罪人続編 番外編弐 - 30/32

最恐さん

 

秘坂「お前大丈夫かー?」

七「なにがぁ」

主君「今はいつもと同じツラしてっけど、あんな優しい顔見せて大丈夫なんか?ってこと」

七「うるせー主君テメェには言われたくねーっつーのぉ」

主君「は?」

七「あらやだの前であんなツラすんのに、俺に説教すんなー」

主君「ばっ..」

秘坂「お前ら二人大丈夫か?」

七主君「うっせーなぁ!!」

秘坂「警察の俺からしたら、罪を償おうとする姿勢は偉いと思うし、嫌いな船頭の前であんだけ素直になれるのは素晴らしい(パチパチ)」

七「けっ、エラソーに」

秘坂「恥ずかしいことじゃねーだろ?」

七「..そうだけどぉ」

主君「不満か?」

七「さー、どーかなぁ」

秘坂「今日は歯切れ悪いな」

七「….。」

主君「別にムリしなくてもいいのに」

七「..俺ムリしてるように見える?」

秘坂「ん?」

主君「どーした」

七「自分の罪の重さに気づいた時、この先どーやって生きていけばいいのか分からなくなっちまってな..」

主君(まーた口調元に戻ってる)

七「うちの桜井はこのまま罪人たちを導き続ける方を選んだ。けど俺の方はどーすりゃいい?アイツらに次から何をしてやれる?」

秘坂「今まで通りじゃダメなのか?」

七「..俺が今まで通りじゃいられなくなっちまってるしな」

主君「なーにを今更弱気になってんだよ。お前がヤベぇ罪人だってことくらいみんな知ってんだから、あんま重く受け止めんなよ」

七「….。それは知ってるけど、仕事は一応真面目にやってきたつもりだったし、アイツらを理解してやれるのは俺らしかいないって思っちまってたから..。それなのに俺は今どっち側にも行けない状態だしな」

秘坂「んなもん一々気にしてたら仕事やってけねーぞ」

主君「お前がそんなに人のこと考える奴だなんて思ってもみなかったわ」

七「..もうちょっと真剣に俺の話し聞いて欲しかったんですけどぉ。ま、おめーらに聞いた俺がバカだったよ。じゃーな」(シュッ)

 

主君「行っちまった」

秘坂「アイツ、ガチで悩んでるのか」

主君「..もう少しちゃんと聞いてやれば良かったかもな」

秘坂「こればっかりは自分たちの世界で解決してかなきゃいけねぇ悩みだからよ、俺らにとやかく言う権利はあんまりねーと思って黙ってたんだがな」

主君「ま、ムリもないけどさ..。自分の犯した罪の重さに潰されちまったらやっていけなくなるとは思うけど」

秘坂「お前は反省しないな」

主君「周りが正真正銘クズばっかだからマトモには生きてけねーよ、見りゃ分かるだろ?そりゃ嫁が生きてたら違ってたと思うが」

秘坂「それがお前の恐さの魅力だってのは分かってるわ」

主君「けどまぁ、俺らの世界と違って七十二番のとこは船頭もマトモだし詐欺師の俺もそこまで悪い奴じゃないからなぁ..。余計に分からなくなっても仕方ねーか」

秘坂「確かに見ててちょっと可哀想だなとは思ったしな。しょーがねぇ、追いかけるか。ほら、おんぶしてやるから乗れ」

主君「な、なんで」

秘坂「おめー一般人だからそんな速く走れねーだろ?」

主君「んじゃあ..」

秘坂「よし、行くぞっ!」(シュンっ)

主君「走るってか、ほぼひとっ飛びやんけ!!」

 

 

 

船「ん?」

秘坂「よぉ、船頭」(シュタッ)

船「どした?」

主君「七十二番見かけなかったか?」

船「七十二番ならもう俺らの世界に戻ってったぞ」

秘坂「あー..戻っちまったか」

船「なんか用だった?」

主君「さっきちょっとアイツの話しを真剣に聞いてやれなくて拗ねて帰っちまってな」

船「だからちょっと機嫌悪そうだったのか」

秘坂「アイツに今会えそうな雰囲気か?」

船「うーん..あの感じ呼んでも来なさそうだから俺らの世界来る?」

主君「マジ?」

船「どーする?」

秘坂「..行くか」

主君「お、おう。悪魔たちが居る世界、か。俺が入っちまっても大丈夫なん?」

船「さー?w」

主君「コイツ..」

 

秘坂「すんませーん、お邪魔しまーす」

主君(なんだここ、めっちゃ居心地悪ぃ)

二「あれっ??なんでお前らがここにいんのっ?」

船「なんか七十二番に会いたいんだとよ」

二「やめた方がいいぞ、今の高見沢機嫌悪ぃから」

主君「それ俺らのせいやんね」

二「あーそう?じゃあ会う?俺らの家に居るぜ。入るか?」

秘坂「よろしく」

二「おーい、高見沢ぁ!秘密警察と主君来てるぜー」

 

