『幸桜…』
今何かを言いかけた桜井とは別の所から聞こえてくる桜井の声。
あれ?桜井はここに……
目の前にいた桜井を見ると薄くなって消えていってしまった。
消えたってことはいつもの夢だったのか。
現実の桜井がオレにキスするなんてありえないんだからもっと早く夢だと気づいても良かったのに。
じゃぁ、オレを呼んでくれてるのはもしかして現実の桜井?
しばらく夢を見ていなかったからもう見ないと思っていたのに。
なんでまた見てしまったんだろう。
しかもあんな……
『幸桜、起きて』
桜井がもう一度優しく呼び掛けてくれた。
考えるのをやめて現実の世界に戻ることにした。
目を開くと思った以上に桜井の顔が近くにあった。
夢を思い出して恥ずかしくなる。
「顔が赤いけど熱が出てきた?」
「大丈夫」
それだけ言って見られないように顔を背ける。
「ごはんの準備ができたけどこっちに持ってくるか?」
今までの事を考えると食べてる間は桜井はきっと何かあったらすぐ対応できるようにオレが食べてる間は一緒にいてくれりはずで。
部屋に二人きり。
今のオレは夢の事を思い出してひとりで桜井を意識してしまいそうだ。
「大丈夫、向こうにいく」
高見沢も居てくれれば変に意識しないですむだろうと思って起き上がる。
立ち上がれば桜井はごく自然にオレの後ろについてきてくれた。
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