Cafe I Love You⑅◡̈*

振り回されジェイくん

ふわぁ~と大きなあくびをしていると、どこからか「ジェイ!」と俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

ん?と思わずとも、その声の持ち主はタタタッと小走りでこちらに向かって走ってくる黒い猫。隣の店で世話をされている奴だ。

ピョンッと俺の傍まで降り立ったのはアル。

俺より少し年下で、隣の店の親父にベッタリで素直な奴。いつもその無垢な笑みを周りに見せては色んな人間たちから可愛がられてるコイツは、まるで計算してるのではないかと感じてしまうような猫だ。しかし、コイツと話していれば分かる通り、アレは計算だとは思えないがな。‥多分。

「よぉ、アル」

「ジェイ何してたの?お昼寝?」

「昼寝なんかしてないさ」

「え~。じゃあなんでそんなに眠たそうなの?」

「眠たくないからな。俺はこの街を見守っているんだよ」

「さっきおメメ閉じてたように見えるんだけど‥。そんなので街を見守れるの?」

「だから、寝てないって」

しつこく質問してくるので、無意識で目付きを険しくしてしまえばアルが「分かったよ~」と言いながらクスクス笑っている。なんだよ、俺の顔を見て笑うな。

プイと顔を逸らしてみせるもアルは気にしていないようで、「ねぇ、広場行こうよ!」と何故か俺を誘ってくる。その提案に対して、ハァ?と声をあげてみるもアルは「お散歩しよ~!」とずっと誘ってくる。

なんで俺が‥

そう思っていると、「あれ、また太ってる?ダイエットしてないの?」という余計な声が聞こえてきた。

「あ!父ちゃん」

「親父か‥。またダイエットの事聞いてきやがる」

ここ最近、親父から会う度に痩せろ痩せろ言われてる気がするな。親父が居る方向に顔を向けていると、俺と目の合った親父が「寝てたの?」なんて聞いてきやがる。

コイツら親子はなんなんだ。

フンッとそっぽを向けば、この場から立ち去ろうとした俺を見て慌てて追いかけてくるアル。後ろからテテテッと着いて来る足音はすぐ俺に追いつき、「ジェイ、どうしたの?」と尋ねてくるが‥

お前ら親子が同じ質問ばっかしてくるからだろう。

「ダイエットの事?気にしてるの?」

「あのなぁ‥」

「だったら一緒に広場まで行こうよ!運動にもなるよきっと!」

「だから何でそうなる」

「よし、じゃあ行くぞー!」

「‥‥。」

コイツ‥分かって言ってんのか、無意識なのか。

ハァ、と溜め息を一つついてから取り敢えず俺よりも先に歩いて行ってしまったアルに着いて行くハメになった。なんで俺がわざわざ広場に行かないとならないんだ。あんまり行きたくないんだけどなぁ‥

そう思いながらもいつの間にかマルシェに着いてしまっていた。

しかし、ここに来たという事は‥あの三匹がいるって意味だよな。もうニオイが漂ってくるし。うーん、会いたくないなぁ。

するとアルが「あ!このニオイ、絶対トリオがいるね」と口にしてきては俺に「早く行こ!」と誘ってくる。

「タクローさんいるけど大丈夫だよね?ジェイ、あんまりタクローさんと仲良くなさそうだけど‥」

「それはあっちが俺に対して冷たくするからだろう?飼い猫が悪い風に言われたりしたら仲良くしたくないって」

「うーん、確かにそうかもしれないね」

「ハァ‥。気が重いなぁ」

広場に入るやいなや、あちらも俺たちのニオイに気付いたのか、ガササッと草の茂みから現れたのはコパンダだった。俺とアルを目にした途端、茂みに向かって「タクローさん!トウフ!アルと珍しくジェイが来た!」と大声で伝えているが、別に呼ばなくてもいいっつーのに。

すると、また茂みからは二匹の猫がヒョッコリと顔を出す。

「わぁ!珍しいね、ジェイがここに来るなんて」

「なんだトウフ。お前、また見ない内に太ったな」

そうツッコミを入れたが、すかさずタクローさんに「そういうジェイもだがな」と言われてしまえば、うぐっと次の言葉を詰まらせてしまった。

‥だから嫌なんだよ。

ツンッとした態度を示していくが、タクローさんが「なんでここへ来た?どういった風の吹き回しだ」と聞いてくるので、アルに無理やり連れて来られたとだけ伝えてみるも、アルがそれに反論してくる。

「連れ回してはいないよ!ジェイのダイエットの為に僕が一緒に着いてきてあげたんでしょ?」

「ハァ!?なんかさっきと言ってる事が違うぞアル!」

「違くはないでしょ」

「おい、ダイエットするんだったらトウフも一緒に連れてけ」

「え~っ。タクローさん、それはないっすよ~。ボクだってそれなりにダイエットしてるじゃないですかー」

「どこがだ!」

タクローさんにつっこまれてるトウフ。その隣ではコパンダが「えいえいっ」と言いながらトウフの腹辺りをツンツンしていた。その感触はプニプニしているようで、案外気持ち良さそうだ。

