FC! - 1/23

多分一年以上ぶりにFC!

「おーい坂崎。お前いい加減起きろよ」

「‥‥へーぃ」

高見沢が少し鬱陶しそうに俺の体を軽々と持ち上げては隣の椅子へと移動させられてしまった。高見沢のパツッとした太ももが意外と気持ち良かったりするから好きな場所なんだけど、邪魔しちゃ悪いからねぇ~‥

仕方なくムクッと起き上がってテーブルの上へピョンと飛び乗って、俺は向かい側にいる桜井の方へと足を運ばせれば、彼の隣まで来てそこで体をグデーっとだらしなくくつろがせた。それを見ていた桜井が「猫ならもうちっと可愛くしとけよ」とボソッと呟いてきた。

悪かったな可愛くなくて。

大きなあくびを一つしてから俺はゴロゴロとテーブルの上で何もしないでいると、パソコンに向かっていた高見沢が俺を横目でチラッと見るなり顔を歪ませていた。何よそんな顔しちゃって‥。俺が何したっていうの?あ、寧ろ何もしてなさすぎてイラついてるとか?

許してよ‥俺だって毎晩のように猫達の遊び相手してて疲れ切ってるんだからさ。家に猫がいるとつい遊んでしまう俺も俺だけど‥ギター弾いてるよりマシでしょ?お前ら俺がギター弾いてると嫌な顔する癖に。

「ニャア‥」

「何言ってるかわかんねぇ。桜井、手で触ってやれ」

「はいよー」

俺の背中に手を置いた桜井のお陰で俺が言った言葉がこの二人だけには通じる。何故か二人以外の人間には先程のようにニャアニャア言ってるようにしか聞こえないらしいが。それに、俺が猫になれるってのは結構多くの人が知ってるので隠すつもりはないけれど、あまり公にしたくはない。関係者以外には知られたくないね。でもみんなが俺の事をどこでどう言ってるのかが分からないけど‥

今の所変な噂は一切聞かない。一応みんな喋らないではいてくれてるみたいだから感謝しなくちゃね。今の所。

「何でそんな機嫌悪いんだよ」

「お前さぁ、猫になるのもいいけど人間である事を忘れるなよ?」

「そんなの知ってるよぉ。それに猫の方が何かと楽だしね」

「また猫達と遊んでたのか?」

「本当は寝たいんだけど遊んでって言われたら遊ぶしかないでしょ」

だからこういう時にしかゆっくり出来ないんだ。早寝早起きで有名な俺だけど、その生活リズムがちょっと崩れ始めてる気がする。眠くなった時はすぐ寝てしまうのに、猫達が俺と遊べるのをあんなにも楽しみにして待っててくれるものだから、放っておけなくて。

桜井が「ムリだけはするなよ」と言ってきたせいで、俺の心臓がドキッと跳ねた。

ピクッと体が反応したのに気付いた桜井が「ん?」と不思議そうにして俺を窺ってきたが、俺は桜井と顔を合わせずにプイと背けてしまった。

あーあ‥思い出してしまったじゃないか。

その台詞は昨日ナカノに言われたばかりだったから。

「ねぇコウ」

「どうしたナカノ?」

マナとシッポナをようやく寝かせつけた後、まだ起きていたナカノが俺の名前を呼んできた。

俺はナカノの行く方へ着いて行くと、その場所はいつもの場所だった。ベランダまで来る俺とナカノはここでよく月を見上げて会話をしている。みんなと騒いだ後にナカノと静かにここで喋る時間も少し楽しみだったりするんだ。

そして今日もこの場所でいつもみたいに会話をする。

「今日は月が出てないみたいね」

「朔の日ってやつか?それか雲が被ってるのかな?」

「‥そんなものどっちでもいいわ」

「え‥?あ、そう」

ちょっと冷たくされ、傷心した俺であったがナカノが怒ってる訳ではなさそうだったので顔色を窺いながら慎重に話を進める事にした。女の扱いって人間でも動物でも難しいのには変わりないってか。

