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「ほら、ダメだよこんな所にいちゃあ」
「にゃん‥(桜井ぃい~‥!)」
「おーい、桜井なにして‥ん?あ‥、坂崎‥!?」
「!?!」
「えっ?高見沢お前、何言ってるんだよ!?」
「坂崎でしょ?だろ?」
「ニャアン!(そうだよ、俺だよ‥坂崎だよ!!)」
「言葉が解るのかお前?」
「なんか、そんな気がしてならない」
高見沢は俺をかかえ上げ、ギュッと抱き締めてくれた。
いつもこうやって猫達にしてあげてる側の俺が、まさか猫になって高見沢に抱き締められるとはな‥。
人間ってとても温かい。
今まで不安や疑問しかなかった頭の中は、無に等しくなっていた。心地良くて、うとうとして、気持ちが良かった。
「高見沢‥!」
「‥!?、坂崎‥?」
「猫が喋った‥本当に坂崎なんだな‥?」
「うん、俺なんだよ桜井‥!」
「マジかよ」
指輪が嵌めてあるゴツゴツした手で俺の頭を撫でられると、自然と涙が溢れ出してくる。
「てか、なんで喋れるようになったんだ?」
「さぁ?さっきまで鳴くしか出来なかったのにな」
「ん?もしかしてさっきの猫の電話って‥」
「俺しかいねぇだろ」
桜井に睨みを利かせると、しまったみたいな雰囲気が滲み出ている。俺からの仕返しがあると直感したらしく、目が泳いでいた。
それに気付いた高見沢もハァ、と溜め息をつきながら俺を連れてスタジオの中に入って行った。そして後ろから桜井も付いて来た。
高見沢は俺をテーブルの上に置くと自分も椅子に座り、桜井は向かい側の席に座った。俺がテーブルの上でチョロチョロ動き回ってると、桜井がまだ信じらんないといった目で見てくる。俺だって信じたくないよ。
「で、どうしてこうなった?」
桜井が質問を投げかけるので「知らないよ」と言おうとした時だった。
「ニャア!(‥‥?)」
「 「 ん? 」 」
え、?あれ?
さっきまでは人間の言葉が通じてたのに‥。また急に喋れなくなってしまった。
どうして?
何度も何度も話しをしようとしてみるが、猫の鳴き声しか出て来なかった。
「にゃあ、ニャア‥!ニャアあ‥?」
「そんな、今にも泣きそうな声で鳴くなよ‥」
「見てるこっちが悲しくなる」
いや、断然俺の方が悲しいと思いますけど?
なんでだよ‥ちくしょう。
桜井に背中を撫でられた時、俺はもう一度二人に解るような人間の言葉を話したいと願った。
「バカ野郎‥俺の方が泣きてぇんだっつーの」
「 「 お? 」 」
「ん‥?あれ‥?、話せた?」
「おい坂崎、何がどうなってるんだ」
「知るかよ!俺だって好きでこうなったんじゃないんだからな!」
「ニャーニャー五月蝿い猫だなぁ」
そう言うと桜井は背中に置いてあった手をパッと離し、頭の後ろで腕を組んだ。
「ニャア!なあ‥(五月蝿いとはなんだ!‥‥?)」
「また戻っちゃったよ」
「‥‥あ、そうか」
高見沢が手をポンと叩くと、再び俺の背中を触り始める。
そして「喋ってみろ」と命令するので、俺はこんなんで本当に喋れるのかよと疑いながらも高見沢の言う通りにしてみる。
「‥‥高見沢、」
ポツリと背中を触ってる奴の名前を呟くと、元の人間の言葉で話せるではないか。
驚いて高見沢を見やると、「どや」っと今にも言いそうな表情をしていた。これを俗に言うドヤ顔ってやつか。
桜井も感心したように「ほぉー」と唸っていた。
なんかさ、俺が猫になってもなんでこの二人はそんなに驚かないのだろう。これってかなり異常だと思うのは俺だけ?
「よし、これなら言葉も解るしひとまず安心だな」
「安心じゃないよ!早く俺は元に戻りたいんだからさ。なんか方法ないの?困るだろ、お前らも俺がこんな姿になっちまったなんてさ‥!アルフィーはどうするんだよ?ファンはどうするんだよ?」
言いたい事が一気にブワッと口の中から溢れる。
だって困るんだもん。なんで俺だけがこんな目に合わなくちゃならない?なんで桜井と高見沢は何にもならないんだよ。
ムスッとふてくされる俺に高見沢は俺の顎辺りを撫でてくれる。すると喉の奥からゴロロ‥という音がしてきた。
「機嫌良くなった?」
「俺を猫扱いするな~‥」
「気持ち良さそうじゃねーか。お前、完全に猫だな」
肘を着きながら桜井は俺を呆れた目で見てくる。
やめてくれ、俺が惨めに見えるじゃないか。
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