アムールデュショコラに明日行ってくる…!!
多分お目当てのものは半分くらいは買えないだろうけど、会場の様子を見ながら上手く回れるようにしたい😎
明日は朝の8時くらいから名古屋のタカシマヤの前で並ぶ…!!クソ寒いけど防寒対策して頑張る…!!だが防寒対策しっかりし過ぎると会場の熱気が毎年暑すぎて汗かくので程々にしなければならぬという罠もあるから行く前日は頭ん中いつもパンクしてるんだ…!!
ラルケストの抽選結局2回やっても当たらないし、2月のやつでもう1回頑張って抽選してみる〜…。スノーチーズも抽選申し込んだ。当たるといいなぁ(´・ω・`)
追記は華革命続き!
平行世界の君4
高見沢の家へ戻ってきた俺たち三人だったが、リビングの方から聞こえてくる声は何やら騒々しい。なのですぐ靴を脱いで急ぎ足でリビングの方までやって来ると、ソファーの上では はだけた姿のままのユキととても苦しそうにしんどそうにしている高見沢が背もたれにも背中を預けながら苦しむように座っている。
二人が何をしていたのかが瞬時に理解出来てしまったので俺は少し気まずさを感じながらも二人の方へ近付くと、ユキが「幸之助…」と申し訳なさそうな今にも消え入りそうな声で俺を呼びかけてくる。俺の後ろからはマサと幸介も同じくソファーの方へ寄っていき、ユキと高見沢の前へとやって来てみせた。
外は寒かったからこの部屋がとても暖かい。裸になろうともそんなに気にならない気温ってか…
「…今は…シュンか?」
俺がそう呼びかけると相手は「高見沢だ…」と、物凄くキツそうな顔をしながら答えてくれる。
「シュンと話せるか…?」
「今シュンと交代したら……俺自身が消え入りそうで恐いんだよ…ッ!コイツのユキちゃんに対する想いが強すぎて俺が喰われそうなんだってば…!」
「…分かった。じゃあそのままでいい。…シュン、俺の話しを聞いてくれるか?」
上から目線になってしまうので立つのをやめて片膝を床につきながら高見沢と目線を合わせて中にいるシュンと話していく。
「今さっきまでマサと幸介と三人で話し合っていたけどさ…、俺お前たちが暮らしてた平行世界のこと何も知らなかった。シュンも苦労してたんだよな…?ユキを救う為に死ぬほど努力して頑張っていたんでしょ?」
「……、」
「生きている俺に…言われたくないかもだが、お前は今はもうシュンじゃなくて高見沢だろ?」
「…ッ!お前に言われなくったってそんなこたぁ分かってんだよ!!」
「シュン…」
怒りに触れちまったか…?
高見沢が抑えつけていたであろうシュンが一瞬にして出てきちまったということは、やっぱりこの様子を見ると高見沢とシュンは桜井とマサと違って上手く共存出来ていない証拠だろう。
だけど焦るな俺。ここまできたのなら対話をしろ。以前はお前と向かい合って話せなかったけど、今お前は俺の目の前にいる。だから話しを聞いてくれ。逃げないでくれ。
ふぅ…っと一度小さく息を吐いては心を落ち着かせる。
「お前が…っ、坂崎さえいなければ幸姉だって俺のものになったはずなのに!!生きているお前に死んだ俺の気持ちなんて分かってたまるもんかッ!!今度こそ幸姉は俺が貰っていく…、お前なんかに取られたくない!」
「……。シュンが…本当にユキのことを大切に想って…大事にしてくれるのなら俺はそれでもいいと思ってるよ」
「…!」
そう俺が告げた時、シュンだけじゃなくユキも「えっ?」という表情をしたのを俺は見逃さなかった。
「けどお前とマサは期限付きの…一日限りの記憶らしい。お前に今ここでユキを託そうとしたところで結局はシュンの記憶も消えちまう…。そうなるとユキのことを見るのは高見沢になっちまうがそれでもいいか?」
「そんな…っ。やっと幸姉と会えたのに…」
絶望しきっているその顔が切ないくらいに苦しい。
だってお前が本気でユキを愛しているのが伝わってくるから。
「ユキは…どうなんだ?」
「えっ…?」
