よーーやくGETしてきたーー🥺
可愛いかわいい…!!スコンっていうグラスのシリーズなんだけど、ゴブレット型は元々持っててパフェ作る時やイベントの時によくドリンク入れたりして使ってるけど、ずーーっとこっちのマグタイプも欲しかったけど我慢してて😖
だけど今日幼稚園送ったあとに名古屋行って、ちょっと食器屋さんやインテリア雑貨巡ったりしてて、このグラスマグがとある店に置いてあるのだけは覚えてたからもう買っちゃったよ。ようやくお出迎え出来ましたよ🥹
でもまだ他にスコンのシリーズあるから揃えたいーー…😂
しっかし名古屋行くのに車で一時間かかって滞在時間三時間しかないのは中々ハードね。でもでもいい買い物出来たから満足なの♡
このガラスの薄さが堪りませんのよぉ…。そしてカチーンという音も好き。こういうシンプルな子だとスイーツ撮る時とか一緒に写しやすいから、そういう理由もあって欲しかったんだよね⟡.·*.
少し前まで松坂屋にあった食器屋さんが移転したから新しくそっちの店舗に行ってみたけど、やっぱいいお値段するから今回そっちは我慢🤣
本当は時間あったらノリタケも行きたかったけど流石にそこまで時間なかった…。ノリタケ行きたいー…!!でもこうやって食器屋巡る時は子供なんて絶対連れて行けないから今日は短時間ではあったけど行けて良かった…!
ご飯も向こうで食べたけど、海鮮丼と焼き鮭が美味しすぎてそのお店行って正解だった🥺
そんでもってラクガキとお話置いときます〜(◍˙꒳˙◍)
この二人メインのお話書きたいなと今思ってるところです。秘坂好きすぎて頭おかしくなっちゃってるけどこの二人もちゃーんと強いんだからね😂
怒りと悲しみ
さっき俺とタクローさんでようやくタカミザワを俺のベッドへと寝かせることには成功したが、アイツの涙は止まることを今は知らないようなので「下で待ってるから、落ち着いたら来いよ…?」とだけ言い残し、俺たちは二人だけで部屋を後にした。
部屋を出た瞬間にタクローさんと目が合い、お互いに小さく頷いてはアイツをそっとしておく方を選ぶようにする。今俺らに出来ることはこんぐらいしかないからな。
そして階段を下りて一階へと戻ると、サクライとその…もう一人の天使がテーブル席に向かい合わせになりながら座っているその周りには、この町の人たちが大勢集っているようだ。店に入りきれない者たちは外に溢れ返っては開いているドアや窓から店内を凝視していた。うん、まぁ…しゃーねーわな。
タクローさんはカウンターに戻り、俺はサクライの隣の席に座る。
「あっ…おい!誰だ俺のまな板に包丁ぶっ刺した奴!?」
「あっ…!?す、すいませんタクローさん!ベリアルの奴が来たからつい…!」
「ついじゃねーだろ!このバカ!」
慌ててサクライが謝るも、タクローさんが小さめのジャガイモをサクライに向かってぶん投げていたのはなんか珍しい光景だから笑っちまいそうになったわ。まぁギリギリサクライにジャガイモ当たらなくて済んだようだけど。
それよりも本題だ。今俺らの目の前にいるこの能天使さんとやらには聞きたいことが山ほどある。なので早速俺が「なぁアンタ」と呼びかけると、反応は少し薄いが「はい、なんでしょうか?」と答えてはくれる。
「俺たちは何から聞き出せばいいんだ?」
「そ、そうですね…えっと…」
「おい、この人を困らせるなサカザキっ。あの…能天使さん、すみませんコイツが高圧的で…!悪気があってやってるんじゃなくて、平常運転なのであんまり気にしないで下さい…!」
「はあ…そうですか」
「やめんかサクライ!俺が変な奴に思われるだろーが!」
「あーはいはい…。えーっと、その…貴方の知っている全てを教えてくれませんか…?」
「話せば長くなるとは思いますが…」
「構いません。貴方の見たもの全てを話して下さい。お願いします」
「分かりました」
そう答えた能天使が、事の発端からなぜタカミザワが疑われたのか、そしてアイツがなぜ天界から追放されてしまったのかをこと細かく俺たちに全て説明してくれた。
昔にあった出来事。そして今日さっき知った真実まで、全てを。
しっかしなぁ…、さっきベリアルが言ってたことがこの能天使の説明により真実味が増してきてしまっているのが否めないのがコワイ。一体タカミザワが天界で何をやったって言うんだよ…。話を聞いてる限りじゃ何もしてねーじゃん?なんにもしてないアイツを天界の奴らはなんてひでぇコトしやがるんだって話しだよな。
ここで話を聞いていた全員が全員悲しみに帯びた表情をしており、そして上で未だに泣いているタカミザワをみんなが心配しているんだろうきっと。
俺たちだけはタカミザワを裏切っちゃいけねぇ。俺らは全員アイツの味方でいなきゃ…じゃなきゃタカミザワが余りにも可哀想だ。
「…というのが私が知っている全てです」
「そうか…」
「話してくれてありがとう、能天使さん」
「いえ…」
顔を俯けては俺たちに顔向け出来ないとでも言いたげな表情をしているのがこっちとしても申し訳なさを感じてしまう。アンタはなんも悪くねぇよ、上の言ってることを信じちまうのは仕方がないことだとは俺も思うからさ。
