Rtf17
そろそろここから離れようという話しを坂崎としてから、俺たちは残り時間が迫って来ているその間に扉を探し出す。
集団で動くとやっぱり探し辛いといえば探し辛いが、仲間が多くいるという安心感や例え敵に出くわしたとしても、大勢でなら何とか倒せるというのも分かったし。
坂崎はというと、まだ傷は痛むが意外にも動けるので変わらず俺と先頭で歩きながら薄暗い地下を進む方を選んだ。傷を負ってしまった者たちも、支えられながら一生懸命歩いてはいるものの‥
あんまり長引かせたくないな。
すると坂崎が俺に聞こえる程度で「おかしいな‥」と呟く。
「なにが?」
「ご主人様からの言葉が流れない。‥さっきの俺と高見沢のやり取りを見ていた筈なのに」
「そういえば‥割って入っても来なかったよな」
口止めしなかったのには理由がある?もしくは‥坂崎の過去を全部知った上での俺をここから出させはしないという意味か?
あり得そうだな。
「野郎、わざと俺たちの事を放っておいたのか」
「‥かもな。となると、お前が自由になるのも難しくなってきた。もちろん俺もムリに近いかもな」
「そんな事ない。俺もお前も、ここに居るみんなで外に出る」
「ご主人様を見くびらない方が身の為だ。俺やお前だけでなく、ここに居る全員出られない場合も高い」
コイツはまたマイナス思考な事を‥
しかし、先ほどみたいにイラつくという気持ちはなくなってしまった。それは坂崎の過去を知ったからという意味だろう。壮絶な人生なんだな‥
俺なんか‥アホみたいな事に金を使い込んで借金してしまって、その果てにこんな場所まで連れて来られてよ‥。俺の人生どうなんだよオイ?
まぁいい、今はそんな事考えるな。残りあと一人の黒スーツは、運が良ければ出会う事もないかもしれない。その運というものは、こんな地下に連れて来られた運のない俺たちに味方してくれるかは不明だが。
しかし、さっきから坂崎は俺たちを導いてくれるようにスタスタと迷いなく歩いて行く。この地形に見覚えあるのかな?
そこらへんは何も詮索せずに坂崎について行きたいが‥。残り時間も気になる所だ。
‥‥ん?
「坂崎‥なんか臭くねぇか?」
「‥‥そうだな」
「焦げ臭いような‥何かが燃えてるような‥。‥‥まさか」
「火事って事はない。ここが燃えたら上まで火がいってしまうからな。これはフェイクだ」
「フェイク?」
「俺たちを焦らせる作戦かな、ご主人様は。そろそろ出口が近くにある証拠」
「出口が近くっ?ホントか!?」
この俺の声で、後ろについて来てるみんなが「おぉ、もうすぐ着くのか」などと歓喜の声をあげつつ、まだ油断は出来ない状態。
坂崎に「下を見ろ」と言われ、それに従うと、地面のすき間から所々僅かな煙みたいなものがモヤッと噴き出ていた。そうか、これが煙の匂いを発していたのか。
「ただし、ここからが本番だ」
「本番?」
「出口に辿り着くまでに、俺たちが閉じ込められないかが心配だがな」
「どういう事だ?」
「‥出口がある扉は、さっきの集められた部屋みたいに‥いや、あれ以上に広い空間が待ち構えてる」
坂崎が両手を使い、人差し指と親指で丸の形を作る。その人差し指の先っぽは完全に引っ付けず、少しだけ開いていた。それがここから出られる唯一の扉で、その丸い部分が空間って事か。
すると坂崎は、「この空間に繋がる道は沢山ある」と説明を続ける。
「今俺たちが歩いてる道も、その空間と繋がってる筈だ。けど、そこの空間に出る瞬間が問題って訳」
「なんで?」
「うん、そこで多分‥上から鉄製の板が下ろされたらお終いだろうね」
「‥そう簡単にはいかせねぇってか」
「そりゃそうだ」
しかしまだ奴からの放送が入らない。何を思ってるのか、ただ俺たちが出られないような策を企んでいるのか‥。奴が今考えている先を読め。そうすればこっちのものだ。
だが、この大量に睨み付けられているかのような感覚が沸き起こる監視カメラの多さといったら‥。コイツらのせいでこっちには作戦を練る間もない。全ての行動や考えが筒抜け。
だから‥
いざとなったら、俺一人だけでも考えてやるんだ。いくらでも足掻いてやるさ。
すると坂崎が遠くの一点を見つめ、「見つけた」と一言呟く。
「‥その出口がある空間とやらか」
「ほら。あの真っ直ぐ行った先。まだ大分遠そうだけど」
坂崎の指を差した方向に俺たちは一斉に顔を向けてみせる。
‥‥やっとここまで辿り着いたか。
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