「俺はお前のことを結局一度も好きになったことはないままだ…。もちろんユキのことは可愛いと思ってるし、放っておけないからずっと俺の目の届く場所に置いておいたのであって…ユキのこと、愛したりなんてしなくてもずっとこのままでいられると俺は勘違いしていたんだと思う。お前に好かれてる心地良さに甘えていたんだろうね、きっと。お前はどこにも行かないだろうという俺の傲慢さのせいでユキの本気に向き合わずお前を傷つけていたのも知らずに…、酷い男だよな俺…。お前は俺と付き合わなくて正解だったと思うよ。だってこんな男、誰がユキを幸せに出来ると思う?こんなにも…愚かしいことばかりしてきた俺なのに、ユキはまだ俺のことが好きなのか?」
「幸之助…、違う…違うぞ…!ウチ幸之助にそんなこと思ってない!幸之助はウチのことちゃんと面倒も見てくれてたじゃないか…!ウチのことを想っていつも我慢してくれてるじゃないか!独りよがりなんかじゃない…幸之助はウチのことをいつだって考えてくれてる…。一緒の家に住まわせてくれてるだろっ…?」
「同情してるだけなのかもしれないよ」
「違う!絶対に違うっ!じゃなければ幸之助ウチにこんないいネックレスなんて渡さないだろっ!ウチのことを考えてくれてたからこれをくれたんだろ…?そうだろう…?なんの為のお揃いなんだ…?」
「そうだね…」
ユキの左手は自分の着けているネックレスをキュッと握りしめてくれている仕草。そのネックレスは俺の首元にももちろん同じ物があるが、俺は普段誰にも見せないように服の下に隠してしまっている。
どうして俺はこれをいつも隠してしまっていたんだろうね。少しくらいはユキとお揃いの物だってことを周りに見せつけていれば良かったのかもしれないのに…そうしていたらユキだって不安にならず、高見沢の方ばかり行かずに俺の元で笑ってくれていたかもしれないのに…
俺が招いた結果だ。ユキを惑わしてばかりいた俺のせいだ。
今ここで自分の首元にあるネックレスを取り出せないでいる俺は、こんなにも醜い。そう、俺は結局一度もユキの好きという言葉を受け入れずに聞き流していただけの最低で酷い男なのだから。
「ウチ幸之助のことが好き…!!アンタのこと諦めきれないっ!こんなにも…こんなにもウチの気持ちをスルーしてくる幸之助にムカつく時もあるけど、でもウチ幸之助と一緒に居られるのが幸せだ…!初めてちゃんと人を好きになったのがアンタなんだもん!幸之助がウチの気持ちに応えられないのもなんとなくだが理由も分かってる…。だからウチはそんなの気にしていないぞ!幸之助がウチのことを大事だって想ってくれてるだけでそれで十分だ…!結ばれない可能性のが高いのも分かっていてアンタと一緒に居たかっただけだから!アンタのことが…ずっとずっと好き…。離れていって欲しくない…」
「ユキ…」
「ウチこのままでもいい…っ。幸之助と結ばれなくても幸之助と一緒に暮らして傍に居られるだけでそれでいい…!もう好きな人と離れたくないっ…」
「そう言ってくれて…ありがとなユキ。こんなにも無神経で…お前の気持ちを蔑ろにしかけていた俺なのに…」
「違う…違うぞ…ッ!ウチだって俊のウチに対する想いを断ち切れなくて高見沢さんに迷惑ばっかかけて幸之助にもしんどい思いさせちゃってごめん…ごめんなさい幸之助!ウチの方が最低だ…。幸之助に甘えてばっかだったよウチ……」
泣いているユキの姿を見て思わず可愛いなんて思ってしまった俺は罪な奴なのだろうか。
ユキも苦しんでいたんだな。そうだよな…、高見沢との関係も俺が目を瞑っていたから変に誰とも衝突せずにいれただけで、誰かが気持ちを暴走させてしまえば俺たちは全員色んな意味で終わっていたのかもしれない。高見沢にも申し訳なかったし…ユキだってシュンのことをどうにかしてあげたいと思っていた結果だからねこれは。
俺たちはしんどい思いをしながらも互いを思いやっていた証拠なんだろう、きっと。だからなんとかここまでやってこれたのも事実だ。
大丈夫…。もう誰のことも責めたりしないから。
複雑すぎる俺たち四人…いや、六人の関係を否定したりなんてするものか。
「ありがと、ユキ。お前がそう言ってくれるのなら…俺はいつだってお前を迎え入れるよ。例え高見沢との関係を続けていても俺は何も言わない。中にいるシュンを想うユキの気持ちは決して誰にも邪魔なんて出来ないから、俺は今まで通り目を瞑る。俺のところに帰って来てくれるだけで…それでいいんだ。今まで通りになっちゃうかもしれないけど、それでも良ければ…」
