秘密警察-Secret Police- - 21/39

SP19

「いくぞ、正将!坂崎の言う通り躊躇なんかするな!!」

「はいっ!」

タンッと軽い足取りで相手が居る方へ二人で向かうも、奴は相変わらず薄気味悪い笑い方をしながら俺たちを見上げてくる。くそっ、マジで気持ち悪りぃなコイツ。

俺も正将もワイヤーを取り出し、奴に向けて放ってみせるが相手はそれを華麗にかわしてみせる。やはり一筋縄ではいかないとは分かっているので、今度こそ慎重にいくつもりだ。

「テメェ、よくも俺の片目なくしてくれたなっ!!」

「貴方が勝手になくしたのでしょう?」

「あぁっ!?正将にもケガなんか負わせやがって、ぜってー許さねぇぞ!?」

ワイヤーは的が外れたけれど、地面に突き刺さればそのままの勢いでワイヤーを縮めてはギュンッと凄いスピードで相手の方へと近付いていく。背中を向けて逃げて行こうとする相手に、一発蹴りでも入れてやろうかと思い、バッと奴の後ろまでは着けた。

なので、脚を思い切り伸ばして奴の背中目掛けて思い切り脚を振り上げるも、そう簡単にはやられはしないか。ブンッと空を切る音だけがむなしく響きかけたが、その後に正将が奴の真正面側に回っては行き場を一瞬だけ塞いでくれた。

足を僅かに止めて、右か左にどうかわそうか迷ってた相手に目掛け、正将も怖い顔をしながら体を回転させながらその勢いで蹴りでも入れようとしていたところ。動きが速くなったな、アイツ。

だが正将はやはり新人なので、相手にナメられている部分がある。フッ‥と笑っている相手。ダメだな、これじゃあまたかわされる。

と思ったが、正将は隠し持っていたワイヤーで相手を不意打ちで狙っていた。それにはほんの少しだけ驚いてる様子の相手。

だが‥

「ムダですよ。貴方の考えていることはまだまだ浅はかです。先が読めてしまいますね」

「くそっ‥!僕の脇腹ケガさせたんだから、お前も同じ目に遭え!!」

「どうせなら心臓を狙ってみてはどうです?」

「それは嫌だっ!」

あぁ、そうだ。嫌に決まってる。アイツの心臓に衝撃与えた時点で俺たちもお陀仏だもんな。

「正将気をつけろっ!無闇に近付くんじゃねぇぞ!」

「は、はいっ!」

シュタッと俺のいる場所まで着地し終えた正将と並び、相手の様子を一旦窺うことにしてみるか。相手との距離は十分にあるが、どうやって戦っていく?飛び道具でも使うか、それとも接近戦か?

飛び道具だと、万一心臓に衝撃を与えたとしても距離があるから被害は少なく済む。しかし、命中率が高くなければ爆破しやすいので厳しい。一方接近戦は狙った箇所を確実に捉える可能性は高い。だが、失敗した場合には相手諸共速攻であの世逝きだろう。

迷っては焦りつつも考えていると、相手が再びここから離れて逃げようとしだすので、逃がしてたまるもんかと思い、二人で追いかけてみせた。

「おい!お前らいつも逃げてばっかでずりぃぞ!!戦え!」

「‥‥、」

「聞いてんのかよテメェ!?」

すっげーシカトされた。

つか爆発物ってどこにあるんだ?それを先に回収した方が‥‥

あった、アレかっ?

「正将はアイツを追え!俺は爆弾を回収してくる!」

「はいっ!」

頼むぞ、相棒。

。。。

棚瀬に言われたビルの屋上までやってこれば、そこには一人の‥女か?てっきり全員男だと思ってたぞ。

黒いマスクをしており、目付きもめちゃくちゃキツい。髪は長くないし、ボディーラインが見えるようなそんな服装はしていない為、この間見た時は遠くからだったので完全に男だと思い込んでいた。

‥でも綺麗っぽそうだな。

だからって惚れるつもりもないが。相手は敵でもあり、元秘密警察ということもあるので全く油断のならない相手。女だろうがね。

「アンタらかい、今の坂崎の仲間って」

「おぉ、そうだ。俺たちが今の坂崎の仲間だぜ?‥まさかお前、女だとは思わなかった」

「女だろうがどうでもいいだろ?この今の状況に私の性別が何か関係でもあるのか?」

「いや、思ったことを口にしただけだから。‥‥お前って話せば分かる相手?」

「に、見えるとでも?」

「やっぱりムリか。よし、やるぞ太郎。アイツ、女だが実力はハンパねぇだろうよ」

「分かりまし‥」

と、太郎が言いかけているところにも関わらず、相手の女はシュバッと俺たちの居る方へ素速く移動してきては、攻撃を仕掛けてくる。やっべーなコイツ、人の話しとか聞く耳持たないタイプだわ。

太郎の腕をグッと引っ張り、間一髪のところで奴の強烈な蹴りは避けられたのはいいが、相手はすぐに地面へと足を着けたかと思えば一直線で再びこちらに向かってくる。クソっ、コイツの動き速すぎる‥!女だから身軽ってのもあるのだろう。

太郎をここから離す為、ブンッと違う場所へと放り投げると「桜井さんっ!?」と俺を心配してくる太郎の声がする。やっぱまだ新人にはこの女相手はキツいはずだ。

「一人で私の相手をするつもりかっ?」

「お前なんか俺一人で十分だ!!」

「その言葉を後で後悔するハメになればいい!」

殴りかかってくるその腕の素早さといったら、まぁ男顔負けなくらいの力強さだ。だが相手の拳を自分の右掌でパァンッと受け止めた後、力が凄まじいので自分の腕が後ろに持っていかれたりはしたが、なんとか相手の手を握り返してみせた。

すげ‥、手も腕もビリビリする。

そこから女をこちら側に引っ張り込み、足に踏ん張りをつければ‥胸に抱き寄せた、とかじゃないからな?

