FC! - 10/23

FC!8

とりあえず俺たち四匹はトコトコ歩いて森?の中を進んで行く。

さて、王とやらに俺らは果たして出会えるのだろうか。ここに住んでいる王が頼みの綱というのは変わりないだろうし、もし王が何も知らなかったらまた一から出直しという恐ろしいものが待ち構えている。

ちくしょう‥。どうして坂崎は元に戻らなくなっちまったんだ。何かの力が働いているとしか思えないのだが、急にこんな風に力が発動するものなのか?

わっかんねぇなー‥

途方に暮れながらも歩いていると、シッポナが「あれ?」と不思議そうな声を上げ、スンスンと鼻を鳴らす。そんな仕草を見せられると、一気に不安に駆られたのは言うまでもない。

何かが近くに居るのか?

鼻を鳴らしているシッポナに続き、ナカノとドングリもスンスンし始める。俺も真似てスンスンしてみる。

‥‥ん?

「ナカノねーちゃん、近くに誰か居るよ」

「えぇ‥。それも一匹じゃない」

「コワイよぉ‥」

ビビってしまっている二匹と、周りを見渡すナカノも眉を潜めてドングリとシッポナを守ろうと体で庇っているようだ。俺もナカノと一緒になり、二匹を囲むようにして守る態勢に入る。

微かに匂うコレはなんだ?この匂いがもしかしたらこの子達が言う他の誰か、なのか。

しかも段々と近付いてきている。

首を回し、どこからともなく感じる素速い気配がヒゲにピンと伝わってきたと思ったその時‥‥

「なんだッ!?」

「ドングリ、シッポナ、私達から離れないで!」

「ナカノねーちゃん‥!」

「う、うんっ」

シャアッと鋭い鳴き声と森の中を駆け抜けて行くけたたましい足音が四方八方から聞こえてくる。

何匹だ‥何匹居る!?

匂いも追いつけない‥!ドングリとシッポナも、それにナカノも守らなきゃならないんだから恐れている場合ではない。

しかし速すぎるその気配。ギラッと瞬間的に見える二つの強い光はきっと目であろう。どうする‥どうすりゃいいんだ?声をかけて俺たちは敵ではないと伝えた方がいいのか?

この気配はきっとさっきの猫が言っていた護衛という奴らだろう。‥という事は、この近くに王が潜んでいる?

「ま、待てまて‥!俺たちは敵じゃないッ!」

「ここに王が居ると聞いて尋ねてきただけです‥!」

怯えてしまっている二匹を守るように、俺とナカノで誤解を解こうとしてみせるが‥この殺気立った気配は未だ失せてはくれないな。

しかし、姿を現さぬまま木の陰から「黙れ、よそ者」と俺たちを警戒してる低い声が響き渡る。ヤバいな‥人間に戻った方がいいのか?いや、今ここで戻ると逆に怪しまれて襲われる可能性のが高いか?

「お願いだ、俺たちは何もしない!約束する‥!」

「では全員伏せろ。ここに無断で立ち入ってはならぬ場所と知っての事か?」

「ごめんなさい‥、私達は飼われているから知らなかったの‥!」

「そうであろうな、そのような綺麗な体をした野良猫はどこにもおらんからな」

声だけしか聞こえない恐怖のせいか、二匹は震えながら地面へと大人しく伏せてしまう。俺もナカノも顔を見合わせ、コクッと頷いて彼らの要求に応える為に体を伏せてみせた。

暫くの沈黙が流れてしまったが、それを破ってみせたのは俺から。

「悪かった‥。何も知らないで来た俺たちにも非がある。だけど知りたいんだ。王に会って聞きたい事がある」

「王に会うなど貴様ら飼われているような奴らに会わせる筋合いなどない。大人しく帰れ」

俺たちが静かに伏せているせいか、周りにあった複数の気配が遠くに消えていくような気がした。焦って俺は「待ってくれ‥!」と、見えない相手を急いで引き止める。

しかしなんの返答もなく、気配はなくなっていこうとしていた。

「お願いだ待ってくれ!知りたいんだ、ピアスの事が‥!」

「ピアス‥だと?」

「‥!」

なりふり構っていられなくなり、いきなり本題へ入ってしまうと、遠ざかっていった筈の低い声が微かに耳に届く。

ピアスの事、何か知っている様子だなコレ。

すると今度はナカノが話しに入る。

「人間から猫になれるピアスについて調べているの。‥知っているならどうか教えて欲しい」

そう伝えるナカノの言葉に、突然後ろから「何故そのピアスを知っている?」とまた別の声が背中から浴びせられた。

あまりに気配がなかった為、俺と三匹は一斉に体をビクンッと跳ねらせてスバッと後ろを振り向いてみせると、そこに現れたのは‥‥

「あ、貴方は‥」

「驚かせてすまなかったな。私の護衛たちが無礼な真似をしなかったか?」

「い、いえ‥」

なんだこの猫‥?

で、デカイ‥

普通の猫よりも二倍か三倍はありそうだ。それに、真っ白なその体とは別に尻尾だけが逆の色を持っている。フサフサした毛並みと両目の違う色相。いわゆるオッドアイってやつか?

頭の中で考えていると、このデカイ猫が口を開く。

「私に用があってここまで来たのであろう?お前達のような飼われている猫がこんな場所に来るなんて滅多にないだろうしな‥。一匹を除いてはの話しだが」

「俺が人間だって分かっているのか?」

「あぁ。そのピアスを見れば一目で分かるさ」

辿り着いた。

このデカイ猫が王様‥‥

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