やーーっと書けた!
後書きにも書いたけど、何度も何度も書き直したりしてたら遅くなった(×_×;)
殺桜視点は難しいってことに気づきました!暫く書かないかも🤣笑
そして次に書きたいお話がまたポンと浮かんできたから、書ける時に書きたいな〜。だいぶ前に学生くんと幸華のif話書いたけど、今回は執愛の三人とC!の三人の大学生組のifが書けたら面白いかも?と思ったり!
他にも華革命も書きたいけど、これもまだまだストーリーが上手く纏まってないから書き出せずにいる。今年の1月か2月くらいから考えてるけど全然その先が進まん🤣
見切り発車はもうやれないからある程度ストーリー纏めとかんと放置しそうでコワイんです〜🥺
vsリーダー
「か、母さん……母さんッ…!!」
「…ま、さる……」
「死なないで…!死なないでよぉッ…!!」
「……ごめ…んね…」
「母さんッ!!!」
.・゚ .゚・.
「……。」
「桜井そんな屋根の上に登って何してるんー?」
「…物思いにふけってるだけだよ」
下から仕事終えて帰って来た高見沢と棚瀬が俺の今いる屋根の方を見上げて話しかけてくるが、特に何も言うつもりはないのでその言葉でここに居る意味を濁す。
ふーん、と言いながら高見沢は家の中へ入り、それに続いて棚瀬もそのまま高見沢の背中を追って家の中へと入ってしまった。なので俺はまた一人ここで目の前に広がる夜の真っ暗な海を眺めつつ波の音を聞きながらずっと向こうにある灯台だけを見つめる。
さっき嫌な記憶がまた蘇ってきた。
お袋が死んだ時の映像が時たま鮮明に思い出してしまう瞬間があり、途中でその記憶を途切れさそうとしても結局は嫌でも最後まで見せつけられるせいで逃げ道がないのが苦しい。
俺のお袋は親父に殺された。もちろん手を下したのは親父の部下たちだが、あのクソ親父が命令を出さなければ今でもお袋は生きていられたのだろうか。それは今でも分からない。なぜならお袋は親父の不倫相手であり、その存在を知られたくないという理由でお袋は消されたようなものだからだ。
別に俺のお袋は親父に対して金の無心をしたり、向こうの家に乗り込んだりなんか多分してなかったと思う。どっちかというともう親父とは関わり合いたくないからって理由で親父の元から逃げて、狭いアパートでもいいから平穏を優先して俺と二人で暮らしたいだけだったらしい。俺を抱えて逃げたのはまだ俺が赤子の頃だったから記憶にあるワケじゃねぇがな。
裕福とは言えないが飯も食べさせてもらってたし、必要最低限のものは揃っていたから俺はそれで我慢はしつつも大きな不満とかは特になかったはずだ。
けどその平穏はある日突然奴らに壊され、俺は目の前でお袋が殺されたのを最後に親父のところへ引き取られ、ガキの頃から殺し屋になるよう育成させられ今に至る。
今思えば不倫相手の子だというのに何を考えてっか分かんねぇ奴だなとは思うし、俺という存在をある意味社会的に殺そうとしたくてこんな仕事を教え込み、シャバに戻る事なんてさせない為に敢えて殺し屋として育てたとしか思えねぇわな。ガキの頃はまだそんな考えにも及ばなかったが、成長するにつれそんなもん薄々勘づくっつーの。
逆らう術もなく俺はあの櫻井組の一員としてやっていたが、最初はあの男が親父だなんて知りもしなかったうえにお袋を殺せと命令したのがアイツだと知ったその日から俺は櫻井組から死に物狂いで逃げ出した。もちろんそんなもの許さないからって追っ手も沢山寄越してきやがったが、この殺し屋として育てられたスキルがあるせいでことごとく俺が返り討ちに遭わせていたもんで、いつしか追っ手も来なくなったのでそれはまぁ有難い。しつこいと面倒くせぇからな。
しかしあの組に居る時から勉強は教えられていたからある程度の常識や知識は今でも一応は持ち合わせているはずだ。学校なんてほぼ通ったことねぇし、友人というものも作った記憶があまりないのはこんな俺だから当然っちゃ当然か。あの時逃げ出したはいいが、その後どうするか途方に暮れてはいたものの自分のスキルが殺ししかなかったせいで当然の流れで殺しの仕事を請け負ってきただけ。ネットさえあればまぁなんとかはなったから一人で細々とやっていたさ。
だけど突然そこに現れたのが坂崎だった。
当時のアイツは例の実験施設から命からがら逃げ逢瀬てきたようなもんだったので、人通りも少ない暗い雨の日にアイツは道の端っこのゴミの山の上でほぼ死にかけてぶっ倒れているところを俺が発見して、そんなアイツを勝手に持ち帰ったって言う方が正しいか。
拾った頃の坂崎は生きるのに精一杯とでも言いたげな表情で縋るように俺に対して拾ってくれたことに感謝され、そしてそのまま家に居着いてからは命を救ってくれたお礼にと言ってアイツは俺の仲間になった。アイツは最初から人を殺すことに躊躇なんかしてなかったのはよーく覚えている。過去に散々嫌な目に遭っている証拠だったんだろう。ま、俺としてはそっちの方が有難いけどね。
