罪人たちの舟 - 22/32

罪人たちの舟21

 

「俺は罪人が全員同じだと思ってるアンタのような奴らが大ッ嫌いなんだよ。俺は今までやってきたことに後悔はない。自分はおかしくない、正しいと思ってきてやってるからな」

「‥それでも、詐欺は立派な犯罪だ。罪を犯したのには変わりない」

「はっ、お前はそう言えばなんでも逃がれられるもんな。いいなぁ、気楽で。その手の中に居る男の話を聞いてただろ?嫌いなんだろソイツが?じゃあ、なぜ丁寧に葬り去る必要がある?

傷を負ったその脚で、わざわざあんなデカい窯の中まで運ぼうってのか。‥笑わせるな!!」

 

こちらに近付いてきた男は、俺が抱えていた男を奪うとそのまま来た道を戻ろうとしている。

そんな事をしても無駄だってのに‥。諦めが悪い奴だな。

 

けれど、俺はアイツを止めようとはしなかった。というより、止める程の気力と体力が残っていなかっただけか。

壊れた扉の前でぴたっと足を止めた男は、顔をこちらにだけ向けて話しかけてくる。

 

「俺たちは‥そんなに世の中から必要とされてない人間なのか‥」

「だからそれは‥」

「コイツは‥高見沢は、一人で先に逝っちまった。裁かれる訳でもなく、お前と話しがしたいだけという理由で‥お前を庇い、惨めに息絶えた。俺だったらこんな死に方ごめんだね。悪魔に裁かれる前に殺されるなら‥自分で自分を殺した方がずっとずっとマシだ」

「‥、おい」

「テメェら船頭は罪人のことなんて何も分かっちゃいねぇ。アンタの前に居た優秀な先輩方がなぜ殺されなかったのか。それは、罪人の心を理解していたからだ。そして、たったこの三日間で悔い改めさせようと諭したから。だから罪人はここで死んでも後悔しなかったんだろうな。

今のお前らには罪人を理解しない気持ちがない限り、絶対に先輩方みたいにはなれないって事さ。あぁ、もちろん見損なったぜ。なんで高見沢はお前だけを生かそうとしたと思う?」

「‥わざと俺だけを生かしたのか?」

「ったりめーだよ。本当は殺す筈だったのにさ‥コイツ、お前を信じてたんだぜ?“あの船頭ならきっと俺たちを分かってくれる筈だ”って。‥だから俺たちは暫く逃げなかった。お前を信じていたから。確かにやり方は卑怯だとは思っている。だからこそ他の船頭たちを殺してしまったことに反省もした‥が、もうその気持ちは捨て去っても構わんようだな」

 

俺が口を開こうとした時だった。ヴヴ‥と照明が嫌な音を立てながら点滅し始めた。

 

まさか‥来るのかっ?

 

「くっ‥、初めてだよ。俺自身が人を裁きたいなんて思ったのは。だが、もう手遅れのようだな」

「‥え?」

 

俺の言葉を理解出来ていない二十四番だったが、今はもうそれどころじゃなくなってくるからな。

 

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