英国式マナー講座

今日はアフタヌーンティーを楽しみつつ、イギリスのアフタヌーンティーのマナーを教わってきました🇬🇧

お堅い感じなのかな?って思ってたけど、全然そんなことなくて明るい雰囲気で楽しかった!スコーンも美味しかったけど、それよりもアップルパイがめちゃくちゃ美味しくてもっとそっちを食べたかった🥧笑

そして肝心の紅茶は…、めっちゃぬるくて最初飲んだ時「?」って感じでした🤣

最後アンケートがあったけど私たち6人で行って全員紅茶がぬるかったって書いたw

でも初めて聞いたマナーもあったし、これからもいいお店にもし行った時にしっかり使えそうな知識も手に入れたから行って良かったかな!

向こうはクロテッドクリームじゃなくて、案外生クリームのが主流っぽいみたい。私もてっきりクロテッドクリームかと思ってた.ᐟ‪‪‪.ᐟ‪‪‪

でもスコーンの上に生クリームといちご乗せて食べる食べ方も美味しくてコレいいなぁ!とも思いました⟡.·

でももう一つくらい何か他のスイーツかパンが欲しかったかな…😂笑

 

 

帰還

 

今朝、タカミザワが空へ行っちまってから暫く経つ。

俺は今日仕事は休みだったので、いつものようにサカザキにちょっかい出す為にタクローさんのお店へと来ているのだが、なぜか俺も仕込みの手伝いさせられている。なんでだよ…俺今日休みだぞ?

はぁ〜〜…とデカいため息をつきながら野菜の皮を剥いていると、サカザキが「手伝っちゃってもらって悪ぃなー」なんて呑気にほざく。ったくコイツは…

「タクローさんが戻ってきたら俺は客に戻るからなっ?」

「おう、構わんぜ」

「構わんぜじゃなくてさぁ…お前一人でもこの程度の客なら回せるんだからお前がやれよ…」

「だって…面倒くせーじゃん?」

ですよねぇ〜…。コイツが真面目に働くことなんて一生なさそうだなと悟ってしまった。

 

「ねー」

「んー?」

「タカミザワの奴、大丈夫そうかな…?」

「アイツなら大丈夫だろきっと」

「だよね…。俺たちが信じて待ってなきゃダメだもんね…」

「そうだぞ、お前たちが信じて待っていなくては智天使が還ってこれんだろう」

「!?」

「はっ…!?」

突然の声にギョッとする俺たちとここの店にいるお客さんたち。この声には最近よく聞き覚えがある。

「べ、ベリアルっ…?」

そう、またベリアルが来たではないか。

俺は野菜の皮を剥いていた手を止め近くに置いてあった包丁をそっと手に取り、食器の片付けをしていたサカザキがめちゃくちゃ威嚇しながら「テメェ、何しに来やがった!?」と怒鳴りつける。しかしその程度でこの悪魔が怯むはずもなく、空いていた近くのテーブル席に座り「智天使は天に向かったのか?」と尋ねてくるがサカザキは嫌な顔して「うるせぇ」としか返さない。

 

「そう殺気立てるな人間よ。何か危害を加えに来たのではない」

「悪魔の言うことなんて信じられるかっ!」

「私は智天使が心配でここへ訪ねに来たまでだ。奴が還って来てくれさえすればそれで良いのだからな」

「それは……、タカミザワが天使に戻らなくて済むと安心するから?」

そう俺がベリアルを軽く睨みつけながら質問をすると、奴は「その刃物を置け、人間」と完全に俺が包丁を持っているのを見破られている。この位置からじゃカウンターのせいで手元なんて見えないはずなのになぁ…

なので更にぎゅうっと包丁の柄を強く握りしめてみせた。

「そうだな…。天使たちが奴を取り入って囲い込もうとする可能性もなくはないのでな。それを思うと気が気ではないのは確かだ」

「ふざっけんな。タカミザワは人間だ。もうアイツはこの地からどこかへと行く気はないと言い切ってくれているんだから、アイツは天界にも魔界にも行かねぇよ。ここへ戻ってくる、絶対に」

