風の詩の旅人 番外編 - 4/15

高見沢と坂崎に代わり、天使と悪魔が再び姿を現す。そして天使は俺を心配してくれていたが、悪魔には凄く叱られてしまった。

 

まだ胸に残る僅かな虚無感。怖かった..。あの時、俺が俺じゃないみたいなあの感覚..

何故死にたいだなんて思ったんだろう。もう、そんな気持ちは高見沢と坂崎が隣に居るからとっくに捨てた感情だと思っていたのに‥。

取り敢えず遠く離れたとは言っても、後ろを振り向けばあの墓標は薄暗い木々の中でぼんやりと映っている。それを見やると、さっき程ではないが、ググッと再び悲しみに襲われた。

 

「‥話を着けてくる」

「え?」

 

悪魔が一人で勝手に墓標がある方へと行ってしまった。大丈夫なのか?というより話って何?
不思議がっている俺に気付いた天使がぽつりと喋り出してくれる。

 

「桜井、邪視って分かるか?」

「じゃし?」

「邪視とは、悪意を持って相手を睨みつける事により、対象となった被害者に呪いを掛けれるものだ。
イビルアイ(evil eye)邪眼(じゃがん)魔眼(まがん)とも言われていて力によっては、人が病気になり衰弱していき、時には死に至る事さえあるというものだ」

「それが‥さっきの?」

「本来なら人間が持つ力だがな。ここは死者の集う場所。“風の詩”の大地には行けなかった彷徨える魂達が集まる場所‥。そういった成仏出来ない死者達の眼が生きている人間を殺そうとしているのだ」

「じゃ、じゃあ‥さっき俺が高見沢と坂崎に助けられなかったら‥」

 

その先を言うのはやめる事にした。天使も余り口を開きたくなさそうにしていたし、俺自身今はペラペラ喋る気分でもないから。

顔をもう一度墓の方に向けようとしたが、目の前で天使が小さな体で視界を一杯に塞いでくるではないか。

 

「二度と見るな」

 

厳しい口調で注意されれば、「うん」と応えるしかない。

暫くして悪魔が帰ってくると、何やら暗い表情をしている。疑問に感じた俺は悪魔に尋ねてみると、突拍子もない事を聞いてきたのだった。

 

「桜井‥」

「ん?」

「お前、昔さ‥

-高見沢と坂崎以外に誰か、大切な人を失った事があるか-‥?」

「ーー‥!?」

 

 

なっ‥

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