どっちかって言うとその後の高見沢の方が暫く大変だったからなぁ…。アイツは今でこそはっちゃけてはいるが、元々はごく普通の一般人すぎてこっちの世界に中々馴染めず毎日泣いてたからな…アイツ。そう思えば可愛いとこもあったんだなぁなんてふと思うが、あのままでは当然俺たちも困るので今の高見沢にまで成長してくれて正直ホッとしている。もちろんアイツを巻き込んじまったこちら側には責任もあるから十分なケアはしていたつもりだし、即戦力にはなれなかったが今じゃ的確に仕事もこなすうえに弟分とでも言える棚瀬の面倒も一応見ているのでアイツはアイツなりに成長したとでも言えるのだろう。
そしてド新人の棚瀬は……まだこれからなので敢えて俺は傍観している状態。まぁ特技が余りにも強いものを持っているので仕事にはこれからも行かせるつもりだが、まだまだアイツは裏方でやってもらおうか。もう一人の棚瀬という存在は有難いことに秘密警察たちには知られていないので、暫く表に出すつもりはない。時が来たら…って感じではあるけどな。
家の中から誰かが出てくるような音がして、チラッと視線を下へ移してみせるとそこには高見沢。なにか俺に伝えたいことがあるのかと思ったのだが、アイツはそのまま梯子を使って屋根の上までやって来ては俺の隣にストンと座り込み手に持っていた袋のお菓子をバリッと開けてから俺と高見沢の間に置く。ついでに飲み物も持ってきているようだ。
……なんかどこかで見た光景だな。どこかの敵地の屋上で見たような記憶がある。俺はそれを後ろから眺めていたんだっけな。
「次の依頼来てたけどどーする?金額が微妙」
「受けたかったら金額だけ引き上げさせときゃいい。興味がないなら断ればいいさ」
「……。今回の依頼内容がさ、中々に可哀想だなって思っちまう内容だったからさぁ…。俺いつも金額微妙だとすぐ弾くけど、交渉次第では受けてもいいかなって思っちまったから桜井に相談しに来たんだよねぇ」
「そうか」
「どんな関係かは知らんけどその依頼者の大事だった人がかなり惨い殺され方したみたいでよ、その復讐がしたいんだとさ。警察も動いてくれないみたいだからなんか裏で色々絡み合ってるのかな〜とは予想してるけど、そこに突っ込むのもまた厄介かなー…なんて思っちまったりはするんよねぇ」
「何がどう絡んでいるのやら」
「もしそれが櫻井組だったら桜井お前が行く?」
「…当然だ」
「んじゃもうちょっと依頼相手に詳しく聞き出してみるわ〜。それと金額交渉な。渋ったらまぁ弾くつもりだけど」
「それでいい」
一人でバリバリスナック菓子を食ってる高見沢だったが、食べない俺を見て「別に食ってもいーよ」とおすそ分けしようとしてくれるのでコイツの優しさを無下にするのも違うかなと思い、一応俺も口にする。食べ慣れてはいるけどやはり食べると美味い。
「坂崎と棚瀬は?」
「棚瀬はメシ食ってる。坂崎はそんな棚瀬と雑談してた」
「そうか」
「桜井も珍しいね、一人でこんなとこにいるなんて。いつもならフラフラ出掛けてくじゃん」
「今日はそんな気になれなかっただけさ。そういえばお前、もうそろそろ表の世界に一度戻る時期だったろ?」
「あー…うん。でも今回はまぁいっかな〜って思ってて…。今までと違って棚瀬もいるし。俺が面倒見るって言っちまった手前桜井には手伝ってもらおうとか考えてはねーしよ。坂崎は気ぃ遣ってくれて棚瀬の面倒見てくれてるからめっちゃ有難いけど、何日も流石に放ってはおけないもんでさ…。だって俺だけ……俺だけが戻っていい理由になんてならないし…。ほ、ほら!また髪染め直すのも面倒くさいしさ〜…!」
相変わらずそこら辺は高見沢なりに気にしてはいるのか。そんなもんお前が気にすることじゃねぇのによ。
「戻れる時に絶対戻って家族や友人に会ってこい。お前には温かく迎え入れてくれる人たちが大勢いるんだから、その人たちを蔑ろにしちゃいけねぇ。俺たちはこんな仕事をしてるんだ、いつ誰がどうなるのかも分からないが、俺や坂崎に棚瀬はまぁ最悪死んだところでせいぜい悲しむのは俺ら四人の中だけだ。だけど高見沢、お前だけは違う。お前が死ぬと悲しむ連中が大勢いるんだろ?もし…仕事で失敗した時、あの時最後に会っておけば良かっただなんて後悔されたら俺がたまったもんじゃねぇ。だから行ける時は行け、そしてみんなに会ってこい。それが出来るのは高見沢だけなんだから」
「…本当にいいのか?てかそもそも俺だけこんな特別休暇みたいなもん貰っちまっててみんなに申し訳ないというか…。坂崎も棚瀬も帰る場所がないのに、俺だけがいつもこうやって帰ってばっかだと面倒見るって言った棚瀬にも示しつかない気がしてさぁ…」
「お前が気にすることじゃない。棚瀬のことは俺と坂崎がいるから大丈夫だ。それに棚瀬自身もネグレクト受けてきたせいで一人でやれることはほとんど自分でやれてるだろ?」
「でも…」