「随分と余裕があるのだなぁ、お前たちは」

「ここの町の奴らとアイツの絆は誰にも壊させなんてしねぇ。例えお前のような最強の悪魔だろうが天使だろうがな。必ず帰ってくる」

「還ってきて…、奴が天界へ行ったことに後悔していたとしたら?」

「はぁ?」

何が言いたい、この悪魔は…

「酒をくれ。ここは酒場だろう?」

「くっ…。ちゃんと金払えよ!」

サカザキが苛立ちながらカウンターの中へと戻ってきてはテキトーにそこら辺に置いてあった酒をグラスに注いでからもう一度ベリアルの座っているテーブルへと向かうと、わざとらしくドンとグラスを叩きつけては「どーぞ!」と言葉を強めて相手を威嚇する。

 

「苦しゅうない」

「くっそー…ムカつく…!」

怒りでプルプル体が震えているサカザキ。なんでサカザキだけこういつもベリアルにからかわれているんだろうな?

「…ベリアル、お前は何か知ってるのか?」

そう俺が尋ねると奴は「何がだ?」と澄ました顔して酒を嗜みながら答える。

「タカミザワが…天界へ行って、どういう状態で戻ってくるのかをお前は分かっているのか?」

カウンター越しから俺が奴に尋ねると、ベリアルは一度目を閉じてから小さくため息をついては「大概の想像はつく」と素直に答えてくれた。こちらが大人しくしていれば案外素直に話し合いに応じてくれる奴なのか…?

「なんで分かる?」

「…天界の奴らだぞ?お前らが思うほどあそこはいい場所ではないと…そう以前も申したであろう」

「そんなに天界って…嫌な場所なのか?」

なんだかベリアルの話しを聞いていると、どんどん俺の天界への幻想が崩れていく気がするなぁ。でもタカミザワがコイツの話しは半分も信じるなと言っていたから、どこまで信じていいのやらって感じではあるけどさ。

「神の傍にいればいるほど渦巻いていく感情は計り知れなくなる。寧ろ中級や下級天使の方が何も知らないだけまだマシとも言えるだろう。奴らは人間と触れ合う機会が多くよく働くからなぁ。だが上級天使はただの神の取り巻きみたいなものよ」

「取り巻きて…」

「なぜ我らがあんな神なんかを毎度毎度持ち上げねばならぬのだ、バカバカしい」

なんというか…天使は天使で色々神へ思うことがあったのだけは理解した。じゃなきゃ反逆なんてしないよなぁ…、しかも天使の三分の一も引き連れてだなんて。

 

「だがあの智天使は…上級天使の中でも異質な存在だったということだけは分かる」

「タカミザワが…異質?」

「だから我らと同じく堕天させられたのだろう。しかし我らと違うのはその高潔とでも言えるほどの心の持ち主であり、若いが故に底知れぬ力を秘めているのをアイツらは恐れていたのであろう。…そして思い上がって我らと同じように、神に取って代わられるとでも…あの智天使がいつか反乱分子として神やアイツらの首を取るとでも思ったのではなかろうか」

「はァ…?なんだよそれ…。じゃあタカミザワは…まだやってもいない反逆の可能性を恐れられてわざと落とされたって訳か…?」

「アイツらはまた反逆者が出るのを恐れているからな。危険な芽は早いうちに摘んでおきたかったまでだろう」

「んだよそれ…」

「そんなのタカミザワが…」

余りにも可哀想だ……

包丁を持つ手が緩んでしまったのななぜだ?俺は…ベリアルの言うことを信じているって意味になるぞ?

