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サクライside
ちくしょう…なんでアイツらここに戻ってきてるんだよバカ野郎…!
俺が止めてやってたのに意味がなくなるじゃねぇか…!
取り憑いてる天使のせいで俺の体の歯止めが利かなくなってしまっているが、なんとか自分の意思で今は動かせてはいるものの……やはりそろそろ厳しいか。
タカミザワを死なせたくない。
だけどこの天使も出来るなら救いたい。
どちらかに一つだなんて‥そんな残酷な選択、俺に出来る訳がない。どうすればいいんだよ…っ?
(何をしてるのマサル!?早くタカミザワって奴に鐘を鳴らすよう言いなさいよ!)
「ごめん‥。だけど出来ないよ‥」
(私を天界に帰してくれるんじゃないの!?)
「もちろん帰してやりたいさ…!だけどそれだとタカミザワが戻れなくなってしまうじゃないか…!」
(私があの天使をここまで呼び出した意味がなくなってしまうでしょ。何を考えているの?)
「ただ二人を天界に帰す事だけしか考えていない‥」
(マサルだって知ってるでしょ。翼がない者が天界に帰る事は許さないのなんて。だから私はあの智天使を天界から追放されるよう仕向けたの。マサルはそれを水の泡にしようとしてるの分かってる?)
「俺だって始めは落ちた天使の翼を貰い受けてお前に渡すつもりだったよ?でもやっぱりタカミザワをこれ以上傷付ける事なんて出来ないんだ‥。あんなに優しい奴をもう、騙したりは出来ないよ‥!」
(意気地なし‥)
そうこうしてる内にタカミザワとサカザキがもう、すぐそこまで来てしまっている。
お願いだ‥来ないでくれ‥来ないでくれってば!!
「サクライ!」
“明日の鐘”の前まで来た私達は、地上に降り立たずにサカザキを抱えたまま暫く空中を漂っている状態で一応は警戒態勢にも入っている。
サクライは苦しそうに顔を歪め、口をぱくぱくしながら何かを訴えていたが、声が小さくて聞き取る事は困難だ。そんな辛そうにしているサクライの元へ行こうと思うも、私は彼の後ろに憑いている“モノ”がようやく確認出来た。
「あれは‥っ」
アイツがずっとサクライに憑いていた天使か‥。いや、天使とは言い難いモノだった。翼は勿論なかったが、姿はきっと死んだ時のままなのだろう。
どちらかと言えばあれは血まみれなただの悪霊と言った方が正しい。
しかしあれもかつて私と同じ天使であったらしいのだからな…
反逆や嫉妬で堕ちた天使達は数多く空からは見てきているが、地に堕ちた本物を見た事がなかったので少々驚きを隠せないでいるが…本当に堕ちた天使はこんなにも醜い姿になるのだな、と。
天界でしか暮らしていなかった私からすればとても哀れだと思うが、私も今はそこの悪霊天使とさほど変わらないか‥。つまりは同じ穴の狢という訳だ。
一歩間違えれば私だってああなりかねない。
「もうやめろサクライ。そんな事をしても自分の体が朽ちて逝くだけだ。そうなる前にソイツから離れろ」
「‥出来る訳ねぇだろ。誰も信じなかった伝説を証明してくれた本物の天使なんだぞ‥?たった一人の味方の天使なのに‥」
「体が悲鳴を上げてるのだってお前は気付いている筈だろ?私だって所詮神に仕える天使だ。神ではないから全てを救うのは不可能なのだから‥手遅れになる前に離れてくれ」
そう、私は天使であって神ではない。だからサクライも悪霊天使も両方救える自信は正直…ない。
腕の中にいるサカザキも懇願するような瞳で彼を見つめている。
だけどサクライは本気であの悪霊天使を救いたいのだな‥。その表情は真剣そのものなのは伝わってはくるし、ずっとずっと伝説を信じてきたサクライからしたらそれは確かにあんな奴でも救いたい筈だ。
サカザキを裏切ってまで出した答えなのだからな……
「‥‥分かった。私が救ってやる。だからお願いだ。ソイツをお前から離れさせてくれ」
「タカミザワ‥?」
サカザキが怪訝そうに私の名前を呟くと同時に地上へとフワリと舞い降りてみせる。
鐘の下で苦しんでいるサクライに近付くと、私は持っている炎の剣で彼に憑いている悪霊天使を脅すように刃を向けてみせれば、何かを察知したかのように悪霊天使は素直にサクライから離れていくではないか。
「サクライっ…!」
「っ……」
その刹那にドサッと倒れ込むサクライを支えるサカザキたちを一旦この場から少しだけ距離を取らせ、そしてその悪霊天使は私へと取り憑かせてみせる。
「なっ、何をしてるんだタカミザワ‥!?」
「ッ‥、。心配するな、コイツは救ってやるからな」
「ダメだ‥そんな事をしたらお前が‥!」
(私を本当に戻してくれるの‥?)
「約束する。命に変えてもお前を天界へ帰してやろう。‥だから、サクライもサカザキもこの町の皆に被害を与えないと約束するか?」
(約束する)
「そうか‥。なら頼むぞ」
私は意を決して“明日の鐘”の下に吊されてる紐を握り締め、「やめろ!!」と叫んでいる二人に最後に微笑みかけ、こう告げた。
「ありがとう‥。楽しかったぞ、」
そして私が腕を振るった次の瞬間、“明日の鐘”が作られて初めて町中に音が鳴り響いた。
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