Roar to freedom(自由への咆哮) - 26/28

Rtf24

 

半年後ー‥

 

あれから高見沢とはちょくちょく会っており、近況報告やらご飯食べに行ったりやらで、俺たちの生活はみんなと変わりなく通り過ぎていこうとしていた。

 

実家に戻ってみれば、両親に心配されまくってしまい、この五年間お前はどこへ行っていたのだと。会社を捨てて何をしていたんだと。俺の代わりに桜井が会社を支えていたんだ、というデタラメな話しばかり聞かされていたが、俺は真実を伝えはしなかった。

もう終わった事なのだから、これ以上両親にも心配かけさせたくなかったし。俺も俺で酷い事をやらかしてきたんだから、桜井を‥庇うつもりはなかったけれど、俺は適当な理由ではぐらかしていたら、そのまま半年過ぎていた。

まぁ実家は金持ちだし、生活には別に困らないから良かったけど。でも俺は、帰って来てから一週間後には実家を離れ、一人暮らしを始めていた。

 

そんな一人暮らしを満喫しつつ、お金に困れば実家に帰って勝手に持ち出して来たりと堕落しきった生活をしていたが‥まぁ、許してくれ。五年間暗闇に閉じ込められていたんだからさ。

だからあとの半年くらいは、こんなニート暮らしでもしていようと決めていた。失った五年間を少しずつ取り戻していこう‥って。

 

そうそう、あの時高見沢と約束した通り、俺は世の中に貢献して生きていこうと思っている。まだあんまり手を付けたりはしてないけど‥

でも色々とネットで調べたり、その現場に赴いたりと、何かしらはやっているが。

 

フーっと息を吐きながらソファーの上でダラけてサラミをかじり、いつの間にか進化しまくってるスマホとかいう携帯電話を眺める。

流石に使い方にも慣れたって感じだったのだが、時代ってすげぇな。俺が地上に居ない間、こーーーんなにも新しいもんが増えて‥古いもんが廃れていった。

 

そういや昨日の夜中に、高見沢からラインが来てたんだった。空いてる日ないかー?って聞いてきたまんま返してなかったんだ。返さないとなー、なんてぼやーっと考えていたら‥

ピンポーン、と鳴ったので多分聞こえてないだろうけど、一応「はーい」と返事をしてみせた。

ソファーから立ち上がり、廊下を歩いてようやく玄関に辿り着いてから、そこでもう一度「はいー」なんて言いながら扉を開け放ってみせた途端、俺の体は硬直してしまった。

 

だって‥‥

 

「捜しましたよ、坂崎様。‥‥ひっ捕らえろ」

「えっ‥?」

 

訳が分からなかった俺は、咄嗟に扉を勢い良く閉めようかと思ったけれど、この迎えに来た男が自分の足で扉を閉めるのを防いでしまえば、後ろで待機していた何人もの黒スーツが俺へと一斉に襲いかかってきてしまった。

 

逃げ場がない為、どうにかしようにも何も出来やしなくて‥

コイツらをぶっ殺すアイテムも今はここら辺にはないので、正直に大人しくなるしかなかった。

 

一気に三人もの男が俺を捕らえてくるが、ムダに暴れ回る事はしないでおこうか。だけど暴れてもない俺に対して若干‥どころか、結構痛いくらい掴みかかられてるんだけどな。

 

くっそ‥。なんで見つかったんだよ。

俺の目の前に立ち尽くすのは、俺のかつての秘書だった男。

ニコッと見せるその不気味な笑顔と共に「社長がお待ちしておりますよ」と告げてくるが‥‥

 

「バカ言え。俺にはもう関わるな‥。と言うより、アイツ生きてたのか」

「えぇ。私の意思により強制的に生き永らえて貰いました」

「はぁッ‥?」

 

なに言ってんだコイツ‥

とは思うものの、桜井の奴‥しぶといな。かなり深くまで突き刺した記憶はあるんだが。

 

しかし助かってしまったのは事実っぽいし。‥あーぁ、また俺は奴隷に舞い戻りって訳かよ。ちょっと早すぎやしねぇか?

棚瀬を睨み付けていると、奴は「やはり皆さん、そういった冷めた目が一番魅力的ですね」と言いながら俺の前にしゃがみ込んだ。

そして俺の顔と逸らす事なく、棚瀬はこう告げてくる。

 

「坂崎様。社長の方と今一度お会いして頂けないでしょうか?」

「‥断ったりしたら?」

「強制送還です。言われなくとも分かってますでしょうけど」

 

「行け」と命令を送る棚瀬の言葉に、俺を掴みにかかっていた黒スーツたちに無理やり玄関の外へと連れ出されるハメになってしまったではないか。

‥どうするよコレ。

 

。。。

 

真っ黒な高級なお車で送られてこれば、有無を言わさずに連れて来られてしまった見覚えのあるこの部屋。

 

‥やだなぁ。

ここ、いい思い出がないんだし。

 

連れて来られた車の中でも終始無言だった為、棚瀬に話しを掛けられようがそれをずっと無視していた。しかし棚瀬の事だから、桜井みたいに俺へと怨みを持ってない分、暴力も受けないし特にこれといった嫌味もなかった。

 

そして、俺が育ててきた会社の一番上の階まで連れて来られてそこで待ち構えていたのは、考えなくても分かりきっている相手。

あの日と同じ位置のソファーに座り、同じワインが用意されており、部屋に入って来た俺を見向きもせずに「やっと来たか‥」とだけ呟く。

 

扉の前で立ち止まっていると、背中から棚瀬が押してくるので仕方なく彼の座っているソファーの向かい側に腰を下ろす。悪夢同然の光景だった。

ソファーに座った俺をチラッと横目で確認した桜井は、グラスにワインを注いだかと思えばそれを俺へと手渡してくる。‥ので、俺はそれを素直に受け取った。

 

「‥‥。」

「よぉ、久しぶりだなぁ‥坂崎」

「久しぶり」

自分のグラスを持ち上げてはワインを一口飲み干した桜井。

 

「半年間、暫く自由に生きてきたっぽいなお前」

「‥いつから俺があそこに住んでると調べた」

「お前があそこに住み着いて多分、一ヶ月くらいの時かな」

なんだ、もうそんな前からバレてたのか。

 

「‥泳がせていたのか」

「半年間も自由を与えていたんだ。むしろ感謝して欲しいくらいだがな」

「感謝‥ねぇ」

 

さて。どうしようか。

逃げられる隙を作るしかないかな。相手を傷つけられるような武器代わりになりそうなものは、この部屋に結構ある。

次こそはコイツを確実に仕留めた方が俺の身の為だな。

 

そう考え込んでいた俺に、桜井は脚を組みながら偉そうな態度を示しては「そうだ坂崎。お前をここに連れてきたのには理由がある」と話す。

 

「‥あっそう。どうせ奴隷にする為だろ?」

「違う」

「えっ‥?」

 

俺の言葉をすぐに遮った桜井に、思わずそんな反応が自然と出てきてしまった。

あれ‥?俺をまた奴隷にするんじゃないのか‥?

 

「坂崎、お前に頼みがある」

「頼み?」

「あぁ‥。簡単な事だ」

「‥‥?」

そして‥次に桜井から発せられたセリフに、俺は顔をしかめる事となった。

 

「‥それで何になる?」

「簡単な事だ。‥それをすればお前は‥‥」

 

その桜井の言葉で、俺は信じてもいいのかと‥

そう疑問に思ったが、彼の顔はいつになく真剣な表情になっていたような気もした。

 

‥‥どうする?

信じてもいいのか‥?

 

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