人魚シリーズ
僕が昨日の約束の時間通り、いつもの場所に行けば既に二人は待っててくれていた。顔をちょこんと覗かせ、二人の王子様を少しの間だけ見つめる。
やっぱりあの二人って仲いいよなぁ‥。
もう一度潜り、二人の近くへ着いた瞬間にザバッと水面へ出ればサカザキが「よぉ」と右手を挙げながら軽い挨拶をしてきた。
「で、渡したいものってなんなの?」
サクライがいきなり要件を口出してきた。せっかちだぞ!
そう思いながらも僕は首に掛けていた二つの首飾りを二人に渡した。
それを見た時、二人の顔はちょっと驚いている風にも見えた。
「サカザキには普通の真珠。サクライは黒真珠を選んでみた。貝殻の中は紅が入っているから、もし大切な人が二人に出来たらその紅を渡して欲しい」
「紅って‥口紅の事か」
小さな貝殻の周りには大きめの真珠が散りばめられている贅沢な首飾り。多分、人間には見付ける事も育てる事が出来ないような本当に綺麗で大きな真珠。
貝達に真珠が欲しいと言えば、快くくれたものだから、ちょっと特殊だったりする。
紅はお姉様達が二人に渡して欲しいって言われたからだ。人間の王子をすっかり気に入ってしまったお姉様達が、二人へのプレゼントだとか‥。
「友情の証。それを毎日肌身離さず持ってて欲しい。多分、ある時から僕の声が二人に届くようになるよ。それならいつでも逢えるでしょ?」
「‥ありがとう。分かった、ちゃんと持っとくよ」
「にしてもでけぇ真珠だな‥。こんなの初めて見たわ」
サクライがそう呟けば、僕は自慢したくなる。どうだ、凄いだろっ?
「いくらで売れると思う?」
「‥え、売っちゃうの?」
今のサカザキの発言を真に受けた僕を見て、サクライがすかさず彼の頭を叩いていた。
「いてて‥それよりさ、明日だよな。タカミザワが人間になれるの」
「うん。月の終わりだからね」
「楽しみだな」
「でも、声が出ないからちょっと不便だけどね」
そう言うと、サクライが「俺ら、以心伝心だから大丈夫」と言ってくれた。なんか嬉しかった。
そして二人は僕があげた首飾りをちゃんと掛けてくれたのを見届けると、「ばいばい」とだけ告げて帰って行った。
-二人共よく似合っていたな‥-
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