「幸之助…」
俺が言葉を続けようとした時、シュンの奴が「ふざけんなッ…!!」と強く言い放つ。
俺たちの話しを聞いていて面白くないだろうなとは思ってはいたけど、よくよく見ると目は血走っており本気で俺を睨みつけてくるその視線だけで俺はこの男に殺されそうだ。
「幸姉は渡さないッ…!!やっと…やっとやっとやっと会えたのに…!!向こうの世界でも俺は報われずにあんな男となんて一緒に死んで、こっちの世界でようやくまた会えた大好きな人なのになんでお前なんかに渡さなくちゃならねぇんだよ!?嫌だっ!イヤだよ幸姉…!!俺を選んでよ…!なんでいっつも坂崎ばっかなの!ねぇなんで…!?」
「シュン…落ち着け、お前まで泣くな」
「みっともねぇな俊。そんなんだからお前は俺と一緒にお陀仏するんだよ。もういい加減幸を坂崎に渡せ。お前の出る幕じゃないんだっつーの」
「テメェなんかがしゃしゃり出てくんなッ!!俺は今お前を殺そうと思えばいつだって殺せるぜ!?」
「ちょっと俊…!」
シュンの傍に置いてあった銃をまた手にしてアイツはマサに向かって銃口を向けていたが、マサはマサで余裕そうにデカいため息つきながら「はいはい…」と面倒くさがるように両手を頭の位置まで持ってきては降参のポーズを取ってはいるものの、奴は全くと言っていいほど動じていない。やっぱ向こうの世界の奴らって度胸あるっつーか銃社会に慣れてるせいか全然怖がらないのが凄い…。俺なんて今も内心めちゃくちゃビビりまくっているんですけどね?
しかし幸介の奴も持っていた銃をもう一度シュンに対して向けてはアイツを威嚇して牽制しているようにも見える。やっべぇ…やっぱ本物こえぇ。
「いい加減にしやがれ俊。姉さんはお前だけのもんじゃねーんだよ!俺だってお前なんかに姉さん渡したくなんかないわ!あの日幸姉さん守れていたら俺もお前と姉さんとの間を祝福していたはずだが、お前は姉さんを危険な目に遭わせた。許さねぇよ俺だって…!!テメェのことが心底憎いんだよこっちは!」
「…悪いと思ってる。だけど俺は幸姉を諦められない。幸姉が坂崎のことを好きだと言うのなら俺が幸姉を振り向かせてみせる!この記憶が消えようとも俺は高見沢として坂崎から幸姉を奪ってやる!!逃がしたくないっ…!もう二度と幸姉を逃がしたりなんかさせないッ…!!俺の前から居なくならないで…っ。ずっとここにいてよ幸姉…!」
「…分かった、分かったから。ウチはアンタの傍にいてやる。もう逃げたりなんかしない」
「ウソだ…!!信用出来ない!賢に唆されて俺の前から逃げ出して、そして結局幸姉は坂崎を好きになってまた俺の前からいなくなって…!それでもって今もやっぱり幸姉は坂崎を選んだじゃん!?」
「そ、それは…っ、わっ!?」
「お、おいシュン…!?」
「俊テメェ…!!」
「……チッ」
「幸姉が俺を好きにならないなら今ここで幸姉と一緒に死ぬ!!今ここで俺たちが死ねば…いつまでも二人きりだよ?ね、幸姉…ッ?」
「…しゅ、俊…!?」
「早まるなシュン…!落ち着けってば!」
「お前たちに邪魔されるくらいなら幸姉と死んだ方がマシだ…。そしたら転生して…また絶対に幸姉を見つけるから…っ。来世では幸せになろうね、幸姉…?」
「俊…!ま、まっておくれ…!何言ってんだいアンタ…!?」
「俺は本気だよ?幸姉となら死ぬのなんて怖くないから」
「俊…!」
シュンがユキを人質に取ってしまったせいで俺たち全員動けない。
アイツの横で座っていたユキだったが、まさかシュンがこんな突拍子もない行動に出るだなんて誰も予想が出来ていなかったせいでシュンを宥めることすら難しい。逆にここでシュンに何か諭すような言葉を向けるとアイツ頭ん中やべぇから逆上してきてそれこそユキを殺して自分も殺しかねないのが恐ろしすぎる。
どんだけコイツ病んでるんだよ…って、なぜか冷静に心の中ではツッコミが出来たけど、上手く誘導していかなければユキが…高見沢が危うい。ここは相当慎重にいくしかない。
なのにそう思っていると「シュン…銃下ろして?」とマサが……いや、桜井がアイツに対して話しかけていた。だ、大丈夫なのか…お前が言っても…?