「誰もお前のことなんて責めちゃいないさ。俺や坂崎と棚瀬の帰る場所はここだ。俺たちは家族とは言えないけど、でも帰る場所と家はここにある。高見沢は高見沢でもう一つの本当の帰る場所をお前自身で大切にしなきゃいけない。子供の頃から愛されて大事にされてきたお前を受け入れてくれるお前の家族だけは絶対に見放しちゃダメだ。それがどれだけ幸せかということを…それはお前にしか分からないから、幸せな家庭とやらを微塵も経験したことがない俺たち三人がとやかく言うことじゃないが、俺は高見沢に払わせちまってる代償を囁かながらでもいいからその期間だけは本物の幸せを取り戻して欲しいと思ってる。だから定期的にお前を送り出しているんだろ?本当に大事なもんがあるお前には覚悟が足りてないとか甘ちゃんだとか言うつもりは全くねぇ。俺たち三人にはないものを持っている高見沢は寧ろ誇ってもいいくらいだ。殺しのことなんて何も考えなくていい場所があるんならそれでいいじゃないか。だって俺たちの仕事は誇れるものなんて何一つとしてないんだからよ」
「……。」
急にお菓子を食べる手を止めては手の甲で一度だけ目元をグシッと何かを拭った高見沢だったが、それも終わるとフゥーー…と大きくため息をついてはポツリと「ありがと…」と呟く声は波の音に掻き消され、聞こえるか聞こえないかの曖昧なものへと変わる。
「俺はずっとお前らに申し訳ないなって思ってた…。桜井は親父さんのこと超嫌ってるし、坂崎も始めから独りぼっちで育って、棚瀬に至っては本人に両親殺させちまったから…だから俺一人だけがこうやって戻る家があってもいいのかなって…時々凄い考え込んでは悩んでた時もあったんだよねぇ。ホントはそろそろ覚悟決めてこっちの世界だけで生きていくしかないのかなとも思ってた。でも桜井は俺の考えとは真逆のことを言ってくれて、それが凄く嬉しくて…。桜井に言われなかったら俺は家族や友達がいるのにその人たちを見捨てるところだったかもしれない…。こんなにも人を殺してるのに…こんな俺が一時期的とはいえ幸せを享受してもいいのかと悩みまくっていたのに、桜井はそれを肯定してくれて今心底ホッとしてるよ。俺たちはお前の言うことは絶対だと思ってるから桜井がそう言うんならこれ以上考え込まないようにする」
「それでいい。…そして俺の言うことが絶対って言うんなら俺はお前に命令する」
「なにを?」
高見沢の目を見ながら俺は言葉を続ける。
「お前は必ず定期的に元の居場所へ戻れ。それが俺からの命令だ」
俺の命令とやらを真剣に聞いてくれていた高見沢は、やはりまだどこか申し訳なさを心に飼っている表情をしながらもその後は「…うん」と頷いてはくれたのでまぁこれでヨシとしよう。
俺たち三人には決して出来ないことを、唯一マトモに愛されて育ってきたお前にだけはそれを失わせたくないからな。
「じゃあ…仕事が一旦落ち着いたら帰らせて貰おっかな」
「あぁ。ゆっくりしてこい」
そこでようやく高見沢の表情が穏やかなものへと変化していき、再びお菓子を食い始めたからまぁこれならもう大丈夫だろう。俺も高見沢が持ってきてくれた缶ジュースをプシっと開けてからのんびり飲み込む。
「ごめん、酒のが良かった?」
「いいや。これからまた出掛けるからこれでいいよ」
「え、出掛けんの?」
「…ちょっと会いに行きたい奴がいるもんでねぇ」
「ふぅん。ま、聞かんどこ」
「それでいい」
「あとさ、さっきちょっと思ったんだけど…桜井って親父さんと暮らす前はお袋さんと生活してたんだろ?」
「あぁ、そうだが?」
「じゃあさ、桜井にだって短かったとはいえ幸せに暮らしてた期間もあったじゃんって思ってさ。あ、いや、幸せの価値観が俺とは違うだろうから桜井がホントにそう思ってたのかは俺が口出し出来ることじゃねぇのは分かってるけど…」
「……あぁ、確かにな。お前の言う通りあの頃だけは幸せだったのかもしれねぇ。もうその時の記憶が薄れちまったからあんまり思い出せないだけで、俺も一応人並み以下とはいえそれなりに楽しかった記憶は確かにある。……なんで、なんでお袋はあんなクソ親父とそんな関係になったりしたんだろうな…ホント」
「…桜井の話しは重たすぎて俺には受け止め切れんよ。まぁ、でも好きになっちまったもんはしょーがねぇんじゃねーの?」
「許されない関係だとしても相手が許されなさすぎるっつーの。お陰でお袋は結局消されるしよぉ」
「親父さんのことはまぁ置いといて、でも桜井だってお袋さんにはしっかり愛されてたんでしょ?その愛情を微塵も知らないワケじゃないからお前は坂崎や棚瀬よりはほんの少しだけマシだと思うよ俺は」
「そうか…。そう言ってくれてありがとな高見沢」
「ま、二人がいる前じゃ流石にこんなこと言えんけどね。普通って…物凄く尊いものなんだなって思えるよ、ここに居ると」
「俺はその普通とやらを知らずに生きてきちまったからなぁ…。だからお前はその普通に戻った時の自分を大事にしろよ?」
