Roar to freedom(自由への咆哮) - 12/28

Rtf10

 

一斉に部屋から出てきた俺たちではあるが、目的があるとは言え、どの方向へ向かっていいのやら‥

もし、あの黒スーツたちに出くわしたら全滅って可能性も頭の隅に置いておいた方がいい、よな。‥いや、そんな下らない妄想はやめちまえ。みんなで外の世界に出られる事だけを考えろ。

俺と坂崎を先頭にしながらゾロゾロ歩いていると、坂崎がやたら不安そうな表情をしているのに気付いた。どうしたんだ?

 

「坂崎、顔色悪りぃぞ?」

「‥そう?」

「あぁ。今までそんな辛そうな顔なんて見た事がねーぞ。大丈夫か?」

「‥多分」

「多分って‥。おい、どっか調子悪いとかかっ?」

「違う、そういうのじゃない‥」

 

否定はしてくるが、明らかに顔が真っ青になりつつある。まさかこんな時に熱とか出たりしてねーよな‥?ホントやめてくれよ、一番大事な時なのに。

うっすら汗をかき始め、いつも虚ろで細い目が更に細くなっており、心配になってくる程だ。

 

しかし、歩き方はしっかりしている。気分や体調が悪いというより、何か考え事をしていて、それが一気に坂崎を襲っているというか‥。きっと、その考え事とは不安というもののせいなのか。

坂崎は完全に協力してくれた訳ではない。あの男の目がある限り、下手な行動を取って後で受けるお仕置きとかに怯えているのだろうか?

 

なんか‥申し訳ない事してる気がしてきた。

 

「坂崎、あんまり辛いなら俺らに付いて来なくてもいいんだぞ?‥付いて来ると、お前までもが死ぬ可能性だってあるんだ」

「‥‥。そんなの知ってる」

「お前はあの男からは離れ‥られない関係っぽいし、逆らうつもりもないんだよな?」

「当たり前だ‥。当然な事を聞くな」

「だったら扉がある場所を教えてくれれば俺たちだけで探しに行く。見つけたら俺が坂崎を連れ戻しに‥」

「いい。余計な事をするな」

「‥そう、か?」

「これは俺の問題だ。‥自分でケジメをつける勇気がないから放っておいてくれ」

「‥分かった」

 

あんまり納得したくないんだけどな。

だけど、今こんな状態の坂崎を問い詰めるつもりは更々ない。坂崎が今何を考え、どう思っているのか‥そして、彼から出てきた“ケジメ”という単語が気になった。

コイツはもしかすると、自分の心の中で葛藤してるのか?

 

あの男に従い生きていくのと、俺たちと一緒にここから抜け出して外の世界へ戻る‥。そんな葛藤をしていたりして?

自分でケジメをつける勇気がない、か。だったらお前が言うそのケジメとやらに手を貸してみてもいい。お前と一緒にこんな暗い世界から出られるなら、それは俺が一番理想としているこの先の未来だ。

 

ずっと‥ずっとずっと孤独で、寂しくて苦しかった筈。

お前の犯した罪がどれだけ重たいのかは分からないけど、‥もう許されても構わないんじゃないかと俺は思った。

 

いや‥。それより今はどう効率よく扉まで辿り着けるか、だ。坂崎が始めに言っていた通り、扉を見つけるのはそんなに難しくないというセリフを信じよう。

坂崎も記憶が曖昧だって言っていたから辺りをキョロキョロしながら、扉らしき場所へ繋がる道のりを行ったり来たりしていた。

 

地下全体が広すぎる為、道があっちやこっちに分かれている。‥気が遠い。

ここはもう坂崎頼りしか道はない。

 

「‥黒スーツに出くわしたらどうする?」

「逃げる」

「戦わないのか?」

「‥じゃあアイテム持ってる奴らが率先して戦えよ」

「あ、そうか。アイテム持ってる奴らか」

 

ふと思い出し、俺は後ろを振り返りながら「武器拾った奴はいるかーっ?」と投げかけてみる。するとチラホラ声があがったり、手を挙げてる者もいたりする。

ソイツらに「ちなみになんの武器?」と更に質問を掘り下げると、俺たちと同じナイフを持っている奴が多い模様。三人だけ銃を持ってはいたが、弾の数もあまり多くはないとの事。

 

そして何故か痴漢撃退スプレーみたいなそんなような物を持ってるのが一名。何でそんな不思議なもんが落っこちてるんだよ。

‥スプレーか。火があれば使えそうだな。

 

「マッチとか、ライターとかチャッカマンでもいいから火がつくもん持ってる奴はいるかー?」

 

そう声をあげてみるも、誰も持ち合わせてはいないらしい。さすがに火はムリか‥。火事になり兼ねないしな。

ちょっとだけ落胆していると、坂崎が「まだアイテムが落ちてる可能性だってある」とフォローを入れてくれた。‥確かにそうだよな、まだこれで全部って訳じゃないだろう。

 

前向きに捉えなきゃ。

すると、後ろに居た誰かの声が「ハンマーなら持ってるぜ」という知らせが耳に届けてくれた。

 

「そうか!ありがたい」

「俺はカッター持ってるが‥」

「カッターだって充分な武器だ。いいと思う」

段々と俺に協力してくれる色が見え始めてきた。みんなにはこの上ないくらい感謝している。

 

「坂崎っ、こんだけ持ってる奴がいれば何とかやっていけると思うかっ?」

「‥銃を持ってる奴らは特に。相手に一発でも当たれば後は全員で袋叩きにしてしまえばいいだろう」

「だよな!希望が見えてきた」

「ただし、相手がどんなタイプの銃を持ってるかでまた変わってくるからな?気を付けろよ」

「あぁ。相手がどんなもん持っていようが、何としてでもぶっ倒してやるよ!なぁ、みんな!」

 

俺の問いかけに、「オォー!」という強くたくましい声が重なり合ってくれた。

これ、凄い気持ちいいな。こういう一体感って鳥肌が立つ。

 

「どうせ相手だって四人なんだ。こちとら何十人といるんだぜ?」

「‥そう意気込んでいた奴らが次の瞬間、一斉にこの世から居なくなってきたのを俺は今でも覚えてる」

「‥‥。」

 

今盛り上がりを見せてる所なのに、そういう士気が下がる発言やめてくれ‥

怖いじゃねーか。

 

しかし坂崎の言う通り、慎重にいかないとそうなり兼ねないという事も考慮しておこうか。

 

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