俺たち全員が胸を痛めている中、この天使は「きっとあのお方は誰よりも純粋だったのだと思います」と呟く。
「そして疑うことも知らないお方だったのでしょう…。それが故に騙されやすく、他の天使たちの虐めの格好の的になってしまったのかと…」
「そっか」
「実際私も上級天使たちの言うことしか信じておらず、あの智天使様のお言葉を聞こうだなんて微塵たりとも思っておりませんでした。先程初めてこの事実を知った時、我々天使の存在意義とはなんだ?と疑問に持ち始めてしまって…疑ってしまった智天使様へのせめてもの償いの意味も込めて私はあの方を救い出しただけなのです…。もう今更遅いのかもしれませんが」
「そんなことはない。貴方はタカミザワの恩人です」
「ですが私はあの時…落ちていく智天使様を助けるのを躊躇してしまいました…」
「…うん」
物凄く言いにくそうに、言葉を詰まらせそうになりながら言葉を頑張って俺らに伝えようとしてくる気持ちだけはしっかり伝わってくる。大丈夫だ、この男は信じられるはず。だってそんなことをしたら自分が堕天する可能性もあるっつーのに、よくそこまで行動を起こしたもんだよ、いやマジで。
「見て見ぬふりをしていれば自分の地位は安泰。何も自ら地獄へ行くようなことをしなくてもいいと…そう頭で言い聞かせていたというのに…。ですが、私の意思は弱かったようですね。あんなお姿で…我々天使に対し、あそこまで憎悪と怒りに満ち溢れてしまっていたあの時の智天使様を放っておいたら、この先どうなるかだなんてもう明白でしたから…。だから私は全てを捨てでもあのお方を救いに飛び出して行きました。後悔は……多少しております…」
「…そか」
よぉくコイツを観察していると、僅かに体が震えているのが分かる。
それを知ってしまったせいなのか、俺はこの能天使にこれ以上は言うつもりもなかったがこの男も…本当は今も相当恐いのだろう。神や自分より上である天使たちに逆らってまでタカミザワを救う方を選択してしまったのだから、この先自分がどうなるかだなんて分からないから恐れているってところか。こえーに決まってるよな…こんな状況になっちまって。しかも真実を知るただ一人の中級天使ってことだもんな?そしたらコイツもこの先天界からの刺客や何かしらの危険があるっつーワケか。
するとサクライが「貴方はこれからどうするのですか?」と聞いていたが、本人は気まずそうに顔を俯けたまま「分かりません…」と消え入りそうな声でしか答えられない様子。
「じゃあ俺の店で住み込みでもするか?」
「えっ…?」
カウンターから出てきては能天使に対して温かい紅茶を出してくるタクローさんがそんなことを言ってくるせいで、この天使も俯けていた顔をゆっくり持ち上げては「いいのですか…?」と覇気のない声で聞き返す。
「おう、構わんぜ。まだ今なら部屋も一つ空いてるし、アンタなら自分のことなら全て自分で出来そうだし、なんならサカザキより仕事してくれそうだからよ」
「あぁそっか!働き手が増えるのはありがてぇ!」
「お前がサボりまくるから提案してるんだろーが!つーかお前がマトモに働いてりゃこんなこと言うつもりもなかったわ!」
「いっでぇ!?」
バンッと持っていたトレイを俺の頭にぶつけるタクローさん。ひっでぇことしてきやがんなぁ、もう…
「どーするよ天使さん?こんな奴と一緒に働いてもいいってんなら部屋貸してやるけど」
「お、お願いします!どうか頑張りますのでここで住まわせて下さい…!」
「いいよそんな堅苦しくしなくても。ここの町は小さいからみんな仲良し家族みたいなもんだ。気軽にみんなに話しかけても構わないし、助け合って生きているんだからアンタも遠慮なんかすんな。それにここのみんなは全員天使やら悪魔には耐性がついてっから誰もお前のことを拒否しねぇよ。だから安心しな」
「ありがとうございます…!」
話がついたようだな。てことでこの天使はタクローさんの店で俺と同じく住み込みで働いて生きていくらしい。まぁ俺らはタカミザワともずっと一緒だし、天使が一人増えたくらいでもうなんとも思わないし驚きすらしない。寧ろ俺は働き手が増えてくれてラッキーとしか思わねぇ。悪いがこの天使には頑張って働いてもらおう。
とかなんとか思って一人でうんうん頷いていると、タクローさんに思いっきり睨まれた。うぐ…、こえぇ。
「サクライ、これから更にサカザキはサボるだろうからよぉくコイツを見張っとけよ」
「なんで俺がコイツなんかの…」
「おめーらは兄弟みたいなもんなんだから、半分は桜井の責任でもあるだろ」
「なんでそうなるんですか!?俺コイツとは兄弟だなんて思ったことないし!てか本当に兄弟だとしたら恥ずかしすぎて外歩けねぇよ…!」
「なんだそれムカつくな」
傍にいたカズヒコさんが「まぁまぁ、仕方ないよ」と笑いながら謎フォローを入れてくれるけどそれ俺のこと庇ってませんからね、カズヒコさん?