「うん。言われなくても」
最近ピリピリし過ぎている俺に対して棚瀬以外の俺の仲間たちは、俺と接する度に戦々恐々といった態度で話しかけてくるのは流石にムカつくのでマジで勘弁してくれって思う。
殺し屋の高見沢をここまで連れてきたというのに結局は取り逃し、相変わらずどこに潜んでいるのかも掴めないままで、しかもあれから鈴木と吉田が全く情報を仕入れてこないもんだから余計にイライラが募っているのが現状。本当は他にもやらなきゃいけない仕事があるのにあの一件のせいでなーーんにも手に付かねぇ。あ゙ーーーーーめっっっちゃイライラするわぁ。
「……くっ」
そして以前奴らが残していったラブレター。この手紙には指定された日時と場所が記されている他には、向こうの高見沢は返してもらう的な文字が並んでただけでそれ以外は特に何も書かれていなかった。あぁ、あと一人で来いって書いてあったわ。
そしてその日付けは今日。時間に関してはあと二時間もないくらい。俺はもちろん行くつもりだが、棚瀬以外の四人が「俺たちも行く!」とずっとうるさいのでアイツらが居ない今がチャンスだと思いそろそろ出ようとしているところだ。そこに座って一応仕事している棚瀬に向かって「ちっと行ってくるわ」と声をかけるが、棚瀬からは「あのままだとみーんな着いてっちゃいますよ〜」と忠告される。
「そこはお前がアイツら抑制しとけよ!」
「一人二人ならまだしも四人もなんてムリッスよ。あの子らがどれだけ坂さんのこと愛してると思ってるですか〜。そりゃあチームだから一緒に動きたいとも思うっしょ」
「気色の悪いことを言うなッ。それに今回は一人で来いと指定されてるんだ。奴らも殺しのプロではあるんだし、変に罠が仕掛けられてたら俺だけじゃなくてアイツらも巻き込んじまう可能性だってあるだろ?そうさせない為にもアイツらをここで見張っとけ」
「出来る限りやってみますけどあんま期待しないで下さーい!」
「ったく…」
マック食いながらヘラヘラされるとすっげー腹立つわぁ…
そんなこんなでアイツらに見つかる前にここを出て、軽く腹ごしらえだけしてから目的の場所へと向かう。
えっと…ここか。
かなり深夜ということもあり人もほとんど通らないような場所。栄えてる場所からもそれなりに離れているせいで、煌びやかとは言えないような所だ。だがそれでいい。俺も殺し屋も世間の奴らには知られたくないし見られたくないのでこれくらいが丁度いい。なんの建物かも分からないような、月明かりすらもあまり届かないようなビルの陰で身を潜めようとしたその時だった。
「ちゃんと一人で来れたかい?秘密警察」
「ッ…!?」
バッと後ろを振り向いてみせると確かにそこには人が立っているような影があるではないか。この俺が人の気配に気づかなかっただと…?やはりこの男だけは奴らの中でも別格だなと思い知らされる。
建物の陰からこちらにゆっくりと姿を現す目の前の奴は…
殺し屋の桜井。
あの櫻井組の組長と、その不倫相手から出来たとされるのが今目の前にいるこの男。ガキの頃から殺し屋として育てられ、殺しをする為だけに生きてきたようなとんでもない人物。コイツの詳細を調べあげてやりたいが中々それ以上の話しが出てこないのは、コイツ自身がその噂を消しているのか…はたまた櫻井組の奴らが知られたくないからわざとこの男の存在を隠しているのか。どちらにしろ放っておいちゃいけねぇ存在なのには変わりない。この男が表の警察の案件じゃとても背負い切れないとなり、この話しが秘密警察の方まで持ち上がってきて俺が担当することとなった。
だがなんの運命の悪戯かは知らんが、俺たち三人は全員が同姓同名の同じ顔。きっとこの世界には自分以外にもう一人全く同じ自分が居るんだろうと俺らは無理やり納得することにしている。ドッペルゲンガーとかは別にして。
もちろん向こうの自分と俺は双子でもなんでもねぇ。出自も違うし、当然育った環境も全く違う。これは本当になんなんだろうかねぇ…
「テメェ、この間はよくも…!!」
「は?それはこっちのセリフだ。よくも…うちの高見沢を目一杯可愛がってくれたもんだなぁ。あの時はさぞかし楽しかっただろうねぇ?」
「うるせぇな。その楽しい時間とやらが台無しになっちまったのはテメェのせいだろうがッ!」
「仲間を助けに行くのは当然だろ?…あぁ、それともお前は仲間を信用すらしていないからもしアイツらの誰かがヤバい目に遭おうが助けに行かねーってか。そりゃそうだよなぁ秘密警察さんよ?アンタと棚瀬とかいう男は他の奴らと比べて格が違うもんなぁ?」
「俺は誰も信用しない。だが仲間であるアイツらが危険な目に遭えば助けには行くさ」
「けどその仲間を助けに行くっていう優先順位は下がるんだろ?お国の為なのかなんなのか知らんが」
「当たり前だろ。テメェらみてーなヤバい奴らがのさばってやがるから俺たち秘密警察はお前ら極悪人を潰しに行く。国民やお偉方を背負ってる俺らとテメェらただの人殺しを一緒にするんじゃねぇッ!!」
