俺の腕の中で震える幸桜をなんとか落ち着かせよう思うがなかなか落ち着いてはくれない。
小刻みに震えている幸桜を強く抱き締めれば何かを確認するかのように小さな声で呟いている幸桜。
何?と聞けば俺にすがり付く力をさらに強くして身を縮こまらせた。
さっき高見沢を見て体を強ばらせた所を見るとやつが関係してる事なんだろうがあいつの言う通り俺の後から来たのに幸桜に何かをするのは不可能だろう。
でも、幸桜の様子を見てると高見沢との間に……いや高見沢が幸桜に何かしやがったのは確かなような気がする。
俺には分からない事ばかり。
幸桜が落ち着いたら話を聞こうと一旦考えることをやめた。
震えている幸桜を強く抱き締める。小さな体をさらに小さくしてこんなにガチガチにしてたら疲れてしまう。
「幸桜、もう大丈夫だから…」
できるだけ優しく繰り返す。
小さく頷いているから俺の声はちゃんと届いているらしい。
どのくらいそうしていたのだろう?少しだけ幸桜の強ばりが解けてきたような感じがする。
俺の腕を痛いほど掴んでいた手の力も少し緩んできた。
「桜井、悪かったな……」
漸く離れた幸桜だったがまだ真っ青な顔をしていた。
「まだ顔色が…」
「大丈夫だ」
悪かったな、と俺の腕を押して離れていった。
多分落ち着いたわけでは無いのだろう。
幸桜の事だから迷惑をかけられないとかなんとかくだらない事を思って無理してるのかもしれない。
俺は考えるよりも先に幸桜を抱きしめ直していた。
「桜井、何を…!」
「無理しなくて良い。辛い時ぐらい頼ってほしいんだけど」
どんな状況かまだイマイチ理解しきれていないけれど。
いつもは俺が真似できないくらいまっすぐに力強く生きる幸桜が泣くほどの事は滅多にない事だから。
こんな時くらいキミを守らせて欲しいと願うのは間違っているのだろうか。
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