罪人たちの舟22
照明がかなりの回数で点滅し始めていやがる。心の中で舌打ちを一度だけ終えると俺は覚悟を決め、その場で跪いてみせた。
男は戸惑い、これからここがどうなるのかが不安なのだろうか。眉をひそめながら俺に尋ねてくる。
「何が起きている」
「お前も跪け‥!」
俺に出来る精一杯のアドバイスだった。
もう、逃げられやしない。コイツだって‥俺だって、もしかしたらまた俺は殺されるんじゃないか?次こそは確実に、だ。
そんな疑問も胸をよぎるが、もうどうでもよくなり始めてきている自分がいるのも事実。死ぬのはそりゃあ怖い。けれど、俺が招いた過ちは自分でケリをつけなければな。
考え事をしていたその数秒後、カッと稲妻のような大きな光が七つ走ると、そこには‥
「なっ‥なんだコイツらは!?」
「‥‥。」
そこには七人の悪魔達が本来の姿で現れてきやがった。
醜く‥酷く‥生きた心地を与えさせない大罪たちの集結。
瞬く間に邪気が満ち始めているこの部屋に普通の人間なんかが居たらおかしくなる。俺は訓練を受けてきているから平気‥とは言い切れないが、何とか自分を保っていられる程度。七人全員はやっぱキツいな‥
「坂崎‥貴様、まだそのような醜い罪人とこの神聖な場所におったのか」
「マモン様‥!」
ガクガクと震え始める体。何も考えられなくなった使えない頭。
どうせ死ぬなら、一思いにでもしてくれ‥っ。
「脱獄とはいい度胸だなぁ‥」
「我らから逃げ出せるとでも思っていたのか、愚か者め」
ルキフェル様(傲慢)とベルフェゴール様(怠惰)の言葉を聞き、後ろに居た男がピクッと反応を示した。この男、七人も悪魔が揃っていながらなんで平気で立っていられるんだよ‥
しかも、目はまるで威嚇する動物のような鋭い瞳。余り挑発させると後でとんでもない事態になりそうな気がするので、そういうことは今すぐやめて頂きたい。
「人間とはちっぽけよのぉ‥。嘆く姿を久々に見れたわい」
サタン様がそう仰ると、男が「くそっ!」と目の色を変えたように相手を睨み付ける。
「まさか全員殺しやがったのか!?」
「それ以外の事はせん。裁きを受けない罪人がタダで死ねると思うなよ」
そうレヴィアタン様が告げた瞬間‥男の右肩と左脚にバシュッという肉が千切れる音が聞こえてきた。
「え‥?」
余りに一瞬だった為、理解出来なかった俺が気付いた時には、男が体に穴が開いた部分を必死に押さえつけて出血を止めようとしていたところだった。
「ぐっ‥はぁ‥ッ!?」
奴の腕の中に居た男はドシャッと床に落ち、それを拾い上げる事さえも出来ない状態になってしまっていた男。うるさいくらいに部屋の中で響く絶叫が、俺には耐えられなかった。
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