「そ、そもそもなんでそんなことがお前に分かる?」

俺が奴に尋ねてみせると、ベリアルは「天界のことはよぉく知っておる」とだけしか答えない。

「本当にもしそんな理由でタカミザワが落とされたとしたら…アイツは天界で…何を、誰を信じれば良かったんだ…?」

「それは私の答えることではない。奴が見つけてくるまでだ。そして私はそんな哀れな智天使を救おうとここへ毎度ながら来ているではないか。若かろうが力を持つ者には変わりない。そんな奴を見限る天界の奴らの愚行といったところよ。本当に愚かだ」

「くっ…!タカミザワは渡さない!!お前らなんかにも…天の奴らなんかにもッ!!」

「サクライ…」

俺の怒声に少し驚いているサカザキや店にいた客たちではあったが、そんな視線今の俺にはどうだって良かった。こんな話しを聞かされて、俺は…俺はアイツのことを…ッ。

血走りそうな目と固く握りしめるしか出来ない包丁の柄。俺はアイツに…なんって酷いことをしてしまったんだろう…!!

許せない……

自分自身が一番許せないッ!!

「…地上に降りてすぐに智天使を裏切った人間よ。お前に出来ることはなんだ?」

グッと掴んだ包丁を思い切りまな板にガンッ!!と突き刺してはベリアルのいる方へ視線を向けてみせると同時に、その質問に答えるとしよう。

 

「……どんなことがあろうとも俺はもう二度とタカミザワを裏切ったりなんてしない。例えアイツが天や地獄から…果てはこの世界から敵意を向けられたとしても、俺は最後までアイツの傍に居てやる…っ。これが俺のタカミザワに出来る最大限の贖(あがな)いだっ……。俺だけはアイツを信じてやる。何があってもだ!例えそれがタカミザワが犯してしまった過ちだろうとも俺はアイツと共に償う覚悟は出来ているッ。アイツを一人になんかさせない!もう二度と孤独になんてさせない!!」

「サクライ…お前…」

俺のしてしまったアイツに対する過ちは決して許されるもんじゃない。だけどッ…アイツは優しいから…こんな俺をアイツは許してくれたし、俺の為をと思ってアイツはあの時自らの翼を…

あぁクソっ…!考えれば考えるほど自分に腹が立ってしょうがない。なんだって俺はあの時タカミザワのことを裏切ったりなんてしてしまったんだよ…。本当に俺は最低なクソ野郎だ。

「立派な覚悟だ、人間よ。だがあの智天使は私たちが貰い受けるぞ」

「そんなことさせないッ…!!」

「……、」

ギロッともう一度ベリアルを睨みつけると、奴は俺の目とほんの数秒合わせてきたかと思えばアイツは店の外へと顔をフッと向けては何かに反応を示す。ん?なんだ?

 

「……。」

「なんだよ急に…」

サカザキがベリアルに対し、そう尋ねていたがベリアルは無言で席を立ってはいきなり店の外へと出て行ってしまったではないか。急に出て行くので俺もサカザキも互いの目を合わせてみせてから、何も言わずに俺たちも店の外へと慌てて駆け出そうとしたその数秒後…

外の方からはとんでもない突風が立ち、その強風のせいで窓ガラスがその振動に耐えようとガタガタガタッ!というけたたましい音が店内に響いてはここら辺一帯が風の直撃を受けてしまう。

「なっ、なんだ…?」

「今の風は…?」

外で何が起きた?と思い慌ててサカザキと共に今度こそ駆け出してみせる。まさかベリアルが何かこの町の住人に危害を加えたとかか…!?

だとしたらマズイ!

なので急いで店を出て、ベリアルが出て行った方向へと向かって走り出せばそこにいたのは……

 

「えっ…!?」

「天使…だとッ??」

噴水広場の辺りには……

またこの町に天使が舞い降りてきていたようだ。

俺たち以外にも町の住人たちが一斉に外へ出ては音のした方向まで集まってきて、その中にもタクローさんがいて俺とサカザキを見つけると「お、おい!これはどういう事だよっ…!?」と不思議そうに俺らに尋ねてくるけど…

「俺らにも何がなんだか…」

「また…天使がここへやって来たってだけでしょ」

サカザキが少し警戒しながらタクローさんの質問に答えていたが、ここへ降り立ってきたその天使は…今は翼を広げてはほぼ全身を覆い隠してしまっているせいで顔すら確認出来ない。

雰囲気的にタカミザワではないのだけは分かるが、この天使は一体何者…?

