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その日の夜はサクライの家で泊まる事になった。
サカザキの方はタクローさんの酒場の二階に住み込んでいる為、酔って寝てしまった彼をサクライが部屋に戻してから私達は先程帰ってきた所。
帰り道も町は賑わいを失わずにどこもかしこも人で一杯で、私が落ちた噂は既に広まっており、通り過ぎる人々は手を振ってくれたり「綺麗だよ!」とか「可愛い人だねぇ」と声を掛けられるが、私は苦笑するしかなかった。
やはりみんな私をサカザキの女だと思っているらしく、必要以上には近付いてはこないようだ。本当は私の翼を触りたくてうずうずしている雰囲気が沢山伝わってくるが、私にちょっかいを出してサカザキに何をされるかが怖いので見ているしか出来ない様子。
本当にサカザキの存在って一体何者?
「そのベッド使ってもいいから。俺はまだ寝ないしタカミザワだって疲れただろ?」
「ありがとうサクライ。お前は優しいのだな」
「タカミザワが人外だからだよ」
アハハと笑うサクライにつられ、私もフフッと笑顔を向けた。
暫く二人で談笑していたら夜も遅くなり、私も寝ようとした時ふと窓の外が気になり無意識に空を眺めてしまっていたようだ。
「‥‥やっぱ帰りたいんだろ?」
そんな質問をされてしまえば「えっ…!?」とはなったが、私はサクライに向かって思いっきり否定をする。
「‥帰りたくないッ。死ぬくらいなら人間として生きていきたい!」
「素直じゃねぇな。ま、そういう所が面白いんだけどね。ほら、もう寝なよ」
「うんっ」
サクライに促され私はベッドに入り込むと数分としない内に眠りに着いてしまっていたようだ。
今日一日色んな事があって疲れたので、深い眠りに落ちるのには容易い。なんだか‥ちょっぴり心細い、な。
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タカミザワが眠ったのを確認するサクライは、彼のサラサラとした柔らかくて長い髪を優しく掴めば自分の口許に持ってきてそっと唇を落とす。
「絶対にお前は逃がさない‥。俺の望みを叶えるにはお前が必要なんだよ」
不気味な笑みを浮かべながらサクライはタカミザワの白くて美しい翼を撫で、羽根の一枚一枚を丁寧に触れていく。
先程までの優しい笑顔は消え、今となっては悪魔にでも取り憑かれたかのような恐ろしい表情だ。
眠っているタカミザワがサクライに気付く筈もなく、すやすやと気持ち良さそうに寝息を立てているタカミザワが本物の天使だと確信したのはやはり翼が背中から直接生えているから。
こんな千載一遇のチャンスを逃す訳にはいかなかった。幸いにもタカミザワの周りには余計な虫が寄って来ないので、サクライにとってこんな好都合な事はないだろう。
サカザキが役に立つとは思っていなかったからサクライはこればかりは彼には感謝しているようだ。
「天使‥ねぇ。タカミザワには悪いけど俺の役に立って貰うから。でも男の癖して綺麗すぎるよ‥。初めて見た時、女だと思ったのは事実だ。なんでそんなに髪が長いんだよ。なんでそんなに美しい顔立ちなんだよ。なんでそんなに純白な翼を持って生まれたんだよ?きっとその翼は……。まぁいいや、これからを楽しみにしてるよタカミザワ」
☀︎*.。
次の朝。私はサクライが作ってくれた朝食を食べてから二人で町に出て、途中でサカザキと合流しながら三人でとある店へと向かう事となった。
サカザキが一番に中へ入っていくと陽気な笑顔でそこの店員に挨拶をしている。
「お久しぶりですコウセツさん。今日はちょっとコイツの服を買いに来たんですけどいいのありますぅ?」
「おぉ、サカザキくんじゃないか。服なら昨日新しく作ったばっかのがそこに置いてあるから勝手に見ていってよ」
「ありがとうございます!」
私はサカザキの後ろで二人の会話を聞いていただけで、あとは試着室とかいう場所に連れていかれて色んな服を着せられていた。
何故こんな事をしてるかと言うと、サクライの提案で今着ている私の真っ白な衣服がだいぶ傷んでるようなので、新しい衣服を買った方がいいと言われたからだ。途中でサカザキを無理やり連行してきてコウセツさんというさっきの男の人の店に仕方なく連れてきてくれたみたい。
どうやらここは人間が着る衣服が集まった場所だと思われる。
サクライとサカザキは次から次へと私に色んな種類の衣服を着させてくる。どれもこれも私の理解出来ない物で、今まで動きやすく、戦いの時も邪魔にならないようなものを着ていたので、腕までかかる長い衣がなんとなく許せない自分がいたりもする。
しかしヒラヒラとした衣服は案外気に入り、どこぞの王様かと思うものを着せられていたりと、若干遊ばれてるのでは?と思う部分はあるものの、人間はこんな豪華な衣装を毎日着ているのかー…
私達天界にいる者は白い布一枚が基本だというのに。
「どれがいい?」
「うーん…。私は動きやすい衣服がいい。こんなにもごわごわとした素材だと飛ぶ時には重たすぎる」
「我が儘だなぁ。じゃあ、これは?」
サカザキが渡してくれた衣服を受け取り早速着替えて(翼は折りたたんで出来るだけ小さくしてる)みると、腕まで衣服は伸びているがとても軽い。
「うん、これでいいよな。コウセツさん、背中の辺りちょっと切り口入れてくれませんかー?」
サカザキがコウセツさんに頼み、私が着ていた衣服の翼が生えてる辺りを切って貰うとそこから翼が出るようにしてくれる優しさ。有難い。
「よし、これでいいな」
「だな」
おぉ‥。自分自身を鏡で見てはいるが、少しは人間に擬態出来たのだろうか?
そしてサクライの提案で同じようなタイプの服を何着か購入することになった。
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