「オラアアアァァッ!!」

「くっ‥!」

奴の腕を両手で取ったので、そのまま女の体ごと持ち上げて俺は上へとジャンプさせて、この女を地面へと叩き落とすつもりでいた。

あ、でも心臓に衝撃がいっちまうか?やっぱやめるか。

「太郎っ!!」

「はいっ!」

放ったらかしじゃ可哀想だもんな。

空中にいる間にも奴が俺を狙っては攻撃してくるので、太郎を呼び出してこの女を取り押さえて貰おうか。

太郎に奴の脚をなんとか抑えろと指示すれば、必死になりながら全身を使って取り抑えようとしてくれている。あんま女に手荒なマネはしたくないんだけどよ、相手が相手だもんでな。

「お前ら邪魔だッ!!」

「うわっ!?」

「太郎っ!」

抑えようとしていた脚に、ドカッと蹴りを入れられてしまった太郎は思いの外遠くへと吹っ飛ばされてしまったではないか。太郎も体格いいはずなのに、あんな一発の蹴りであそこまで飛ぶかっ?

すると、太郎が飛ばされていった方向に何やら怪しい物体が設置されてある。あれが起爆装置か何かか?

「お前、あの男を助けに行った方がいいんじゃないか?」

「なにっ?」

「じゃないとあの男、死ぬぞ」

「はっ‥?」

何を‥言ってるんだ?

。。。

「しまった‥!!なんだこの爆弾!?」

「どうした棚瀬っ?」

夜明け前に元サブリーダーだった男をボッコボコにして、一応取り押さえたのはいいけれども、無線で棚瀬の焦る声が聞こえてきた。

「坂さん、急いで四人に知らせないと‥!この起爆装置、人の体温を感知して爆発する代物っすよ!!二メートル以内に近付けば即爆発する!!」

「はあッ!?おい、お前ら今の棚瀬の声聞こえたか!?」

応答しろ‥!早く、早くっ‥!!

「棚瀬っ!!起爆装置スイッチの元を今すぐ切れっ!!」

「今やってますってば!!坂さんの目の前に居るソイツがメイン装置のスイッチを持っている‥っ、だからコレを‥」

「壊すのかっ!?」

「壊すなっ!!チクショウ‥!メイン装置のハッキング完了!!あとはこのまま電源さえ切れば‥っ!」

向こう側からキーボードの凄い叩く音が聞こえてきては、めちゃくちゃ必死になりながら棚瀬が起爆装置の電源を切ろうとしてくれている。俺がコイツの持っているであろうスイッチに手を出すと、多分そのまま爆破しちまうから棚瀬は止めたんだと思うが‥

「そう簡単に‥切れると思うなよっ‥」

「黙ってろ!!」

ドガッ!!と腹に蹴りを入れるも、奴はニタッと不気味な笑みを浮かべさせた。

‥次の瞬間。

「ヤバいっ‥、なんだこの複雑な解除コードは‥っ‥」

「おい、棚瀬っ!?しっかりしろ、棚瀬っ!!」

棚瀬の震えたような、何かにゾッとしたような声色。

おい‥諦めるなよ棚瀬っ!!

。。。

「まって‥、間に合わなっ‥!」

棚瀬の物凄く焦った声が聞こえた瞬間、俺はこの起爆装置から離れようとしたが、もう‥‥

「高見沢さんッ!!」

「来るなぁあああ!正将ぇえっ!!」

。。。

「テメェ、ふざけんなっ!!」

「早く奴を助けに行ったらどうだ?」

「くっ‥!」

女を放り出して、太郎が吹っ飛ばされていった方向に全力で走り出す。

間に合え、間に合ってくれ。お願いだから‥‥!

「太郎ぉぉおおおおッ!!」

「桜井さんっ‥!?」

ダンッと太郎が居る方へひとっ飛びし、そのまま太郎をガバッと掴まえてみせるも、これじゃあ間に合わない‥っ。

せめてコイツだけでもケガの負担を少なくさせようと思えば、爆弾がある方向に背を向けては体が勝手に太郎を守るように包み込む形になってしまっていた。

いきなりそんなことをされた太郎が、俺の腕の中で「桜井さんッ‥!!」と涙声になりながら、必死に自分が俺の立場になろうとしていたが‥‥

もう‥遅かったかもな。

。。。

ドオォォォオオンというデカい爆発が二ヶ所で起きてしまった。

なんで‥‥

「‥‥。」

「あ‥」

「‥棚瀬、しっかりしろ」

「‥‥うるさいな、しっかりしてますよ。俺が取り乱すとでも思ってんすか?」

「いや。いいから早くこっちに車よこせ。警察と消防がまた来ちまう前になんとか四人を回収しないといかんからな‥」

「死んでませんよ」

「‥どうだか」

目の前で寝転がっては痛みを我慢しているこの男の顔面にもう一発強烈な蹴りをお見舞いし終えれば、俺は奴を放置して四人を回収しに行く方を選んでみせた。

‥‥もう遅いかもだけどな。

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