「なにおう。お前だって人を簡単に殺すじゃないか。俺たちと何が違う?」
「こちとら国の許可貰ってやってんだよ!この国を脅かす本物のヤベぇ集団相手に対する最終手段で俺たちは奴らを殺すだけだ!殺したくて殺してるんじゃねぇッ」
「ふぅん。そういう言い分ね。一応理解した」
「なんだよその上から目線は!つーかテメェなんで俺をここに呼び出した!なんの用件だ!?俺は今ここでテメェを殺しても誰も何も文句は言うまい。寧ろ警察側からは賞賛されるだろう」
「じゃあ殺してみろよ」
「…お前がどんな罠を張り巡らしてるか分かったもんじゃねぇからな。こんな所までのこのこ現れた俺はどーせバカとでも言いたいんだろ?あぁ俺はバカさ。お前たちを捕まえたくて仕方がなくて、今頭も心も何もかもが最強に苛立っている状態だからな。だが油断するつもりはねーぞ。怒りで周りが見えないどころか寧ろなぜか今は全てに目を配らせていられるせいか、お前も俺と同じで一人でここまで来たことくらいの察しはついてるぜ?」
「よくお分かりで。俺も今日は正真正銘一人だ。お前とは一度腹を割って話したいと思っていたからな」
「そんな下らねぇことせずとも俺はお前を今ここでボコボコに叩きのめせればそれでいいんだが?お前たちには散々コケにされてきたからなぁ…!!」
そうだ…。俺たちはコイツらに何度も何度も嘲笑われてきた。
それがどれだけ屈辱的だったのかをお前たちは思い知ればいい。
「俺はお前らを絶っっ対に許さねぇぞ」
「許されたいだなんて思っちゃいねぇからそのセリフは見当違いだな」
互いの視線がぶつかり合う。
こんなにも追い詰めたいと思っていた人物が今目の前にいる。さぁどうする俺?今ここで始末するか?それとも組織へ連れ帰って、洗いざらい聞き出せるだけ情報を聞き出してから司法に任せるか?どっちが最適解なんやら。
腰のホルスターに仕込んである拳銃にさり気なく手をかけるも、相手も俺の仕草に当然気づくので奴は俺を見下したようなツラで右手を背中の方へと回し、威嚇している姿をわざわざ見せつけてくる。当然向こうさんだって攻撃する手段は持っているからそれは当たり前の動作だろう。
「なぁ殺し屋。なぜお前は人を殺す?」
そんな俺の質問に一応は答えてくれるようだ。
「依頼がくるからだ」
「依頼…ねぇ。募集しなければいいだけの話しじゃねーのか?」
「…お前は大事な人を失う意味、少しくらいは分かるんだろう?」
「……あ?」
「俺もそうだったからな。世の中こんなにも事件が起きているのに報道されるのなんてごく一部。依頼してきた相手がどういう思いでどういう考え方で俺たちに殺しを依頼してくると思う?」
「……。」
奴が足を踏み出し、俺の周りをゆっくり練り歩くようにジワジワと四方八方から言葉で俺を責め立ててくる。
「お前も薄々気づいてそうだが敢えて言ってやろう。……テメェら警察の怠慢のせいだろーが!守れるはずだった命を貴様ら警察は守ることもせず、腐敗し切った内部は金や権力、そして都合の悪いことは揉み消すのみ!無能警察って言われるだけはあるよなぁ!?国民を守るはずのお前らが国民たちに嫌われてちゃあどーしようもないもんなぁ?お前らが守るべきものはどっちだ?一般市民か?金か?それとも権力ばかり気にするお偉いさんか?答えなんて聞かなくても分かっちゃいるがな」
「……。」
「まぁでも安心しろ。お前たちが仕事しない分、俺たちのお陰でほんと〜に悪い奴らが世の中から消えていくんだから感謝してくれよな?そりゃ中には怨恨で依頼してくる奴もいるにはいるが、そこは俺たちも殺し屋だ。当然金の為なら仕事はするさ」
「…だけど人を簡単に殺していい理由になんてならねぇ。法で裁ける奴は法に従って…」
「今日きた依頼内容教えてやろうか?一週間薬漬けで拉致監禁強姦され続け、しまいにゃバレたくないからって被害女性を殺す際、塩酸か硫酸かは知らんが液体を体にかけて大火傷負わせながら面白半分に殺してったそうだぞ。簡単にしか書かれてなかったがきっと壮絶だったんだろうなってのが想像つくよなぁ、お前も一応警察様だから。…そしてそこまで調べあげてる癖に何もしない無能警察。依頼人も犯人は大方目星はついてるようだがとても手出し出来る相手じゃねぇと悟ったから俺たちに依頼がきたってワケ。お前たちはお偉いさんの為なら事件を揉み消すことなんて得意中のお得意だもんなぁ?なぁ??」
「……。」
「秘密警察という組織も同じだっただろ?お前が今は上に取って代わったらしいが、以前まで上層部が腐ってたせいでかつての仲間たちが敵になり、そしてソイツらのせいで向こうの俺や高見沢は死に損なっていたんだろ?あのまま死ねば良かったものを、お前はあの実験施設に奴らの身体を売ってその身体を蘇らせたんじゃなかったか?何が代償だ?アイツらはうちの坂崎みたいに完璧な不死身になれたか?それともその逆か?お前のせいでアイツらはとんでもない業を背負わされちまったのか?ん?言ってごらん?」
