バイビーベイビーサヨウナラ(七十ニ番ss)
空を見上げて両手を上にしてみる。
こんな事をしても何がどうって訳じゃないんだけどさ。あーんな汚い曇った空じゃ気持ちいいなんて言葉も吐き出しやしない。気分悪りぃよ寧ろ。
こんな空を飛んでる鳥なんて見えやしない。て言うかこの島で動物って見かけた事あったっけ?‥ないかもな。悪魔達が支配するこんな島で自由に生きていける筈がない。俺もその自由に生きていけなくなっちまった一人。
女達をどうにかさせちまって、大事な妹にも消えない傷を心に負わせてしまったバカな俺は今ここに居る。ざまぁねーな。この事実を知った女達はきっと喜ぶだろう。死なせてしまった女達はもっと喜ぶだろう。消えない笑い声が俺の耳にこびり付いて離れない。
けど、妹はどう思うのか。
誰が一番好きだったかって‥やっぱり俺は妹の事が一番大切にしてたし、愛してた。
あーあ、兄妹じゃなけりゃな‥
隣に居る船頭は妹の仇をとったんだよな。目の前で俺ら全員見てたし。あの時、どういう感情だったのだろう。復讐心が滾って溢れて抑えが効かない‥んだよな。
「船頭ぉ」
「仕事をしろお前は」
「妹殺したあの道化師野郎ってさ‥」
「うるせぇ」
「本当は自分の手で殺したかったんでしょお?」
「黙、れ‥」
「ならさぁー‥‥、船頭?」
ハーハーと荒い呼吸が隣から聞こえてくる。気になって横を向けば、船頭が大粒の汗をかきながらやっとの思いで立っているっていった感じだ。
胸と右の太ももを押さえつけながら、焦点が定まっていない雰囲気。
ヤバイと思い始めた俺は船頭をガッと支えて「大丈夫か?」と問えば答えは返ってこなかった。ダメだ、もしかして船頭‥あの道化師野郎の事を思い出す度にこうなるのか?おいおい、そんな精神弱いから操られるんじゃねーかよ。
‥いや、だけどこればかりは俺が悪い。お前をこんなにも追い詰めてしまっていたとは知らなかった。
そうだよな‥、大事な家族が奪われたんだもんな。そりゃあ‥辛いよな。
動けなくなった船頭を何とかおぶさって、俺はこの場を離れコイツの家へ戻る事にした。
背中に居る船頭の身体が熱かった。
そしてずっと「許さない‥許さない」と呟いていた。
そっか‥
この世に居なくなっても俺達罪人は許して貰えないんだよな‥。愛おしい人を奪われる辛さは俺に分からない。俺は恨まれる立場。被害者は絶対どんな事があっても俺を許してはくれない。そういうもんなんだよな。
でもさ、
俺もあと五年くらいの命だから。
もうその前に今まで酷い事をしてきてしまった女達にめちゃくちゃにされるまで‥グチャグチャになるまで、殺されても構わないかなって思う。
けどな、俺も殺したくて殺したくて堪らない奴が居るんだよ。ソイツをどうにかしてからでもいいかな?
相討ちじゃ許さない。
「また何処かで会える時を楽しみにしてるよ」
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