罪人たちの舟~Cerry blooms~ - 2/49

最近、幸桜の様子がおかしい。

必ず時間に間に合うように動くタイプなのに近頃は朝寝坊することが多い。

いや、寝坊とはちょっと違うか?寝ているわけではなくて。起こしに行けばまだベッドの上にいてボーッとしている。

日々、訳ありな罪人を相手に仕事をしているわけで。

さらに俺はともかく(何か文句あるか?)高見沢みたいな罪人と一緒に生活しているんだから人が近くに居るときは気を張りっぱなしになるってるんだろう。だから部屋に居るときくらいは気を抜いていて欲しいとは思う。何かあったとしてもこの家の中に居るときならば俺が守るし。

でも、仕事中はそうはいかない。

船頭としての仕事の時は罪人である俺たちはついて行けない事だってある。

それなのに様子がおかしい幸桜をひとりにして何かあったらどうしようと思う。

出会った頃からずっと守ってあげたいと思っていた。

それなのに何度傷つけてしまったのだろう。

思えば最初から守りきれて無かった気がする。

背中の傷がウズいた。

幸桜を守ると決めて守れなかった時の傷。

マモンが幸桜を『いらない』と言ったあの時、全てをかけても守ろうと思った。

あの時の俺が持っているモノはこの体だけだった。だから命をかけて幸桜を守る事に躊躇はなかった。

無事だった幸桜を見てちゃんと守れたと思った。

でも、ケガはしてない、大丈夫と言う幸桜はまるで自分が傷ついたみたいな泣きそうな顔をしていた。

泣かせたくなかったのにやり方を間違ったのかもしれないと思った。

俺みたいな罪人相手になんて顔してるんだろう。罪人なんてって切り捨てれば良いのにそんな事もできないほど優しい女。

ひとりぼっちにして逝くのは急に惜しくなった。

だから目覚めることができたとき、嬉しかったのと俺たちみたいなのに幸桜が命を懸けた悲しさで複雑な気持ちだった。そんな事しなくたって幸桜だけ幸せになってくれれば良かったのに。

今の俺にできること。

それは幸桜の残りの人生を守ること。

幸桜が幸せでいられるように。出来るだけ笑顔になれるように。

それだけが今の俺の願い。

 

送信中です

×

※コメントは最大1000文字、10回まで送信できます

送信中です送信しました!