「私に出来ることならなんでもします。そして智天使様への謝罪と我々中級下級天使たちの言い訳にはなってしまいますが…あの方に全てを話そうと私も思っております。我々のしてしまった愚行の詫びを受け入れて欲しいだなんて到底思いませんが、私にはあの方に一から全て説明する責任があると思っております」
「あぁ、そうかもしれねぇな。…ま、タカミザワの奴まだ泣きっぱなしだからアイツが落ち着いてからにしてやってはくれねぇか?」
「はい、もちろん」
「じゃあなんとなく話しはまとまったかな?タカミザワが落ち着いたら能天使さんから全てのことを話してもらうことと、貴方は暫くはここで住み込みするって感じね。でも貴方はもう本当に天界へは帰らないおつもりですか?」
そうサクライに問われている能天使はものすげー答えにくそうに「……はい」と一応肯定する。
「帰れないと言った方が正しいかもしれませんが…」
と、彼が言いかけた時。この天使はバッと顔を勢いよくあげては目付きを一気に険しいものに変えて外の方を見渡しているので一瞬俺らも「なんだ?」とは思ったものの、きっと奴が来たんだとしか思えん反応だなこりゃ。
なので俺たち全員は若干警戒しながらも外の方を見つめると、そこにはいつの間にか現れたベリアルが店のドアを開けては中へ入ってきたところだった。そんなアイツをこの天使が警戒心マックスで慌ててガタッと椅子から立ち上がっては身構えようとするも、ベリアルは片手で軽く制しながら「争うつもりはない」と答える。
「なんの用だ貴様!?」
「また来ると言っただろう」
「今すぐ立ち去れ!お前のような奴が智天使様の元へ来て言い訳がないだろ!?」
「よく言うわ。お前はあの智天使のことを一欠片も信じてもおらんかったと言うのに」
「っ…」
「座れ。危害を加えに来たのではないのを誰かこの天使に説明してやれ」
ベリアルが高圧的に言い放ってくるのは腹立つが、本当のことなので別にもう誰もそこまで警戒してないのは確かだ。だからサクライが能天使に向かって「ベリアルの言う通りにして下さい」と静かに諭すと、当の本人は有り得ないとでも言いたげな顔して「皆さん、なぜコイツの言うことをさっきから信じるのです!?」と強く否定してくる。
「コイツはとんでもない悪魔なんですよ!?何も信じてはいけないというのに、ここの町の人間たちはなぜ誰も逃げ出さないのです!?普通はもっと警戒しなければならないというのに…!!」
「大丈夫。コイツはタカミザワを欲しがっているから逆に俺らに危害を加えると、より一層タカミザワが反発して悪魔側につかないと分かってるからもうこれ以上強く出てこれねぇんだよ」
「しかし…!!」
「俺もサカザキも一度悪魔たちに殺されたんだ」
「えっ…!?」
「それにコイツはタカミザワの記憶も一度奪った。ベリアルたちはどんな手を使ってでもタカミザワを悪魔たち側につかせようとしていたが、タカミザワはそれを全て乗り越えてその誘惑を一切許さなかったから今もまだアイツは無事ってワケ。俺たち二人を殺したとてタカミザワがコイツら側につかないって分かってっから俺ら町の住人を全員殺しても無意味なの。だからベリアルたちが無駄な殺生はしてこねーの分かってるから俺たちもちっと警戒心薄らいでるんだろうな、きっと」
「危険すぎます…!!油断なんてしていると本当に奴らに皆殺しにされますよ…!?」
「殺すなら殺せ。俺とサクライは特に一度死んでっから恐怖心のバロメーターもぶっ壊れちまってるせいで悪魔相手だろうがなんだって出来るんだよ。それに、ベリアルが本気出せばこの町ごと一瞬で焼き尽くせるんだろ?もし殺されるなら一思いにしてくれりゃあここのみんなは恨まねーからよ、きっと」
「ここのみんなはタカミザワを守りたいだけなんだ。アイツがどれだけ苦しんできたかをここの人たちは全員知ってるから…。だから俺たちは全員タカミザワに何があろうともアイツの味方だし、アイツをこれからも支えていくつもりなんだ」
「……っ」
「そういうことだ能天使。だから座れ」
「……、」
もう一度大人しく座り直す能天使の隣の椅子に座ってくるベリアル。そのせいでめちゃくちゃに能天使から睨まれてはいたけど相変わらずどこ吹く風という余裕そうなツラしてやがんのだけはやっぱり腹が立つが、俺たちが大人しくしてりゃあコイツは手出ししてこないはずだからここはちっと頑張って我慢しててくれ。
改めてベリアルが俺たちと向き直ると、コイツは「智天使の様子は?」と聞いてくるもんで俺が「部屋でまだ泣いてるぜ」とだけ答えると、少し呆れたかのような顔をして「そうか…」と呟く。
