FC!6
身構えていた俺とナカノであったが、木の陰からヒョコっと顔を覗かせたのは‥‥
「あっれ?ナカノねーちゃん何やってるの?」
「ホントだ、ナカノもここに来たの?」
「あ、あなた達‥!」
タタッとこちらに駆け寄ってくるのは勿論ドングリとシッポナだった。
驚きの声をあげるナカノなんかは気にせず二匹は「王様を捜しに来たの?」と尋ねてくる。しかし、しっかり者のナカノは「ダメでしょ!勝手に出て行っちゃ!」と強くお叱りを二匹に食らわせていた。
だが、引き下がる事なく二匹は「僕達だってコウが心配なんだよ!」と言い返してくる。
「それは分かってるわ。だけど‥!あなた達、どれだけ自分勝手な事をしてるか‥もしもあなた達に何かあったらコウが悲しむのなんて知っているでしょッ?」
「でも‥」
「外は危険なんだから。‥心配かけさせないでよ」
「‥‥、」
「‥‥ごめんなさい」
しゅん、としてしまっているドングリとシッポナが可哀想に思えてきたので、ナカノの隣にやって来れば「もうこれ以上言ってやるな」と彼女を制した。
確かに飛び出していった二匹も悪いが、この子達だって坂崎が心配だから危ない外の世界を走り回ってた訳で‥
そんな風にナカノの隣に来てみせると、二匹が怪訝そうな顔を見せてくる‥のは仕方ない、よな。俺だって分かってないんだろうし。
不信がってた二匹の内、シッポナの方が「アンタ誰?」なんて威嚇してくる様子。
「悪かったな、紹介が遅れよ。‥君達も知っての通り、サクライだよ」
「え‥‥えぇッ!?」
「さ、サクライさん‥なの!?うそ、なんで猫になんかなって‥」
まぁ、そりゃあビックリするよなぁ。
「サクライさん‥?本当にサクライさん‥」
「うん、そうだよ。ほら、このピアスも見覚えあるでしょ?」
「コウの使ってたピアス?」
「そうだよ。手がかりを探す為にもやっぱり君達猫の言葉が理解出来ないと厳しいからね。走るこのスピードも人間の時とは少し違うしさ」
「わぁ‥。サクライさん、サクライさんとこうして話せて嬉しいよ!」
「僕も凄く嬉しい!この前は一緒に遊んでくれてありがとう!サクライさん、優しいから大好きだよ!」
「お、君達にそう言って貰えて光栄だね。俺もドングリとシッポナも可愛いな~って思いながら相手してるぞ?」
「あはっ、サクライさん~!」
こちらにすり寄ってくる二匹が、俺へと愛のある体当たりをしてくるが、それをなんとか受け止める。
トンッと二回ぶつかった衝撃で少しだけ揺れた体ではあったが、耐えられるものだったので体勢を崩すのは免れた。猫になってるとはいえ、俺も歳だからね‥
おっと、と声を漏らしてしまったせいかナカノが「大丈夫?」と心配してくれた。
「大丈夫だって。ナカノは心配性だなぁ」
「そーだよ、ナカノねーちゃん心配しすぎなんだってば!」
「えっ‥?」
「こら、お前達はナカノにそんな事言っちゃダメだろ?ナカノだってお前達に何かあった時、坂崎へどう伝えればいいのかとか物凄く不安だったと思うぞ?君達の坂崎へ対しての気持ちも俺としても有難いよ?‥だけど、君達が居なくなって悲しむのは坂崎‥ってのは分かるよね?」
「‥うん」
「怒ってはないから落ち込まなくてもいいからね。坂崎を元に戻したいって気持ちは充分伝わってきたしさ。‥坂崎の為にありがとうね、ドングリもシッポナも」
「コウ‥元に戻れるよねっ?サカザキさんに戻れるよね?」
「それを今から王様に聞きに行くんでしょ?」
俺の一言で、二匹はハッとしながら俺とナカノを交互に見る。
「サクライさん達もここへ来たって事は、他の猫達に聞いてきたんだよね?」
「そうだよ。さっき会った猫がここに猫の王が居るって教えてくれたから来てみたんだけど‥」
「どこに居るか分からないのよ」
「僕達も結構捜し回ったんだけどね、気配も匂いも何も感じられないし諦めようかなーって思った所でねーちゃん達に会ってさ」
「そうか‥」
簡単には会えないって意味か。
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