「‥どしたの?」

そう聞いてみると、ナカノが申し訳なさそうな表情を浮かべながら俺を見つめては「ムリしてない?」と言ってきた。

「え‥?」

「コウが最近やつれてる様に見えてきて‥それがもし私達のせいならムリに遊んでとは言わない。コウにだって人間としての生活があるんだから‥。貴方は私達のお父さんでもあって、友達でもあるのよ。もしムリしているのなら今すぐやめて欲しいの。コウが‥いや、サカザキさんが体調崩したら私達のせいだから‥!

だからお願い‥ムリだけはしないで‥」

「ナカノ‥」

すり寄って来たナカノが今にも泣きそうな声で訴えてきた事にびっくりした。何で分かっちゃうんだろうなぁーって。

「確かに疲れはあるけど‥、俺はお前達と遊んでる時間も大切なひと時だと思ってるんだ。ナカノがそうやって心配してくれた事は凄く嬉しいし、俺って愛されてるなって思ったよ。それに‥俺はムリに遊んでる訳じゃないからさ。寝たい時には寝るって決めてるから安心してよ」

「でも‥」

「それに、ナカノとこうしてフタリ切りで喋るのも好きな時間だからさ」

「‥!」

最後に言った一言が効いたのか、ナカノは体を固まらせて俺の横顔をジッと見ている。その視線の先にある俺の顔から目へと移せば、バチッと互いの瞳が重なり合った瞬間、ナカノは恥ずかしそうにしながら「やな人ね‥」と呟いた。

今は猫だけどね。

「俺に気でもあるの?」

「自惚れないでくれる?私はそんなのじゃ‥」

「でも俺は好き」

「‥えっ?」

「お父さんとして」

「そう‥よね」

期待させておいて落ち込ませる方法はやめた方が良かったかな‥。でも、これじゃあナカノが俺の事を‥‥って意味になってしまうから。それに‥少しそれが怖かっただけだ。

今の俺は小心者で臆病な猫。

けどね‥

お前と過ごしたフタリ切りの時間は特別だと思ってるから。そりゃあ他の猫達もナカノと同じくらい大事だし、贔屓なんてしていない。

「でも‥特別な感情が生まれてもおかしくはない状況ってのは本当」

「何を言ってるのよ。貴方は人間でしょ?それにまだ結婚もしていないなんて‥」

「お前とならいいよ?」

「からかわないで」

「ふふっ‥。じゃ、俺は寝るからさ。おやすみナカノ」

「おやすみ‥コウ」

ナカノがチュッとほっぺにキスを落としてきた後、俺はピアスを外してベランダから部屋の中へと入っていった。それに続いてナカノも入ってくると、俺は窓の鍵をそっと閉めた。

「‥‥、」

「おい坂崎」

「ん‥?」

ぽやっとしながら昨日あった事を思い出していると、高見沢が俺の名前を呼んだ事によって現実に引き戻された。

「お前さぁ、猫と人間‥どっち取るわけ?」

「は‥?」

「もし、もしお前が猫か人間にならなくちゃならなくなった時にお前はどっちを選ぶ?」

「そんなもの人間に決まってるよ‥。急に何言って‥」

「いや、この間坂崎が猫になる方を選ぶ夢をみたからさ‥何となく聞いてみただけ」

その高見沢の答えに対して桜井が苦笑しながら「何だよその夢」とか言いながら高見沢に詳細を聞いていた。

考えもしなかったけど‥

俺はこのピアスがあるからこそ猫になれる訳であって、本来なら猫になるなんてあり得ないというのに。

猫か人間かって聞かれたら‥

そりゃあ、人間だよな。俺の選択は間違ってないよ‥ね?

久々すぎてねこ崎さんがどういうキャラか掴めなくなった(´・ω・`;)

ナカノとの恋はどーなるんだ!?笑

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