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ん、ん~‥‥
なんだか布団がいつもより重たく感じる‥。
苦しい‥息が難しい、よ。
「ニャアッ!」
あれっ?
猫達なら寝る前にみんな部屋に入れた筈なんだけどな‥?
なんでだろう。凄く動き辛い。
布団の中でうずくまってる体をモソモソと動かし、やっとの思いで暗闇から外の世界へと這い上がると、自分の違和感にやっと気付いた。
えっ!?
手‥手が‥
いやいやいやいや、手だけじゃない。腕も、足も、体全体からフワッとした茶色の毛で覆われているじゃないか。
なんなんだコレ‥?
コレじゃまるで‥猫おぉぉおッ!?!?!
「ニャアぁあ(ふざけんなあぁあっ!)」
なんで!?
意味が分からない‥!
と、取り敢えず‥何をすればいいんだろうか?
桜井と高見沢に電話して迎えに来て貰うとか?てか、電話しても言葉が話せるのか?
疑問と疑問と疑問しかない頭を抱えて俺はヨロッとした体を起こし、慣れない四本脚で少し離れた場所に置いてある携帯を取りに行く。
携帯まで辿り着くと、前の二本脚で携帯を弄っているけど‥上手く操作出来ない。桜井か高見沢に電話をしたくて必死になること五分。ようやく桜井に電話を掛ける事に成功した。
プルルルル
「はい?どうしたの坂崎、こんな朝から」
ワンコールで出てくれた桜井になんとかしてこの状況を伝えたかったが、やはり猫の鳴き声しか出て来ない。
ニャアニャアと俺が騒いでるのを聴いてる桜井は、かなり困ってるようだった。それか俺が飼っている猫達の悪戯だと思ってるのだろうか。
「お~い坂崎?猫がお前の携帯から俺の電話番号をよく当てられたな。奇跡か?」
「にゃあ!(わざわざ桜井のを選んだんだっつーの!)」
「切ってもいいんだよなぁ?」
「ナアッ!ニャア!(ダメダメダメダメダメ!切るなっつーの!)」
「なんだよ五月蝿い猫だな。もしかして坂崎だったりして?」
「にゃん‥!(そうだよ!俺だよ桜井!)」
「なんか‥この猫、俺の言葉が解ってねーか?」
「ニャアァあ‥!(桜井ぃい!やっぱり俺らは繋がってるんだなぁ‥!)」
「んな訳ないか」
「ニャッ!?(はあっ!?)」
そう言うと桜井はブチッと電話の回線を切った。
恨む。
俺は仕方なくもう一人のメンバーにかけるしかなかった。コイツも信じてくれなさそうだし。最終的には棚瀬かな‥。拓郎さんもこうせつさんも解ってくれる筈がないし。
また慣れない手付きで高見沢に電話を掛けた。三回くらいコールが鳴った後、眠たそうな声をした王子様が電話に出てくれた。
「ふわぁ‥、なに坂崎?」
「にゃあ‥(高見沢ぁ~‥!)」
「‥‥‥。」
「にゃん?(ん?)」
「猫じゃねーかよ」
そう言うと高見沢はすぐに電話を切りやがった。
コイツら‥いつか苛め倒す。
どうして猫になんかなった?
確かに俺は猫が好きだ。大好きだけどさ、自分が心から猫になりたいだなんて思った事なんか一度もない。
何かとヘコんでいた俺は、自室からリビングへと向かった。そしてソファーの上へとピョンと飛び乗り、そこで丸くなって考える。
どうしようか。ここでジッとしていても何もならない。だからと言ってこんな慣れない体で外に出ても危険すぎる。
「‥‥‥。」
仕方ない。スタジオにみんなもいるから行くしかない。距離は‥遠いが、もうそんな事言ってられない。
俺は意を決して家を飛び出した。玄関の扉を開けるのには苦労したが、なんとか外へと出られた。
そろそろ慣れてきた四つの脚を使って、物凄いスピードで俺は見慣れた道を駆け抜けた。人がこっちを見てくる視線を気にせずひたすら走った。
「なにあの猫、眼鏡してて可愛い~!」
ありがとう、綺麗なおねいさん達!君達のが可愛いよ!
そんな事を思いながらやっと俺らがいつも仕事をしてる場所に着いた。
警備員の目をかいくぐり、俺はダッシュで建物の中へと入って行った。そしてアイツらがいるであろうスタジオへ向かう。
すると廊下の窓から街の眺めを見ている一人の男がそこにいた。
「ニャア‥(桜井、)」
「!」
俺の発した鳴き声にびっくりしたような表情でこちらを振り向いた。
ここまで驚かれた事はなかった。
「おいおい、SINGLE HISTORYのジャケットの坂崎猫じゃないんだからさぁ‥普通の猫が眼鏡なんかかけんなよ」
「にゃあ!(気付いてよ桜井!普通の猫じゃない。坂崎なんだよ!)」
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