Roar to freedom(自由への咆哮) - 6/28

Rtf5

 

「ハァ‥ハァっ‥」

「なんとか振り切ったな」

「あ‥あぁ‥」

 

怖かった‥‥

先ほど遭遇した相手チームの奴らは、全部で六人で行動していたから流石に逃げ出すしかなかった。こちらに武器があっても、不利になる事もあり得るんだよな‥そうだよな、認識が甘かった。

だが、見つかった時点でかなり距離はあったから何とかがむしゃらに走り回り、やっと今振り切って呼吸を整えているところ。しかしここら辺一帯にも敵が居たっておかしくはないんだから‥充分に警戒しなければ。

 

しかもさっき、銃声音も響いてきてたし‥‥本当に気が狂いそうでならない。その銃を所持している奴らに出会う可能性もあるんだから、慎重に足を進めて行く。

‥‥その時。

 

足許をよく見ていなかったせいで、ガツンと何かに思い切りつまずき、俺はドシャッと倒れ込んでしまった。「ぐえっ」という変な声もオマケでついてきて。

 

「いってぇ‥!なんだよ!?」

「人間」

「えっ‥?」

 

坂崎の言葉に体は強張る。俺はなるべく下を見ないようにそっと立ち上がり、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

‥‥死体につまずくもんじゃない。

 

「い、行こう‥坂崎」

「今からもっとこんなんが増えていく。‥というより、勝ち抜いたとしても五組以下の場合もよくあるからな」

「‥‥今までどれだけの人間が死んだんだよ」

「さぁ。多分ここの地下は怨霊だらけだろうね」

「ぅ‥‥」

 

そ、そういうホラーな事言うなよ‥。俺そういった類が苦手なんだから。

つーかよ‥人間を殺しまくった奴が外の世界へと戻れるんだろ?なんか‥それじゃあ犯罪者を世に放ってるって意味だよな?

怖すぎ。

 

「‥‥じゃあ坂崎はさ、このゲームに参加して人を殺しまくってきたんだろ?さっきも殺してたし」

「まぁ、」

「躊躇はなかったの?」

「なかった」

「お前すげぇな。もしかして昔殺人鬼とかだったりして」

 

そんな俺の発言で物凄い視線を坂崎から浴びせられた。や、ヤバいな‥。俺もしかして坂崎の地雷踏んだか?

 

「わ、悪りぃ‥!冗談だって!」

「‥‥別にいいけど」

 

フイと俺から視線を逸らした坂崎は、先を歩いて行ってしまった。俺は何も言い出せずにただ坂崎の後ろを付いていくだけ。

坂崎って一体何者なんだろうか。そんな考え事をしていると、当の本人は「‥俺には前科がある」と急に突拍子も無い事を告白してくる。

 

「はっ?前科って‥?」

ピタリと歩くのをやめてしまった坂崎。

そして俺がいる後ろへと顔だけを向けながらこう告げた。

 

「俺さ。昔、人を殺した事あるから」

「‥‥。」

 

それだけを告げると何事もなかったかのように、再び歩き出す。

ちょっと待って‥。それって、このゲーム内で人を殺した‥って意味じゃないよな?

 

おいおい、俺は今までとんでもねぇ奴と相部屋してたんだな。だけど何故か恐ろしいという気持ちは湧いてこなかったのは、あの男が俺にとっての一番恐怖の対象となってしまっているせいだろうか。

知りたい。坂崎の昔の話を。そしてどうしてここへ連れて来られたのかを。

行ってしまった坂崎の後ろを追いかけ、彼を呼び止める。

 

「な、なぁ坂崎‥!お前、昔何やらかしたんだ?なんでここへ来た?どうしてあんな奴に従ってる?」

「‥‥それを知ってお前はどうする?」

「助けられるならお前と一緒にここを出たいんだ。お前だって嫌だろ、こんな真っ暗で先が見えない世界なんて」

「俺は自分の意思でここに留まっている。お前に何を言われようがどうでもいい」

「‥‥お前さぁ」

「いいんだ。俺は人に人生を握られるような事をしてしまったんだから」

「えっ‥?」

 

どういう‥事だ?

 

「でもお前には話せない。話すとお前までここから出られなくなってしまう」

「けど‥」

「こんな所で話したってご主人様に筒抜けだ。‥高見沢には外の世界へ戻って欲しい。あれだけ願っていたんだ。俺に頼って縋っていたお前を救えるのはこのゲームだけだから」

「あ、ありがとう。でもお前を置いては行きたくない。‥そのお前がここへ留まる理由を崩していけば何とかなるんじゃ‥」

 

しかし坂崎は「ムリ」の一点張り。

こんなにも強情な奴なのか、坂崎という男は。コイツとあまり喋った事がなかったので、色んな発見が生まれてくる。そして益々坂崎という男に興味が沸き起こるな。

 

「俺はご主人様にはもう逆らえない‥。いや、これぐらいしか今の俺に出来る事がないから」

「‥‥?」

 

なんか‥坂崎が抱えてる過去が明らかに重たいってのは理解出来た。

 

。。。

 

「社長、始まりましたね」

「あぁ。‥楽しみだ」

 

別室に移り、私も社長と一緒にこのおびただしい数のモニターを見上げる。

あちらこちらに監視カメラがあるので、これだけの量のモニターがあるのは当たり前だ。画面切り替えも自由自在で、一番ど真ん中にある大きなモニターにはやはりあの二人の奴隷。

 

あの男‥高見沢とかいう髪の長い男。アイツが何を仕出かすのかが不安なのは私だけだろうか。社長はどうお考えなのか‥

 

アイツのあの目は光が未だに宿っている。希望を失っていない目。私にはあの男が恐ろしいとさえ感じてしまうのだが、社長はやけに気に入ってらっしゃる。

気に入るのは構わないのだが、奴の社長を殺したいというあの目に私はずっと警戒していた。だがしかし、今日まであの男が社長に刃向かう事はないままゲームが開始してしまった。

 

私の単なる思い違いだったのか?

モニターに目をやると、あの男と坂崎‥‥。坂崎が奴に何かを言っている。

 

「社長」

「会話が気になるのか?」

音量をいじる社長の指の動きに伴い、二人の会話が大きく聞こえてくる。その内容からして、坂崎を助けたいといった所‥か。

 

「ほぉ、左手の奴め。そんな事を考えていたのか」

「坂崎が我らを裏切るなんてあり得ない」

「あぁ。俺との約束だからな‥。逃げ出したりなんかしたら次は命がないと思え」

「あの高見沢という男、やはり危険人物ですよ。坂崎を幾度となく味方につけようとしていますし、今度はまた新たに何か企んでいます」

「ふん、無駄にしか過ぎん。何か変な真似をすれば直ちにひっ捕えろ」

「言われなくとも」

「さぁ‥君たちは生き残れるかな?」

 

フッ‥と全てを見下すかのような顔をなさる社長。私は貴方のそういうエゲツない所が大好きなんですよ。

それに、私は貴方から離れようとしても離れられない。

 

これだけ人間を信用していないこのお方を、ここまで信頼を得られたのは私くらいだけだ。誇りに思ってもいいだろう。

 

‥世間には口出し出来ないが。

 

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