罪人たちの舟2
「ねぇ、そう思わない二十四番さん?コイツ面白いよねぇ?」
「‥知らん」
「冷たぁい!」
よく喋る男だ。隣に座っている男に話を掛けているが、その本人は静かにしていたいように見える。
それと、両手の甲には焼き印で番号が印されてあり、これで罪人たちを呼んだりする。二十四番と呼ばれたその男は如何にも‥という感じを纏っている。濃い黒髪に、鋭い目と口周りにある髭がインパクト大ってところか。
出発する前に配られたリストに目を通す。
二十四番‥二十四番‥‥あった。
「罪状・強姦?」
「‥やった覚えはないが?」
「え?あれ‥?あ、見間違えた。罪状・詐欺罪。クスリか。流石は強欲の集まり」
俺の最後の一言に、殆どの奴が小さく反応を示した。すると、またあのよく喋る男が口を出す。
「どぉ言う意味?俺たちがなんの罪を犯したとか関係あんの?」
「‥あぁ。この舟は強欲に駆られた人間が乗る舟。あとの六つは憤怒、色欲、嫉妬、怠惰、暴食、傲慢と分かれている。それぞれの罪に合わせた人間がその舟に乗るんだ」
ぽかんとしていた奴らばっかだったが、二十四番だけが「七つの大罪か」と呟いてきたので、それにこくんと頷けば俺は舟を進める事に集中した。
だからこの舟には自分の欲の為だけに罪を犯した奴が乗せられる奴がいる。しかも大変な事に人数が他の舟と比べると多い。俺だって別にこの舟を漕ぎたくて漕いでる訳じゃないし。
さっきの罪人みたいに、詐欺なんかはいい例だ。金欲しさに人を脅し、殺す奴は沢山居る。詐欺だってそう。監禁はソイツが何処かへ行かないように、自分の物にしたいからって理由。
「噂で聞いた事がある。俺たちは神に裁かれるのだと」
落ち着いた口調で聞いてくる二十四番。コイツも中々肝が座ってる野郎だな。
「神っつーか悪魔かな。強欲を司る悪魔はマモン様。俺の主でもある方だ。お前らを裁くのはこのお方だ。ルキフェル様やサタン様じゃなくて良かったな」
見下すように「ふっ」と鼻で笑えば、七十二番が「すげー」なんて脳天気な台詞を吐いていた。呆れる‥こんな奴、今まで見た事ないぞ。それに、あの今にも人を殺しそうな濁った目が気に食わない。多分、俺が一番嫌いなタイプだ。
だから頭に被っていた笠を深めに被り、アイツの目と合わせないように舟を漕ぎ進めていった。
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