「天界は何も変わらんな」
「うるさい。悪魔なんぞに言われたくはない」
「そうか?貴様らの方が嫉みと僻みにまみれている悪魔そのものだというのに、なぜ何も罪の心を持ち合わせていないあの智天使が堕天させられた?お前はそれに疑問を持たないのか?」
「それは…」
グッとテーブルの下で握り拳をつくっている能天使。答えられないのが悔しいんだろうかねぇ。
「あのお方もただ神のようになりたいと仰っていただけだというのに…。それが故に傲慢な天使だとみなされその地位を失墜させられたのだよ」
「我々が神の代わりになどなる訳なかろうが」
「そう思うか?やってみてもいないのになぜ分かる?」
「神こそが世界の創造主だからだ」
「戯け。奴以外にも神は大勢いる。お前たち天使は本当に何も分かっておらんバカばかりよ。だから自分たちは唯一無二の存在だと思い上がり、神をおだて過ぎた結果がコレだ。本物の優秀な天使を追放し、自らを危険に晒していることにも気づかないバカで愚かで浅はかな連中なのだと」
「このっ…!!」
「あの智天使を天界から追放したのなら我々がアイツを迎え入れるのも当然の流れだろう?天界のクズな奴らに囲まれているより、我々の方が遥かにあの者に対する待遇を高めでもしてやれる。あのお方の傍に常にいても構わぬ存在となればきっと奴も…」
「もうこれ以上智天使様を侮辱するな!!お前たち悪魔のせいであの智天使様は苦しんでこられたというのも分かっているからな!?騙されんぞ!」
「だからこうして常に下から頼んでいるのだろうが。あの時のお詫びとしてな」
どっっこが下からだよ……めちゃくちゃ上から目線でいっつもタカミザワに言ってるやんけ…。その度にタカミザワは怒っているのがこの悪魔には伝わっとらんって意味だよなぁ、この話しぶりだと?
やっぱ悪魔も天使も両者ともヤベぇ奴ばっかなのかもしれんわ…
さてどうしよう?なんて思いながら腕組みしてため息をついていると、階段付近に人影が見えたので俺がそれに気づくとサクライもそんな俺の反応に気づいて階段の方を見やる。するとそこにいるのは…
「ベリアル……、お前の話を…今一度よく聞かせておくれ…」
「タカミザワ…!」
「お前、もう大丈夫なのか…っ?」
「智天使様…!」
俺たち三人の呼びかけには反応もせず、タカミザワは真っ赤に泣き腫らした目元を隠すこともなく気だるげに足を動かしては近くにあった椅子を手に取り無造作にガタンッとサクライと能天使の間に椅子を置き、ドカッとそのまま態度悪く座り込む。
だ、大丈夫か…本当に…?
それに今のコイツ…、いつもの優しい目付きをしていない。言うなれば闇堕ち寸前の目の色をしていやがる。なので俺もサクライも黙って顔を見合わせては目で合図をしながら、万が一のことがあれば俺たちで手助けをしようとは思うが…今はタカミザワの主張を取り敢えず黙って聞いておこう。今ここでタカミザワに対して余計な口出しをしたら、コイツはきっと反発してくるはずだからそっと見守る方を選ぶ。
もしタカミザワが……悪魔になることを選ぼうとも、俺らはきっと止める資格はないと思っているから。
だって…あんな話を聞いてからじゃ…俺らはなんにも言えないじゃん。
だから最終的に答えを出すのはタカミザワだ。
そして俺らはタカミザワの決めたことには口出しなんてしない。
頑張れタカミザワ。お前の命運は今ここで決まるぞ。
「来たな智天使よ」
「あぁ…。お前は知っていたのか、この真実を…?」
「いや、私のはただの憶測にしか過ぎなかっただけだ。どうだ?奴らの口から初めて聞く真実は。酷なものだろう」
「もう…誰も何も信じられない…」
「そう、それでいい。貴方のその憎しみで満たすその心が貴方をより強くするのだ」
「……力が…欲しい」
「なぜ?」
「アイツらに……復讐するほどの力が欲しい…。アイツらを全員焼き殺すまで私は終われないッ…!!」
「おぉ…。良いぞ智天使、その心意気だ」
初めてコイツは私に対してとても嬉しそうな表情を魅せてくるうえに、なにやら少し興奮しているのが伝わってくる。いつもは澄ました余裕でしかないその顔が、今では喜びに満ちたような輝かしい目の色をしているのが鬱陶しい。
今の私の発言で隣にいた能天使が慌てて「智天使様…!!」と声をあげるが、私はギロッとこの男を死んだような目で睨みつけてみせればコイツは少し肩をビクつかせていただけで終わる。お前が何か言える立場だと思うなよ…?
