FC!17
俺が猫のままになってしまった真実を聞かされたはいいが、この王様達の気まぐれだけで猫のままってのはなぁ‥
なんて顔を歪ませてしまったのがバレてしまったが、見えない王様達が「だが、坂崎の発言のせいでもあるからな?」と付け加える。
「‥‥。」
「我らは嬉しかったのだよ。貴方のその小さな願いを少しの間だけでも叶えさせてあげようと‥。しかしそれが返って迷惑をかけていたとはな。すまなかった」
「いえっ‥!俺の方こそ非がある訳ですから‥王様達だけのせいじゃない。それに、俺のそんな冗談じみた発言でも願いを叶えさせてくれる気持ちがとても嬉しいです」
「そう言ってくれるだけ救われる」
優しい声色が俺の言葉をフワリと受け止めてくれる。
そうだよな‥。俺があんな軽はずみな発言さえしなければ‥二人やこの子達にだって迷惑かけなかった筈なのに。
結果的に俺が一番の原因だ。
伏せがちな目を地面に落としてみせてしまったが、そこに居るのは見慣れた俺の可愛い子供達。今の状態じゃあ言葉は理解出来ないけれど、みんなはまるで「大丈夫だよ」と俺に向かって囁いてるようにも聞こえた。
「‥そういえばさ王様、このピアスって元々王様の物だったの?」
ふとした疑問が浮かび上がり、俺はここに居る方の王様に尋ねてみると、彼は「そうだ」と力強く答えてみせた。
「今貴方がしているピアスの元の持ち主である方がな、私達猫と会話をしてみたい‥その一心で作り上げた物なのだよ」
「動物と話したい気持ちは分かります。俺だってこのピアスを持つ前は夢のまた夢だと思ってましたから‥」
「そうであろうな。私達も貴方達人間と会話が出来るとは考えてもみなかったさ」
「えっと‥じゃあ、どうやってこのピアスは出来上がったのでしょうか‥?」
「うむ‥。それはそこに居る先代の王達が命を犠牲にしてだな‥」
「命を‥犠牲にっ?」
バッと振り向き、光る魂達へと思わず「何でそんな事‥!?」と大きな声を思わず上げてしまったが、現王様がそれを制するように「皆あの方の願いを叶えさせたかったのだよ」と答えた。
だけど‥俺はそんなの納得出来ないっ。
まだ紡げる筈の命を自分から断ち切ってしまったようなものじゃないか。そんなの俺は許さない。
首を振りながら「何を考えてるんだ‥!」と訝しむように言葉を口にすると、先代の王達が「後悔はしていない」とハッキリと言い切った。
「だけど自分の命を犠牲にしてまでこんな物作るのはおかしい!」
「サカザキ‥分かってくれ。我々はあの方の為ならこの命など惜しくもなかった」
「でもっ‥王様達‥、アンタらは間違っているよ。いくらその人の為だと言っても踏み入れちゃいけない所に行ってしまってる。きっとその人だって悲しんだ筈だ」
「‥そうだな、確かに悲しんでいた時期もあった。だからあの方は猫になる為のピアスを作り上げた後、それに対をなすもう一つのピアスに自分の魂を宿したのだよ」
「そんな‥っ」
「しかし誰も後悔していない。貴方のように捨てられた猫達を導いてくれる者の手に渡り、私達は役目をこなし続けてきた」
「嬉しくない‥!命を犠牲にして作ったピアスなんかいらないよ!この子達だってそこまでバカじゃない。俺と会話出来なくなったってこの子達とは‥‥、ちゃんと繋がっているんだから」
‥ね?そうだよな、お前達?
不安な気持ちは僅かに残っていたが、猫達の今の様子は目をしっかりと見開かせており、今にも「うん」と頷いてくれそうな程だった。
すると後ろから桜井が「じゃあ、そんな大切なもんがどうして流出したんだ?」なんてまた違う話題に変えようとしてくれている感は否めないが、それにもきちんと答えてくれる王様。
「あの方の友人‥とは言い難いが、ソイツがあの方が猫になる瞬間を見届けておってな、あの方が亡くなってからソイツがこのピアスを盗み出したのだよ」
「盗まれた?」
「あぁ。しかしソイツが猫になって悪事を働く気がしてだな‥」
「だから我らは我らが認めた者だけにしか猫になれないようにと力を抑えたのだよ。‥それに気付いたあやつがピアスを店に売りおってな、」
「あ‥。だから店に片方だけが売られてたって訳‥か?」
そういう事だ、と言い切った現王様が目を閉じて清々しい表情をしていた。
こんな大事な物盗られちゃダメじゃんかさ、王様‥
呆れた溜め息をついてみせたら、王様が「私のミスだな」なんて口にしながら申し訳なさそうに苦笑していた。
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