Roar to freedom(自由への咆哮) - 18/28

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今までの話しを聞かされてどう思う?

坂崎がここから出る資格があるのだろうか?

 

俺や他のみんなは何もあの男に対して迷惑なんて掛けていないが、坂崎の罪はあまりにも重すぎる。奴が切れるのも‥そりゃ、何となくは理解出来るけど。

だけど、それだからって坂崎をこんな暗い地下に閉じ込めておくか普通?そこからもうおかしいんだよ。マトモな人間だったらソイツが犯人だったと分かった時点で警察に突き出す‥‥筈なんだが、そういえば警察は坂崎の手中か。動き出してくれる筈もない‥わな、そりゃ。

きっと奴には他に選択肢というものがなかったんだろう。坂崎を殺しも出来ない。だからと言って、警察に突き出した所で相手にしてくれないのは目に見えている。

 

‥本当にこのやり方で正解だったのだろうか。

考え込む俺を見据えてくる坂崎の表情が、今までの虚ろで死にそうな顔じゃなくなっている。それはまさに、悪魔にでも取り憑かれたかのような恐ろしいものだった。

うっすらと笑みを浮かべるその赤い口許が、やけに不気味で思わず背筋がゾッとなってしまう程の威力。坂崎‥、お前も相当ヤベェ奴なんじゃねーかよ。

 

「どう、高見沢。ここまで俺の話しを聞いてもお前はここから一緒に出ようって言う気にもなるか?」

「‥‥。まだ、一応」

「そうか。なら俺はお前と協力しよう」

「‥‥。」

 

坂崎を蔑む目で見下していると、彼はつまらなさそうに「だから覚悟しろって言ったじゃん」と呆れ半分、俺の反応を楽しんでいるようにも見えるのは見間違いじゃない。

‥コイツ、真のクズだ。

 

「俺はお前が嫌いになりそうだ」

「みんなそう言うだろうね、きっと。高見沢は俺の過去を知らないままの方が良かったのかも知れない。そうしたら俺に対してそんな崩れた気持ちは生まれて来なかった筈だ」

「ま、そうかもな。‥‥けどな、お前もここで充分苦しんだろうが」

「‥そりゃあね。あの日から‥毎日死にたくて仕方なかったよ。だけどこれが俺に課せられた運命ならば、俺はそれを受け入れるしか出来ないような酷い事を犯したんだ。文句は言えない」

 

嫌な奴だな、とは思うものの‥コイツは自分の犯した罪の重さを受け止めている。こんな所で五年間、文句も言わずアイツの言いなりにされてきては暴力を受け、下らないゲームに参加させられては死にそうな思いをしてよ‥

 

従順なのか単なるバカなのか、どちらにせよ可哀想という気持ちはやはり今も拭えなかった。

五年間ここで苦しんだんだ。もうそろそろ解放されてもいいんじゃ‥‥

 

いや。俺があの男と同じ境遇であれば、俺は絶対に相手の事を許しはしない、か。あの男も何年も何年も苦しんだ。愛おしい人を失い、オマケに人間不信にさえ陥る程の出来事だったんだ。

分からなくもないけど‥‥

 

あぁ、くそっ。やっぱりどっちもどっちだ。悪いのはお互い様じゃねーかよ。

 

「‥ご主人様は結局、俺の死が望みなんだと思う」

「じゃあ何故殺さない?」

「自分の手では下したくないんだよ。だからこんなゲームが始まった。集められた奴隷たち同士での殺し合いのゲーム。‥その真の目的は俺が他の奴らに殺され死ぬ事」

「だけどお前はしぶとく生き残り続けてきた」

「そう。俺が死ねばご主人様の気も済むのかなー、なんて思いながら俺は生き延びてきたさ。‥これが俺に出来る最後の悪足掻きだからね」

「‥お前一人が死ねば他のみんなは死なずに済んだ。あの男もこんな奴隷を集めるような事もやめた筈だ」

「なに、俺が生きてちゃ悪いって意味?」

「‥‥、」

 

頷きそうになったが、ここはグッとこらえる。坂崎の罠に引っかかるな。

今のコイツの目や態度は明らかにさっきまでの坂崎とは別人。言うならば、これが坂崎の本性なのだろう。

 

ふざけてる‥

奴も坂崎も、コイツら頭おかしいぞ。

 

なんか話しを聞いただけなのに心がドッと疲れてる。タダでさえ身も心も削られている状態なのに、坂崎の話しで一気に体力を奪われた。

思わず盛大な溜め息をついてしまったが、一度目を閉じて心を落ち着かせる。

 

‥決めたんだ。俺は全員でここから逃げ出すって。だから坂崎を置いてく気は更々ない。

 

「坂崎。お前はここから出たら世の中に貢献しろ。死ぬまでな」

「‥それで許して貰えるなら」

「お前の犯した罪はとてもじゃないが、償えるもんじゃねぇ。‥だけど、お前は今日まで耐えてきた。お前にまだ善の心が残っているんだったら‥‥、世の中に貢献していくんだ。約束してくれ」

「‥‥分かった。約束するよ」

「良かった、」

 

。。。

 

「良くねぇ‥ッ。全ッ然良くねぇよ!!」

 

ドガンッと拳を台の上に思い切り落としたせいで、棚瀬が即座に「機械が壊れますよ?」と素っ気なく伝えてくるが、そんなものどうでもいい!!

 

はぁ‥ッ?

坂崎が世の中に貢献するだと‥?何を生ぬるい事ぬかしてるんだ。アイツは俺に対して一生を掛けてでも償っていかなきゃならねぇ過去を持っているのに‥‥

 

世の中に貢献とか‥片腹痛いってーの!!

 

「社長。肩が震えておりますが?」

「うるっせぇ‥!俺に話しかけんなッ!」

「何を焦っているのですか?貴方らしくもない」

「ちょっと黙っとけよ‥!っ、ハァ‥ッ、く‥」

「取り乱している貴方なんて‥私は見たくありませんよ?貴方にはいつも冷静であり、それでもって冷徹でいて貰わないと」

「うるさい‥、うるさいッ!!」

 

クッソ‥!!

バカな奴らだ‥‥

俺と坂崎の過去を知った以上、あの左手もここからは出してはおけねぇ。誰にも口外させる訳にはいかないんだよ!

 

「この俺様をここまで怒らせたんだ‥。タダじゃ済まさねぇぞ、左手ッ‥」

 

なぁ、惨めだろ?可哀想だろ?同情しそうになるだろ?

俺のこんな人生‥‥もう消してやりたいぐらいだ。何もかも消してしまいたい、けど‥

 

俺には忘れちゃならない人がいるんだっ。

なんで‥お前がこんな目に遭わなくちゃならなかったんだよ‥。お前との大切な新しい命にも‥‥もう二度と会えない。

 

「籠の中の鳥は‥いつ出られるのかねぇ?」

「社長?」

「‥‥。」

 

見上げたモニターに映っている二人を腐りきった両目で睨みつける。

 

「‥例えここから出られたとしても、お前たちは絶対に許しはしない。この悲劇を繰り返してやる。‥何度でもな」

 

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