「……お前とて私にあのような態度を取っていたではないか」
自分の声なのかも分からぬくらい今のセリフを放ったこの声は低く、ケダモノでも心に飼っているかのような唸っている恐ろしい声。俗に言う、悪魔にでも取り憑かれてるかような声とはこのことを指すのだろうな。自分でも驚いているからな、この声の低さと威圧感に。
「も、申し訳ありません…っ」
「貴様は口出しするな」
「は、はい…」
能天使を黙らせ、私はもう一度ベリアルの方へと顔を向けると奴は「素晴らしい」と私を褒め称えてくる。あぁ、うるさいし煩わしい。
「神や天使どもが如何に紛い物かを貴方は思い知ったはずだ。だからこそ私どもは貴方と共に戦いたいと…そういう意味を込めて貴方をお誘いしていたのだよ。どうだ?気が変わったか?」
「……。」
ベリアルの言葉に対して私は数秒、間をあけてから「…あぁ」と答えるのが精一杯。そんな私の言葉を聞いた能天使がまた「智天使様…!」と口出ししようとしてくるので再び睨みつけるとコイツはまたほんの僅かに怯えながらも、だけれど諦めずに私の瞳を捉える。しかし私がそれに応えることはないだろう。
もう…何もかもがどうでもいい。
「私はただ神の為を想い、神に従い、神の言うことだけを信じて動いていただけだというのに…なんなんだこの仕打ちは?私が何をしたと言うのだ??こんなにもあの場所が…アイツらが腐った連中だとは知らなんだ…。私は何を信じればいい?信じて従い続けてきた神からも裏切られ、私はどうすれば良かったのだ?私が天使として生み落された意味とはなんなんだ?」
「貴方が生まれた意味はただ一つ。私たちと手を取り合い、そして我が同胞となる為に生まれてきたのだよ。お前は悪魔になる運命なのだ、智天使」
「…私が、悪魔…か」
もし私が悪魔になれば…アイツらに復讐を果たせるほどの強大な力を手に入れられるのか?…多分きっと手に入るのだろうな、奴のいつもの口ぶりからすれば。コイツらも天へ報復したい者たちの集まりであれば、私も奴らに当然報復してやりたい。
それならば一人で復讐するよりかはコイツらと手を取り合った方のがやはり賢いか。きっと…天使の時以上の力が手に入るのはもうとっくに分かりきっておるからな。命の操作も出来るというならば、もしここの町の者たちが天界の奴らに殺されようとも…どれだけ人が死のうが私一人でどうにでも出来る。サクライとサカザキだってまた守れる。私が強くなればいいだけの話しなのに、何を躊躇する必要があった?こんなにも近くに私を最強にしてくれる存在がいたというのに、なぜ手を取らなかった?
あぁ…本当に私はバカだ。こんなことになる前に気づくべきだった。ベリアルの言っていることは何もかも本当だったというのに私はそれに気づけなかった。こんなにも私の味方をしてくれている奴がいたというのに…私は何をしていたのだろうな、まったく。
「我々と共に来い、智天使。貴方ならきっと奴らに復讐を果たせる」
「…分かってる」
「貴方が我らに着いてくれるとなれば、これほど心強いものはない。さぁ、この手を取れ智天使よ。我らと共にあの勘違いも甚だしい白き奴らに鉄槌を下そうではないか」
「あぁ…。いいだろう」
ベリアルの差し伸べたその手を取ろうと本気で思い、自分の右手を差し出して奴の手を握ろうとしたその時…
ーー…神やお前の仲間たちがどう思おうが、お前を本当に信じて信頼している方を見つめていけよタカミザワ…ーー
「……っ」
聞こえてきたのはタクローさんのあの言葉。
カウンターの方にいるタクローさんはただひたすら私たちの方だけを見つめているだけで、言葉なんて一言も発してなどいない。なのになぜ今声が……?
いや、おかしい…
先程からなぜ誰も口を出してこない…?この能天使以外の者たちはただ私たちのこの光景を黙って見ているだけで、誰も何も言ってはこないのはどうして?
なんなんだ、この違和感は。私はなぜ…
「…どうして…だ」
「ん?」
「どうしてサクライもサカザキも…ここにいる皆は誰も私のことを止めに入ってこないんだ……?」
思い起こされた疑問をそう独り言のように呟く私が、向こう側で立っているタクローさん夫婦の目を見て…そして隣にいるサクライ、斜め向かい側にいるサカザキ…周りにいてくれている町の人々の目を一瞬ずつとはいえ一人一人見つめていくけれど、彼らは誰も何も言ってはこない。けれどしっかりと私の目を確実に捉えてくれているのは間違いないことだけは分かる。
「……。」
そして一つだけ分かったことがある。
皆私のことを強くて勇ましくもあり…そして誰もが諦めていないその瞳の奥に宿す光を…やっと自分自身で見つけられた今、ようやく私はベリアルのこの手を取ろうとした寸前のところでピタッと自分自身のこの行為を止めることが出来たのだった。
「…なにっ?」
「ち、智天使様…?」
ベリアルと能天使が不思議そうに私を見つめてくるが、私は自分の手の平をすかさずグッと握り拳をつくってはベリアルの手を取ることを拒否する。そんな仕草を見せた私にベリアルは鋭い目付きで私を睨んできたものの、私はそれに臆することなく…そして段々と取り戻してきた心の光を今ここで消してはならない。
お願いだ私よ……。もう自分自身をこれ以上失望させないでくれッ…!!
何度私は過ちを犯したと思っているのだ?いい加減に気づけよこのクソバカ雑魚出来損ないの天使めがッ!!
