罪人たちの舟9
やっと一日が終わった‥。
とても長く感じるこの日々時間は、自分が嫌な時の進み方だったりするもの。正に俺はこの二日間が嫌いだから、そう感じても仕方ない。
体力的に疲れるというよりは、精神的にいつもやられる。しかし今日は何事もなく一日が済んだので、それだけで安堵しきっていた。さっきまで仲間たちと集まって少しだけだが、話し合いをしてきたばかりだ。
その話し合いを終えた今、俺は牢の見回りをしなければいけなかった。大人しくしている罪人たちは、俺と違って体力的に疲れている筈。就寝時間前から寝てる奴らのが多かった。
そして、ある一つの牢を通り過ぎようとした時だったが俺は声をかけられたので、そこで足を止めた。
‥またコイツらか。今日で何度目だ、コイツらと接するのは。鬱陶しい。
「船頭さぁん、ちょっと来て」
七十二番が呼び止める為、仕方なく俺はソイツらの牢の前まで戻ってきた。
「なんだ?」
「俺、女が欲しぃ。女の囚人だっているんでしょー?誰か一人連れてきてよ」
「‥‥ふざけんな」
「ケチケチしないでよぉ。減るもんじゃないでしょ、たかが一回や二回ヤったくらいで」
「貴様はこんな状況でも欲求不満なのか?」
「そりゃあねぇ。ここに来る前にどれだけ閉じ込められてたと思うの?状況なんてカンケーないよ~」
「お前は女をなんだと思ってる?まさか道具だなんて言わないよな?」
「え?俺にとっちゃあ女なんて愛でる為の人形みたいなもんよ。表情を失った女を犯す快感、最高だよぉ?抵抗するのもそそるけど、諦めた時のあの絶望に満ちた顔!そうっ‥あれが最っ高に堪らないねぇ!」
「っ‥」
最低だ。やっぱり俺はこの男が大嫌いだ。最初、舟の上で見た時からその印象と気持ちは変わらなかった。人を‥女を何だと思ってやがる?
「口を謹め」と命令すれば男は我が儘にしつこく「女ぁ~!」と、かったるそうに叫んできやがる。だからといって女なんて与える訳がないけどさ。
「‥‥。」
「ねぇ、船頭さーん?」
「!?」
ふと、考え事をしてしまっていたせいで、男が鉄格子の間から手を出していたほんの一瞬だけ棍棒に触れられてしまっていた。
くそっ、コイツ‥!
「何をするっ!?」
「女は抱くもんじゃない‥。犯すもんだよぉ」
「‥‥。」
ニヤリと薄気味悪い笑顔を向けられたが、それをシカトして見回りを続けた。
なんなんだあの男は‥っ。俺を本気で怒らせたいのか?正直顔も見たくないし、明日もコイツの世話なんてしたくないレベルで嫌悪感が酷い。
だが仕事なのでやるしかないが‥な。
「どうだったぁ?」
「‥あぁ、あの感じだと男兄弟はあり得ないな。姉か妹か‥。多分、後者だ。誰かを守りたいと思う気持ちや責任感が入り交じっている。この場合は妹が多いな」
「そっかぁ‥。じゃあ、どんどん苦しめちゃいますか‥二十四番さぁん」
「こりゃあ明後日が楽しみだな」
「あの船頭さんの喚き泣く姿、早く見てみたーい」
「その内すぐ見れるさ。すぐに‥ね」
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