囁くように俺の耳元近くで嫌な尋ね方をしてきやがる。
「……ッ。お前に言うはずねぇだろうが」
「ははははッ!そりゃそーか!向こうの俺や高見沢やその後輩たちがまたいつかその真実を知って暴走されて国の敵になるのかがお前は恐いんだろう!?そうだろう!?お前は誰よりも最恐と言われているが俺から言わしてみれば誰よりも弱いようにしか見えないんだよッ!必死で自分の本心を隠し、信頼に取るに足らない仲間たちにしか恵まれず、なのにお前の独断でアイツらは身体を改造させられて…あぁなんて可哀想な奴らなんだ!流石に向こうの俺らに同情するよ!…お前の最恐の名が廃る時もそう遠くはねぇのかもしれんなぁ?」
「くっ…!そんなものどうだっていい!!俺は……俺は仲間を信頼はしてねぇが、…仲間を傷付けられたら俺はソイツをぜってぇ許さないからな!?必ず…必ずこの手で捕らえて逃がしはしねぇぞ!!俺や組織全体を侮辱しようが構わねぇ、だって本当のことだったからなぁ。だが俺は今の自分のチームを侮辱されるのだけは死ぬほどムカつくんだよッ!!信頼に取るに足らない仲間?あぁ、そうだよ。そんなもんテメェに言われんでも俺が一番分かってる!だがアイツらがいつか俺をも凌駕するほどの力を手に入れることだけは微かながらに希望を見出してるんだよッ!!だから俺はアイツらの傍にいる!アイツらにどう思われようが俺はチームリーダーだ!俺はアイツらを引っ張っていく責任があるからそれを投げ出すつもりは一切ねぇぞ!!……例え身体がマトモじゃなくなろうとも、俺は俺のやっちまった責任があるから逃げ出すつもりなんて微塵もねぇ。テメェなんぞに言われんでもそんな覚悟、とっくに決まってるわッ!!」
「お前は俺と同じリーダーと言われる立場にいながら俺とはまるで違うなぁ。俺は坂崎を拾い、高見沢を受け入れた。全員接点なんてまるでない、寧ろ交わることなんてなかったはずの人種だったが俺はアイツらを信頼してるぜ?だってうちの仲間はお前たちのとこと違って優秀だからさぁ。そして俺は仲間が危険な目に遭っているならばそれを最優先にして助け出しに行くぜ?この間高見沢を救いあげた時みたいにな」
「俺とテメェなんかの立場を一緒にするなッ…。何が大事で何が優先かなんて国を背負ってねぇテメェらなんかが分かるはずねーだろ?…お前と俺を同じ枠の中に当て嵌めんな、虫唾が走るッ」
「リーダーという点に置いては同じだろ?言い訳ほざいてねぇでサッサとあの可愛い仲間たちを信頼してまたドン底に突き落としてやれよ。なぁ?」
「ほざけ…。俺は誰も信用しねぇッ!!」
俺の周りをウロついていた殺し屋が、俺の前まで突然やって来るとそのままサングラス越しでも分かるくらいのキツい目付きで俺を睨みつけてきやがる。そして俺の顔の目の前まで奴の顔が来たので俺も負けじと奴を死ぬほど睨みつけ、今にも引っ付きそうな額同士だったのでわざとゴッ!と軽く頭突きしてみせるが、向こうも同じようなことを考えていたのか、互いの額が鈍い音をたてながら衝突するのみだった。
だが俺も奴も一歩も引かない。引くもんか。引いてたまるか!!
ギリギリッ…と互いの頭を押し付けあう中殺し屋が物凄い殺気を立てながら更に言葉を続けていく。
「この間はよくもうちの大事な仲間二人を傷付けてくれたなぁ?こっちだってお前らの相手なんて一々してられねぇんだからそろそろ反撃するぞ?あ?これ以上俺たちの邪魔するなら本気で殺しに行くからなテメェ」
「は?やってみやがれ、例え俺が死んだとしても秘密警察という組織はなくならねぇぞ?俺の代わりになる奴らが出てきてお前らを追い詰めるだけだ。だったら大人しく俺に捕まえられとけよ、なぁ??」
「いいか、これは宣戦布告だ。貴様らは俺の大事な仲間二人を盛大に傷付けやがった。その代償はテメェと元相棒のあの男にも当然支払わせてやる。絶対にだッ!予言してやるよ、そしていつかお前は俺らに対して泣きつくことをな!」
「くっだらねぇ!俺がテメェなんかに縋るとでも思ってんのか!?寝言は寝て言え!!」
「いいや、お前はいつか俺たちを頼らざるを得なくなるはずだ。もしその時が来たら、お前の土下座してる無様な姿が見れると思うと心の底から震えるなぁ…っ。だがその前に、次もし俺たちの邪魔をしたらお前らを地獄に叩き落としてやる。この俺に歯向かってきたことを、後悔という名の刃でその胸にズッタズタに突き刺してやんよ。……チッ、引き連れて来やがったかテメェ」
「はァッ?俺はなんもしてねぇよ!」
パッと俺から離れた殺し屋がサワサワとした気配に気づき、辺りを見渡した後に俺をまた睨みつけると「仲間が傍に居ないとコワイってか?」と薄ら笑いを浮かべて無駄に挑発してきやがる。
クッッソ…!アイツら俺の邪魔しやがってぇえ…!!