「…私は私のことを信じてくれている者たちの傍にいると決めたのだ…。だから私はお前の手を取らない。取ったりなんてするものか…!!」
「……、」
ベリアルにとてつもない形相で睨まれてしまったが、奴は自分の手をゆっくりと引っ込めさせては腕組みをしながら周囲にいる町の人たちを軽く睨みつけてからもう一度視線を私へと戻す。
「正気を取り戻してしまったようだな。実に残念だ」
「危うくお前の誘惑にのりかけるところだったよ…。あー、危なかったなぁ。……皆が私を信じてくれたお陰だ。私は悪魔になどならない。私は人間だ。私は死ぬまでこの町の皆と共に生きていくと誓ったのだ」
だから…
「もう誰も何もこの私を邪魔させてたまるものかッ!!」
「……。」
私が心の底から強く言い切ってみせると、ベリアルは睨むのをやめ小さくため息をつき「…出直しだな」と今回は諦めたかのような一言を吐き捨てる。
「何度来たって同じだ。私はこの地から離れるつもりはない」
「最早私の声も届かぬようですな。せっかく天界の奴らへの復讐を果たせると思ったのだがなぁ…」
「ふんっ。人間の私には貴様ら悪魔や天使の争いごとなどどうだっていいわッ!やりたきゃお前たち天使と悪魔だけで勝手に戦争でもなんでもしろ!そして互いに滅べ!!」
「言い切られてしまうとこちらも手立てがないな…。仕方がない。次はあのお方を連れて来ようぞ」
「サタンやリリスが来ようとも私の意思は変わらぬ。お前たちがこの町の皆を滅ぼすというのならば、私も共にこの身を滅ぼそう。どんな時だって私はここの町の皆と生きる。私をいつも信じて待ってくれているここの人々だけは裏切ったりなどしない…してはいけないんだッ!だから何度来ようとも私の意思は決して変わらない。もう諦めてくれ…お願いだ。頼む、この通りだから……」
「智天使…」
両の手をテーブルにつき、ベリアルに対して深々と頭を下げている姿を見せれば流石のこの悪魔も私のこの行動に驚いたようで、一瞬言葉を失っているのにだけは気づく。
十秒ほど頭を下げていた私に対しベリアルが「こうべを上げよ、智天使」と話しかけてきたので一応その言葉に従い私はゆっくりと頭をあげていけば、ベリアルは席を立ちながら私を上から見下ろす。
「今は我らがどう足掻こうが貴方の耳には私の言葉が届かぬようですね。…仕方がない、暫くは様子見だな」
「もう来るな…」
覇気のない声で私がそう吐き捨てると、ベリアルは不気味なほどに優しく微笑んできては「しかし覚えておいて下さい、智天使」と私の名を呼ぶ。
「…何がだ?」
「私たちは貴方の味方だ。もしその時がくる日を願い、我らは貴方やこの町の人間を殺すことなどは決して致しませんので。…貴方が悪魔になるその日まで」
「私は人間として生きると言っておるだろう。何度も言わせるな」
「…ふっ。まぁ良い、お前の他にも天使たちは堕ち続けてくるのだからその中の強い奴らを探し当てるまでよ。邪魔したな、智天使。私は戻る」
「早く帰れ…」
「では」
そう別れの言葉を告げたベリアルがこの席から離れ、店の外へと続くドアから出ていくと奴はすぐ様この地から飛び去っていってしまったようだ。
なんだか物凄く長く感じたな…。酷く疲れた…
はァーー〜〜……と盛大なため息をついてはテーブルにグデーっと突っ伏しかけると、ようやくサクライとサカザキが「お前よく頑張ったなぁ!!」と凄い勢いで話しかけてくれた。お、おぉう…っ!?そ、そうだな…私もそれは自分でもそう思うぞ…
「もう俺マジでダメかと思ってたもん…!!タカミザワが悪魔になるんならそれを止めさせるつもりがないとは言わんけど、お前が本当に悪魔になったらどうしようかと思ったのも本音だわ〜〜…!!」
「このバカ野郎…!散々心配かけさせやがってぇ〜…!!俺もサカザキと同じで〝あーー終わった。はい、終わった〟としか思ってなかったんだもん〜…!!何回サカザキとアイコンタクト取ったと思ってんだよバカヤローー…!!」
「えっ…、えぇッ…!?な、なんかすまなかった…。一時の気の迷いというやつなのかもしれんな…?あははー…」
とかなんとか私が言ってると、両者から「アハハじゃねーだろッ!!」と全力のツッコミが入ってしまった。う、うぐ…!?ごめんなさい…すみませんでした…
「もう二度とあんなことは言いません…」
「ったりめーだよ、ったくよぉー!」
「でも良かった、俺らの意図が伝わってくれて」
「えっ?」
キョトンとサクライを見やれば、彼は本当に嬉しそうな表情で「だってタカミザワが俺らを信じてくれたから」と口にしてくれる。そんな顔を見てしまえばこちらも妙に恥ずかしくなってしまい、少しサクライから視線をズラしてしまったその視線の先にはサカザキのニヤニヤ顔がそこにある。
な、なんだこれ。恥ずいな…
「えと…それは、まぁその…」
「結果がどうであれ俺たちはタカミザワの選択を止めるつもりはなかったんだ。だってそりゃあ…あんな酷い真実を知ってしまったあとなんだもん…誰もタカミザワを止める奴なんてここにはいなかったと思うよ」
「そう、なのか…?」
「けどお前は寸前のところで思い留まってくれた。悪魔にならずに済んだ。…もうそれでいいじゃないか。俺たちは誰もお前を責めたりしないよっ」
「サクライ…」
ニコッと向けられた微笑みは、私が今の今まで忘れていた大切で…この笑顔を守り続けたいと思ったからこそ私は人間であろうと誓った…無垢で、純粋で…そして私を決してを傷付けることのない大事な大事な笑顔ではないか。
なぜ私はこの笑顔を忘れかけてしまっていたのだろうか…?あんなにもこの笑顔を守りたいと…これから先も見ていきたいと願っていたはずの笑顔だったのに……
なのになぜ私はッ…!
