風の詩の旅人さん
「桜井、桜井」
そう名前を呼ばれ、こっくりこっくりさせていた目を無理やりこじ開けて、坂崎の声のする方へ顔を上げれば、そこには高見沢も隣に座っていた。
珍しい。二人同時に見張り役をしているなんて‥。と、そう思っていると、坂崎の手の中には俺のギター擬きを抱えていた。
「‥?」
「ちょっと聴いて貰える?」
「俺達で考えたんだ。お前にプレゼントしようと思って‥さ」
「何の?」
顔を見合わせてクスッと笑い合う親友。
「悪魔が早くしろって煩いからすぐ終わらせるね‥‥高見沢、」
「‥あぁ」
坂崎がギターを優しく奏で始めると、次に高見沢が歌い出した。
「旅人は探し続けてる
赤い花が咲き誇る大地を
そして西へと吹く風は尋ねた
お前は何処へ行こうとしてるのか
故郷遠く離れて
愛しき人の想い
茜雲を追いかけて行く
見上げれば満天の星よ
指し示せよ未来への羅針盤
時には愛を犠牲にしてまで
夢のために闘う事もある
涙も涸れ果てた
絶望の底から
一筋の光を見つけた
風の詩が聞こえる大地へ
孤独のメロディー口ずさみ
過去も未来も一瞬の光なら
自由に歩き続けていたい
巡る運命に 逆らう宿命
誓うその胸に Warlords
やがて命尽きるその時
お前は幸せだったと言えるか
何のために人は旅を続けるのか
その答えは誰にもわからない
誓いを裏切らず
挫折を乗り越えて
お前は決して独りじゃない…
友よ流れる雲のように
風に吹かれ夢追いかけて
魂が土に還る日まで
諦めないで闘い続けろ
凍てつく大地 落日の日々よ
祈り込めて Warlords
荒野にこだまする
風の鎮魂歌
ひたすらこの道を
信じて生きて行きたい
風の詩が聞こえる大地へ
孤独のメロディー口ずさみ
過去も未来も一瞬の光なら
自由に歩き続けていたい
友よ流れる雲のように
風に吹かれ夢追いかけて
魂が土に還る日まで
諦めないで闘い続けろ
巡る運命に 逆らう宿命
誓うその胸に Warlords」
「‥‥その曲は?」
黙ってずっと聴いていた俺は、二人が歌い終わるまで待っていた。
焚き火の向こう側に居る二人の顔がギターと地面から視線を上に持ってきて、その四つの目は俺を掴まえた。
「‥お前の為に、と思って作った。“風の詩”。そのままのタイトルだけど‥どうかな?俺、今までのお前の苦労だとか、哀しさや苦しみを思いながら作ったんだ。‥簡単に歌にして悪いと思ってるけどさ‥かなり頑張ってね‥」
「桜井に気付かれないように、悪魔と天使も色々と協力してくれたんだよね。お前の二つの感情、本当にいい奴らだよ」
天使‥悪魔‥
「ありがとう‥。心の底から嬉しいよ。まだ、“風の詩”の旅人なんて言われるのには早すぎる気がするんだけど‥お前らが作ってくれた曲だから‥認められた感じがする」
「これからこの曲は桜井、お前のものだよ」
高見沢がそう言って、俺を見つめてきた。
「“風の詩”が聞こえる大地‥ね」
どんな事があろうとも俺は旅人になる。胸を張って、誇れる旅人に。
*
「風の詩」 song by THE ALFEE
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