている二人の方へ顔を向けるも、二人は静かに寝息を立てて深い眠りについているだけで俺が起きていることなんて気づきもしないだろう。

 

「俺が強くなれば…かぁ」

弱者男性と言われるようなこの俺が高見沢みたいに強くなれるワケねーだろ。何事にもいつだって遠くの方から眺めているだけで自分から触れようとはしない、手に入らないならそれでいい、そうやって安全圏から眺めては自分を守って生きてきたんだからわざわざ競い合って勝ち取るような真似はしてこなかった。競ったところで敗者になるのは目に見えてるし。

俺は誰にも何も言わず、ひたすら心の中で悪態をついて恨んで妬むだけの卑怯な男さ。だから高見沢に偉そうなことを言える立場なんかじゃないのは分かってはいるよ?桜音さんを取られたっていうのも俺が勝手にそう思っているだけで実際は取られていないワケだし、高見沢に非なんて本当はないんだから。ホント…アイツはバカだよ。お前はなんも悪くねぇよ。

前にも考えていたが、桜音さんと高見沢は今日二人して完全に溺れきっていった。溺れている二人を俺は助けようと…手を差し伸べたつもりではいた。というか実際手を差し伸べてはいたよね、さっきの俺。だってリセットしようって言ったもん。だけど二人は俺の手を取らなかった。そのまま水の中にいる方を選んだのだから、俺はただ安全な場所からそれを眺めているだけにするしかなかった。でもある意味それで良かったのかもしれない。全員が全員この関係を望んでいるのなら、それでいいじゃないか。

だからこそもう一つの選択肢があるのに気づいて…

俺も含めてこの関係に依存しているのだから、俺は安全地帯で眺めるのはやめにして二人がいる水中へと飛び込み俺も溺れるという選択肢があるのだと。

さぁ、どうする俺?
きっと三人の中で俺たちのことを一番俯瞰して見れているのは俺だと思う。だって二人は体をいつも重ね合ってその肉体に依存して溺れているのだから、それを隣で眺めているだけの俺とは違って、二人は上から自分たちを見れることはほぼないだろう。だからこそ俺は安全地帯にいられるし、たまに手や脚を突っ込んでただ余裕をかましていられるだけで、もし完全に水中へ入ったら俺はどうなることやら…

「……。」

はぁ…と一つだけ息を吐き、扉を閉めてからまた床にゴロンと寝転んで眠くもない瞼を瞑っては無理やり眠りへとつく。

 

☀︎*.。

「えっ!?」

「ど、どうしたの桜音さん…!?」

「んだよ朝っぱらからデケェ声出してぇ…まだねみぃのによー」

桜音さんの大声で俺は飛び起きたけども、同じく高見沢も寝ていたらしくて桜音さんの大声に対して鬱陶しそうにしながら眠そうに起き上がる。

しかし桜音さんは俺たちのことなんて全く気にすることもなく、ひたすらスマホをジッと見つめてはなんか凄く体がプルプル震えているような気がしなくも…ない?大丈夫かな?

一応「どうしたの?」と尋ねてみせるも、桜音さんは驚愕したような顔して俺たち二人をそっと見てくるけど……え?本当にどうしたの?

すると恐る恐る彼女は「バズっちゃった……」と呟く。

 

「…えっ?」

「は?」

「だから…、昨日アップした歌ってみたのショートがバズっちゃって、インスタのフォロワーが爆増してるの…ッ!」

……え??

寝起きでそんなこと言われても頭が追いつかないのは俺だけではなく高見沢もきっとそうだろう。

 

まぁ…この話しはまた次の機会があったら話そう。

 


基本的には性格真逆の男二人の物語だと思って書いてるので、桜音視点はわざと少なめです

 

 

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