Roar to freedom(自由への咆哮) - 7/28

Rtf6

 

かれこれ数分歩いてはいたが、今の所誰とも遭遇はしていない。ゲームにもそろそろ慣れてきているせいか、緊張感は削がれてい‥ってるのは、まだ敵が現れていないからだろう。

あぁもう、こんなゲームやりたくねぇよ。なんで殺し合いのゲームなんかに俺が参加しなくちゃならないんだ‥ったく。

 

虚ろな気分でとぼとぼ歩いていると、坂崎が振り返って「そんな中途半端な気持ちだと本当に死ぬぞ?」と忠告してくる。分かってるよ、そんなの言われなくったって。でもしょうがないじゃん。

自然と何度も出てくる溜め息。人が死んでいくのをただ見ているだけで、助けも呼べない。むしろこちらから相手を傷つけ、なんの罪もない奴らの人生を終わらせてしまっているんだ。

罪悪感に苛まれるだけしかない俺は一体何なんだって話しだ。

 

‥やっぱりどうにかして一人でも多くの奴らを助けたい。それに協力し合いたい。もういっそバレても構わないから、全員でアイツを見つけ出して殺す事だって可能っちゃ可能なんだよな?

アイツを殺せば坂崎だってきっと元の世界に戻れる。人に人生を握られて生きてくなんてたまったもんじゃないだろうに。しかしこの話しに坂崎が乗ってくれる筈もない‥か。

 

諦めるしか選択はないのかよ?

ここで諦めていいのか俺‥?

いや、諦めるな。何がなんでも自由をこの手で勝ち取ってみせる!!

 

すうっと吸った息を今度は思い切り吐き出す。気持ちが整った訳ではないが、坂崎にまず伝えなくては。‥協力してくれなさそうだけど。

 

「坂崎、やっぱりさ‥みんなで協力出来ないかな?」

「やめておけ。それを実行してきた奴らを今まで何度も見てきたが、逆らった奴らはあの黒スーツ達に皆殺しにされていたぞ」

「酷い‥」

「俺に従っていれば絶対に自由が手に入る。何が不満なんだ?」

「人を殺していくなんてルール、おかしくないか?みんなここまで必死に耐えて生きてきた仲間なんだぞ?それを‥そんな仲間同士で殺し合うとか‥狂ってる」

「けどみんなは自分が自由になろうと必死になっている。挙句、なんの罪もない奴がまた一人こうしてる内に死んでいってるさ。俺たちもまだブレスレット増やしていかないといけないのに‥」

「坂崎、お願いだ。俺に協力してくれ!」

「出来ない」

「どうして!?」

「これに協力してしまうとお前が死んじまうからだよッ!!」

「っ‥」

 

初めて聞いた坂崎の怒声。

驚かされたのは言うまでもなかった。まさか坂崎が‥こんなにも声を荒らげるとは思ってもみなかったから。

お前‥そこまで俺の事を考えてくれていたのか?普段何も言わないから当然知る由もなかったし、俺の今まで必死に頼み込んできたのはムダではなかったって証しだろう。

 

だけど‥

「お願いだ坂崎。実行しないで死ぬのと、実行して奴に辿り着く可能性が少しでもあるならば‥俺は実行したい。お前は見ているだけでいい。俺が全ての責任を取る。だからお願いだ!」

 

坂崎の目が濁り始めてきてしまっているが、もう関係ない。お前に認めて貰わない限り俺は‥‥

 

「‥‥どうなったって知らないからな」

「分かってる。今もこの会話があの男に聞かれてるって事も承知だ。けど、このまま終わりたくなんかないから」

「‥‥勝手にしてくれ。俺はもう何も言わない」

「ありがとう、坂崎」

 

深々と頭を一度下げてみせる。

坂崎は当然俺に呆れ返ってはいるが、もうどうにでもなれと言わんばかりの吹っ切れた顔をしていた。本当‥俺の為に頑張ってくれていたのに、その行為を踏み潰すような真似をして悪いとは思ってるさ。

 

だからこそ、その代わりにお前を自由にさせる。あの男から俺が解放させてやる。

 

...

 

高見沢の決意と熱意は痛い程に伝わっていた。

 

俺を救ってやりたいという気持ちだって、その光を失っていない瞳を見れば一目で分かる事も。

ハァ、と溜め息をついてみせると高見沢は「我が儘でごめん」と謝ってくる。謝るくらいなら、こういう事言うなよ。こっちだってお前を解放させるよう考えて努力していた最中なのに‥

 

そんな思考を持っていると、急に「ゲームの途中ですが、皆さんにお知らせがあります」という放送が流れ始めてきたではないか。

こんな事は初めてだ。今までゲーム中にこんな放送入った事がなかったのに。

しかしその理由は明らかに俺たちが今の今まで喋ってた内容の事がご主人様にもろバレしているからだろう。その事を伝える為の放送なのかもしれない。そう思った矢先、棚瀬の声が地下全体に響き渡っていった。

 

「ゲームの途中ですが、皆様一旦ゲーム開始場所まで戻って来て下さい。戻り方が分からない方は、今から各所に現れる電光掲示板の矢印の方向に従ってお戻り下さい。戻る際、敵チームと遭遇しても殺し合いはしてはいけません。もし、相手を殺したのであれば、貴方とその相方様は無条件で脱落となります」

「‥‥。」

「‥なんだこの放送は?何か企みがあるのかよ」

「行けば全員殺される可能性も高い」

 

こんな会話をしていると、ガガッと含まれる雑音の後に「おめーらの為に演説場所作ってやるって言ってんだよ」というご主人様の声。

俺と高見沢にしか分からないだろうこのご主人様の言葉に、他のゲーム参加者はきっと首を傾げているだろう。というより、ご主人様はこの状況を楽しんでいる?

高見沢が今から起こす企ては勿論ご主人様に筒抜け。だったらそれを阻止する為に参加者を殺しに掛かるかと思っていたが‥。何か裏があるのか、はたまた高見沢の行動に面白がって興味半分こんな形で手を出しているのか。

 

そっと目を閉じて一度頭をリセットさせる。

 

「‥‥坂崎?」

「‥これはきっとご主人様からの挑戦状だろう。きっと戻っても殺されはしない筈だ。戻ろう、高見沢」

「お前を信じていいんだな?」

「信じたければ信じればいい」

「分かった」

 

そして俺と高見沢は、今居る場所からゲームを開始した部屋へと一旦戻る方を選んだ。

 

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