Roar to freedom(自由への咆哮) - 16/28

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死んだ相手の武器を奪った後、俺たちは一旦怪我人を治療する為に物陰に身を潜めながら座り込んでは休憩していた。

五人ほどの見張り役がおり、怪我を負っていないみんなで見張り番を十五分おきずつに交代しながら、極力戦闘は避けようという考えでの事。まぁ、襲って来たとしても黒スーツが生きてるのはあと一人なんだ。

 

こっちには奪い取ったマシンガンがある。なんとか全員ここから抜け出せるかもしれない。

そう強く意気込んでみるも、向かい側の壁でもたれて目を閉じている坂崎が「‥もしかすると、道を塞がれてるかもな」と意味の分からない事を口にしてきた。

 

「どういう事だ?」

そう尋ねると、彼の目がうっすら開いていく。

 

「黒スーツは残りあと一人‥。という事は、ご主人様がこのままで終わらせる筈がない」

「‥ゲームを終わらせるつもりはないと?」

「いや、そうじゃない。きっと今だってカウントダウンは終わってない。ゲームの制限時間は三時間だっただろ?」

「まさか‥制限時間内に終わらなければ俺たちは解放されないって事か!?」

 

俺の思わず出てきてしまった大声で、みんながこちらに視線を向けてきた。ハッ‥とした俺に、坂崎が「まぁ慌てるな。あと一時間くらいは残ってる」とフォローを入れてくるが‥たった一時間?

じゃあこんな場所で休憩してる暇なんてねーだろうがオイ。

 

しかし、現に動けない奴だっている。慌てて全員で動き出しても、それこそ逆に危うい場面に出会ってしまう可能性もあるだろう。下手に動くのはやめておいた方が無難か。

怪我をしている者の止血をするべく、自分の着ている服で布切れを作り、それを巻いていたりと応急処置の程度が雑すぎる。‥しょうがないけどさ。

 

坂崎自身も、撃たれた左肩とは反対の右の袖を引きちぎり、それをただ巻いておいただけというもの。幸い出血も多量ではないので、動けるといえば動けるらしい。

俺のせいで坂崎に怪我を負わせてしまった罪悪感が強い。彼の戦力は並大抵ではないのも知っていた筈なのに‥。バカなのは俺の方だ。

ハァ‥と溜め息をついてしまえば、坂崎が「俺の過去の話聞きたい?」と突然尋ねてくる。

 

「えっ、そりゃ‥もちろん」

「だったら覚悟しておいた方がいい。‥少しここから離れよう。みんなに聞こえない程度の場所まで」

「分かった‥」

 

坂崎に誘われ、俺たちはほんの少しだけみんなとは離れた場所まで移動する。彼らが見える範囲じゃないと色々と不安なので、これくらいの距離でいいだろう。

さっきと同じように、向かい合わせにしながらお互い座り込む。

なんか、たったそれだけで緊張してきた。だって‥ここに連れて来られた時からの謎がやっと解けるから。坂崎がなぜ逃げ出さなかったのか、という疑問は常に頭の中にあったしな。

 

「さっきも言ったけど‥この話を聞けばお前もここから出られなくなるかもしれないんだぞ」

「構うもんか。坂崎の話を聞いた上で俺はお前とここを出る。アイツになんか負けない、絶対に」

「そこまでの覚悟があるなら‥じゃあ、」

「話すよ?」という合図でドクンと騒ぎ出した心臓。

 

この先に待ち受ける坂崎の過去が‥明かされる。

 

 

「俺さ‥‥、元々はご主人様が今経営してる会社の社長だったんだよね」

「‥!?」

 

い、いきなりの爆弾発言すぎて何が何やら‥‥

え‥?どゆこと‥?

 

頭が上手くついてこなかった。

 

「あの‥‥それって‥‥」

「簡単に言えば俺はご主人様に会社の権利を明け渡したんだよね。仕方なく」

「‥仕方なく?」

「そう。というか元々俺とご主人様は‥‥親友、と呼ぶ程でもないが友達ではあったんだ」

「アイツと‥友達、だと?」

 

益々混乱してきた。いや、考える力も気力も吹っ飛ぶくらいの爆弾発言すぎて‥‥

 

ちょっと待って。じゃあ、坂崎は友達のアイツからこんな酷い目に遭わされていたって事なんだよなっ?そう、だよな‥?

開いた口が塞がらなくて、坂崎から出てくる発言に次から次へと驚かされっ放しだった。

 

「お前が‥社長?」

「あぁ。さっき棚瀬って奴居ただろ?元々アイツは俺の秘書だったんだ」

「‥‥。」

 

話しがぶっ飛び過ぎて中々ついていけない。

え、えっ‥?坂崎は元々社長で‥あの棚瀬って奴が坂崎の秘書?だったら何で棚瀬って男は奴なんかに付き従っているんだ?

 

「まぁー‥、ご主人様‥‥もとい、桜井の性格をあんな風にして人格を壊したのも全部俺のせいだしね」

「‥お前が全ての元凶で、奴はあんな風に?ていうか元からあんなんじゃなかったのかよ?」

「違うよ。アイツは昔は普通に優しくていい男だったんだけどな。‥結婚もして幸せそうだったし」

「けっ‥こん、」

 

してたのかよアイツ。

もうダメだ‥、サッパリついて行けん‥

 

驚愕している俺の顔を見た坂崎が、フッ‥と口の端を僅かに上げて笑ってみせたじゃないか。坂崎が笑っちまう程今の俺の顔がおかしいって意味だよな、きっと。

 

「あの野郎、あんなナリで嫁がいやがったのか‥」

「嫁が“いた”。過去形だ」

「過去形って事は‥やっぱりこういう事をしてるのがバレて離婚したとかっ?」

「違う。桜井の嫁を殺したのは俺だ」

「ふえっ‥?」

 

あ、‥あの、えっと‥‥

 

「まぁ、事故だったんだけどな」

「へ、へぇ~‥」

 

ごめんなさい。

全くもってついて行けません‥

 

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