「おいテメェら!!そこから絶対動くんじゃねぇぞ!?分かったか!?」
ビルの上の方に居るであろう気配たちに釘を差すと、一応は飛び出してくるのを我慢してくれているようだった。
「俺も今日はお遊びしに来たワケじゃねぇからな。ここで袋叩きに遭う前に退散するよ。じゃあな、秘密警察様っ」
「……っ。」
奴が背中を向けた際、上にいるアイツらが今にも飛び掛ろうとする勢いだったのでもう一度「やめんかッ!!」と怒鳴ってみせればピタッと止まる気配。そして俺は殺し屋の桜井をそのまま見送り、奴の気配が消えたのを確認したのちにポケットに入れてあったイヤモニを取り出してから右耳に装着してみせると、第一声に棚瀬が「すんませーん坂さん、やっぱ止められませんでしたぁ」と相変わらず呑気な声で報告してきやがるから余計に腹が立つ。どーせお前はハナから止める気なんてなかっただろうが。
そしてバッと飛び降りてくる四つの影が俺の背中側に着地したと同時に高見沢と桜井が俺に噛みつく勢いで「なんで一人で行ったんだよお前ぇ!?」と訴えてきやがるが、俺は二人が鬱陶しかったので高見沢と桜井だけを思い切り足蹴にして二人を黙らす。
「ッ〜〜〜……!!」
「ぃ、いでェ……」
「着いて来るなと言ったはずだが?」
すると鈴木が「ごめんなさい…」と謝り、吉田が「でも俺らも坂崎さんが心配でしたもん!」と反論してくる。高見沢と桜井は未だに地面に蹲って体プルプル震わせながら痛みを我慢しているだけだ。
「今回は俺だけが呼び出されたんだから俺だけで行くべきに決まってんだろーが。奴に俺の仲間を引き連れて来やがったのを悟られたら、それこそ今ここで全員お陀仏だった可能性も高いんだぞっ?奴らはいつでも俺たちから逃げて行くが、殺し屋たちだって本気出せば俺たちを蹴散らせるようなスキルの持ち主の連中ってことを忘れるなよお前ら」
「で、でも!僕たちだって体力面では殺し屋たちより上回ってるはずですよ!?」
「そうッスよ!俺らもやられてばっかじゃないってことを証明したいんです!」
「…お前たちは棚瀬が助けに行かなきゃ今頃アイツらに殺されてただろうが」
「そ、それは…」
「そうなんですけどぉ…」
すると蹲っていた高見沢と桜井がなんとか立ち上がってきやがったが、二人は俺に蹴られた箇所を手で押さえつけながらも俺にまた噛みついてくる。
「俺らのことバカにするんじゃねぇぞ坂崎ぃ……。俺たちのことを信用しないのはもう分かっちゃいるが、俺たちはチームなんだから単独行動はナシに決まってんだろうがよぉ!」
「相手はヤクザに育てられた殺し屋の俺なんだぞッ??いくら坂崎でも一人じゃ分が悪すぎるだろうが…!それに、なんで俺たちを止めさせたっ?さっきアイツは一人だったんだから、俺たち全員で飛び掛かれば絶対捕まえられたはずなのに!」
「甘いな、奴がそう簡単に捕えられるはずがない。この俺とサシで会おうだなんて誘ってくる奴が、なんの計画も立てないで来るはずがねぇのなんていくらバカなお前らにも分かることだろ?俺も隙を見て捕えられたら捕らえたかったが、そうもいかなかったんだよ。いつもみたいに俺らが突然奇襲するのと違って、最初っから秘密警察に会いに行くのを分かってたら事前に準備くらいするだろうが。奴を見くびるな」
すると俺たちの会話を聞いていた棚瀬が「貴方たちあのまま飛び出していったらとんでもない返り討ちに遭っていたと思いますよ〜」と口にするもんだから、全員が「うぐっ…」と言葉に詰まっていやがった。
「今日は俺も戦うつもりがなかったから今回はこれでいいんだ。アイツには散々好き放題言われたが、奴は意外とお喋りだということが知れただけでそれなりの収穫はあったはずだ。普段はマトモに喋ることすらなかったから奴とああして面と向かって話し合うのもまぁ悪くはなかったと思う。あの男の腹の底は知れんが、少なくともお前たちにも情報共有出来そうなことは仕入れたつもりだ。油断するなよ。もし次に殺し屋たちに出くわしたその際は、向こうも本気で俺たちを殺しにかかってくるということだけは忘れるな」
「あ、あぁ…」
「…分かった」
脅威が迫ってくる…
その意味をコイツらにきっちりと教え込まなきゃならねぇ。
次のターゲットは俺と棚瀬だ。だからコイツらには全力で自分たちの仕事をして貰うつもりではいる。俺たち二人が囮役になり切れるのか…はたまた奴らの罠にこちらが掛かっちまうか。
それはその時にならんと誰にも分からんな。
ガチャ…となるべく静かに家のドアを開けてみせるが、リビングの明かりはまだついている状態で誰かがまだ起きているのを知る合図となる。
家の中に足を踏み入れたあと、ソファーの方からは「どこ行ってたかなんて聞くのは野暮か?」と飼い猫を腹の上に乗せては撫でながら寝巻きで寝転んで、ボーッとサブスクのドラマをスマホ画面で観ていた坂崎が視線も移さず俺に問いかける。
「…高見沢と棚瀬は?」
「もうとっくに寝てるよ」
「そうか」
「……高見沢が、桜井と屋根の上で喋ったあとからすげー機嫌良さげにしてたけど、桜井さん貴方高見沢になんか言ったのか?」
「言わなきゃそうはならんだろ」
