罪人たちの舟28
あれから一週間が経った。もう一週間だ、時が過ぎるのは早い。
それはさておき、二人の怪我はあの日悪魔たちのお陰で完全に塞がっていたが、まだ回復に至るまではいかなかった為、仕方なく俺の家で療養させていた。切り傷がデカい七十二番は今日までずっと寝た切りで、体中に毒が回っていた二十四番もひたすら大人しくしており、二人が活発に動き回る事も余りなかった。
仲間が六人も死んでしまった為、他に使える使者が見つかるまで暫く仕事もなかったので、丁度良く‥ねぇよ。ったく、大切な仲間殺しやがって。
改めてこう考えると、やっぱりコイツらが憎い。じっと二人の男を睨んでいると、ベッドで寝ていた七十二番が「気持ち悪いよぉ‥」と呟いてきた。
「は?」
「そんな目でこっちを見るな」
「テメェにだけは言われたくねぇよ」
「お前なんさぁい?」
突然な質問に体の力がガクッと抜け、薬草が乗った持っていたザルをぶちまけそうになってしまった。その様子を見ていた二十四番が「バーカ」と言ってきやがる。
くそっ。コイツらほんとに腹立つ‥!絶対俺の言いなりにさせてやるからな!逆らえないようにしてやる!そうは思いながらも体勢を整え、数秒の間を開けてから答えてみせた。
「二十七だよ。だから残りの寿命は良くて四十行くかだろうな。言っとくがお前らもそれくらいの年で死ぬんだぞ?」
「俺らと同じ年なんだぁ。じゃあ、皆もうすぐ死ぬねぇ」
ヘラッと笑う七十二番を見ていると、怒りが込み上げてくるこの感覚は一週間経った今でも変わらない。嫌いだ。冗談ではなく、本気で俺たちはお互いのことを嫌っているのだ。
でも、本気で嫌いな相手とこれから過ごすのは自分への罰でもあるからな。仕方ない。
「‥アンタ、ちょっとこっち来い」
二十四番に呼ばれ、嫌々ながらもそちらに向かうと、グイッと胸倉を掴まれてしまい、なんだ!?と思い、焦って抵抗したが中々コイツの手は俺から離れてくれなかった。
「くっ‥!お、おい、なんだよ急に!?離せ!」
「なぁ船頭さんよ。‥お前、最近体がおかしいんじゃねぇか?」
「‥なっ」
気付いてたのか。あの日から、俺の体に異変が起きてた事を。
視線を下に落とし、「あぁ」と頷けばニヤッと怪しい笑みを見せつけてきやがった。
「この俺が気づかないとでも思ったか?」
隠しても無意味ってことか。
「‥あぁ、そうだよ。一日中体がダルいし、頭痛も酷い。吐き気も度々あるし、時々咳も止まらない時だってある」
「ハッ!命を半分犠牲にするからだよ。その体じゃ一生治る事はなさそうだな」
この男は全てを見抜いてきやがる。いや、そんなことくらい自分自身が一番分かってたじゃねーか。寿命を半分削り落とせば、自分の体がおかしくなる事なんて。
普通の人間とは明らかに違う体をしている俺だからこそ、一気にこんなにも体力が落ちて、精神が弱くなるのは辛かった。慣れていないから余計に厳しい。
「まぁな。それを覚悟でお前たちを生き返らせたんだから、それが怖くてこんなバカなこと出来るかよ」
「あぁ、本気でバカだと俺は思ってるぜ」
「笑うなら笑え」
とか言ってると、二人がすげー見下したような笑い方でホントに笑ってくるから腹立つんだよな。
俺、これから耐えられるかなぁ‥
※コメントは最大1000文字、10回まで送信できます