Rtf3
勝ち抜けば‥俺は本当に自由になれるんだよな‥?
「‥坂崎」
「あぁ。今まで俺も見てきた。‥勝ち抜いた奴らは外の世界へと戻っていった」
「‥‥。」
マジかよ‥
坂崎がこう言ってくるって事は嘘じゃないって意味なんだよな?
歓喜している者もいれば、このゲームの内容に不安がる者と両極端に分かれる声。そうだ‥勝ち抜いたとしても、俺は人を殺していかなきゃならないって事か。
‥惨い。
「ルールは無用。好きに殺し合ってくれ。制限時間は三時間。チーム分けが終わり次第、赤と青のブレスレットを配る。それを手首に着けてくれ。そして殺した相手チームのブレスレットは自分たちで所持をする事。
あぁそうだ。棄権してぇ奴がいれば辞めても構わん。ただしここからは一生出られない事を覚悟しておくんだな。あと両チーム力合わせて俺を殺そうとしてもムダだ。この地下には監視カメラがそこら中に設置してあるから変な企みをしていても俺様に筒抜けだぞ、いいな?」
くそ‥。みんなで力を合わせる方法はないかと考えてはいたが‥それもムリそうだな。コイツの目がある限り、少しでもおかしな行動を見せればここから抜け出せなくなる可能性も高い。
どうすれば‥
「勝ち抜いた五組はここから出られる唯一の扉を探し当てて貰おう。制限時間は三十分。一人でも見つけられたらソイツらは解放してやる事をここに誓おう」
勝ち抜いた五組にまたゲームが課せられるのかよ‥。一筋縄じゃいかねぇか。
眉間に皺を寄せていた俺に坂崎が、「扉を見つけるのは簡単。今までみんな見つけてここに戻る事はなかった」と希望のアドバイスも付け加える。
おぉ、そうか‥そこは簡単なんだな?だったら俺は何としてでも勝ち抜くしかない。
隣に居る坂崎とうっすら目が合うと、彼は「俺と組むか?」なんて自分の方から聞いてくるので、若干驚きつつもコクコクと頷いてみせた。このゲームに参加した事がある坂崎なら頼りになりそうだ。きっと他の奴よりかは俺のが有利‥だろう。
「よろしくな、坂崎」
「‥‥。お前を自由にさせてやる。もう泣かなくて済む」
「あ、ありがとう‥」
なんだこの坂崎の漂うイケメン臭は。しかし、奴がゲームをやると告げたと同時に彼の目の色が瞬く間に変わったのを俺は見逃さなかった。坂崎の心がまるで生き返ったかのような‥そんな感じが伝わってきたのは錯覚じゃない筈だ。
そして奴が「何か質問は?」と俺たち全員に聞いていたが、誰も何も質問する気はなさそう。多分、コイツの怒りに触れてどうなってしまうのかが怖いからだと思われる。
数秒経つも、案の定誰も質問をしないので奴は「ではゲーム開始は一時間後。それまでチーム分けと相方を選んでおけ」と告げたかと思えば、この部屋から颯爽と出て行ってしまった。止める暇もねぇな。
未だざわついているみんなに指示を出すのは棚瀬とかいう男。アイツもまぁまぁするでぇ目付きしてやがる。
「なぁ坂崎」
「なんだ」
「あの男って‥」
「ご主人様の秘書。そしてご主人様が一番に信頼している人物」
「‥‥あの男、どうにか利用出来ないかな?」
「ムダな足掻きにしか過ぎん。だからやめとけ、奴はご主人様の事を心から慕ってる。俺たちがどうのこうの言ったって奴に俺たちの言葉なんて届かない」
「‥そうか。じゃあ何か‥」
「では人数が半分になるように分かれて下さい。そして必ずしも二人一組になれるという保証はありません。誰かが棄権すれば、一人だけ余る事も考えられます。注意して慎重にお決め下さい。そして棄権される方は私にお申し出下さい」
棚瀬とかいう男が声を上げ、俺たちに向かって説明を残す。棄権‥する奴いるのか?だけど、このゲームをしなければ自由が二度と手に入らないんだよな?
地獄のような場所で永遠に働かされるか、それとも死ぬかもしれない自由という数少ない切符を争い求めるのか‥二つに一つ。まさに究極の選択といった所か。
俺はもちろん参加する。頼りになるであろう坂崎がいれば勝てそうな気もするんだ。いや、勝つ。絶対に勝つ。何としてでもここから這い出してみせる。
「‥‥。」
今の所棄権するような奴はいなさそうだ。
みんな慌てて誰と組むかで焦って言い争いになったり口喧嘩していたりと殺伐としているこの空気。俺はコイツらとは別の牢に居たせいか、誰も知らない奴ばかりだ。
‥みんな、身体中ボロボロだな。
どれだけ働かされているのだろうか。俺みたいに暴力を受け続けるのか‥それとも過酷すぎる労働で朝から晩まで体を苛め続けるのか。どちらも嫌だけど。
「なぁ、このゲームのコツとかあるのか?」
「‥前回と仕様が変わっていなければ、この広い広い地下にいくつかのアイテムが落ちてる筈だ」
「アイテム?」
すると坂崎は辺りに目を配らせると、俺の耳に顔を近づけては小さな声で囁いてくれる。
「ナイフとか、銃とか。相手を殺せるような物騒なアイテムしかないけど」
「そうなのかっ?」
「どこに落ちてるかは不明だけど。でもこのアイテムを知ってる奴らは少ない筈」
「少ない筈‥って事は、このゲームに何度も参加してるツワモノも居るのかよ?」
「あぁ。前回ここから抜け出せなかった者たちがいる。惜しくも上位五組に入れなかった者たちが」
「‥ソイツらさえ気を付けていれば勝てるか?」
「まずは怯えてる素人を先に殺す。ブレスレットを増やしていかなければならないから」
「そう、だな」
やけに喋るな、坂崎の奴。普段からこんだけ喋ってくれりゃあ俺もあんなに苦労しなかったものを‥
ま、今更文句言ったってしょうがねぇ。大人しく坂崎に従っておいた方が生き残り、且つここから出られる可能性は高いのだから。
チーム分けを初めてかれこれ四十分ほど経過しただろうか。
やっと二人一組も全員決まり、チームも綺麗に分けられた。棄権する奴は居ないみたいなので、誰か一人が余るという悲惨な事態はなんとか免れたらしい。
ちなみに俺は赤のブレスレットを渡された。だからこれから俺は青のブレスレットを嵌めた奴を殺さ‥なければ、ならないのか?
いや待て。みんな何も悪くないんだぞ?俺は今、人を殺す気満々でいた?
そう実感した途端、全身がゾッとしたのは言うまでもない。
なんで‥‥
なんで人を殺さなきゃならないんだ‥
突然固まってしまった俺を見兼ねたのか、坂崎が「俺が殺すから高見沢はそれをフォローするだけでいい」と言ってくれたが‥‥
出来ない。人を殺すなんて‥出来る訳が‥
「殺らなきゃ殺られるだけだ。覚悟するんだ、高見沢」
「けど‥っ」
「‥ったく。なんでそこに気付くんだよ。せっかくやる気に満ちていたのに。心を揺らがせば死ぬぞ?」
「‥‥、」
「ご主人様の思うツボだぞ」
「‥っ」
クッソ‥
本当に人を殺していくだけしか助かる方法はないのか?
考えろ、考えるんだ。
必ず誰も傷付けずに全員が助かる方法がどこかに隠れてる筈だ。
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