「それもそうなんだけど…。聞かれたくないんなら聞く気もないから別にいいけどさ」
「もし気になるなら高見沢に明日聞け」
「そうするよ」
タバコを一本吸いたかったので換気扇の下で吸おうかと思ったが、高見沢と棚瀬が寝ているんだったなと思い出したので、窓を開けてそこで一本だけ吸うことにする。換気扇つけるとうるさいからな。
引き続きスマホ画面に目を向けてドラマを観ていた坂崎に向かって「さっき秘密警察の坂崎に会ってきた」と呟けば、うちの坂崎は一瞬唖然とした表情を見せたあとに思わずデケェ声で「はァァァ!?」と驚愕してくる。アイツにしては珍しく声がデカいし、普段大人しいからそんな変な顔してこっち見るとは思わなんだ。
「お前……ッ、バカか!?」
「ちょっと頭突きし合ってきただけだからそんな心配すんな」
「どういう状況ッ??」
「まぁいいだろ、傷一つ付けずに帰って来たんだし。もうそれ以上言ってくれるな」
「いいや、言うね。桜井お前さぁ、前回も秘密警察の内部に侵入してアイツらと会ってきたんだよなぁ??なんで自ら捕まりに行くようなことをするッ?」
「けど前回も今回も捕まりはしなかったから別にいいじゃないか」
「そういう問題じゃねーよぉ〜〜…!!」
すると俺らの声がうるさかったのかは知らんが、一階の部屋で寝ていた棚瀬が起きてきちまって眠たそうな目をしながらも「あ、桜井さん…おかえりなさぁい」と言ってくれたもんで、こちらも「ただいま」とだけ返す。だけど坂崎が「ごめん大きな声出しちゃって…」と謝るも、すかさずそれを否定してくれる棚瀬。
「大丈夫です…っ。俺もちょーどトイレ行きたかっただけなんで、あんま気にしてないですっ」
「悪かったな…。えっと…会話の内容聞こえてた…?」
「少しだけ…」
「そっか…まぁ聞かれても別にいいんだけどね。えっと…」
「……俺は桜井さんがそんな簡単に捕まるような人だとは思ってませんから!だって貴方は高見沢さんも坂崎さんも、それに一応俺の面倒も見てくれてるじゃないですかっ?俺、桜井さんがここに居る人たちを置き去りにして一人でどこかへ行っちゃうような人だなんて思ってません!絶対に帰って来るって信じてます!」
「棚瀬…」
「……。純粋で、とても可愛い言葉だね。何も知らないお前だからこその言葉だと俺は思うよ。ありがとな、まだこんなにも日が浅いお前にすら俺は信頼されているなんてな。その期待は絶対に裏切ったりしないから、お前はまだ暫く純粋なままでいてくれ。汚れまくっている俺たちの中で輝ける一つの光なんだから、お前は」
「はいっ!」
「じゃ、俺は風呂入ってくるよ。おやすみ棚瀬。坂崎もそろそろ寝とけよ」
「おやすみなさい!」
「う、うん…おやすみ」
後ろの方では棚瀬が坂崎に対して「俺の言ってることって可愛いんですかぁ?」とキョトンとしながら尋ねていたが、坂崎は「うん、まぁ…」と説明するのが面倒とでも言いたげな適当な返事をしていたのだけは聞こえてきたが、俺は自分の部屋へ戻って着替えだけを持ってそのまま脱衣所まで直行したのでその後のアイツらの会話なんて聞こえもしなかった。
俺はこの束の間のひと時を…アイツらと過ごしたいが為に日々の仕事をこなしていると言っても過言ではないのかもしれねぇ。
アイツらのことは家族だなんて思っちゃいないし、アイツらだってそういう感情を持ち合わせてはいないのは知っているが、俺の大事な仲間なのには変わりない。だから…
だからこそ、俺は秘密警察を絶対に許さねぇッ…!!
これ以上俺の大事なモンを奪うってんなら、俺は悪魔に魂売ってでもアイツらを守り切る。
俺はもうガキの頃のような無力な自分じゃねぇ。対抗する術を身につけた今、俺は誰一人として欠けさせるつもりなんて更々ねぇぞ。
「次に会うのが楽しみだなぁ…秘密警察」
上半身だけを脱いだあと、目の前に広がる洗面台の鏡を睨みつけながら奴ら全員の顔を思い出す。
さぁ、次に会ったら思い切り苦しめよ。秘密警察。
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まぁね、お互いフラストレーション溜まってるから衝突し合うのも致し方ない(´・ω・`)
そして殺し屋書く時ってほぼ殺坂視点で書いてるけど、超超超珍しく殺桜視点で書いてみました。彼の詳しい過去もなんとか書けたし、どれだけ仲間を想いやっているのかが知れたかなとは思います☺︎
だけど殺桜視点の書き方が難しくて、何度も何度も書き直したり修正したりを繰り返していたけど未だに納得いってないというか、違和感がある気がするんだよね…。初めてこんなに難しいと思ったよ(´・ω・`)
彼のキャラが中々にクールで、だけど内に秘めてる熱い思いは人一倍だから、セリフはまぁ別にスラスラ書けるけど内面の語り口やらがむーずかしくて…。やっぱ殺し屋は殺坂視点が一番書きやすい(^^;笑
あと秘坂もまぁよくあそこまで言われて手が出なかったなと褒めてやりたいです笑
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