こんな夜中に目が覚めるなんて。俺は横になったまま思う。
仕事だってあるんだし少しでも体を休ませないといけないとはわかってるがなんだか胸騒ぎがして寝ていられない。
きっと高見沢が変なことを言うから余計なことを考えてしまっているせいだろう、と無理やり自分を納得させようとするがどうも落ち着かない。
水でも飲んで来ようかと起き上がる。
部屋を出れば何かが聞こえる気がした。
『……っい、やぁ…』
耳を澄ましてみれば微かに聞こえるのは確かに幸桜の声。
また悪夢でも見ているのだろうか?
気になって幸桜の部屋の前まで来てしまった。
しかし、こんな夜中に部屋に入っても良いものだろうか?
『んゃアっ‥!やめて‥!お願い、だから‥ぁあッ‥、72番っ!!…やめてくれぇッ!!』
まさか、高見沢が…!!
あの時、幸桜がよければなんて言ってはみたが嫌がる幸桜を襲っているなら赦さない!!
頭に血が昇った俺はドアを一気に開けて部屋に飛び込む。
「え……?」
予想と違ってそこには幸桜しかいなかった。
「うぅ…ん……っっ…」
でも予想通りにうなされている。
何かに向かって拒否をしているようで必死に首を振っている。
「……助け、て…」
幸桜の閉じられたままの目から涙が流れた。
「 桜井……なんで…助けに来て、くれないんだ‥?」
幸桜のその呟きで我に返った。
夢の中で何かと孤独に闘っている幸桜が助けを求めている。
今はとりあえず夢の世界から連れ戻してあげなければ。
苦しげにシーツを握っている手を上からソッと包み込む。
「幸桜。大丈夫だよ」
俺はここにいる。
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