そういえばベリアルは?と思い、キョロッと辺りを見渡してもアイツが見当たらない。帰った?いやそんなはずはない。アイツはこの天使が降りてくるのに気づいてあの時すぐ店から出て行ったに違いない。どこかで奴は潜んでいるはずだ。気を張ってなければならんな、こちらも。

しっかし…この状況どうするんだ?

サカザキともう一度目を合わせると、軽く二人で何度か頷けば俺たちが先陣を切って今ここへ降り立ってきた天使の元へと向かってみせる。にしてもあの天使…何かを持っているようにも見えるのは俺の気のせいか…?

恐る恐る近づき、そして「こんにちは、天使さん…」となるべく相手を警戒させない為にも精一杯の優しい声と穏やかな雰囲気で話しかけてみせた。

 

「どうしてこの町へ来たのですか…?」

「……。」

「えーっと…、大丈夫ですよ?俺たちは何も致しませんから。俺たちの町にもその…今は人間になっちゃった天使が住んでるんですよね…!」

「……やはりこの地か」

「えっ?」

覆われた翼の中で相手がそう呟くと、そろ…っと翼を大きく広げてはその姿をようやく俺たちに見せてくれたのはいいのだけれど……

「はっ…!?お、おい!!」

「タカミザワッ!?」

「……。」

この天使が抱えていたものとは…

そう、その正体はタカミザワではないか。

全員が全員一瞬で「えっ?なんで?」となったのは当然のことだ。しかも気を失っているらしく、アイツはその大きな目を今は開けてはくれない。思わず俺とサカザキでタカミザワの元へと駆け出してしまったが、この天使は俺たちの慌てた様子を見て何かを察してくれたらしく「意識はある」とだけ告げてくれた。

そ、それなら良かった…。死んでいたらどうしようかと…

 

「あの…コイツを助けてくれて…?」

「はい。この翼、最早使い物になりませんので」

「…あっ」

「タカミザワの翼が…また…ッ」

俺とサカザキが絶望し切ったような顔を見せた途端、この天使が「このお方はとても立派なお方です。これしきのことで心折れるような方ではありません」と力強く言い切ってくれた。と、というより貴方は…?

「えと…、貴方は?」

「私は能天使です。こちらの智天使様とは一応顔見知りではありましたが余り深い関わり合いもなかったのでこのお方をよく存じ上げませんでしたが、この智天使様はとても気高く誰よりもお強いのです。私はそう…確信致しました」

「凄い…能天使なんて悪魔と最前線で戦う天使じゃ…」

「えぇ、はい。しかし私は…」

「今はコイツがなんの天使かだなんてどーだっていいだろサクライ!?タカミザワは無事なんだよな!?なんで気絶してる!?なんで翼をまた奪われた!?」

「サカザキ…」

俺の隣にいたサカザキはこの能天使に噛みつくかの勢いで詰め寄ってしまっているが、当の本人は顔色一つ変えずに「全ては天の者たちの思惑です」とキッパリと答えてみせた。そのせいで俺たちここにいる全員がまた「えっ…?」と思考を停止させるしか出来ずにいる。

「な、なんで…?」

「…後で話し合いましょう。それよりも先にこの智天使様を」

「えっ?あ、あぁ…!」

そう能天使に言われてしまえば俺もサカザキもその言葉に従うしかなく、タカミザワの体をこちらへと手渡してくるので俺ら二人で近くのタクローさんの店まで運ぼうとしたその時。

目の前にいる能天使がハッ…とした表情をさせながら、次の瞬間には物凄い形相へと変えては腰に携えていた剣をギャリンッと一瞬で引き抜き、そして剣を構えたその先を見据えては厳戒態勢へと変貌していく。す、凄い…今までとても優しい顔付きだったのに一瞬にして表情をここまで変えるだなんて…。流石は最前線で戦ってる天使なだけあるな。

