どれだけ今までのオレからは想像もつかない台詞だったのか、桜井を見れば一目瞭然だ。
だって桜井もびっくりしすぎて固まっているんだから。
自分でもとんでもないことを言った自覚はある。
その証拠に身体中が熱い。
きっと真っ赤になってるんだろうけど桜井は何も言わない。というかきっと何も言えないんだろう。
……呆れられちゃったかな。
この先、残りの寿命は短い。
もうすぐ来る桜井との別れ。
倒れたときにこんなにも苦しんで死んで逝くのがオレの最期なのだと実感した。
いつ意識を無くすことになるかもわからない。
もしかしたら寿命が尽きる前に桜井が側にいることすら感じられなくなるかも知れない。
そうなった時にも桜井を思い出せるように。
最期まで逃げ出さずにいられるように。
今日の幸せが支えとなるように桜井の事を記憶しておきたかった。
「桜井が……いい。忘れさせて」
告げれば桜井は複雑そうな顔。
なんだ、と聞けば何でもないと言う。
明らかに何でもない顔じゃない。もう一度問えば渋々といった感じで口を開く。
「夢を忘れる為にだけ俺が必要なのか?」
言って視線を反らす桜井にやっと拗ねているのだと気づく。
「俺は幸桜が欲しいのに。幸桜は違うんだ……」
桜井、それは違うぞ。
「オレだって……」
声が小さすぎて届かなかったらしい。
聞き返されたから自棄になって叫ぶ。
「好きな相手じゃなきゃこんなこと言えるわけないだろ。夢とか関係ない。桜井のことを忘れられないようにして‼」
「任せとけ」
なんとも嬉しそうな顔をした桜井から頼もしい返事が返ってきた。
……もしかして桜井に言わされたんだろうか。
ちょっと悔しいな。
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