妖執筆中 - 4/4

ガボッと水の泡を吹く化け狸の顔は更に険しくなっていた。何も着いてないのに首回りには細い蔓や縄のような物に巻き付かれてる感覚が化け狸を苦しめる。

この技を使うという事は、タカミザワが右目を使用しているという事。けれどタカミザワの前髪は右目で隠れていたので本当に使ってるのかが不明だった。

きっとあまり体力を余り使わないように前髪をかきあげないで右目だけをほんの少し使っているのだ。

「おい、タカミザワ!化け狸が死んじまうぞ!」

「だからどうした?コイツは許されない事ばかりしてきた。死んで罪を償うのは当たり前だろう?」

「そんなんじゃダメだ!それに、お前は無闇に妖怪を殺さないじゃないか」

「知った事か」

更に化け狸を苦しめるタカミザワにサクライが止めに入ろうとしたが、やはり口だけでは適わない。なのでサクライはバクバク鳴る心臓をギュッと押さえてから意を決したように、高くそびえ立つ水柱を睨んだ。

そしてダッと駆け出すサクライは、誰もが止める暇もないくらい勢い良く水柱の中へと入っていった。

グルグル回る水圧に耐えながらもサクライは化け狸の体を捕まえて、庇っていた。

驚いたタカミザワはすぐさま術を解き、全ての水を元の池に戻した。上の方まで流されてしまっていたサクライ達は、水の勢いがなくなると垂直に落下していく。それを犬神が背中で受け止めると、一人と一匹をタカミザワの前へと降ろした。

「馬鹿者!何をしておる!もう少し遅ければサクライも化け狸と同じ運命になっていたのだぞ!?」

凄い剣幕でまくし立てるタカミザワを咳き込むサクライは見上げてこう言った。

「でも、ほら。俺生きてんじゃん?タカミザワだったら俺を殺す筈ないから信じて飛び込んだんだよ」

「‥呆れて物も言えん」

「嬉しいくせに」

隣にやってきたサカザキの呟いた言葉を聞いてタカミザワはいきなり風でふっ飛ばした。照れ隠しの為いつもサカザキに八つ当たりするタカミザワには慣れたもので、飛ばされた体を宙でグルリと回転し、バランスを整えてから地面に着地する。

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