旅人さんss
何で俺だけが助かったのだろうか。
ふと考えてしまう過去にあった出来事。もう考えないようにするという二人との約束であったが、そんな簡単に忘れられる筈がない。寧ろ俺にとっては忘れちゃいけない事なんだよな。
一つ溜め息をつき、空を見上げながら歩く速度をほんの少しだけ落とした。
俺の今している事は正しい事なのか?
死んでしまった者の魂が安らぐ為にと俺はある場所を教えて回って歩いている旅人だ。
こんな話‥信じる人が何人居るのか。“風の詩”の大地の魅力っていうのもおかしいけど、俺はどうか救われない魂でさえそこに連れて行って成仏させてやりたい。成仏する‥即ち、この世から全てが消え去るという意味でもある。
だから俺の後ろでフワフワと浮いている目には見えない二人が成仏するその時まで俺は自分自身を許しはしない。許さない。
涙で枕を濡らす事なんて今じゃもう殆どないけれど、ごく稀にあの時の夢を見る。それが酷く疲れてしまう。寝て体を癒やす為なのに、寝ても疲れるとはどういう事なんだ。
自分だけが助かり、目の前ではピクリとも動かなくなった二人。数秒間、何が起きたか分からなかったけれど、我に返った時には発狂寸前まで追い込まれてしまっていた。
だから俺は死ぬ為に旅をしていた。アイツらと同じ場所に逝く為に一人になった。もう誰とも深く関わりを持ちたくなかったし、どうせ死ぬんだからもうこの世に何も未練はないつもりでいた。
だけど‥
今じゃこの世界がこんなにも素敵なんだと思わされてばかりだ。
人は温かい。柔らかくて、それでもって冷血だと。
沢山の街を歩み、多くの自然と向き合って俺は歩いて歩いてひたすら歩いてきた。
性格の悪い俺の感情である二人を頭に乗せ、彼らに導かれながら俺は今日まで歩き続けた。
世界はこんなにも素晴らしい。だけれど、とても‥とても残酷でもある。
そんな世界を好きになれたのはコイツらのお陰でもあるし、俺の後ろに居てくれてる二人が隣にこうして着いて来てきてくれてるからだろう。じゃなかれば俺は‥ここを今歩いていなかった。お前らの所に逝ってしまえば、俺は二人にまた泣いて謝る事だけしか出来なかったかもしれない。否、死んだとしてもお前らと同じ場所には‥きっと逝けなかっただろう。
だから生きるよ‥
俺は生きている。生きている事に感謝しているんだ。死んだら全てが終わってしまう。死んだりなんかはしない。もう命をムダになんかしてたまるか。生きる‥居なくなってしまったお前らの分まで生きるのが今の俺にやれる事だから‥
だから‥
「俺が本当の旅人となった姿を少しでも早く見せたいんだ‥」
(だけどその時は俺達はお前の前から姿を消す時でもある)
(いつまでもお前と共に旅をしていたいよ‥桜井)
空から雨が降ってきた‥。
振り返ってみると、俺の頭の上にいた天使と悪魔が居なくなり、代わりに高見沢と坂崎が立っていた。
早く行こうよ、そんな場所にいつまでも立ってたら濡れちゃうよ、風邪ひいちゃうよ、寒いでしょ?
寒くなんかない、って返ってきた。風邪もひかないし、濡れてもどうにかなる訳じゃないって。だから桜井早く雨宿りしようって、二人は雨に紛れ、泣きながら俺の手を引っ張っていった。
その手はちっとも温かくなかった。
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ソフィア達の後にこれはちょっと重たすぎただろうか‥
ジャンルが違いすぎてワロロ
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