罪人たちの舟14
「なん‥で、お前らが‥」
「びっくりしてるぅ?それは俺たちが反乱を起こしたからだよ。八十人全員を巻き込んでの‥ね」
反乱‥だと?
そうか‥コイツらが大人しくしていたのはこの反乱を起こす為だったのか‥!大人しくしておいて俺たち船頭を全員油断させておき、そのちょっとした隙を俺たちが見せてしまったからこんな事を‥!
マモン様が言っていた意味が今ようやく分かった。だけどもう遅い‥!こんな状態じゃ何も出来ないし、寧ろ俺が殺されてもおかしくないんじゃ‥。
バクバク鳴る心臓がコイツらにも聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい体を叩いている。
静かに焦っている俺に対して、二十四番が口を開く。
「‥なぜこれだけ大勢の罪人が居て、今まで反乱が起こらなかったのか。それはアンタたちの先輩が優秀すぎたからだ。お前ら七人はまだまだ未熟という訳か」
「仲間は‥仲間はどうした!?」
「六人の内四人は殺した。凶悪殺人犯が今回は結構居たからね~。あとの二人はお前次第で生かすか殺すか、だな」
七十二番が無理やり俺を立たせると、ドアを開けたすぐそこには生き残っていた二人がボロボロの状態で座らされていた。その周りには何人もの罪人たちが取り囲んでいる。
「坂崎‥!」
「無事だったか‥!?」
「あ、あぁ‥。でもお前ら‥なんで‥こんな‥」
仲間の二人が申し訳なさそうに俺を見てくる。それを見て俺は血の気が引いた。
こんな無様な俺たちを見下すように、二十四番が言葉を発していく声だけが響いてくる。低くて割といい声をしているとは思っていたが、今はそんな感情のカケラなんて一つもありはしなかった。ただただこの声が憎い‥
「舟の場所を教えてくれるのならお前たちを解放しよう。だが、言わなかったその暁には‥」
二十四番が親指で自分の首を切るジェスチャーをしてきやがった。そんな真似をされたら教えるもんかとは思った‥けど、俺が‥舟の場所を教えなければコイツら二人の命が‥!
「ダメだ坂崎!絶対言うな!コイツらはどっちみち俺たちを殺すんだから!!それより、早く主様たちに知らせた方が、」
言いかける仲間に対し、数人の罪人たちからの容赦ない暴力が降りかかっている。荒い息を吸っては吐いての繰り返しだけになる二人。
「ねーねー、言わないと本当に殺しちゃうよぉ?」
「くっ‥!?」
俺の頭をガッと掴んでくる七十四番。あろうことかコイツはカウントダウンをし始めたではないか。
「さぁん」
「坂崎ダメ‥だ」
まって‥
「にぃー」
「俺たちはいいから‥!」
そんなこと言われても‥っ!
「いーち‥」
俺は一体どうすれば‥
「ぜろ「北の隠れた岩場にあるッ!お願いだ!もう、やめてくれ‥!」
「そうか‥。おい、お前ら確認しに行ってこい」
二十四番が数人に命令すると、俺の答えた舟がある場所へと向かって行く罪人たち。
ホントにこれで良かったのか‥?俺は間違ってなかったのか‥?
バクバクなる心臓が治ることはないままだ。
「ありがとう船頭さん。でも、ちょーっとだけ遅かったよねぇ?」
「え‥?」
「殺れ」
「なん‥で‥?おい待て!!約束がちげーだろうが!?テメェ、ふざけんじゃねーぞ!?」
俺の怒声なんかは何も気にせず残酷な命令を冷たく言い放つ二十四番は、殺したくてウズウズして今か今かと待ち構えていた罪人たちに指示を出せば、目の前に居た二人の仲間が‥‥俺の仲間が‥
「やっ、やめてく‥」
「こんなことしてタダじゃ」
「ゴタゴタうるっせーな」
「あばよ、船頭さんたち~」
ザシュッ。
身の毛もよだつような気味の悪い音。
そして首から血を吹き出しながら倒れていく二人の仲間の姿を見て、俺の頭はおかしくなりそうだった。
なんで‥?なんでこうなった?どこで何を間違えた?
「あ‥‥ぁああぁああぁあああッ!!」
なんでだ‥
なんでなんだッ!?
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