しかしこの能天使がこんな表情に変わるのも仕方がない。だって今俺らの前にはまたベリアルが翼を広げてすぐそこまでやって来ていたからだ。

 

「貴様か!?先程私たちに攻撃を仕掛けたのは!?」

「お前があのままでは地上へと激突するのを防いでやったのを手助けしただけだろう」

「危うく殺されるところだったんだぞ!?」

「だが無事に地上に降り立てたではないか。感謝したまえ」

「誰が貴様のような悪魔に感謝するかッ…!ふざけるのも大概にしろ!!」

「まぁ良い、智天使を無事に連れ帰ってきてくれただけまだマシだ」

「貴様の為ではないわ!他ならぬ智天使様の為だ!!」

「耳障りだなぁ、若造どもは。威勢がいいだけでは私には勝てんぞ」

「能天使の副長であるこの私が貴様になぞやられる訳ないだろう…!?」

能天使の副長だって?もしかしてコイツ、かなり凄い奴なんじゃないのか?

ようやくベリアルが地上へと足を着き、タカミザワがいる方へ近づこうとするもののこの能天使が「皆は早くこの場から散らぬか!」と俺たちへと警告をするも、俺もサカザキも「え、なんで?」という顔をしてしまったせいでなぜか能天使に拍子抜けされてしまった。

「この悪魔はとんでもない悪魔なのだぞ…!?それ分かっているのか!?」

「え?あ、あぁまぁ知ってるよそりゃ…。さっきまでコイツウチの店で酒飲んでたし」

「はァッ??」

サカザキの言葉で急に目が点になってしまった能天使。う、うんまぁそりゃあ意味が分からないよな…

「俺たち何度もコイツと会ってきてるけど、コイツはタカミザワが欲しいからもうこの町の人間に簡単には手出ししないのはなんとなくは分かってるんだよね…」

「なっ…何を世迷言を…!?この悪魔は狡猾でとても弁舌な持ち主の悪魔なのだぞ!?お前たちただコイツに騙されているだけでは…!?」

「まぁ、騙されてたとしてもコイツは俺たちに未だに一切手はあげてこないし、指も一本足りとも触れられたこともない。別に信じてる訳ではないけれど、今はまだなんとなく俺たちは大丈夫だと思うだけだからそこまで心配する必要はないというか、寧ろ俺らはタカミザワを奪われるんじゃないかっていう心配の方が大きいから…」

「えっ…!そ、そんな…はずは…!あ、悪魔だぞ…っ??」

剣をベリアルへと向けながらも驚愕しきっているせいでその体の向きは完全に俺とサカザキの方に向いてしまっている。多分今ベリアルに襲われたら貴方ヤバい目に遭うかもしれませんよ?油断しまくっているのがこんな人間の俺にでも見て取れてしまう。

しかしベリアルがこの能天使に対して「貴様はその智天使のなんだ?」と問うからか、ハッとした顔をしてはベリアルへと向き直っては身構える。

 

「私はただこの智天使様を助けただけだ」

「ではなぜコイツはまた天から堕ちる羽目になった?」

「それは……」

言葉が詰まりかけていた能天使だったが、意を決したかのように言葉を次第に続けていく。

「天の者たちが…この方を陥れ、堕天させようと画策していたらしい」

「なっ…!?」

「そんなワケ…!」

今のこの一言で、俺やサカザキ以外の人たちまでもがザワッとしてはみんなで能天使の方を見やる。

「ほぉ。やはり私の思った通りか」

「…私たち中級下級天使にはその事実は伝わっておらず、このお方こそが神を裏切り欺いたとしか聞かされておらんかったからな」

「そんなことがある訳…!」

俺がそう言いかけた時、能天使が顔を曇らせながら申し訳なさそうで苦しそうな表情をしては「あぁ…。だけど違った」と静かに呟く。

「その事実を知った時、私はどうにもすることが出来なくて…堕天覚悟で思わず智天使様を助けてしまっただけだ…」

そういうことか…

「堕天覚悟をしてまでタカミザワを助けてくれたという意味なんだな?ありがとう」

「いえ…礼を言われるようなことはしておりません…」

この能天使は本当に苦しげな表情をしては俺たちから目を逸らしてはどこか違う場所を見つめている。罪悪感にでも苛まれているのか…?