そんなやり取りを見ていたアルは何故か笑っていやがる。お前が俺をここに連れて来なければ良かった話だっつーの。

「‥‥、」

「あれ、どうしたのジェイ?」

「何にもない」

「え?トウフと一緒にダイエットするって?」

「一言も言ってないが?」

「丁度いい。お前らフタリ、ダイエットして来いよ。ここの広場二周な」

「えぇっ!そんな~!二周は勘弁して下さいよ」

「二周も走れないでどうするんだよトウフ。オレなら二周なんてすぐに走り終えるぜ!」

「ったく。食ってばっかだと肥満で動けなくなるぞトウフ。それとジェイも」

「‥ご忠告あざっす」

「なんだ、心が篭ってないなジェイ」

くっ‥

「ありがとうございます、タクローさん。けど俺だって気を付けているんで、そこのまん丸トウフみたいにならないようにしてるんすよ」

「ほぉ。ならそこ走ってみろよ」

ハァ?

なんでそういう流れになるんだ。

ジト目でタクローさんを見ていれば、アルとコパンダはもう既に走る気満々。いや、別に競争とかしてる訳じゃないんだぞ‥。しかしコパンダが「早く早く!」と俺とトウフを急かしてくるが、俺は走らないからな。

その場で動かないようにしていると、アルが「ジェイ~、走ろうよ~。ダイエットするよー?」などとほざいているが、絶対に嫌だ。

しかも目の前にタクローさんがいるし‥

位置に付けとタクローさんに言われてるトウフは案の定駄々をこねていたが、お尻をバシッと叩かれてしまえば渋々立ち上がってアルの隣に立っていく。‥え、コレって本当に俺もやらないといけないパターンなのか?

「‥‥、」

「ジェイは?どうするんだ?」

「走らないとダメっすか?俺、こんな事に付き合ってる暇なんてないんすけど」

「えーっ!ジェイ走らないのー?」

「‥ふんっ。俺はお前たちと遊んでる時間なんてないんだよ。じゃあな」

「あ、ジェイ!」

「追いかけなくていいのかアル?」

「追いかけるよ」

「追いついたらボクにご飯ちょうだい!」

「追いついたら水をたらふく一杯飲ませてやるよ」

「えー!水~?そんなのじゃ美味しくない~!」

「ワガママ言うなっ!」

後ろから変な会話が聞こえてくるが、無視しながら元来た道を戻ろうとする俺に、「ジェイ!」と名前を呼んでは追いかけてくるアル。振り向かずにそのまま歩いていると、俺の隣までやって来たコイツはほんのちょっぴり申し訳なさそうにしている。

「ご、ごめんジェイ。悪気があって言ってた訳じゃないんだ‥」

「ふーん」

「ボクはジェイの健康を思って‥」

「あのなぁ、俺の事はほっといてくれ。親父と言い、アルといい毎度毎度‥。それに、俺がいつ不健康になったと言った?」

「でも走るのは気持ちいいよ?」

「そーだよ、気持ちいいし楽しいよ!」

タタッと走っては俺の目の前まで回って来たコパンダがそう言ってくる。

ピタッと止められた足に、コパンダとアルはあっちに戻ろうよ~と抜かしてきやがる。

「‥んじゃあ、一周だけなら」

「ホントっ!?わーい!タクローさん、トウフ!ジェイが一緒に走ってくれるってー!」

「よっしゃあ!なら一杯いっぱい走るぞ~!」

「お、おいちょっと待て!言っとくが俺は一周しか走らないからな!?」

「聞こえなーい」

「くっ‥」

調子のりやがって~~‥!!

アルとコパンダの背中を追いかけるように颯爽と駆け抜けていくと、アルが「わぁ!」とビックリした声をあげながら俺を見てくる間にアルもコパンダも抜かし終えては、タクローさんとトウフが居る場所へと戻ってきた。

しかしズザッと足をストップさせたつもりではあったが、上手く止まる事が出来なくて、俺はそのままトウフの上へとボユンッと乗っかってしまう形になってしまったじゃないか。

「うわぁッ!?」

「ゲフッ‥!?く、ぐるじいよジェイ‥!」

「うっぷ‥。わ、悪いトウフ」

「だ、大丈夫?ジェイもトウフも‥」

「凄い盛大にコケたねジェイ」

「運動不足だろ。やっぱりお前ここを二周走ってから帰れ」

「っ~‥」

なんか‥ヘコむな、コレは。

ここはタクローさんの言う通り、本気を出さなくてもいいから二周してから家に帰った方がいいのかもしれない‥

ハァー‥と大きな溜め息を吐いていれば、いい加減トウフの上からどかない俺に対してアルが「どいてあげたら?」なんて言ってくる。だけどコイツ気持ちいいんだよ。

「うー、重たいよジェイ~」

「‥少し休ませて」

「ジェイ、やっぱり毎日ダイエットした方がいいよ」

「ダイエットするならオレも協力するぜ!」

「お前は痩せたらもっと目付きが悪くなりそうだな」

「‥‥、」

ちょっとは親父の言ってる事を受け入れた方がいいかもしれねーな。

(´ε`;)

な、なんかジェイくんがダイエットしろみたいな、いつの間にか書いててこんな内容になってました、すいません‥w

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