「…桜井か?」
「そう。だからマサじゃなくて俺として話しを聞いて欲しい」
「なんだ…?」
「お前がこの男に恨みを抱いているのは分かってやれるつもりだ。俺でさえコイツの記憶を辿ると胸くそ悪い光景ばかりが流れてきて…正直今もしんどいよ。お前との記憶も見させてもらった。あの日…あの時、この男がユキちゃんを本気で心配してお前から逃がしたのだけは本当なんだよ。お前の悪い噂は結構有名な話しらしかったじゃん…?それはシュンが過去にやってきた行いのせいなんだよ。これだけはマサのせいじゃない。ユキちゃんがお前を信じられなくなったのも全部シュンのせいだ。それは流石のお前にだって分かるでしょ?」
「……、」
「それをユキちゃんやマサのせいにはするな。お前があの日死んだのも……全てはお前が招いた結果なんだよ、シュン」
「くっ…」
「認めたくないよな、そうだよな。お前が血の滲むような努力をしてどうやって頂点まで上り詰めたのかはなんとなく想像は出来る。それもこれも全部ユキちゃんの為なんだよね?」
「……そうだ」
「それなのになんで今シュンはユキちゃんを殺そうとしてるの…?」
「…っ!」
「ユキちゃんが大切なんでしょ?ユキちゃんの傍にいたいんでしょ?死んだらこんなに上手く転生出来るとは限らない。俺たちはたまたま引かれ合ってここに今いるだけで、ほとんどの人は例え転生したとしても前世の記憶なんて持っていないんだよ。死んでも無意味だ。だったら今ここでシュンは…高見沢としてユキちゃんの傍にいてあげなよ…?その方がシュンにとってもユキちゃんにとっても一番の最適解なんじゃないのか?」
「……でもっ!」
「ごめん…ごめんね、シュン」
「えっ…?お、おい…!桜井…っ?」
両手を上げたまま立っていた桜井だったが、両膝をついてはそのままその両手を床に置いたかと思えば桜井はシュンに向かって土下座をしているではないか。
そんな桜井の姿に流石に驚いては困惑しているシュンだったが、俺もユキも当然驚きを隠せないでいた。幸介だけはなんとも思ってなさそうだけど…
「マサに代わって俺が謝る。ユキちゃんを酷い目に遭わせ続けてごめんなさい。幸介も……本当にごめん。コイツの記憶の中のユキちゃんは本当にいつも辛そうに…悲しそうにしている表情しか見えてこないのを俺は知って…なんて言えばいいか分からなくて…。こんな安っぽい土下座で誠意見せるしか出来ないけど、これが俺からの精一杯の謝罪だ。マサを許せとは言わんがユキちゃんは…ユキちゃんは殺さないでやって欲しい。だってあんなにもボロボロだった体をしていたのに今こうして生き延びているんだよ…?これも幸介の功績じゃないか。幸介がいてくれたからシュン…お前はまたユキちゃんと会えているんだぞ?それなのに殺すのか?ユキちゃんを…本気で大切にして愛している相手をお前は殺すのか?」
「……っ」
土下座をしていた体勢だったが話している途中で顔をあげ、そして綺麗なまでの正座で桜井はシュンだけを見据えて話し続けながらアイツを説得してくれている。
きっと桜井の中にいるマサも…言いたいことを全て我慢して桜井に託しているのだろう。
未だに泣きそうなツラをしていたシュンが首を何度か左右に振りながら「桜井は謝るな…、お前が悪い訳じゃない…っ」と今までにない優しい喋り口調になっていた。そうしているうちにも構えていた銃を力なく下ろしては全てに諦めがついたかのような憑き物が落ちたみたいな顔でシュンは桜井と向き合ってくれる。
「俺も同罪なのかもしれない。マサは平行世界の俺なんだから…」
