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人魚と大妖怪と混血

「わ~!ここに居るの全員人間じゃないね!」

「そうだな」

人魚の目の前に居るのは大妖怪と言われているタカミザワと、まだ人間と妖怪の間の血が通っている幼いサカザキ。

あまり交流がないこの三匹だが、何度か会っているし、人魚の人懐っこい性格もあるせいか雰囲気は悪くはない。それに、タカミザワの膝の上に座っているサカザキが人魚を見つめながらニコニコしているのでタカミザワも安心していられる。

「人魚さん、お久しぶり!くびれ触り隊の時から会っていない気がするんだけど‥」

「く、くびれ触り隊ね‥」

人魚的にはあまりいい思い出はない“くびれ触り隊”という単語。一瞬顔をヒクッと引きつらせた彼だったが、ブンブン頭を振りかざしてはあの時の事を早速忘れようとしている様子。

そんな人魚を気にせずにサカザキは、「そっちに行ってもいい?」なんて尋ねて来られたら頷くしかない人魚。

タカミザワの膝の上から下りて、人魚の膝(?)にぽすっと座り込むサカザキ。下から人魚を見上げながら、へへっと笑う顔が愛くるしい。こんなにも純粋で、穢れを知らないサカザキも中々珍しい方だろうか。

「君は可愛いね~。うちのエロ王子とは大違いだよ」

「当たり前だ。あんな奴とこっちのサカザキを一緒にするなバカ者」

「ごめんっ。でも、一応僕の所のサカザキだって格好いい所あるんだよ?‥って、フォローしとく」

「あんな奴のどこがだ‥」

冷たくあしらってくるタカミザワ。しかし人魚はさほど気にも留めていない。

するとサカザキが、人魚に対して突然質問してくる。

「人魚さんってさ、誰かモデルがいるの?」

「モデル?」

「うんっ!僕たちってね、犬夜叉っていう漫画の世界観から作り出された設定でもあるんだ!だから人魚さんはどうなのかな~?って」

ふむ、と独り言を呟いた人魚。

「僕たちはね、あのネズミの世界の住人から作り出された設定なんだよ」

「ネズミ?」

「そ、そこはあまり追求しないでね‥。リトルマーメイドっていう映画が僕たちのモデルなんだ。この主人公のアリエルって娘が僕のモデル」

「へ~!そうなんだぁ!」

「サカザキは?」

「俺?俺は誰だろうな~。でもね、タカミザワのモデルは知ってるよ!殺生丸って奴!」

「殺生丸?」

「めっちゃくちゃ強くて格好いいんだよ!だからタカミザワもめっちゃくちゃ強くて格好いいの!」

「へぇ!」

「まぁ、ドジな所は違うけど」

そうサカザキが言った途端、タカミザワが右目に掛かっている髪を上げようとするので、焦ったサカザキが「ウソうそ!ごめん!」と慌てた様子で謝っている。

こんな親子のやり取りを見ていた人魚も思わずフフッと笑っていると、タカミザワが目を細めて「なんだ」と威圧的な声で人魚に聞いていた。しかし人魚は、ううんと首を横に振るだけ。

この狭い世界に親子のような彼らが居るのもこの大妖怪と混血だけ。そして、今ここには居ないが法師のサクライを兄のように慕っているサカザキの優しい眼差し。こういう関係も素敵だな、なんて密かに心で呟いた人魚。

「フタリってとっても素敵な関係だよね」

「急になんだ‥気味の悪い」

「ほら、他の世界の僕たちってやっぱり親友設定が多いでしょ?僕もうちの二人とは親友だし、ソフィアになれば恋人だけど‥。でもさ、大妖怪さんや混血サカザキみたいに親子って珍しいじゃん?だから、見ていて癒されるな~って」

「癒し‥?」

首を傾げながらあまり分かっていなさそうなタカミザワ。人魚の下にいるサカザキも不思議そうにしているようだ。

「だってさ、大妖怪さんは続編では消えちゃう存在でしょ?この混血サカザキが強くなる為にも必要な出来事だったとは思うけど‥やっぱり、もう二度と会えないなんてこの子が可哀想すぎるよ」

