Roar to freedom(自由への咆哮) - 14/28

Rtf12

 

一人殺られた‥か。

「あと三人で対応出来るとでも?奴らが優位に立ちつつありますが」

「そうだな。しかも坂崎があっち側につこうとしている」

「許してもいいのですか?」

「‥左手の不甲斐なさに自分が奴らを引っ張っていかなきゃ、とか考えてるのかねぇ」

 

モニターの中に映る坂崎がどうやら左手に説教を垂れている様子だった。

坂崎は坂崎なりに奴隷共を先導しようとしているのか。それとも、協力していると見せかけた罠なのか‥

 

だがこの様子じゃあ、坂崎は奴ら側につこうとしている風にも見えてきてしまう。‥洗脳が解け始めてきた証拠なのか?

 

「棚瀬‥。多分、坂崎の野郎‥」

「えぇ。目の色が変わり始めています。裏切る可能性も高まってきました」

「坂崎に裏切られるのはちょっと厄介だな」

「では、裏切れないようにしてみせれば良いのでは?」

「‥‥。」

 

その手があったか。

切ってあったマイクのスイッチをオンにしてから、モニターを眺めつつ口を開いていった。

 

。。。

 

再びガササッ、という雑音が入ってくるので、次は奴からなんのお言葉が頂けるのかと思うと、突然奴の声が「坂崎」と何やらご指名のようだ。

名前を呼ばれた本人は、歩くのをピタッと止めて奴の声に耳を傾けてみせる。俺も他のみんなも、一斉に坂崎に視線が集中してしまう中でも彼は、そんな視線すら気にせず物静かに立っていた。

 

「お前が俺に仕出かした罪を忘れた訳ではないよな?もし今ここで俺様を殺そうだなんて考えていたら、テメェは一生俺の奴隷だ。‥言わないでも分かってるか」

「‥‥、」

 

それだけを告げると放送は終わってしまった。

意味深な言葉を並べた奴に対し、坂崎はピクリとも動かなくなってしまい、今まで希望を取り戻しつつあったであろうその両目が一瞬にして暗雲の如く、真っ黒に染められていってしまった。

いつも牢に閉じ込められていた時の目と同じだ。

 

「坂崎、あんな奴の言葉なんて気にするな。お前は自分が自由になれる事だけを考えておけ」

「‥ダメだ。俺はご主人様に逆らえない」

「‥‥、」

 

なんか‥イライラしてきたぞ。

確かにコイツはコイツの人生だ。だけど、あまりにも自分の人生を棒に振りすぎている。

 

五年だぞ、五年。お前この五年間こんな薄暗い場所でジッとしていて奴に暴力を振るわれていた時期もきっとあっただろう。それに加え、バカげたゲームを何度も強要されては多くの人間が死ぬ所も見てきたし、殺してきたんだよな?

よく鬱病とかにならないよな、お前って。ある意味尊敬するわ。

 

床に目を落としている坂崎を若干蔑むようにして見ていると、誰かが「アンタも俺たちと一緒にここから抜け出そう」と声をかけていた。それにつられ、他の者たちも坂崎を励ましていく温かいセリフ。

みんなお前の事が頼りなんだよ。‥こんな情けない俺なんかより。だからお前も自分の意思を持てよ。

 

「ほら坂崎。みんなもこう言ってるんだ。諦めるにはまだ早いだろ?」

「‥‥。」

「お前はお前だ。だからここから抜け出して、みんなと一緒に自由を‥」

「俺の過去を聞いてもお前はそう言えるか?」

「へっ‥?」

 

クルッとこちらを振り向いてきた坂崎がまた「高見沢は俺の昔を知りたいんだろ?」と問うてくる。

思わずドキッと跳ねた心臓。

 

そうだ‥坂崎は自分の過去を引きずっている、から奴に従って生きている。彼がどんな過去かも知らないが、俺はそんな彼の仕出かした罪の話を聞き、許せる心を持てる程なのか?

もしかすると、あの男に同情なんかしてしまうような‥

 

いやいや、あり得ない。あんな男に同情するもんかよ。散々ヒドい目に遭わされてきたんだ。それだけはあり得ない。

しかし、坂崎の鋭すぎる目がそれを物語っているような気もした。

 

「‥俺は自分があんな事をされたら許せないけどな」

「だからって、奴に従ったまま生きてくとかくだらな過ぎる」

「‥‥俺は、」

 

そう坂崎が何かを話だそうとした直後だった。

後ろの方から突然聞こえてくる何人もの絶叫と、激しい銃声音。

 

「なっ‥!?」

「ヤバい!!黒スーツが二人もいやがる!!」

「クソっ、嗅ぎ付けられたか!」

 

みんなが一斉に逃げ惑う中、坂崎だけが銃声音が鳴り響く方へと走り出して行く。ビックリした俺は、思わず坂崎の名前を叫びながら追いかけようとするも、足がすくんで動き出せなかった。

ドガガガガガッと耳に強く残る弾ける音と共に焦るような、怯えている声色。そして俺とは逆の方向へと走るみんな。

油断していたせいか、俺たちとは少し離れてしまっていた後ろ側の人たちが血を流しながら必死で走って来る。手で赤い液体が流れるのを押さえつつ、顔を歪ませていた。

 

「‥っ!」

 

俺がこんな事してたからみんなが‥!

覚悟を決めろ。決めるんだ、俺。

 

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