「違うっ…。桜井はアイツと同じなんかじゃない…!俺がお前の良さもダメなところも全部知っているから…!お前と出会った時から今日までずっと…俺は桜井のことが好きだからここまで続けてこれたんだ…!桜井の声の良さも知っている…。俺が作り上げた曲たちをお前は誇り高く歌い上げてくれている…!俺は桜井と出会えて…こうしてアルフィーとして活動を続けてこれたのが嬉しく思うし楽しかったから…っ。だから桜井は謝るな…!お前じゃない、お前はそんな風に俺に謝っちゃダメなんだ…ッ!」
「シュン…」
「そりゃあ賢のことは許せはしないしこれからも許すつもりも毛頭ない…。それに、桜井が賢の記憶を持つ限り俺は何度でもアイツに殺意を向けるだろう…。でも俺は桜井のことは今も好きだから…!俊として…高見沢として、お前のことが大好きだ…!この気持ちに偽りはないって言い切れる!ごめん……ごめん桜井!俺も気持ちの整理がつかなくて今も頭ん中ぐしゃぐしゃでおかしくなりそうだけど…でもこれだけは言えるっ」
そう言うとシュンは床に座っていた桜井の前までやってきたかと思うとアイツは泣きながら桜井の体目掛けて思い切りグイッと引き寄せてはキツいぐらいに桜井を抱きしめていた。
それに対して桜井も驚きながらもシュンの気持ちに応えるかのようにアイツの体を恐る恐る強く抱きしめ返しているこの光景は幻にしか見えないよ…俺には。桜井の方も目元がウルっとしているのがよく分かる。
「俺と出会ってくれてありがとう…!高見沢として…桜井として出会ってくれてありがとう…!!お前の中にいる男のことは死ぬほど憎いし大嫌いだけど、桜井だけは違うから…っ!俊として…お前のこと、ちゃんと大好きだから…っ!!辞めたくない…!解散なんか絶対したくない…!!桜井とアルフィーとして続けていきたいって本気で思ってるから…!」
「シュン…。お前…そんなこと思ってくれてたのか…?」
「当たり前だろっ…?何年の付き合いだと思ってるんだよ…!前は…ごめん。俺、幸姉のこととなると見境なくなって自分でも何するか分からなくて…。だから坂崎にもめちゃくちゃ迷惑かけちゃって…俺、自分が高見沢として生きているのも忘れるくらい暴走しちゃって…。ごめん…坂崎。本当にごめん…」
「えっ…!?う、うん…」
突然こっちに振ってくるからビックリしたけどシュンがあまりにも素直に謝ってくるからどーしちゃったんだよとは思うものの、これだけシュンが本音をぶつけてきてくれているのを目の前で見れてなんだかホッとしたような気がする。
そうだよね…、コイツもまだまだ若いんだから仕方がないよね。色んなもん背負ってきちまってるせいでその重圧に耐え切れなくてユキに対しても強く執着して、自分の思い通りにいかないと理性が崩壊するほどコイツの精神状態はいつもギリギリだったんだろう。
とんでもない世界でユキたちは生きているんだって…初めてここでようやく納得出来た気がした。
マサの奴を一人悪者にしようとは俺も思わない。アイツにだってやらなければならない仕事があったのも本当だろうし、店の女の子たちに対してどう扱ってきたのかはマサ本人から聞いた訳じゃないから分からないけれど、本気でユキを逃がそうとしていたのも事実だったみたいだから、アイツはアイツで店の者を守り抜く意地もあったはずだ。多分マサも権力者の一人だったんだろうけど、アイツがそこまで上り詰めたその力は間違いなく本物だし死ぬほど努力して勝ち取った地位なんだろうってのが分かるよ。
俺も桜井も高見沢も…十年近く苦しい思いや苦い思い出があったにしても、それはそれとして今となっちゃいい思い出だし楽しかった時ももろんある。
だけどユキを含めたこの四人は全員楽しい思い出なんてほとんどなく生きてきたのだろう…
そう思うと…
そう思うと……
どうしたって泣けてくるのは当たり前でしょ…?