七「ハァ!?なんでこっちの世界まで来てんの!?」

主君「おめーに謝りたくて来ました」

七「キモっ!!」

主君「キモいとはなんだオイ!怒」

秘坂「まー入った入った、家の中で話そーぜ」

七「ここ俺の家なんですけどぉ。怒」

二「何の為に来たんだお前ら?」

船「真剣な話しだとよ」

二「ふーん」

 

主君「さっきは悪かったな。茶化してた訳じゃないんだ」

秘坂「こういうのは自分の世界で解決するもんだと思ってな..」

七「んなコトわあーってるつーの。..たださっきはちょっとイラついただけだよ」

秘坂「すまん」

主君「悪かった」

七「….素直すぎてキモいんですけどぉ」

主君「なんて言われてもいいが、悪いと思ってるのは本当だから」

七「..そう」

秘坂「さっきの質問だが..。俺は別にそんな悩むことじゃねーと思うわ。寧ろ得しただろ?」

七「得?」

秘坂「お前は両者の気持ちが分かるようになった。罪人相手には罪人としてのお前として接すればいいし、罪人じゃない奴相手には新しく生まれたお前で接すればいいじゃねーか。何が悪い?」

七「..でも、俺散々今まで船頭に罪人たちを理解しろって言ってきちまったし..」

主君「でも船頭はそのことを特に責めたりしてねーんだろ?」

船「え?うん、そりゃ..責めるつもりもないよ。寧ろ俺は七十二番に今回のことがあってから、嬉しいって思う感情のが強かったし」

主君「だとよ。二十四番だって腹立つことじゃねーだろ?」

二「全然。逆に俺の方が置いてかれてる気分で寂しいっつーに」

七「..そうなのか?」

二「だってずっとお前と一緒の気持ちだったのに、急に高見沢が船頭たち側に行っちまうんだからさ。そりゃちょっとは寂しい気持ちにもなるよ」

秘坂「ほら、悩まなくていいんだって。七十二番だってなりたくてこうなっちまった訳じゃねーし、なっちまったもんはしょーがねーだろ?」

七「..うん」

主君「そうやって自分の罪を償おうとするだけお前はすげーよ。ほら、俺らの世界の奴ら見てみろ!誰も反省してねぇからな」

二「草しか生えん」

船「マモン様たち呼んでこよーか?」

主君「勘弁してくれ」

秘坂「警察の俺が言うけどよ、お前のやった罪は許されるもんじゃねぇとは確かに思う。死んでいった奴らはお前のこと一生許さないだろうし、こんな程度で分かった気になってんじゃねぇって思ってるだろう。..だからこそお前は生きるって決めたんじゃねーのか?」

七「生きてくつもりではいる..」

秘坂「俺もあんま説教するつもりはないからよ、そんな暗い顔すんな。人ってのは難しいよな、そう簡単に気持ちが分かる訳じゃねーし、理解されようとすると腹たってくる時もあるしで..ホント人間って面倒くせぇわな」

主君「なぁ、七十二番。お前はどっち側にいたいとかあんのか?俺側なのか、秘密警察側なのか?どっちだ、え?」

七「それは..」

主君「つーかそもそも最恐トリオの名前をまだ持っていたいのかお前は?」

七「も、もちろんその気持ちはある..!けど、」

秘坂「けど、じゃねーよ!最恐でいたいんならもう文句言うな!人間なんてクソほど面倒くせぇ生き物なんだから、ムリにどっち側につこうとか今決めつけなくったっていいんだっつーの!つーか元々罪人なんだから、以前のままのお前でも俺はいいと思うがよ」

主君「そもそもどんなに後悔していようがテメェは人殺してんだからお前が秘密警察や船頭側にいれると思うなよ。んなもんに悩んでるのがアホらしいわ。俺もお前も悪。お分かり??」

七「言われなくったって分かってる!」

主君「さっきまで分からなくなったとか言ってたじゃねーか」

七「うっせーなぁ..!そんな簡単に答えが出るかよ..っ」

秘坂「だから、焦って答え出さなくてもいいんだよ」

七「俺らの寿命あと三年なんですけど..」

秘坂「あ?知るか」

七「無責任かっ!」

主君「おーう、無責任さ。俺も秘密警察もこの世界の住人じゃないからな」

七「….ハァ。ま、お前らなりに慰めてくれてるってのは分かったよ。わざわざ俺らの世界まで来てくれるくらいには俺の心配してくれてるってことだろ?」

秘坂「心配して欲しかったんだろ?」

七「ばっ..!違うわぃ!!」

船「それじゃあ面倒くせー女みたいじゃん」

七「あぁ~??」

二「まぁまぁ。ちょっとは元気出たか、高見沢?」

七「..ちょっとだけな(フイッ)」

主君「ったく。二十四番が死にそうになったくらいで大袈裟なんだよ。大事な人失くした俺や船頭見習えや」

船「お前と同じにされたくないんだけど..」

主君「でも同じだろ?」

船「くっ..」

 