「お前は能天使だな?」

「…あぁ、そうだ」

ベリアルの問いかけでようやく目付きを鋭くさせ、再び奴を捉えては構え始める能天使。この人、大丈夫かな?なんだか不安定にも見えてしまうのは俺の見間違い?

「お前たちは我ら悪魔と戦わせ続けられている哀れな天使たち。天使の中でも我々と接触する機会が多いが故に堕天する者も多いのも私は知っておるぞ。いつでも最前線で戦わねばならぬお前たちを神はどう手助けしてくれる?」

「……。」

「お前の仲間たちも大勢堕天したのではないか?その表情を読み取るに。そうであろう?」

「…かもしれぬな」

その質問のせいで深く顔を俯けた能天使であったが、ギリッと剣を固く構えてみせると物凄く冷え切った目をしてはベリアルを見つめている。めちゃくちゃ…怒っているようにしか見えない。

「お前は再び天界へと戻るのか?」

「……、」

「もうこの智天使の無意味な断罪を目の当たりにしてお前は目が覚めたのではないか?あの天界という忌まわしい場所の在り方に。良いのだぞ、我らはいつでもお前を歓迎するぞ?そこまでの力があるのならば中々の戦力にはなるからな」

「くっ…!誰が貴様らなんかの仲間になどなるものか!!」

「だがお前はもう天界へ帰るつもりはないのだろう?その目を見る限りでは」

「……かもしれぬな」

そう能天使がポツリと呟いた途端、今まで背中に生えていた大きな白い翼がスウゥ…と段々と透明になっていき、そして彼の翼はあっという間に消えてなくなってしまい、それと同時にシンプルな白い衣装の服装から俺たち人間が着ているような格好の服装へとも変えてしまっていた。

突然のことにベリアル以外の俺たち全員が「えっ…?」と拍子抜けしていたが、俺たちのこの反応に気づいた能天使が「わざと消しただけです」となんだか凄く疲れたような顔をしながら俺たちの疑問に答えてくれた。そ、そうか…わざと消しただけって感じなんだな?タカミザワと違って自らその翼を消したんだよな?

するとサカザキが「お前も人間になるのか?」と慎重に尋ねていたが、能天使は首を振りながら「見えぬようにしたまでです」と言い切る。

 

「じゃあ翼はなくなってないってことなんだな?」

「えぇ、そういうことになります。あまり人間に擬態はしませんが、この程度なら可能ですので」

「そっか…。なら良かった…」

ホッとしてしまう俺たち。ここにいるみんなはタカミザワのことを知っているから余計に天使の翼がなくなるとどうしてもヒヤヒヤしてしまうというか、心配でしょうがなくなっている証拠なんだろう。

「でもアンタはそれでいいのかよ?」

「何がです?」

「こんなことをしたらアンタは天界の奴らに本当に翼を奪われちゃうんじゃ…」

とサカザキが言いかけた時。ようやくタカミザワが「うる…さい…」と呟きながら苦悶の表情を浮かべてはようやく目を覚ます。なので俺とサカザキや他のみんなで一斉に「タカミザワ!?」だとか「タカミー無事だった!?」などといった心配する声が本来ならコイツにも届いているはずなのに…

けどタカミザワは自分の背中側へと視線を向けたその数秒後には最後の翼とその無造作に切り捨てられてしまったコイツの翼の羽根たちがはらりはらりと静かに一枚ずつ落ちていき、そして羽根たちは音もなく地面についた途端に姿を消していってしまった。

それを見届けていたタカミザワだったが、次第に表情は歪んでいき…そして最後には目を赤く腫らしながら涙をボロボロと零し続けるコイツを俺たちはただ見ることしか出来ずにいた。

 