だって平行世界の俺たちなんだよ?
なんでコイツらだけこんなにも苦しい思いして生きていかなくちゃならなかったんだよ…っ?
なんでこんなにも俺たちは違うんだ?
同じ俺たちなのに……
「……っ」
「…?幸之助…?」
突然涙を流している俺を見て驚いているユキだったけど、俺はユキが座っている隣へと腰を下ろしてからそのままユキを抱きしめてやる。
「全員…こっちにいなよ…。こっちの世界にいればお前たちは苦しまずに済むんだよ?向こうの世界にいた時みたいにもうツラいこともきっと起きない。好きなことして生きていこうよ…」
「幸之助…」
ユキから一度離れ、床で未だ座っていた二人を見つめては俺は再び口を開く。
「シュンもマサも…沢山向こうの世界でツラい思いをしたんでしょ?だったらもうお前たちは高見沢と桜井として生きて楽しくやっていこう?だってほら…今だって楽しいでしょ?大好きな音楽を仕事にして俺たち生きていけてるんだよ!これって本当に凄いことじゃん?」
「…まぁ」
「それは…そうだけど…」
「向こうの世界のことを忘れろとは言わないよ。でも二人とも今こうしてちゃんと転生出来て、二人は二人の人生満喫出来てるじゃんか…!過去に縛られたままなんてもったいないよ?ね、俺と一緒にこれからも音楽続けよう?俺たちのこと待っている人たちが大勢いるのも二人は分かってるでしょ?」
「だけど俺…やっぱり幸姉や賢が目の前にいるって分かってるとまた何するか分からんくて…」
「そこは上手く高見沢と折り合いつけてやっていくんだよ。……高見沢、いるんでしょ?」
シュンと人格が交代している高見沢へと俺が呼びかけると、シュンが一度目を瞑ってみせるとそのまま目を瞑りながら静かに高見沢が「なんとかしてみせる」と宣言してくれた。
「うん。これでどうにかなりそうだね俺たち。高見沢はマサになんか言いたいこととかあるの?」
「俺は…」
上手くシュンと交代出来ているのか、目を開いた高見沢が先程とは違いかなり冷静な状態で桜井と向き合ってみせると、今まで桜井だったのが一瞬にして目つきがマサへと変わっていくのが見て取れる。
「シュンがマサを死ぬほど恨む気持ちが捨てきれないのは当然と言えば当然なんだけど…、でも高見沢としてはマサ…お前が本当の悪人だなんて俺は思えない。ユキちゃんを高貴な花魁として育て上げたのもお前がその花街の店の中でも相当上位にいた証なのは分かってる。数多の女郎の中でも花魁と呼ばれる娘たちはほんの一握りだってのは俺もなんとなくは知っていたから…だからマサがかなりの手練でユキちゃんをいかに上手く扱ってはマサなりに大事に育て上げたのも分かってやれるつもりだ」
「…あぁ、確かにそうだ。嫌になるほどの数の女郎たちが吉原にいるのは確かだが、幸みたいに花魁と呼ばれる遊女はほんの僅か。片手で数えられるか数えられないかくらいの希少価値のある存在なんだよ、幸は。俺がどれほどユキに手を掛けたかお前らなんかが知るはずもねぇわな…。だろ、幸?お前はあの花街の中じゃ相当優遇されていたのは分かってんだろ?」
「ま、まぁ…な」
振られたユキが少し言いにくそうに答えるが、別にマサに言わされてる訳ではなさそうなのでこのまま様子見しとくか。
