コン、コンッ
軽く幸桜の部屋の扉をノックした。夕飯の準備ができたから起こすために部屋へ入る。
幸桜は起こすのがかわいそうになるくらい気持ち良さそうに寝ていた。
いつもはこんな風に幸桜の顔を見るなんて本人が嫌がるし寝ている幸桜に近づけばすぐに起きてしまうからできない。
でも今日は起きる気配がない。それだけ体調が良くないのだろう。
そんなになるまで頑張ることないのに。
少しは頼ってくれれば良いのに。
……ちょっとなら良いかな?
寝顔を見ていたらふと湧いてきたイタズラ心。
純粋でキレイな幸桜。
俺みたいな罪人が触れて穢してしまっていいものじゃないから。
いつもなら近くにいても必要が無いのに触れることはしないけど。
今だって体調を確認するためであって決して邪な気持ちじゃないから許してほしい。
そんな言い訳を誰にするわけでもなく心の中で呟きながら手を伸ばして幸桜の頬に触れる。
まだ本調子じゃないためだろうか。少し冷たい。
そんなに頑張ることないのに。
少しは頼ってくれれば良いのに。
「ぅ…ん……」
幸桜が身動ぎをしたから慌てて手を離す。
苦しそうに潜められる目元。
もしかしてなにか夢を見てる?
「なんで……」
普段は聞くことのない幸桜の切なげな呟きが部屋に消えていく。
眠れなくなるほどの夢ってどんなのだろう?
起こした方がいいんだろうか?
少しだけ悩んだが辛そうな幸桜の顔を見ていられなくて起こすことにした。
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