七「ふぅっ。取り敢えず、さんきゅーな。あんまこの島に居ない方がいいから送ってくよ」

秘坂「おう、そーか」

主君「俺ここから早く出たい」

二「キッついか?w」

主君「なんかイヤ~な感じは漂ってるな」

船「よし、俺らも送りに行くかー」

 

秘坂「おい、船頭。お前ちゃんとこの罪人二人の様子見張っとけよ」

船「言われなくても分かってるよ」

秘坂「これからは今までとは違う生き方になってくかもしれねーからよ。..俺は七十二番が心配なのには変わりない」

船「アイツは羨ましいな..。外の世界に行けばお前らがいつだって一緒に居てくれるし、心配されるなんてよ。警察のお前が罪人を心配してくれるなんて、幸せ者だよ高見沢は」

秘坂「….。流石に理解はしてやれねぇがな」

船「それでもいい。支えになってくれるだけでアイツにとって….(ゾクッ)」

秘坂「..なんだ」

船「お、お前ら急げ!サッサとこの世界から..!!」

 

 

マモン「….この世界の者ではない気配がしたから追ってきてみれば..。なんだ貴様らは?」

秘坂主君「!?!?」

七「マモン!?なんでテメェが..!!」

船「ま、マモン様..」

二「なんの用だ?」

マモン「それはこっちのセリフだ。なんだ貴様らは?」

秘坂「..ふぅん、アンタがマモン様ねぇ」

七「おい主君、俺の後ろに居ろ」

主君「お、おう..」

マモン「私たちの世界ではない者がここに来るのは二回目、か。貴様らは坂崎のなんだ?」

船「こ、コイツらは別の世界の俺たちでして..!危害加えに来たとかじゃなくて、ただ七十二番が心配だからこっちまで来てくれただけなので..」

マモン「ほぉ、この忌まわしい罪人が心配とな。物好きがおるもんだな」

秘坂「..へーへー物好きですいませんねぇ、悪魔様。俺たちはコイツとの仲も長いんで見捨てられなくってよ」

マモン「貴様は..悪を取り締まる側の者か」

秘坂「よくお分かりで」

マモン「それがなに故罪人の心配をする?対立する立場ではないのか?」

秘坂「しょーがねーだろ、切っても切れない縁ってやつでな俺たち最恐トリオは!もちろん始めの頃はこんな最低な奴らとなんで連まないといけないんだって思ってた時期もあったけど、今は二人の後ろめたい過去も知ってるし悲しい奴らだってのも知ってる。おめー、こんなに長く罪人共と一緒にいるのにそんな事も分かんねーのかぁ?ああっ!?」

七「お、おい秘密警察..!!(ヒヤヒヤ)」

二(コイツ、バカなのか)

マモン「分かりたいとも思わんな。愚かしい人間風情が。..貴様よりも気になるのが、七十二番の後ろにおる男の方なんだがなぁ」

主君「..っ」

七「テメェ、絶対コイツには手ぇ出させねーからな」

マモン「罪の匂いがたっぷりとする。そこの罪人二人なんかよりも、更に重たい罪の匂いがな」

主君「..だから何だってんだ?俺様を裁きたいのか?えぇ?」

船「おい主君..!」

マモン「裁けるものなら今すぐ裁きたい..が、流石によそ者に対して無礼は働けんのでな。傲慢に憤怒、強欲..か」

秘坂「..俺と主君のことか?」

マモン「….。もう良い、帰れ。違う気配の正体が知れたので貴様らには用はない。この気配、しかと覚えさせて貰ったぞ」

 

船「あ、マモン様..!」

二「追いかけなくていいわあんな野郎」

七「大丈夫だったか?二人とも」

主君「やっべー..心臓バクバク言ってる..」

秘坂(..クソっ。この俺が足の震えが止まらないだと?)

七「..秘密警察?」

秘坂「あぁ、大丈夫。ちょっとビックリしただけだ」

船「悪かった..急に悪魔が出てきて。まさか出てくるなんて俺も思わなくてさ..」

主君「ま、イイもん見れたし気にしてねーよ(恐かったけど)」

七「すまねぇ、主君」

主君「いーや。お前が庇ってくれて嬉しかったよ。流石罪人は悪人のこと分かってくれますねー。その心さえあればこの先もやっていけるさ」

七「そ、うか..?」

秘坂「あぁ、もうお前大丈夫だからサッサとこの世界から出よーぜ」

七「あ、うん」

二(主君いい事言ったのになんか秘密警察に流されてねーか?)

船「ホントごめん二人とも..(-_-;)」

 

 

 

マモン「外の世界には面白い奴らが沢山いるのか..。楽しませて貰えそうだな」

 

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