「俺は…自分がいい奴だなんて微塵も思っちゃいねぇ。多くの女たちを買い取ってはその子らの心を死なせて魂を殺してきたのも俺自身なのには変わりない。けどそれが俺たちの世界だ。かつてこっちの世界にも遊女たちがいたように、これが俺や幸たちの世界の現実なんだ。金を持つ者が上に立つのは当然。俺らの世界じゃ人身売買は違法でもなんでもねぇし、俺もそうだが俊だって似たような仕事をしてただろうが。俺は買い取った女たちは出来る限り大切にしてきたつもりだ。だって大事な商売道具だからな。…けど、俊テメェは俺以上の悪事を働いたツケが回ってきたから俺と死ぬ羽目になったんだよ。お前の噂は知っていた。若くしてとんでもねぇ富と名声を手にしたお前の噂は俺の耳にだって届いてきていたよ。お前と会う前はただ単にすげー奴が出てきたもんだななんて呑気に考えていたけど…、お前が幸に会いに来て幸を買い取ろうとした時本気で俺は危機感を覚えたのも事実だ。本気で幸がお前に殺されると…そう思ったよ」
「…うん。シュンの記憶を見ている限り俺もマサの言葉に凄く頷けるよ。法律に触れるかどうかの瀬戸際で…人を人とを思わないような扱いをする仕事をしていたんだもん…。マサがユキちゃんをこの男から逃がして当然だった思う。そこに言い訳なんて求めていない。悪いのはシュンなんだから」
「幸や他の遊女たちは…俺が生きていく為の商売道具でしかなかったけど、自分で言うのもなんだが俺はあの花街の妓楼の中でも相当女たちを優遇させてやっていた方だと自負している。他の妓楼の遊女たちはもっと酷い扱いを受けていたはずだ…。食い扶持がつかない貧乏な両親の元に生まれちまったあの娘たちを…どうせ未来なんてないに等しかった少女たちを少しでも夢見させる為に俺は遊女として育て上げてきたつもりだ。短い寿命の中で必死に足掻く彼女たちを見て俺は…俺は何がしたかったんだろうな…結局。救える訳でもなく、一思いに死なすことも出来ずに…時々本物の金持ちの男に買われていく彼女たちを見て俺は……ただその世界に突っ立ってあの忌々しい世界を眺め続けていただけ…。許嫁がいたのに俺はアイツを幸せになんてしてやれなかった…、泣かせてばかりいた気がする…。だからこそ俺は…桜井賢として生まれ変わった今はこの人生を全うしとうと思ってる。もう誰にも邪魔させない。もう誰も不幸になんてさせたくない。俺は…前世で償いきれなかった罪を今この世界でただ精算したいだけなんだよ…。だから俊……、俺のことを許せだなんて言わない。でも、もう俺のことは放っておいてくれ。俺は過去にいつまでも囚われたくない…今を本気で生きたい…!俺は俺のこの声で人々を幸せにしてやりたい…っ。前の俺は人生途中退場しちまったんだから今度こそは大切な人たちと一緒に生き続けてやり遂げたいだけなんだ…っ。その大切な人の中にはもちろんお前も含まれているんだよ…っ。俺だって高見沢が好きだ。だからここまで一緒にやってこれたんだよな?…だろ?」
あんなにも…切なそうな表情を見せるんだな、マサは…
隣で見ていたユキも本当にこの人はマサなの?というような不思議そうな、なんとも言えなさそうな表情をしているのだけは分かる。
「…当たり前だよ。俺の中のシュンがどう言おうと俺はマサのことを肯定する。真面目に…本気で今を生きようとしているお前を絶対罵倒したりなんてしない。…ま、まぁ少なくとも高見沢としてはだけど…。シュンが複雑そうにしているからマサへの怒りは少しマシになってるような気もするはするけど…、コイツ頭おかしいからまたいつ爆発するか分からんもんで曖昧な言い方になっちまって悪いけど……うん」
「それでいい。俺だってシュンに許しを乞うほど軟弱もんじゃねーよ。こちとらシュンのことなんて当たり前だが嫌いだし俺も願い下げだっつーの。さっきの土下座は桜井が勝手にやっただけだから真に受けるなよ。分かったか俊?」
「っ…、ちょっとまってあんまシュンを煽らないで…!コイツ抑えつけるの本当に大変なんだから…っ!」
高見沢の中のシュンが怒っているのかは知らんが、また高見沢が焦ったようなツラして心臓部分を押さえつけては必死にシュンを宥めている様子だ。ちょっとは上手く共存出来てるのかね、コイツらも?