「っ…!」
また溢れ出しそうな涙なのに、さっきまでの涙とは全くの別物だということが瞬時に理解出来る。
この涙は皆が私を想い、そしてどんな時でも私を励まし慰め、そして助けてくれた思い出の大切な涙ということを。
決して忘れてはいけない皆の気持ちだったというのに私はそれを蔑ろにしかけていたとか…っ。あぁ…もう、自分が本当に嫌すぎる。本当に私は私のことが嫌いだ。こんなにも近くに…こんなにも大勢の者たちが私を想いやってくれていたのを知っていたのに私は…天界の者たちの言葉で心を壊され、そして悪魔に文字通り魂を売ろうとしていたっ…
こんなことが…許される訳がないのに…!
「ぅぅうッ…!ごめん…、みんな本当に…ごめんッ…!!」
また流れる涙が止められずに号泣してしまうと、今度がサカザキが「でもさ、」と言葉を続けてくれる。
「…?」
「例えお前が悪魔になっちまっても…俺らはお前の親友で在り続けようって、本当にそう思っていたからな?」
「ッ……!」
サカザキ…
「すまん…本当にすまない…!!私はなんてことを…!」
「いい、タカミザワはもう謝るな」
「だけど…!」
「もうお前はさ…ちょっとは休めよ。な?」
「え…?」
サカザキのいつもとは違う柔らかい口調にまた心を揺れ動かされ、そして更にそのせいでボロボロと涙が下へと何度も何度も落ちていく。
なんでこんなにも優しいのだろうな、ここのみんなは…。何度私はここの人々に救われているのだろう。
「タカミザワはもういっぱい頑張ったんだもん。ちょっと休んだ方がいいよお前は。そしてこの町のみんなに沢山甘えろよ。なっ?」
「…ぁっ」
サカザキの今のセリフは…あの時タクローさんが言っていた言葉そのままだ。
やっぱり…この二人はどこかで深く繋がっているんだろうな、なんて今改めてそう思えてしまった。それがなんだかとても愛おしい。
それに気づいた時、カウンターの方にいたタクローさんへと顔を向けてみせるとタクローさんはニッと口の端をあげて微笑んでは大きく何度か頷いてくれていた。あぁもう…本当にここの人たちは優しいなぁ…
だから私はここが大好きで、離れたくなくて、…そして人間でいたいと思えているんじゃないか。この事実を忘れたりなんかしたら、本当に私はこの町から追放され兼ねんぞ。そしたら私は何度追放されてるんだって話しになるが。
すると近くにいたタロウが「特別休暇、もう少し増やしてもいいですよ?」なんて言ってくれる。
「え?でもそれだと次の式が…」
「大丈夫ですっ。密かに俺がタカミザワさんの休みをもう二日延ばしておいたんで!なので休みは一週間あります。なのでその間に沢山休んで下さい、タカミザワさん」
「タロウお前…そんなことしておったのか…」
「勝手にすみません。でも天界へ行って帰ってくるのにたったの五日しか休みがないと、もしものことがあった場合俺もてんやわんやで対応出来兼ねませんからねぇ」
「す、すまないと言っておるだろう…」
「あー〜〜!別に大丈夫ですよ〜!気にしてませんからー!」
「嘘をつけ…」
タロウの満面の笑みと私のツッコミで周りにいた者たちが一斉にドッと笑いが起きる。あぁなんだか良かった、ホッとした。もうここの雰囲気はいつも通りの雰囲気に戻っている。私のよく知っている町の人々だ。
こんな私を皆は受け入れてくれている…。この事実だけでどれほど救われるだろうか。私は独りなんかじゃない。沢山の友がここにいるではないか。そんな素晴らしい人々を失わずに済んで本当に良かったよ…。よくぞ思い留まった、私。頑張ったよ、本当に。
「……。」
「ん?どうした、能天使?」
「えっ…!?あ、いえ…!余りにも見慣れなさすぎる光景だったので唖然としたというか驚きを隠せないというか…。まさかこんなにも大勢の人間がここまで智天使様を信頼して誰一人として欠けることなく悪魔の前で団結している姿を見てちょっと流石に…開いた口が塞がらないと言いますか…」
まぁコイツの言うことはごもっともだと思うな私も。まさかここまで皆が私のことを強く想ってくれていただなんて想像もしていなかったからなぁ。だが皆の沈黙こそが答えだということに気づけたのでそれはそれでいいだろう。
「素敵な人たちばかりだろう?だから私はここで人間として生きたいと思えるのだよ」
「それは本気なのでしょうか…?」
