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出逢って二年と半月の事
今日はタカミザワが出掛けていて、修行は出来なかったのでサクライと一緒に手合わせをしていたサカザキ。
五色の玉の一つである雷の技は会得したので今は空気‥つまり風等を操る技を覚えてる最中なのだ。比較的簡単だとタカミザワは言っていたが、「どこが簡単なんだよ」とサクライに愚痴っていたサカザキ。しかし言われた事は全てちゃんとこなしていた。
先程からつむじ風を起こす事と、それを自由に操れる技を練習していた。ほんの少しなら風を起こせるものの、まだつむじ風とまではいかない様子だった。
タカミザワに言われた事をやっている筈なのに中々上手くいかなくて多少落ち込みもするし、苛つきもあった。
だけどそんなサカザキを見て応援してくれるサクライと妖怪や精霊達がいてくれたので頑張れた。
修行は大変だけれども、自分がタカミザワに少しずつ近付いてると思うと嬉しかったのだ。
「ねぇ、サクライの髪なびいてる?」
「こりゃ、自然が生み出した風だ。お前の操ってる風じゃないよ」
「なーんだ、期待して損した」
ぶーっ、と口を膨らまして顔を歪ませるサカザキ。サクライは笑って「大丈夫だよ」と言うが、サカザキは諦めたような表情で溜め息をつく。
「おい、何処行くんだ?」
「ちょっとぶらぶらしてくる」
気分転換というやつなのか。サカザキは歩いてしまったのを慌ててサクライが追い掛けようとした時だった。何か強い妖気を感じ取れた。
サカザキも異変に気付いたようで、ハッとして辺りを見渡していた。
「なんだ‥?」
サクライが独り言を言うと、隣にいた狢が鼻をピクピクさせて正体を突き止めた。
「化け狸‥」
「なに?」
横を見たサクライは近付いてくる妖気が上空に溜まっているのに気付き、一瞬大きな光がカッとなったと同時に少し離れた場所にいたサカザキに向かって走り出し、小さな体を抱えて間一髪で落ちてきた雷を避けた。
サカザキの頭と体を庇うように地面をゴロンと何回か回転すれば、サカザキを抱えたままゆっくり起きた。
「あーあ。もう少しだったのによぉ」
「!?」
上空に目を向けたサクライはソレの姿を見て驚いた。
「サカザキがもう一人‥!?」
そう口にしたサクライの頭を腕の中にいたサカザキが一発パカンと殴った。「いてっ」と言うとサクライは本物のサカザキを見てみると、ムスッと怒ったような顔をしてこちらを睨んでいた。
「アイツが妖怪の化け狸だよ!俺、アイツの事大嫌いなんだよ」
そう言うサカザキだが、何がどうして嫌いなのかがサクライには不明だった。そうしたら狢と一緒にいた送り狐が化け狸を威嚇するように睨み付けていた。
そればかりでなく、今までいなかった妖怪達が森の中心に集まり始めて上空に浮かんでる化け狸に向かって「帰れ!」と叫び出すのだ。
その内に帰れコールが出るのではないかと思い始めてたら本当にそうなった。サカザキも一緒になって「帰れ」と言ってるので、サクライは訳が分からず「?」状態だった。
「お前は同じ狸妖怪として許せない!毎回よくここに戻って来れるよな!」
「そう堅い事言うなよ狢。俺だってやらなきゃいけない事があるんだよ」
「早く元の姿に戻れ!」
怒鳴るサカザキの目は怒りに満ちていた。隣に来た天狗が呆れたように溜め息を着く。この天狗がこんな顔をするなんて滅多にないのでサクライも口を開けるしかなかった。
「一体何があったんだ?」
「‥あの妖怪はタカミザワ様がこの森から追い出した妖怪なのだ。しかしこうやって何年か一回戻って来るのだ。その度にタカミザワ様が追い払うのだが‥」
「懲りずに来るんだよね。まだ俺がタカミザワに拾われる前からこうして来るらしいんだ。それで俺が混血だってのを知って狙ってくるんだよ」
「それは聞き捨てならんな」
サカザキを狙うと聞いて、サクライの目の色は変わった。錫杖を構え、上空にいる化け狸を見据えるといつの間にか本来の姿に戻っていた。
尻尾が生えてる以外は何処からどう見てもただの人間の少年だった。
「ったく、俺は悲しい妖怪だなぁ‥」
わざとらしく表情を歪め、化け狸はサカザキの瞳を捉えると地面から蔓が勢いよく飛び出し、それがサカザキの体に巻き付いたかと思うと一気にその蔓は化け狸の方へ向かって伸びて行った。
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