FC!15
桜井によって俺の左耳に付けられたピアス。
その力が‥‥
カッと白い光に包まれるこの小さな体。これはいつも通りの光景だ。
お願いだから戻ってくれ、人間に戻ってくれ‥!
力強く目をギュッと瞑り、現実から目を逸らしたい気持ちと期待してしまっている心が入り混じっている。
シュウゥ‥と光が溶け、夜の闇に吸い込まれていくと、そこにあるのは‥‥
「‥‥っ」
「坂崎‥、」
桜井が俺を呼ぶ声が聞こえた。
俺はまだ目を固く閉じたままで、目を開くのを躊躇してしまって‥‥
「坂崎やったな!!人間に戻れたじゃん!!」
「良かったぁ!俺お前が猫に戻れなくなったらどうしようかと‥」
「お‥お前らなぁ‥っ」
なんか‥こう、色んなものが全て台無しになった気がするんだが。
ま、いいんだけどね‥
片膝をついたままだった俺を、背中から思い切り抱き付いてくる高見沢の力が有り余ってるせいか、簡単に俺の体はグシャッと押し潰されてしまった。
「グヘッ」と変な声が漏れてきてしまったが、上に乗っかってる筋肉野郎はお構いなしに「坂崎ぃー‥あー、良かったー‥」なんて弱々しいか細い声で俺を心配してくれていた。
「ちょ、高見沢苦しい‥!」
「坂崎ぃ~‥!」
「人の話を聞かんかい‥!」
もうわざとやってるとしか思えない。
こんな風に押し潰されている俺の傍に桜井と猫達が一斉に寄ってきて、猫達の方は俺に甘えたがるような勢いで脚へすり寄ったり、顔を見上げてニャニャアと鳴いては何かを伝えてきている様子だ。
‥きっと「良かったね」って言ってくれてるんじゃないかな。
「坂崎、人間に戻れて安心したよ」
「いや、喜ぶのはまだ早いぞ」
「え?‥なんで?」
桜井の言葉を否定するかのように王様が俺たちの話に割って入ってきたかと思えば、まだ何か言いたい事があるみたいだ。なんだろう?
高見沢に一旦どいてもらい、猫達の興奮を一応抑えるようにしてから王様へと向き直ってみせる。
高見沢も桜井も顔を見合わせてから、一瞬だけ顔を曇らせ怪しい表情を見せてしまっていた。
「人間に戻れたのはそのピアスのお陰。そのピアスを外せば貴方はまた猫に戻ってしまう」
「うそっ‥!?じゃ、じゃあ今の俺はまだ猫扱いって事か!?」
「そういう事だな」
「だったら完全な人間に戻るにはどうすればいいんだよ王様っ‥!」
「ふむ‥。私から言っても言う事を聞いてくれる奴らとは思えないからなぁ」
「な、なんの事だっ‥?」
王様の言ってる意味が分からずにいると、王様は桜井が立っている場所へ歩んでいきながら「もう一つのピアスを見せてくれ」と言葉を添えてくる。ので、桜井は素直にポケットから猫の形のピアスを取り出してみせた。
「ほらよ、王様」
「サクライと言ったな。貴方はこのピアスを今持っていて何か感じたりはしないか?」
「‥いや。特に何も感じはしないが」
「ではタカミザワ、貴方が持ってはみてくれぬか?」
「俺が?‥いいけど」
王様に言われ、桜井が高見沢にピアスを渡すも彼は頭の上にクエスチョンマークがポンっと浮かび上がらせているのがすぐに分かった。
「‥ごめん、よく分からない」
「そうか。では最後にサカザキ、貴方が手にしてみてくれ」
「はい‥」
首を傾げながら高見沢は俺にピアスを渡され、戻ってきた猫の形をしたピアスを指先に摘んでみせた。
暫しの間沈黙だったが、結局は俺が触れてみても何も感じ取れなかった為、諦めて「ごめん、王様。分からない」と素直に伝える。
「何かあるのか、このピアスに?」
「‥‥。そのピアスには猫の魂が宿されておってだな‥」
「このピアスにっ?」
「坂崎の言ってしまった一言に、ピアスに宿っているご加護が力を働かせてしまったのであろう」
「‥猫のご加護。という事は今俺が付けているピアスにはもしかすると‥」
「そうだな、私を以前飼ってくれていたお方の魂だな」
「っ‥!?」
急いでピアスを取り外そうとするも、王様は「大丈夫だ、貴方を人間にしてくれたという事はご主人様が認めてくれたという意味だ」と俺を擁護してくれるが‥
「いやっ、でも‥!」
「暫く付けていてくれ。外すではないぞ?」
「え、あ‥はい」
耳許にあったピアスから渋々手を離し、俺は真剣な表情に変えた王様を見つめると、トクッ‥と持っていた猫の形をしたピアスが何かが変化を見せた。
なんだっ‥?
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