だけどなんとか上手くまとまったか…?争いは起きなかった。もうそれだけで俺としては大成功だよ、ホント。
隣にいたユキに顔を向けると、ユキもめちゃくちゃホッとしたような顔をして俺を見つめてくる。
「幸之助…ありがとう。俊も賢さんも救ってくれて…本当に感謝しかないぞ」
「俺がやった訳じゃない。二人が……いや、四人が互いを尊重し合ってきちんと対話したからだよ。ほら、俺らちゃんと全員で話し合ったことないじゃん?ずっと一方的に俺二人から攻撃されてただけだったし、あの時もシュンとマサと話し合う間もなく二人ともユキに記憶閉じ込められちゃったんでしょ?」
「ま、まぁ…そうだったな」
「だから俺は今こうしてシュンとマサと改めて話し合えて良かったよ。出てきてくれてありがとう二人とも。二人が出てこなかったらこんな結果になんてならなかったはずだ。そして俺もきっとずっと高見沢とシュンに大して心を燻らせた状態のままだったかもしれないから…だからこうして話せて良かったよ」
「坂崎…」
「俺たちの関係は平行線のままなのには変わりないけど、でも昨日よりもお互いを多く知れて互いを許し合えた。それだけでも凄いと思わない?」
「…そう、か?」
「凄いことなのか」
「凄いでしょ!高見沢……いやシュン、聞こえてるか?」
「……なんだよ」
「お前がユキに対する想いが本物だってことを目の前で見て知れた。だから俺は引き続きユキと高見沢の関係には目も瞑るし口も出さない」
「……。」
「けど、お前がもしユキを傷つけるようなことがあれば俺と…もう一人の俺がお前を絶対に許しはしないことだけは覚えとけよ?ユキはお前だけのもんじゃない。そしてユキの気持ちをきちんと受け止めて、その気持ちから逃げるな。現実逃避するな」
「……っ」
「大丈夫、お前なら出来る」
「幸姉を…諦めろってことか…?」
「そうは言ってないだろっ?ユキだってお前のことをずっと気にかけてくれていたんだからただそれに応えればいいだけだってば。お前の一方的な気持ちだけをユキに押し付けるなって言ってんの。ユキにはユキの気持ちや考え方があるんだからそれを押し潰そうとするな。そして脅すな!分かったか?」
「……分かっ…た」
「全然分かってなさそうなツラしてんぞお前…」
まぁこれからはそこを変えてくれさえくれればお前ももうちょっとはマトモになるんだから、せめてユキへの想いだけでも改め直してくれよ…シュン。お願いだから。
そしたらひたすら聞いていただけだった幸介が「俺は引き続きお前ら二人のことなんて大嫌いだからヨロシク」とぶっきらぼうに言い放っている。まだ年下の若い俺相手だからなのか、シュンもマサも最初からだったがあんま気にしてなさそうというか「あっそ」みたいな態度がなんかなぁ…
もうちょっと頑張れな…幸介も。
「幸介は…これで大丈夫そうか?」
俺がそっと尋ねてみせるともう一人の俺は「ふんっ」と相変わらず可愛げのない態度をしているものの、最初の頃よりかは柔らかい雰囲気をしているのがなんとなーくは伝わる。
「お前らが本当に姉さんに酷いことをしなければ…まぁ」
「ユキはこっちの世界に居続けてもいいの?」
「姉さんがそうワガママ言うなら……」
「姉ちゃんには甘々だなお前」
「なっ…!うるせぇ!だったら連れ帰るぞ!?」
「ありがとな、幸介。お前が来てくれて良かった」
「…っ!や、やかましい!そんなんで俺を手懐けるだなんて思うなよッ!」
「そうだな」
照れてしまい、そっぽ向いてしまったコイツが段々と可愛く見えてきたな。
そんな弟を見ていたユキはクスクスとおかしそうに愛おしそうに笑っているもんだから、俺含めたユキ以外の男四人はようやくユキの笑顔を見れてどこか安堵出来たような気もした。
ユキ…良かったな、本当に。
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