よしよしとサカザキの頭を撫でる人魚。それに対して嬉しそうに微笑んでくれるサカザキの邪気のない笑み。

「仕方のない事だ。私たちは死者の身にも関わらず現世に来てしまったのだからな。ああなる事を覚悟でサカザキを助けに来た」

「‥自分たちは消えると思っていたの?」

「さぁな‥。しかし私とサクライは悔いておらん。サカザキとその子供たち、それに美しい森も他の我々の仲間を守り抜けた。誇りに思っているさ」

「大妖怪さんってすっごく優しいよね。尊敬するよ」

「尊敬されるような生き方はしていない。私もお前と同じで弱い心を持っていたからな。大妖怪と呼ばれようが、私だって生きている。サカザキが百鬼夜行に奪われた時、私にはその子を育てる資格はないのかと思っていたさ」

「そんな事ないよ‥!大妖怪さん、とっても強いんだから!それに、悲しみも知っているじゃん!法師さんが先に死んでしまった時、辛ったんでしょ?しかも法師さんが寂しがらないようにって、自ら命を絶ったんじゃ‥」

「しかし私はサクライの魂までも道連れにして消してしまった」

「違うよっ!そんな事絶対ない!!」

必死にタカミザワを慰めようとする人魚だが、タカミザワはそれを受け入れようとはしてくれない。そんなフタリのやり取りを見ているだけのサカザキも、少しだけ不安気にしながらオロオロしていただけ。

タカミザワは何かを思いつめているのか、視線を下に落としてしまい、そのまま何も喋らなくなってしまった。

いくら最強の妖怪と言われようが、彼の言っていた通り、彼は弱さを心に飼っていた。しかし、その弱さや恐怖が皆を守り抜く糧となるのも事実。人魚にはそれが分かっていたのであまり強く言えない部分もあったりする。

「タカミザワ‥?」

いつの間にやらタカミザワの目の前に居たのだろうか。

サカザキがうっすら目に涙を浮かべながら彼を心配そうに窺っている。それに気付いた時、タカミザワは柔らかくて温かい笑みを見せては「大丈夫だ」と強がっていた。

「お前は私の大事な子供だ。どんなにお前が弱くても‥小さくても、私はお前を見捨てたりなんかしない」

「うんっ」

「仲間やサクライだってお前を愛している。だからお前は私なんかよりも立派に、そして何よりも強くて、慈悲を忘れない心を持つ妖怪になるんだぞ?」

「うん‥!」

ギュッとタカミザワに抱き付くサカザキに、その小さな力を受け止める優しい大きな彼の手。タカミザワに抱き付くのが大好きなサカザキの姿を眺めていた人魚が、ちょっぴり涙目になっていた事はタカミザワに見られていたようだ。

そのせいで、タカミザワには「なぜ泣く?」とからかい半分の口調で聞かれてしまったが、彼らフタリの関係を見ていたら自然と優しい涙が溢れてきてしまうのは仕方のないものかもしれない。

「泣き虫が二匹もいると私が大変だろう。もう泣くなお前ら」

「うぅ~‥!だってぇ!大妖怪さんとサカザキの親子関係って素敵だなーって思っちゃって‥。だから泣けてきちゃうよーっ」

「大袈裟だな‥」

ふんっと軽く人魚を小バカにしているも、タカミザワの目がとても嬉しそうだ。

「あ、タカミザワまた照れてる!ホント照れ隠し下手だねぇ!」

「‥‥。」

その後サカザキがタカミザワの軽い攻撃によって吹っ飛ばされたのは言うまでもない。

人「‥可哀想でしょ」

大妖「あれも修行の一つだ」

人(ウソだ‥)

(✻´ν`✻)

ほっこりとか、ほのぼのって言われてるのに何故かいつも若干切なさやシリアスが混じるのはなんでだろ‥

ほのぼの系苦手でゴメンなさい

でも、あまり書かない人魚と大妖怪と混血くんの三人。設定が大きく影響してる話でもありますので、ちょっとだけそんなトークさせてみました。笑

そして大妖怪と混血くんは珍しく“親子”の関係ですからね、これは取り上げなければなと。取り上げたらやっぱり暗くなった‥orz

でもこの続編での三人を思い出しながら書いていたら思わず目頭が熱くなりかけて危なかった危なかった、ふぅ

リクエストありがとうございました(๑° ꒳ °๑)

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