FC! - 14/23

FC!12

ウロウロしていた人影が高見沢‥だろうとは思うが、一応微妙に警戒しつつも片手を挙げては「おーい!」とその影に呼びかけてみせた。

すると気付いた影からは聞き慣れた声。うん、やっぱり高見沢だ。

俺たちがそっちまで行く必要はないので、彼を手招きすると高見沢は小走りでこちらへと駆けつける。それにプラス後ろからは小さな影が三匹タタッと何かが引っ付いてきているではないか。

「お?」と思いつつも、あの子達なんだろうな~とは分かっていたけど。

やっとこさ高見沢の顔がしっかりと見えて来た頃、彼に抱えられていた坂崎が俺を見ながら「桜井‥!」と声をあげる。‥も、俺と足許に居たドングリとシッポナを見やった瞬間、「コラッ!!」という怒鳴り声が当たりに響き、闇へと消えていった。

叱られてしまった二匹が坂崎の声に思わずビクッと体を跳ねらせていたが、俺がすかさず「まて坂崎」と割って入った。

「この子達はお前の為にと思って‥」

「それは分かってる」

「だったらもう怒ってやるな」

「‥お前も高見沢と同じか」

「え?」

どういう意味だ‥?と考えなくても、高見沢の顔をフイと見るだけで意味など理解してしまう。高見沢の足許に居る三匹にもきっと坂崎は「来てはダメ」と伝えたのだろう。しかし、それを高見沢が今さっき俺が発した言葉と似たようなセリフを言ってきた‥ってところか。

だってよ‥この子達だって坂崎の事心配して動いてくれてるんだぜ?まだ家に取り残されてる猫達だって不安なままな筈だ。

しかし高見沢の腕の中で坂崎がフゥとわざとらしく鼻で息をつく。

「‥‥。」

「ま、まぁ‥早く王様の所へ行こうぜ?護衛達の機嫌が悪くならない内によ」

「護衛?」

「王様の周りに居る護衛の猫達。木の陰に隠れてるから何匹いるかは不明だが、怒りに触れない方がいい。声と雰囲気だけでビビるなありゃ」

「声と‥って。桜井もしかして猫になったのか?」

「ん、あぁ‥まぁ、な」

高見沢の腕の中に居た坂崎が目を細めながら「へ~」なんて呟きながら俺を見てくる。更にはもう一人の視線が俺へと注げられた。

ぐっ‥

「ば、バカ!今はそんなのどうでもいい事だろ!?」

「どうでも良くないよぉ。ナカノ、ドングリ、シッポナ、桜井と話せてどうだった?」

ふざけている坂崎は猫達にそんな質問をしていると、俺の周りに居る猫達がニャーニャーと何かに答えてくれてるよう。話しを聞いてあげてる坂崎は、「そっか~。ふーん」などと自分だけで楽しんでる様子。

も、もういい‥!

「行くぞ坂崎ッ‥!こんな所で油売ってる時間はないんだから!お前このままだと人間に戻れなくなっちまうぞ?」

「それは困る‥っ」

「だったら早く行こう」

コクッと頷く坂崎と、俺の隣では平行して走り出す高見沢。‥の後ろから追って来る猫の集団。

昼の街中をこんな風にして走ったり歩いてたりしたら目立ってしょうがないだろうな。なんて考えてないで一生懸命走れ俺。

来る時は猫になったからまだ楽だったが、今は人間のままだからちっとキツい。ハッ‥はぁ、猫に‥なって走りたいわコレ。

しかしここで猫になると高見沢だけが取り残されるハメになるし‥。あ、でもコイツよくステージで走り回ってるからちょっとの間だけなら‥いいかなぁ?

疲労に負けつつある身体では体力が持たない。

「な、なぁ高見沢‥!」

「ん?」

「俺も猫になっていい‥?」

「はぁっ?」

顔をしかめ、素っ頓狂な声を出す高見沢に思わず坂崎がプフッと吹き出していた。

「なんだお前まで。猫の魅力に取り付かれたのかぁ?」

「いや‥ただ、このままじゃ俺の体力が‥っ!」

「なに?猫になれば普通に走れるの?」

「こんなもんのスピードじゃあなくなるのは確かだねっ」

「ふーん‥。ならいいよ」

「‥あっ、坂崎」

「なに?」

猫になる前に坂崎に伝えたい事があったんだ。いや別に猫になった後でも構わないんだけど。

「お前、王様や他の野良猫達の間でも有名な人間らしいぞ?」

「有名?俺が?」

「そう、お前が。ピアスの持ち主が坂崎だって分かった時の王様、どことなく安心したよーな表情は窺えたな」

「安心‥?なんでだろ?」

「さぁ?それは今から全部王様に聞かないとね」

ポケットに入れてあった手にコツッと当たったピアス‥を耳に付ける必要はもうなくなっていた。

何故ならもう少し先にはあの白い大きな猫の王様がこっちを向きながら、待ち侘びていたかのように堂々と鎮座していたからだ。

猫の王様を目にした高見沢が思わず素で「でっか!」と割と大きい声を出してしまっていた。おいバカ、護衛達に警戒されるだろうが。

チラリと坂崎へと目を移すと、彼は目の前に居る白い大きな猫をジッと見つめて、コクッと息を飲む仕草。

緊張してるのかな‥?

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