「うっ…、うぅうッ…!」

「タカミザワ…」

「俺たちが…お前の傍にいてやるから…。な…?」

「サクライ…サカザキぃ…!私は…、私は天界の者たちから…死ぬほど嫌われていたようだよ…!こんなにも孤独なこと…他にあるのか…ッ?なぁ…!」

「大丈夫、俺たちはお前の味方だ。何があってもお前の隣にいてやるから」

「俺たちだけじゃない。ここの町の奴ら全員お前の味方だ!みんなお前のことが好きだから今の今までタカミザワのこと支え続けてもらってたんだろ?なっ?」

「ムリだ…っ!今はとてもじゃないが…、何も受け入れられない…!何も誰も信じられないっ…!!すまん……すまぬっ…」

「分かってるよ、大丈夫だから。ムリしなくていい、泣いてもいいから」

「取り敢えず一旦タカミザワが落ち着けるまで俺たちはずっと待ってるぜ」

「ごめん……、ごめんっ…」

項垂れては涙が止まらないタカミザワは俺とサカザキの体に自分の上半身を預けかけ、そして俺たち二人にしがみつきながら号泣しているこんな姿を見て心が痛まない奴はこの町に誰一人としていないだろう。

みんながタカミザワを…こんなにも心配しているのだから。

俺とサカザキでタカミザワの頭を撫でたり背中をさすってやったりして、出来るだけ落ち着かせるようにしてみせるが一向に彼の涙は止まらない様子。それも仕方ない…よな。そりゃこんだけ傷ついた後なんだもん、泣いて当然だ。

この場の雰囲気がタカミザワの涙によって悲しみに包まれる中、ベリアルが空気も読まずにタカミザワに対してとんでもないことを聞いてきやがった。

 

「傷ついた智天使よ、真相を知れてお前はこちら側へ来る気になったかね?」

「……ッ!!」

ピクッと反応してみせたタカミザワだったが、そのベリアルの一言で彼はバッと勢いよく奴へと顔を向けさせてはアイツのことを死ぬほど恐ろしい目付きで睨みつけてしまっていた。しかし当然のようにベリアルは涼しい顔をして「まだのようだな」と呟くと、フッと不敵な笑みをつくりながら翼を広げては地から足を離して飛び立とうとしている。

「ベリアル貴様、このお方になんて口の利き方を…!!」

「まぁ良い、今は感傷に浸りたい気分なのだろうからまた後ほど落ち着いた頃にここへ参るぞ。一度あのお方へと報告せねばならんのだからな」

「うるせぇ!もう来んなッ!!」

「タカミザワをこれ以上…傷つけさせてたまるもんか!」

「それを決めるのはお主らではない、他でもなく智天使だ。ではまた後ほど来るとしよう」

「あっ、おいベリアル貴様…!」

能天使が慌てたようにベリアルへと手を伸ばしてみせたが、奴はあっという間にこの場から離れては見えないところまで行ってしまった。アイツ…本当にまたここへ来るつもりなのか?いや、きっとまた来るはずだ。アイツは自分の言った発言は全て実行する奴だと俺らはもうそれをなんとなくは知っているじゃあないか。

さて、これからどうしましょうねぇ…この状況。

今もまだタカミザワは涙しか流しておらず、とても立てそうな状態ではなかったが近くにいたタクローさんが「ほら、俺の店が近いからそこまで頑張って歩け」と言いながらタクローさんとサカザキでタカミザワに肩を貸しては無理やり立たせて号泣しているアイツを店へと運んで行ってしまった。

そして俺は……

 

「あの…能天使さん」

「は、はい」

この人も今はすんごく暗い表情をしてはさっきよりも疲れきっているのが見て取れる。こんだけ一気に色々あると頭の整理もつかないからそりゃこんな顔になっちまうのは仕方ないか。

「俺たちと一緒に来て下さいますか?」

「えぇ…もちろんです」

そして俺はこの能天使をタクローさんの店まで案内して、彼をこの店へと招き入れた。

 

 

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