「あぁ。時々こうして天使に戻ったりはするが、私は基本的には人間として生きていくつもりでいるさ。…もう私はきっと自分の羽根の力を使えなくなるだろうし、あんなことを言ってしまったあとじゃ天使の力も奪われてしまうだろう。…そうなると〝明日の鐘〟も鳴らなくなってしまうが、こればかりはもう致し方ない。しかし私はこんな自分を受け入れるだけの覚悟は出来ている」
「〝明日の鐘〟とは…?」
「天使にしか鳴らせない特別な鐘。この町の丘に教会が建っているのだが、その教会の目の前にある鐘のことだよ」
「特別な鐘…」
「また案内してやろう。しかしお前は地上にこうして降りても天使の力を自由自在に操れるというのだな?」
「私はまだ一応堕とされた身ではありませんので…。しかし私も天界から見ればただの裏切り者としか見られていないはずですから、いつ天との繋がりが切れることやらと危惧していますが…」
「だがそれを覚悟で私を助けてくれたのだろう?」
「……はい」
「ありがとう。お前は私の命の恩人だ」
「…えっ!?」
改めて能天使に体を向き直してから頭を深々と下げてみせると、頭を下げられた本人はめちゃくちゃに慌てながら「や、やめて下さい智天使様ッ…!!」とワタワタしているのがなんだかおかしい。この者の立場上、私のような上級天使に頭を下げられるだなんて有り得ないことなので相当焦っている顔をしているな。
そんな能天使の慌てぶりを見ていた皆がまた更に声をあげて笑い、この店の雰囲気は先程とは打って変わってとても温かい空気しか流れていない。みんなが笑顔になれる選択が出来て、私はこの上なく幸せだ。
すると突然サカザキが「そーいやぁ、アンタまだ名前聞いてなかったな?」と尋ねるので相手はようやく落ち着きを取り戻しながら「あぁそうでしたね…」と呟く。
「私の名はトオルと申します」
「じゃあタナセだね」
サカザキの意味の分からんセリフに全員が全員「なんで??」と思ったが、言われた本人は「名前だけしかなかったので命名して下さり嬉しいです…!」と素直に喜んでいるではないか。謎だ…
「えっとじゃあ…これからはタナセと呼んでも良いのだな?」
「はいっ!ぜひ呼んで下さい!」
「分かった。私の名はタカミザワだ。智天使様なんてそんな呼び方これからせんでもいいからせめて名前で呼んでくれ…。流石に恥ずかしいからな…」
「分かりました、タカミザワ様!」
「んん…」
なんか…やっぱり恥ずかしいなコレ。そんな呼ばれ方をしたせいでサクライがニヤつきながら「タカミザワ“様”だって〜〜」なんてからかってくる。うぐぅぅ…!
そしたらタナセの近くにいたハセガワが「ここのみんなはあの人のことタカミーって呼んでるんすよぉ」なんて言うので私はすかさず「お前はもう教会に来るな」と間髪入れずに吐き捨てる。
「なんで!?ヒドイ!」
「お前が余計なことを言うからだろうが!」
「だってホントのことじゃんーー!」
ハセガワの隣にいたタダスケが「まぁまぁ」と宥めたりしているものの、ようやくここの酒場がいつものあの雰囲気に戻ってきている。そうすれば誰かが「酒だ酒!酒を持ってこい!」と言い出したら最後、最早お祭り騒ぎ状態の人々ばかり。
タクローさんは向こう側で大きなため息をついてはいたが、酒をグラスに注ぐその表情はどこか嬉しそうで。そして呼ばれたサカザキが「はぁ〜い」なんて面倒くさそうに席を立ち、ついでにタナセの首根っこ引っ掴んでは「お前も来い」と言ってはいきなり働かせようとしている。嫌な先輩だこと。
引っ掴まれた本人は「ええぇッ!?」となっていたが、誰も助けようとはせずただみんなで大笑いしているだけ。それを見兼ねたサクライが苦笑いしながら「手伝ってくるわ」なんて言ってカウンターの方まで行ってしまったあとからセキグチさんも仕方なくそちらへ向かっていた。
「……ホント、皆ここの者はバカばっかりだなぁ!」
あぁ、本当におかしい。
こんなにも私は笑えているではないか。あんなにも泣いていたのが嘘かのように。
大丈夫。きっとここにいれば私は笑って生きていけるはずだから。
こんなにも楽しくて愉快な私の本当の〝仲間〟がここに全員いるではないか。だから私は哀しくない。苦しくもなんかない。
私は私をもう少し労わろう。
だって沢山頑張ってきたんだもの…
だからこそ明日からは暫くいっぱい休暇を頂こうとしよう。
…もちろんたーーくさん皆に甘えるつもりだッ!
「はーぁ、おっかしいなぁコイツらは…!」
今日は笑い疲れるまでここで全員酒を飲み明かすとしようか。
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